ITエンジニアの
転職Q&A
SEが異業種転職を考える際に押さえておくべきポイントは?20代、30代、40代での違いは?
現在、SIerでSE(システムエンジニア)として勤務していますが、今の仕事が合っていないと感じることが多く、このまま続けることに不安があります。異業種への転職を考えていますが、注意すべき点などがあれば教えてください。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)キャリアアドバイザーのA.をまとめると
遠藤 勇太(えんどう・ゆうた)
前職でフリーランスエンジニアの転職支援をしていましたので、ネット系の企業を得意としています。これまでお会いしたお客さまが、「この技術が伸ばせる企業に行きたい」という希望を強くお持ちの方が多かったため、各社のシステム環境や技術的な強みを把握しています。 また、現在は20代前半の方から40代の方まで、幅広く担当させていただいています。これまでの経験を活かし、個人の方の多様な価値観に応えながら、企業側の目線を踏まえた転職成功へのアドバイスをさせていただきます。
なぜ異業種に転職したいと思っているのかを改めて整理してみましょう
異業種への転職を考えているとのことですが、本当に「異業種への転職」を目指すのがベストなのか、一度立ち止まってみましょう。仕事が合っていないと感じることが多いとのことですが、具体的にどんなところが合わないと感じていますか?
例えば、労働時間が長いことが合わないと感じて転職を考えたのであれば、同じSIerやSEでも会社をかえるだけで状況が改善する場合があります。
転職における業種・職種の考え方
言葉の定義にもよりますが、転職活動を考える上では「業種(業界)」と「職種」とを区別して考えると、よりマッチした求人と出会いやすくなるでしょう。ここからは「業種(業界)」と「職種」の定義や転職におけるとらえ方について解説します。
「業種(業界)」とは、製造業やサービス業などのような事業の種類のことを指します。総務省が定義する日本標準産業分類では、以下の20項目に分けられています。
日本標準産業分類における大分類
- 農業、林業
- 漁業
- 鉱業、採石業、砂利採取業
- 建設業
- 製造業
- 電気・ガス・熱供給・水道業
- 情報通信業
- 運輸業、郵便業
- 卸売業、小売業
- 金融業、保険業
- 不動産業、物品賃貸業
- 学術研究、専門・技術サービス業
- 宿泊業、飲食サービス業
- 生活関連サービス業、娯楽業
- 教育、学習支援業
- 医療、福祉
- 複合サービス事業
- サービス業(他に分類されないもの)
- 公務(他に分類されるものを除く)
- 分類不能の産業
※2013年10月改定
また、dodaでは求人の業種を以下の22項目に分類しています。
doda内の求人における業種分類
- IT・通信
- インターネット・広告・メディア
- メーカー(機械・電気)
- メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他)
- 商社
- 医薬品・医療機器・ライフサイエンス・医療系サービス
- 金融
- 建設・プラント・不動産
- コンサルティング・専門事務所・監査法人・税理士法人・リサーチ
- 人材サービス・アウトソーシング・コールセンター
- 小売
- 運輸・物流
- 外食
- エネルギー(電力・ガス・石油・新エネルギー)
- 旅行・宿泊・レジャー
- 警備・清掃
- 理容・美容・エステ
- 教育
- 農林水産・鉱業
- 公社・官公庁・学校・研究施設
- 冠婚葬祭
- その他
一方、「職種」とは、営業や事務、エンジニアなどのような仕事の種類のことを指します。厚生労働省編職業分類では、以下の15項目に定義されています。
厚生労働省編職業分類における大分類
- 管理的職業
- 研究・技術の職業
- 法務・経営・文化芸術等の専門的職業
- 医療・看護・保健の職業
- 保育・教育の職業
- 事務的職業
- 販売・営業の職業
- 福祉・介護の職業
- サービスの職業
- 警備・保安の職業
- 農林漁業の職業
- 製造・修理・塗装・製図等の職業
- 配送・輸送・機械運転の職業
- 建設・土木・電気工事の職業
- 運搬・清掃・包装・選別等の職業
※2022年4月改定
また、dodaでは求人の職種を以下の15項目に分類しています。
doda内の求人における求人の職種分類
- 営業職
- 企画・管理
- 事務・アシスタント
- 技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)
- 技術職(組み込みソフトウェア)
- 技術職(機械・電気)
- 技術職・専門職(建設・建築・不動産・プラント・工場)
- 技術職(化学・素材・化粧品・トイレタリー)
- 技術職(食品・香料・飼料)
- 医療系専門職
- 金融系専門職
- 専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人)
- 販売・サービス職
- クリエイター・クリエイティブ職
- 公務員・教員・農林水産関連職
ご自身がどんな仕事をしているのか伝えるときには、「製造業のエンジニア」や「小売業の事務」などのように、業種と職種を組み合わせて表現することになります。
転職活動では、業種と職種が自身の経験とどのくらいマッチしているかによって選考の通過率が変わってきます。例えば、今と同業種・同職種で転職先を探す場合は、異業種・同職種で探す場合や、同業種・異職種で探す場合よりも選考の通過率は高くなります。業種も職種も今の仕事と異なるものを選ぶ場合は、最も選考通過が難しくなります。
また、年収などの条件面も、業種や職種が今と同じであれば、現状維持もしくは今よりも良い条件で転職できる可能性がありますが、未経験の業種や職種にチャレンジする場合は今よりも下がってしまう可能性が高くなります。
業種と職種を分けて整理し、「何を変えれば転職によって状況を改善できるのか?」を考えることで、ベストな転職先を選ぶことができるでしょう。
年齢によっては転職で求められるポイントが変わることも
転職においては、業種や職種の選択も重要ですが、年齢によって企業が求職者に期待することが変わる場合があります。20代、30代、40代の各年代における企業のニーズの違いや転職に対する心構えについて見てみましょう。
20代のポイント
20代に対しては、ポテンシャルを期待して採用する企業が少なくありません。異業種へ転職する場合は、業種に対する理解度よりも、開発経験がどれだけあるか、どの工程を担当できるかなどのエンジニアとしての基礎力が重要視されます。自分の言葉でこれまでの実績をアピールできるように準備をしましょう。
30代のポイント
30代前半では、業種経験はそれほど重要ではありませんが、30代半ばになると業務に直結する専門的なスキルや経験が求められるようになります。例えば物流会社から小売業への異業種間の転職する場合などは、在庫管理システムなど似通ったシステム開発経験があれば、転職成功の可能性が高まるでしょう。
40代のポイント
40代以上の転職ではメンバーではなく、マネジメントポジションを期待するものが多いため、業種・職種ともに経験者が求められます。20代、30代のころより未経験者に対するハードルが大幅に上がるため、今回の転職で実現したいことは同業種・同職種では実現不可能なのか、選考通過率や年収面でのハンディを抱えても大丈夫なのか、をよく考えておく必要があります。
その上で、異業種転職を目指すのであれば、違う業界でもこれまでの経験やノウハウを活かして組織に貢献できる求人を探すとよいでしょう。例えば開発ではなく管理がメインのプロジェクトマネジメントなどの役割であれば、開発言語の経験が違ってもチャレンジできる可能性が高くなります。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)SEが転職するときの選択肢
では実際に転職先を選ぶ際に、どのようなパターンがあるのかを見ていきましょう。
ここからは業種をかえる場合だけでなく、職種や会社をかえる場合についてもそれぞれ解説していきます。どれか1つがあてはまる場合もあれば、複数あてはまる場合もあります。ご自身の転職理由や、先述の企業のニーズを参考にしながら、何をかえるのがベストなのかを考えてみましょう。
業種をかえる場合
転職を考えた理由が今の業種で働く限り改善されないものであった場合、別の業種を選択することになります。例えば、SIerで働くエンジニアが「自社で製品やサービスを開発している企業で開発したい」という理由で転職を考えている場合は、Web業界などに業種をかえることになるでしょう。
職種をかえる場合
転職を考えた理由が、今の職種に紐づくものであった場合、別の職種を選ぶことになります。例えば、「プログラミングが好きではない」「もっと顧客と話す仕事がしたい」という理由であれば、ITのテクニカルサポートのような職種が選択肢に入ってくるでしょう。
また、「もっと上流工程の仕事をしたい」「プロジェクトのマネジメントに携わりたい」などの理由で転職を希望する場合は、社内SEなどに職種をかえるとよいでしょう。
こうした場合、社内異動等で希望がかなうこともありますが、そもそも勤務先企業に想定する職種がないというようなケースであれば転職を考えるのが現実的な手段になります。
会社をかえる場合
労働条件や評価制度など、会社に起因する問題が転職理由にかかわってくる場合は、転職で業種や職種をかえずともよいケースもあります。
例えば、「全社的に残業時間が多く、働き続けるのが厳しい」「給与水準が低く、上がっていく見込みがない」などが理由の場合は、同じ業種や職種だとしても会社をかえることで改善されることがあります。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)SEから異業種への転職を成功させるために必要なこと
異業種への転職を考える場合は、同業種へ転職する場合と比べ、経験や知見を活かせる機会が少なくなる可能性が高いため、企業のニーズと合致するご自身のスキルが何かを把握しておく必要があります。
また、なぜ異業種に転職したいのか、明確な理由も必要となるでしょう。採用担当者の立場からすれば、なぜ経験が活かせる同業種ではなく異業種を選ぶのか、疑問に思うところです。何のために業界をかえて転職したいのか、理由を明確に説明することが採用側の納得感につながります。
自身の経験やスキルを整理する
転職先企業にどう貢献できるか自分自身で把握するためにも、ご自身の経験やスキルを棚卸しして可視化しましょう。整理してみると、ほかの業種の仕事でも活かせる経験やスキルが明確になると思います。
プロジェクトを統括した経験や、チームリーダーとしてメンバー育成やマネジメントを経験していれば、業種を問わず活かすことができます。技術職であるエンジニアの転職であってもテクニカルスキル以外の経験も転職の武器になるので、具体的にどういう役割でどんな成果を上げたか整理しておきましょう。
自分が将来どうありたいかを明確にする
自分自身の将来のキャリアプランやライフプランを明確にすると、なぜ転職して異業種を目指すのかがクリアになります。システムエンジニアとして基幹システムの開発にかかわってきたが、最先端技術を活用したサービス開発で社会課題を解決したい、などの理由があれば、採用担当者にも納得してもらえるかもしれません。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)SEが異業種転職する際の面接のポイント
では実際に異業種への転職活動を進める場合、面接ではどのようなことに気をつければよいのでしょうか? ここからは面接のポイントについて解説します。
事業内容への興味・関心をしっかりと伝える
異業種転職では業界をかえることになるため、なぜその業界・企業に興味を持ったのかをしっかりとアピールする必要があります。エンジニアとして転職をする場合、自身のスキルアップとして新しい技術に携われることや、経験のない開発手法にチャレンジできることなども魅力に感じるポイントでしょう。もちろんそういった点についての意気込みも伝えられるのは良いことです。
しかし、例えば自社でWebサービスを展開している企業の場合、サービス内容自体に思いをもって働いている人も多いため、技術的な話ばかりになってしまうとミスマッチと思われる可能性があります。サービスのどういった点に関心があるのか、今後サービスに対してどんな貢献をしていきたいのか、などを話せるように準備をしておきましょう。
業界知識のキャッチアップへの意欲を伝える
異業種への転職の場合、まだその業界の知識を十分に持っていない場合も多いでしょう。そういった場合は、今どんな勉強をしているのか、どのように知識を身につけていくのかを伝えることが大切です。
例えば、SIerの開発エンジニアが金融業界の社内SEの選考を受ける場合、金融業界の開発案件を多く経験していれば一定の業界知識を持っていますが、そうでない場合はこれからキャッチアップしていく必要があります。ビジネスモデルや業界特有のシステム等、これから何をどのように身につけていきたいのかを整理し、意欲を伝えられるようにしましょう。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)転職エージェントを利用してみましょう
ここまで、異業種への転職を考える際のポイントや転職先の例について解説してきました。実際にご自身の転職を考える上で、どんな業種が自分に合っているのか、技術や経験が通用するのか迷ったら、転職エージェントサービスを利用するのも一案です。
dodaのエージェントサービスでもITエンジニア専任のキャリアアドバイザーがあなたのスキルや志向性に合った業界や求人をご紹介します。Web系企業への転職に興味がある、社内SEを目指したいといった興味・関心の段階でもお気軽にご相談ください。
エンジニアとしての市場価値を知るために
年収査定を受ける(無料)関連コンテンツ
- 転職活動を始める前に、自分の市場価値を診断!
- 年収査定を受ける(無料)
- 次こそは長く勤めたいと思ったらIT専任のキャリアアドバイザーに相談してみよう
- エージェントサービスに申し込む(無料)
- キャリアプランに合う求人を探してみよう
- ITエンジニア求人を探す