プロダクトマネージャー(PdM)の役割とは【図解あり】
プロダクトマネージャーとは、企業が提供するプロダクトの企画や開発、マーケティング、販売や改善などを一貫して管理する役割を担う職種です。
プロダクトは、一度作って販売したら終わりではなく、継続して利用してもらうためにユーザーの意見を聞きながら改善を重ねることが重要です。
プロダクトをユーザーにとってより魅力的なものにするには何が必要かを考え、開発計画をまとめ、マーケティングや販売の戦略を立てて実践します。プロダクトが作られる工程すべてに責任を負い、プロダクトの価値と企業の利益を最大化するのがプロダクトマネージャーの役割になります。
プロダクトとは
プロダクトの工程に関するすべての責任を持つのがプロダクトマネージャーですが、そもそもプロダクトとは何でしょうか。
プロダクトとは、企業が市場に提供する製品やサービス全般を指します。家電製品や衣料品、機械設備などの物理的な製品だけでなく、アプリケーションなどのソフトウェアや、ゲームや音楽などのデジタルコンテンツもプロダクトの一種です。
また、配送サービスや修理サービスなどといった物理的なサービスも、広い意味ではプロダクトの一種といえます。さらに、メールサービスやストリーミングサービスのような、インターネットで提供されるさまざまなオンライン・サービスもプロダクトと呼ばれます。
プロダクトの特徴・近年の傾向
近年では、製品とサービスが合わさって複合的に提供されるようなプロダクトも増えてきました。
例えば「Amazon Echo」のようなスマートスピーカーは物理的な製品ですが、インターネットに接続して音楽ストリーミングをはじめとするさまざまなオンライン・サービスを利用できます。ほかにも、家電製品などと連携することで「スマートホーム」という違った形のサービスも提供します。
物理的なプロダクトの代表格である冷蔵庫や洗濯機などの家電製品も、最近ではインターネット上のサービスと連携し、おすすめレシピを表示したり、天気を教えてくれたりといった機能を提供しています。
こうした傾向から、最近のプロダクトはリリース時だけでなく、リリース後のサポートや機能改善がより重視されるようになってきています。
ユーザーは、購入した製品や契約したサービスがきちんとメンテナンスされて、長期間にわたって利用し続けられることを望んでいます。そのためプロダクトを提供する企業側も、ユーザーの声に耳を傾け、継続的に改善していく体制を整える必要があります。
プロダクトマネジメントとは
プロダクトマネジメントは、企業が提供するプロダクトについて、企画や開発から販売、および改善に至るまでの全工程を一貫して管理する業務です。
プロダクトマネジメントの仕事には、市場調査、新規プロダクトの企画、仕様策定、開発計画の策定、開発プロジェクトの立ち上げや進行、リリースまでのプロセス管理、プロモーション戦略の立案と管理などがあります。
また、リリース後も、プロダクトのパフォーマンスや市場の反応を定期的に評価し、改善案を提案して実行することもプロダクトマネジメントに含まれます。
プロダクトマネジメントの仕事を説明する際には、「プロダクトマネジメントトライアングル」と呼ばれる図がよく使われます。これは、プロダクトを提供する企業の「ビジネス(The Business)」と、プロダクトの利用者である「顧客(Users)」、そして開発を行う「開発者(Developers)」の関係を三角形で表したものです。
The Product Management Triangle – Product Logic
この三者は、どれかひとつだけを優先しても、プロダクトとして成功するのは難しいとされています。
例えば顧客の意見だけを優先すれば、満足度は上がるかもしれませんが、企業の利益に結びつかなかったり、開発計画が破綻したりといった事態に陥る危険性があります。逆にビジネスだけを優先した場合、利益重視になって顧客が離れていく可能性があります。
プロダクトマネジメントでは、顧客の要求と企業のビジネス、そして開発計画や技術的な課題などを総合的に考え、この三角形のバランスを保つことが重要になります。
そして最終的に、プロダクトの魅力を高めて顧客満足度を満たしつつ、企業のビジネス目標を達成することを目指します。
プロダクトマネージャーの役割は、担当するプロダクトに対して、このプロダクトマネジメントを適切に実践することです。
プロダクトマネージャー(PdM)とプロジェクトマネージャー(PjM)の違いは何?
プロダクトマネージャーとよく混同されがちな職種にプロジェクトマネージャーがあります。
プロジェクトマネージャーは、製品やシステムの開発プロジェクトについて、その計画や実施を管理し、計画どおりにプロジェクトを進行させる役割を担います。
プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーは、どちらも「PM」と略されることが多いため、両者を区別するためにプロダクトマネージャーを「PdM」と略すのが慣例となっています。また、同様の理由でプロジェクトマネージャーは「PjM」と略すこともあります。
プロダクトマネージャーは、プロダクトのライフサイクル全体を管理し、ビジョンや戦略にフォーカスしてその成長を目指すことを目的としています。
それに対してプロジェクトマネージャーは、特定のプロジェクトを計画どおりに進行し、完遂させることが目的となります。
したがって、プロジェクトマネージャーが担当する範囲はプロジェクトの開始から終了までの期間であり、その中で進行管理やリソース管理、リスク管理などといった個々のタスクに注力します。
ただし、開発プロジェクトは、プロダクトを改善し続けるために長期間にわたり継続的に実施することもあるため、プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの役割には重なる部分もあります。そしてどちらも、チームを率いる立場であるという点も共通しています。
プロジェクトマネージャーの仕事内容については、次の記事も参考にしてください。
プロダクトマネージャーの主な仕事内容
プロダクトマネージャーは、プロダクトのライフサイクル全体に関わるさまざまな仕事を担当します。主な仕事内容としては次のものが挙げられます。
- プロダクト戦略の立案
- プロダクト開発の進行管理
- マーケティング戦略の立案
- ユーザーからのフィードバックによるプロダクトの改善・改良
それぞれ詳しく見ていきましょう。
プロダクト戦略の立案
プロダクトマネージャーはまず、顧客のニーズや市場のトレンドを深く理解するために市場調査を行い、その結果に基づいてプロダクトの長期的なビジョンや成長・成功のための戦略を策定します。
競合他社のプロダクトとの比較分析を実施し、自社プロダクトの優位性を明確にすることも重要です。その優位性を維持しつつ、さらに伸ばすための施策や、顧客ニーズに対して不足している部分をどのように補うかを考え、具体的な企画を立案します。
プロダクトマネージャーは、単に顧客のニーズを満たすことだけでなく、自社のビジネス目標とどのように両立させるのかも考える必要があります。
そのためには、担当するプロダクトが自社のビジネス戦略の中でどのような位置づけにあるのかを正しく理解することが求められます。その上で、プロダクトを成長させるための具体的なロードマップを作成し、経営層や開発チーム、ビジネスチームに展開します。
プロダクト開発の進行管理
企画が決定したら、開発チームと密接に連携してプロダクトの開発を進めます。この仕事には、プロダクトの要件定義や、詳細な仕様の策定、開発スケジュールの管理などが含まれます。
開発プロジェクトがスタートしたら、プロジェクトマネージャーと連携して進捗状況を管理し、必要に応じて調整や問題解決を行います。開発チームだけでなく、マーケティングチームや営業チームなど、さまざまな関係者との調整も必要です。
品質や予算、スケジュールなどの条件を考慮しながら、各ステークホルダーの意見を聞いてプロジェクトを円滑に進め、製品を完成に導くのがプロダクトマネージャーの仕事です。
マーケティング戦略の立案
プロダクトをどのように売り込んでいくのかを考えることは、市場におけるプロダクトの確かなイメージを確立するために極めて重要です。そのマーケティングのための戦略の立案もプロダクトマネージャーの役割です。
具体的には、広告やプロモーション活動などを通じてプロダクトの認知度を高め、長期的なビジョンに基づいたイメージ戦略を展開します。
ただ闇雲に宣伝するのではなく、想定したターゲットにプロダクトが適切に認知されるように努めなければなりません。そのために、ユーザーの動向をリアルタイムかつ定量的に把握し、必要に応じて戦略を修正することもあります。
実際のマーケティング活動はマーケティングチームが担当しますが、プロダクトのコンセプトを逸脱しないように全体を統括するのはプロダクトマネージャーの責務です。
ユーザーからのフィードバックによるプロダクトの改善・改良
プロダクトのリリース後は、定期的に顧客満足度調査やアンケート調査などを通じてユーザーからのフィードバックを集め、それを参考にしてプロダクトの改善や改良を行います。
市場のトレンドや競合製品の状況なども考慮し、自社のビジネス目標のKPI(重要業績評価指標:業績目標の達成度を測る基準や指標)や売り上げの推移も確認しながら、定量的な評価に基づいて改善点を探ることが重要です。
自分に合った仕事探しのヒントを見つけよう
転職タイプ診断を受けてみる(無料)プロダクトマネージャーの年収はいくら?
プロダクトマネージャーの仕事は、担当するプロダクトの種類によって業界や立場が大きく異なるため、年収も人によって差が出る傾向にあります。
ただし、極めて幅広い見識が必要になることや、大きな責任を伴う仕事であることなどから、一般的な職種と比較して高い年収を期待できる職種だといえます。
2022年のプロダクトマネージャーカンファレンスで公開された「日本で働くプロダクトマネージャー大規模調査レポート2022」では、プロダクトマネージャーの年収分布は次の図のようになっています。
出典:『日本で働くプロダクトマネージャー大規模調査レポート2022』(一般社団法人プロダクトマネージャーカンファレンス実行委員会)をもとに一部体裁を加工して掲載
年収600〜899万円が全体の46.4%を占めており、1,000万円を超える人も20%以上います。また、年収別の、プロダクトマネージャーとしての経験年数の分布は次のようになっています。
出典:『日本で働くプロダクトマネージャー大規模調査レポート2022』(一般社団法人プロダクトマネージャーカンファレンス実行委員会)をもとに一部体裁を加工して掲載
経験6年以上の人のほとんどが年収700万円以上であり、経験10年以上になると1,000万円を超えている人も多いことから、経験を積むことでより高い年収が期待できることが分かります。
プロダクトマネージャーに向いている人の特徴
これからプロダクトマネージャーを目指す人は、自分に向いている仕事なのか気になるのではないでしょうか。
プロダクトマネージャーに向いている人の一般的な特徴としては、次のようなものが挙げられます。もちろん、ここで紹介するのはあくまでも全体的な傾向でしかないので、これに当てはまらないからといって必ずしも向いていないというわけではありません。
- 知的好奇心が強い
- 強いこだわりを持っている
- 他職種へのリスペクトがある
- 常にベストを求める姿勢がある
- 利他の精神を持っている
知的好奇心が強い
プロダクトマネージャーには、常にプロダクトに関する最新の情報を収集し、積極的に実践することが求められます。
知的好奇心が強い人は、新しい技術や市場動向を追い続け、プロダクトの改善や革新につなげることができるため、プロダクトマネージャーに向いているといえます。
強いこだわりを持っている
こだわりが強いことも、プロダクトマネージャーの仕事をする上では有利に働くことが多々あります。
プロダクトマネージャーには、プロダクトの品質や使い勝手、コンセプトに対して強いこだわりを持ち、常にプロダクトの改善点を探して、最良の状態を追求する姿勢が必要です。
そのため、自身のビジョンや理念を持ち、それを実現するための努力を惜しまないタイプの人がプロダクトマネージャーに向いています。
他職種へのリスペクトがある
プロダクトマネージャーは、エンジニアやデザイナー、マーケティングなど、ほかの専門職の人々と協力してプロダクトを成功に導かなければなりません。そのためには、ほかの職種に対するリスペクトが不可欠です。
他職種の人々が持つ視点や意見を理解し、尊重することで、プロダクト開発に多様な視点を取り入れることができます。
常にベストを求める姿勢がある
長い期間にわたってプロダクトを成長させ続けるには、現状に満足せず、常に高みを目指し続けることが重要です。そのためプロダクトマネージャーとしての責務を果たすには、高い目標を設定し、それを達成するために必要な努力を惜しまない姿勢が求められます。
また、困難な課題や新しい挑戦に直面した場合も、臆することなく率先して取り組む積極性があるといいでしょう。
利他の精神を持っている
プロダクトの成功のためには強いこだわりも重要ですが、それと並んで会社の戦略やユーザーの要望などについて広い視野を持ち、中立的な立場で調整するバランス感覚も必要です。
そのため、常にユーザーにとってのメリットや、チームや組織全体の成功を優先し、全体の問題解決のために働くことができる利他の精神は、プロダクトマネージャーにとって特に重要です。
プロダクトマネージャーになるには?
プロダクトマネージャーになるためには、どのようなキャリアパスを描けばいいのでしょうか。
プロダクトマネージャーになるために必ずしも決まったキャリアパスが存在するわけではなく、また特定の資格が必要というわけでもありません。
しかし、極めて広範な知識と専門的なスキルが要求される仕事なので、未経験からいきなり目指すのは難しいでしょう。
実際、前述の「日本で働くプロダクトマネージャー大規模調査レポート2022」で、プロダクトマネージャーになる前に経験した職種の数を「0個」と回答した人は、全677件の回答のうちわずか18件に留まっており、新卒からプロダクトマネージャーとして働く人は非常に少ないようです。
同調査では、経験職種の数を「2個~3個」と回答した人が半数以上を占めており、複数の職種を経験してからプロダクトマネージャーになっている人が多いことが分かります。
出典:『日本で働くプロダクトマネージャー大規模調査レポート2022』(一般社団法人プロダクトマネージャーカンファレンス実行委員会)をもとに一部体裁を加工して掲載
プロダクトマネージャー以外で経験した職種としては、プロジェクトマネージャーが最も多く、次いでエンジニア、そして事業企画、営業、マーケティングと続きます。いずれもプロダクトのライフサイクルの一部を支える職種です。
このことから、まずはプロダクト開発をしている事業会社に就職し、開発や営業などを通じて実務経験を積むのが、プロダクトマネージャーを目指す一般的なキャリアパスだといえるでしょう。
プロダクトマネージャーに必要な6つのスキル
続いて、プロダクトマネージャーになるためにどのようなスキルが必要になるかを解説します。
プロダクトマネージャーは、市場調査からプロダクト開発、マーケティングまで、プロダクトのライフサイクル全体・全工程を担当するため、幅広いスキルや知識が必要です。ここでは、特に必須とされる次の6つのスキルを取り上げます。
- プロジェクトやチームのマネジメントスキル
- コミュニケーションスキル
- 発想力や想像力
- 市場ニーズの調査・分析スキル
- 課題解決力
- 技術面など幅広い知識
それぞれ詳しく見ていきましょう。
プロジェクトやチームのマネジメントスキル
プロダクトマネージャーには、プロジェクト全体を俯瞰して見渡し、タスクの優先度を決め、チームメンバーに適切に割り振ることで効率的にプロジェクトを進行するマネジメントスキルが必要です。
プロダクトの企画や開発・販売に関わる情報を収集し、必要となる人材、物資、時間、コストなどのリソースを適切に配分することで、プロジェクトをスケジュールどおりに円滑に進めるのがプロダクトマネージャーの役割です。
コミュニケーションスキル
プロダクトマネージャーは、開発部門やマーケティング部門、営業部門、経営層、そして顧客やユーザーなど、多くのステークホルダーとコミュニケーションを取る必要があります。
プロダクトのアイデアやビジョンを明確に伝え、異なる立場の人たちの意見を調整し、共通の目標に向かって進むための合意を形成する能力が求められます。
会議の場でプロダクト戦略やプロジェクトの進捗状況などを分かりやすく説明し、時には強い説得力を発揮するプレゼンテーションスキルも重要です。
また、対面でのコミュニケーションだけでなく、書面でも正確に意思を伝えられるドキュメンテーションスキルが必要とされます。
発想力や想像力
プロダクトマネージャーにとって最も重要な仕事のひとつが、プロダクトのコンセプトを立案し、将来的な成長へのビジョンを見出すことです。そのためには、固定観念にとらわれず柔軟に考え、革新的なアイデアを生み出す発想力や想像力が必要です。
もちろん、単に奇抜なアイデアを出せばいいというわけではありません。市場のニーズを深く理解し、将来のトレンドを予測した上で、それに基づいたプロダクト戦略をまとめ上げることが重要です。
また、アイデアを現実的に機能するプロダクトとして設計・実装するための技術的な知識や、関係者やユーザーにプロダクトのコンセプトを共有するためのマーケティングスキルなども求められます。
市場ニーズの調査・分析スキル
市場のトレンドやユーザーのニーズを把握するための高いリサーチスキルも欠かせません。継続的に市場の動向や競合他社の動き、ユーザーの行動などを調査して、次の施策に必要なアイデアに役立てます。ユーザーに直接ヒアリングを行い、生の声を収集することも大切です。
得られたデータをプロダクトの開発や改善に適切に活用するためには、統計的なデータ分析手法に関する知識も不可欠です。現状の把握だけでなく、データをもとに市場の変化や新たなトレンドを予測し、次のプロダクト戦略の立案に活かします。
課題解決力
プロジェクト遂行中に直面する課題を素早く発見し、迅速に解決することもプロダクトマネージャーの責務です。その際には、表面的な解決ではなく、その原因を分析して根本的な解決策を導き出し、再発防止に努めることが大切です。
課題の解決には、予算やスケジュール、人的リソースなどさまざまな調整が必要になることもあります。複数の解決策を考え、現実的にどれが実行可能なのかを検討した上で、最適な選択肢を選びます。
技術面など幅広い知識
プロダクトマネージャーには、マネジメントスキルだけでなく技術的な知識も必要とされます。
プロダクトの技術的な側面や基盤技術に関する知識を持つことは、開発チームとのコミュニケーションを円滑にし、コンセプトの実現に説得力を持たせるなどのメリットがあります。
インフラをクラウド/オンプレミスにするかといった問題をはじめ、プロダクトを円滑に開発するために最適な環境の選定も意識する必要があります。
また「プロダクト」と一言でいっても、特徴はプロダクトごとに多種多様です。
消費者の関心の移り変わりが激しく市況に応じた機敏な対応が求められるBtoCプロダクトと、業界特有の慣習への理解が必要で深い洞察力が求められるBtoBプロダクトでは、プロダクトマネージャーに求められるスキルも異なってきます。
そのほかにも、マーケティングやデザイン、経営や財務といった、幅広いビジネス知識も求められます。これらの知識を持つことで、チーム内外のさまざまな人々との意思疎通が容易になり、プロジェクトを円滑に進めることができます。
プロダクトマネージャーに役立つ資格
プロダクトマネージャーになるために特別な資格は必要なく、また資格を持っていたとしても必ずプロダクトマネージャーになれるというわけでもありません。
しかし、資格や検定の合格を目指すことは、プロダクトマネージャーの仕事に必要となる広範な知識を体系的に学ぶ手助けになります。ここでは、プロダクトマネージャーの仕事に役立つ次の5つの資格試験を紹介します。
自分に合った仕事探しのヒントを見つけよう
転職タイプ診断を受けてみる(無料)基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITを活用したサービスや製品、ソフトウェアを開発するエンジニア向けの基本的な知識を問う試験です。
難易度は初級レベルながら、技術的な知識だけでなく法制度やプロジェクトマネジメント、組織運営なども含む、非常に幅広い分野の知識が求められる点が大きな特徴です。
IT関係の職種で実務経験がある人でも、それまで専門としてきた分野以外は知識があいまいなことも少なくありません。基本情報技術者試験は、経験者にとっても、プロダクト開発に必要となる最低限の内容をおさらいするのに適しています。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位試験に位置づけられており、より実践的な情報技術の応用能力やシステムの設計、開発、運用などに関する知識が求められます。
プロジェクトマネジメントやシステム監査、経営戦略などの技術以外の分野もカバーしています。応用情報技術者試験では、プロダクトマネージャーの仕事の中でも、特に開発のフェーズで必要となる知識を身につけることができます。
ITストラテジスト試験
ITストラテジストは、企業の経営戦略の実現に向けて、IT戦略の策定や、システム計画の作成、開発や運用の統括、リスクマネジメントやプロジェクトの評価および改善などを担当する職種です。
ITストラテジスト試験では、IT技術に関する知識に加えて、ビジネス戦略の立案、情報システム戦略の策定や実行、プロジェクトマネジメント、チームマネジメント、IT戦略のモニタリングとコントロールなど、ITストラテジストとして必要となる専門的な知識やスキルが求められます。
ITストラテジスト試験の範囲は、プロダクトマネージャーに求められるさまざまなスキルを幅広くカバーしています。
特に、取り扱うプロダクトがソフトウェア製品やITサービスである場合、ITストラテジスト試験の学習で身につく知識はそのままプロダクトマネージャーの仕事に活かすことができます。
実務経験を踏まえた論述問題も出題されるため、実践的なケーススタディーとしても活用できます。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験では、IT技術に関する専門的な知識に加えて、システム化の構想および計画、品質の確保やコストの最適化など、開発プロジェクトを円滑に進めて成功に導くためのさまざまな知識やスキルに関する問題が出題されます。
プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーはいずれもチームを率いる立場であり、その役割には多くの重なる部分があります。長期間にわたってプロダクトを改善し続けるためには継続的な開発プロジェクトの実施が不可欠です。
そのため、プロジェクトマネジメントの仕事を深く理解することは、プロダクトマネージャーにとっても極めて重要です。
システムアーキテクト試験
システムアーキテクトは、システム開発の上流工程において、対象とするシステム全体の基本設計や、各エンジニアが設計するための具体的なルールづくりなどを担当する職種です。
システムアーキテクト試験では、システムアーキテクトとしての専門的な知識やスキル、マネジメント能力などが問われます。
プロダクトマネージャーは、プロダクトの開発フェーズで要件定義や基本設計、初期段階のチームマネジメントなどを担当することもあります。
システムアーキテクト試験では実務経験を踏まえた論述問題なども出題されるため、プロダクト開発に必要な知識を現場でのケーススタディーを交えて学ぶのに適しています。
まとめ
この記事では、プロダクトマネージャーの仕事内容や年収、プロダクトマネージャーとして働く上で必要なスキルなどについて解説しました。
プロダクトマネージャーになるには、マネジメント、技術、マーケティング、経営など、非常に幅広い知識やスキルが必要です。
しかし、企業のプロダクトのコンセプトを考え、実現し、ユーザーに提供するという仕事には、多くの魅力とやりがいがあります。プロダクトマネージャーに転職する準備が整ったら早速求人を探してみましょう。
dodaエージェントサービスでは、プロダクトマネージャーに関する求人の情報提供や、プロダクトマネージャーを目指す上でのキャリアプラン形成のサポートも実施しています。お気軽にご相談ください。
技術評論社 デジタルコンテンツ編集チーム
理工書やコンピュータ関連書籍を中心に刊行している技術評論社のデジタルコンテンツ編集チームでは、同社のWebメディア「gihyo.jp」をはじめ、クライアント企業のコンテンツ制作などを幅広く手掛ける。
dodaキャリアアドバイザー・大橋 道夫(おおはし・みちお)
2008年に株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社し、法人営業として人事向け採用コンサルティングに従事したのち、キャリアアドバイザーとして複数領域で10年以上の経験を積む。
主に、IT領域のエンジニア、管理職の方の転職サポートを長く経験し、実績としては、500名以上の方の転職をご支援。
- 自分の強みや志向性を理解して、キャリアプランに役立てよう
- キャリアタイプ診断を受ける
- ITエンジニア専任のキャリアアドバイザーに無料で転職相談
- エージェントサービスに申し込む(無料)
- キャリアプランに合う求人を探してみよう
- ITエンジニア求人を探す