プログラマーの平均年収
プログラマーはITシステム開発の中心的役割を担う存在であり、その重要性から比較的高い年収を期待できます。
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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SE/プログラマー | 422万円 | 417万円 | 404万円 | 413万円 | 422万円 |
全職種 | 408万円 | 409万円 | 403万円 | 403万円 | 414万円 |
dodaの平均年収ランキング(2023年版)では、SE/プログラマーの平均年収は422万円となっており、全職種の平均年収である414万円を上回っています。過去5年間の推移でも、総じて全職種の平均年収を上回る結果となっています。
年収の高い職業は?平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】
dodaの統計はシステムエンジニア(SE)とプログラマーをあわせたデータですが、両者を比較した場合、システムエンジニアのほうがプログラマーよりも年収が高い傾向にあります(※)。
その理由としては、システムエンジニアは開発プロジェクトの上流工程を担うことが多く、プロジェクト全体の調整能力をはじめとして必要とされるスキルが多岐にわたることが挙げられます。
ただし、システムエンジニアをはじめプロジェクトマネージャーやデータサイエンティスト、ITコンサルタントといった専門的で年収の高い職種では、技術的な知識やプログラミングのスキルも重要とされます。
プログラマーとして経験を積むことは、IT業界の幅広い職種への理解を深め、さらに専門性を高めるための基盤を築くことにつながります。
【年代別】プログラマーの平均年収
年代 | SE/プログラマー | 全職種 |
---|---|---|
20代 | 375万円 | 352万円 |
30代 | 494万円 | 447万円 |
40代 | 581万円 | 511万円 |
50代〜 | 607万円 | 607万円 |
年代別の平均年収では、50代以上を除くすべての年代でSE/プログラマーの年収は全職種の平均を大きく上回っています。特にキャリアを積んだ30代と40代ではその差は歴然としています。
50代になると全職種の平均収入が上がってSE/プログラマーに追いつきますが、これは50代以上になると収入の高い役職に就く人が多く、平均値が大幅に上がることが影響していると考えられます。
一方で、SE/プログラマーの年代構成は20〜30代の割合が高く、年代が上がるとプロジェクトマネージャーなどのより専門的な職種にキャリアアップするケースが多くなります。
なおIT系の職種全体で見ると、40代の平均年収は642万円、50代以上は717万円と、全職種の平均を大きく上回ります。
【男女別】プログラマーの平均年収
性別 | SE/プログラマー | 全職種 |
---|---|---|
全体 | 422万円 | 414万円 |
男性 | 437万円 | 464万円 |
女性 | 388万円 | 356万円 |
男女間の平均年収にどのような差があるでしょうか。全職種における傾向と同様に、SE/プログラマーも男性のほうが女性よりも平均年収が高い傾向が見られます。
ただし、男性は全職種に対してSE/プログラマーのほうが平均年収が低いのに対して、女性はSE/プログラマーのほうが上回っています。
年代別の平均年収とあわせると、男性のプログラマーは若い世代では全職種に対して年収が高めで、50代以上ではあまり差がなくなると考えてよいでしょう。
男女間の差に着目すると、全職種の女性の平均年収が男性の約77%であるのに対して、IT/プログラマーは約89%となっています。
このことから、ほかの職種に比べてSE/プログラマーは男女間の平均年収の差が少ないことが分かります。
プログラマーの年収は高い?低い?人によって差が出る3つの理由
同じプログラマーでも、人によって年収は大きく違います。ここでは、どのような要素がプログラマーの年収に影響しやすいのかを解説します。
経験や習熟度の違い
プログラマーの年収に特に大きな影響を与えるのは経験や習熟度です。
新卒や経験が浅いプログラマーは比較的低い年収からスタートするのが一般的ですが、経験を積んだ習熟度が高いプログラマーは高い年収を得ていることが多いです。
それに加えて、技術職の年収は需要と供給のバランスに左右されることも少なくありません。プログラマーの場合には、需要の高いプログラミング言語やフレームワークの経験が豊富な人が、より高い報酬を得ている傾向にあります。
業務や職位の違い
一口にプログラマーといっても、担当する業務の範囲は人それぞれで少しずつ異なっており、それに応じて得られる年収も大きく異なります。
例えば、製造工程やテスト工程を担当するプログラマーに比べると、設計などのより上流の工程を担当するプログラマーは年収が高い傾向にあります。
また、プログラマーの立場でもリーダーとしてプロジェクトや組織をまとめる役割を担っている場合は、プロジェクトマネージャーなどの上級職に準じた報酬を得ているケースもあります。
企業の規模や種類による違い
企業の規模や種類も年収に大きく影響します。
一般的に、大手企業や外資系企業、IT業界で特に大きく成功している企業は、中小企業と比べて年収が高い傾向にあります。またSIer(システムインテグレーター)であれば、一次請負のような利益率が高いポジションを確保できる企業のほうが、比較的高い年収を得るチャンスが大きいようです。
同じ会社の中でも、利益率が高いプロジェクトに参加できれば、業績による報酬アップの可能性は高まります。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)プログラマーでも方法次第で年収1000万円稼ぐことはできる?
インターネットの広告などでは、「プログラマーで年収1000万円を目指そう」といったキャッチコピーがよく見られますが、実際にプログラマーで年収1000万円を目指すことは可能なのでしょうか?
結論からいってしまえば、プログラマーでも方法次第で年収1000万円を目指すことはできます。ただし、その道は決して楽なものではありません。
「プログラマーの平均年収」で示したように、全世代のSE/プログラマーの平均年収は422万円で、1000万円には遠く及びません。
年収1000万円を稼げるのは、プログラマーというポジションであっても、システムエンジニアやプロジェクトマネージャー、ITコンサルタントを目指せるだけの高度な知識とスキルを持っている人材に限られます。
具体的に求められるスキル水準としては次のようなものが挙げられます。
- 複数のプログラミング言語に高いレベルで精通している
- 大規模なシステムの設計や構築ができ、パフォーマンスチューニング、スケーラビリティ(拡張性)、セキュリティなどの側面に精通している
- 最新技術に関する深い知識と実践経験が豊富
- 開発チームで抱える、技術的な課題や組織的な課題を解決できる
- プログラミング言語や開発ツール、開発手法、チームビルディング、開発プロセスなどにおいて、プロジェクト全体の方針を決定できる
- チームメンバーを指導し、プロジェクト全体を管理できる
- ビジネスの要求や業界の動向を理解し、ビジネスニーズにあわせた技術ソリューションを提案できる
この水準は、プログラマーとしての専門性の高さを示すと同時に、ビジネスの成功に直接貢献できる能力を持っていることを意味します。
これらのスキルは一朝一夕で身につくものではなく、長期的な計画に基づいて継続的にスキルアップに取り組むことが重要です。
プログラマーで年収アップを目指すには
上記のような傾向を踏まえた上で、プログラマーが年収アップを目指す方法について考えてみましょう。プログラマーで年収アップを目指す方法として、主に次の4つが考えられます。
- 需要が高く高度なスキルを習得する
- 現職で職位を上げる
- 年収帯の高い企業や業界へ転職する
- 需要の高い職種へキャリアチェンジする
需要が高く高度なスキルを習得する
プログラマーが年収アップを目指すには、最新の技術トレンドに注目し、需要の高いプログラミング言語やフレームワークに関する知識やスキルを向上させることが重要です。
近年特に需要が高いプログラミング言語としては、JavaやPython、PHP、JavaScriptなどがあります。これらのプログラミング言語や関連するフレームワークを高いレベルで使いこなせるようになれば、仕事の選択肢が広がり、年収アップのチャンスが広がります。
初心者におすすめのプログラミング言語5選!特徴や目的別の選び方について解説
また、特定の業界や分野に特化した専門知識を深めることも年収アップにつながります。
近年ではAIや機械学習、データサイエンス、クラウドコンピューティングなどの分野は特に需要があり、高い年収を期待できます。また、セキュリティに関する知識はどの分野でも普遍的に活用できます。
上記のような需要が高いスキルを身につけ、さまざまな案件を経験してノウハウを積み上げたら、フリーランスとして独立するという選択肢も出てくるでしょう。
フリーランスになった場合、年収にはどのような影響があるのでしょうか。
フリーランスになれば年収は上がる?
高い年収を得ているプログラマーの中には、フリーランスとして働いている人も少なくありません。しかし、フリーランスになれば必ず高収入を得られると考えてしまうのは間違いです。
フリーランスで高い報酬を得ている人は、独立しても継続的に仕事を得られるだけの実力と経験を備えています。
また、フリーランスの年収としてうたわれる金額は税金や社会保険料などを引く前の金額であるケースも多く、会社員の年収と単純比較できないこともしばしばあります。加えて、税金や保険、年金などの手続きもすべて自分でやる必要があります。
契約などの諸手続きや営業活動などにも時間を割く必要があるため、働いた時間すべてが報酬につながるわけでもありません。万が一働けなくなった場合や、仕事がなくなった場合などに備えて、十分な貯蓄も必要になります。
もちろん、フリーランスのほうが会社員よりも性に合っていて活躍できるというタイプの人もいますが、それも前提となる実力があってこそです。
見た目の報酬や華やかさに惑わされずに、自分の実力を見極めて長期的な目線でキャリアプランを組み立てるようにしましょう。
現職で職位を上げる
マネジメントのスキルを身につけてリーダーシップを発揮できるようになれば、より年収帯の高いポジションを目指すこともできます。
例えばチームリーダーや、プロジェクトマネージャーに準ずる役職に就くことができれば、より高い報酬が期待できるでしょう。
年収帯の高い企業や業界へ転職する
IT業界の中でも、企業の規模や業界よって年収帯は異なります。次に挙げるような企業は年収帯が高い傾向にあるため、これらの企業への転職を目指すのも、年収を上げる方法の一つです。
- 大手企業
- 金融業界や医療機関に関わる企業
- 外資系企業
- スタートアップ企業
大手企業
一般的に、大手企業は中小企業よりも給与が高い傾向にあります。大手企業のほうが規模の大きな案件を持っていることや、そもそもの案件数が多いことなどから、単価の高い案件を担当するチャンスが多いからです。
また、大手企業では上流工程を担当できるチャンスも広がるため、ポジションによる報酬アップも期待できます。
金融業界や医療機関に関わる企業
システム開発の仕事の中でも、金融業界や医療機関に関わるシステム開発を担当できる企業ではより高い年収が期待できます。
システムの安定性の確保やセキュリティ対策などにおいてより高度な技術を求められることに加えて、業界特有の専門知識が必要になることもあるため、案件の単価が高いからです。
外資系企業
外資系企業は一般的な国内企業と比べて全体的に給与のレンジが高く、実力主義の傾向も強いため、年齢などに左右されることなく実力次第で高い年収を期待できます。
ただし、日本とは雇用に対する考え方や習慣が異なる点や、レイオフ(業績の悪化などを理由とした一時的な解雇)などのリスクがある点を考慮しなければなりません。
スタートアップ企業
スタートアップ企業は、創業初期は給与が低いことが多いですが、事業がうまく軌道に乗った後であれば高い年収を期待できます。また、株式オプションなど給与とは別の形で報酬を得るチャンスもあります。
ただし、スタートアップ企業は事業が成功するまでは経営が安定しないことが多く、最悪の場合には倒産する可能性もあるため、安定性の面では相応のリスクを覚悟する必要があるでしょう。
需要の高い職種へキャリアチェンジする
プログラマーという職種だけにこだわらないのであれば、より需要が高い職種や、高収入を得られる職種にキャリアチェンジするという手段もあります。
近年ではデータサイエンティストやセキュリティエンジニア、AIエンジニアなどは需要が高く、比較的平均収入が高い職種となっています。
これらの職種の業務にはプログラミングの技術が不可欠なため、プログラマーとして培った知識やスキルを十分に活かすことができます。
IT分野で特に平均収入が高いのは、プロジェクトマネージャーやプリセールス、ITコンサルタントなどです。
これらの職種では、技術に関する知識やスキルに加えて、マネジメントのスキルや市場動向を分析する力、プレゼンテーション能力、高いコミュニケーション能力などが必要です。
プログラマーからこれらの職種を目指したい人は、まずは着実に技術力を磨きながら、システム開発の上流工程を経験するなどして段階的に必要な知識やスキルを身につけていくとよいでしょう。
まとめ
この記事では、プログラマーの年収事情や、どのようにしたら年収アップを目指せるのかなどについて解説しました。
プログラマーは十分な高収入を期待できる職種ですが、そのためには自己研さんを怠らずに、スキルと経験を着実に積み上げていくことが重要です。また、最新の技術トレンドや、求人市場の動向にも注目しておくとよいでしょう。
もしプログラマーとしての年収やキャリアプランについて悩みや疑問点がある場合には、プロのキャリアアドバイザーにも相談してみましょう。
dodaエージェントサービスでも、プログラマーの求人に関する情報提供や、キャリアプランの形成、具体的な転職活動をお手伝いいたします。お気軽にご相談ください。
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国家資格キャリアコンサルタント
教育関連の企業に新卒で入社し、約5年間勤務する。その後、パーソルキャリア株式会社に入社。IT領域のアドバイザーとして約5年間従事し、その後キャリアアドバイザーを育成する部署で2年弱マネジャーとして勤務。その後、自身の希望により再びIT領域のキャリアアドバイザーとしてエンジニアの方々をメインに転職支援している。
技術評論社 デジタルコンテンツ編集チーム
理工書やコンピュータ関連書籍を中心に刊行している技術評論社のデジタルコンテンツ編集チームでは、同社のWebメディア「gihyo.jp」をはじめ、クライアント企業のコンテンツ制作などを幅広く手掛ける。
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