森正文氏インタビューVOL.2 キャリアの選び方
高級ホテル・旅館専門の宿泊予約サイトとして知られる「一休」。創業者の森正文社長は、日本生命時代の30歳から4年間大病を患い、死を意識した経験から、「一番元気な30代後半からの20年間に好きな仕事をしたい」と一念発起して、一休を起業。数々のピンチをチャンスに変え、道を切り開いてきた森氏に、チャンスとは、失敗とは何か、そして転職に何を求めるべきか語っていただいた。
Vol.2 キャリアの選び方
職はどんな理由でもいいが、好きだと思える仕事を選ぶべきと森氏。がんばり続けるための原動力はどこにあるのか森氏に聞く。
― 好きなことなら、がんばれる
「転職するなら、やはり自分が好きだと思える仕事を選ぶべきでしょう」
高級ホテル・旅館専門の宿泊予約サイト「一休」の森正文社長が力説する。
「転職したからといって何もかもすばらしい日々が待っているわけではありません。辛いこともあるでしょう。でも本当に好きな仕事なら、どんなことがあってもがんばれますから、転職もうまくいくはずです」
では、今の職場で人間関係がうまくいっていないとか、好きな仕事ではないというやや後ろ向きな理由は転職に向いていないのだろうか。 「今の仕事に対する不満がきっかけで転職してもいいと思うんです。だってそんなストレスの多い職場でがんばっても、病気になるかもしれないでしょう?」
― 転職しても辛いことはやってくる
もっとも、人間関係が嫌で転職しても、新たな職場で同じような問題が起こらないとも限らない。だからこそ、森氏は「好きな仕事を選べ」と強調する。
転職すると言っても、最初から絶対的にすばらしい話が転がり込んでくるわけではない。
例えば、高給を目当てに転職したとしても、「いい給与をもらっているからこそ、リストラの対象になりやすいこともあります。年収3000万円の部長をリストラする一方、その部下には年収を800万から1200万に上げるからがんばれと部長に昇格させれば、会社としては2600万のコスト削減です」
いい条件もリスクになりうるというわけだ。
「どんな仕事に転職しても、おもしろいこと、辛いことがやってきます。そのアップダウンをいかに乗り越えて、生き生きとしていられるかが大切です」
― 自分を磨く原動力は「欠乏感」
アップダウンを乗り越えるには、常に自分を磨き続ける必要がある。その原動力になるのは「欠乏感」だと森氏は言う。
「好きな仕事をしていても、何か足りないという思いを失ってはダメですね。現状に満足してしまったら、進化は止まります」
自分が成長し続けなければ、もっといい条件の職場への転職は遠のく。
「例えば20代の頃はお金がほしかったですし、30代は大病したこともあって健康に人一倍気を遣ってきました。彼女と別れてむなしいなんて思ったのもその頃ですね。こんなふうに現状への不満は常にあるだろうし、あって当然です。すっかり満足してしまって仙人のようでも困るし、かといってギラギラの塊みたいな人も困る。現状に満足せずに常に何かに挑みながら、それでいて自分自身を楽しむ姿勢が大切です」
その適度な欠乏感が原動力となるから、自分を高めることができるのだろう。
― 今でも仕事がなくなったらどうするかと考えることも
森氏は40代になって会社が安定して仕事もおもしろくなり、収入も増えた今も欠乏感は失っていないという。
「いつも新しいビジネスモデルを考えています。ゴルフ中でも、いや、夢の中でもそうですね。それに、この仕事がなくなってしまったら、何をやろうかと常に考えていますよ」
特に森氏が強調するのは、30代から50代の時期の欠乏感だ。
「その時期に何もなかったら、おもしろくない。仕事にしろ、家庭にしろ、アップダウンがやってきます。そこをどう乗り切っていくか。どう楽しむかですね。そこに楽な方法も、王道もありませんから」
まさに読者の多くがその人生で一番おもしろいはずの時代を生きている。
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