転職・求人DODAエンジニア IT/トップ > 転職情報・成功ガイド > ギークアカデミー > 必要なのはフラットでアジャイルなチーム、そして勇気 日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業本部 Analytics事業部 第四テクニカル・セールス IoT Technical Lead 鈴木徹 氏

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掲載日:2015.10.19
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必要なのはフラットでアジャイルなチーム、そして勇気

PROFILE 日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業本部 Analytics事業部 第四テクニカル・セールス IoT Technical Lead 鈴木徹(すずき とおる)

1980年代後半に日本IBMに入社。メインフレームOSのMVS、Java仮想マシン、ミドルウェアWebSphereなどの開発やサポートに従事し、経験を積む。現在、IoT向け軽量プロトコルのMQTTをハンドリングするMessageSightなどを手がけるIoT分野の技術営業として活躍中。趣味は野菜作り。

IoTの技術的な課題をどう解決するか。そしてアイデアをどのようなチームで形にするのか。古い考え方はもう通用しない。アイデアを素早く形にしてビジネスに結びつけるには、フラットでアジャイルな水平分業のチームが必要となる──これが鈴木氏の意見である。

IoTの技術的な課題を、軽量プロトコル、NoSQL DB、統計解析ツールなどで解決する

──IoTで最終的に欲しいものは、データそのものではなくデータから得られた知見だということをお聞きしました。とはいっても、データの発生から解析までの間にITで解決すべき課題がたくさんあるのではないでしょうか。
まずデータの発生源となるデバイスの話ですが、センサーは千差万別です。これ、講演などでは必ず「滑る」ところなんですが(笑)。センサーは進化し続けています。今は2万5000円するセンサーデバイスが、例えば数年後に250円になるかもしれない。
安価なセンサーが大量に存在して、どんどんデータを送り込んでくる──そんな世界を想定したテクノロジーがMQTTです。これは、IBMで作ったプロトコルを公開したもので、クライアントソフトもオープンソースで配布されています。このMQTTは、製造業の分野だけでなく、Facebook Messengerや対戦型オンラインゲームのような分野でも利用実績を持っています。
従来からのWebのプロトコルであるHTTPは、多数のセンサーが少量のデータを高頻度で送ってくるIoTには向いていません。HTTPはリクエスト・レスポンスのプロトコルなのでサーバーからクライアントへタイムリーに情報を伝達するためにはクライアントから頻繁にポーリングする必要があります。しかも毎回セッションを張り直さないといけない。HTTPのヘッダーサイズは平均850バイトと言われていますが、例えばセンサーからの20バイトのデータを送るのにも毎回この850バイトものヘッダーが必要になる。無駄が多いのです。
これに対してMQTTのヘッダーサイズはわずか2バイトです。しかもコネクションは最適化された状態で張りっぱなしなので、低コストでリアルタイムに一方向のみのプッシュ通信が可能です。送り手(パブリッシャー)と受け手(サブスクライバー)は、トピック(宛て先)を通じて疎結合されるので、バックエンド(サーバー)と端末側クライアントは相互に依存しないアプリケーションの設計や運用が可能になります。その結果、HTTPのような同期型のプロトコルと違って相手からのレスポンスを待たずに処理を進めることができます。
──同期型ではなく、また疎結合で接続されるということは、HTTPとは違って中間経路には何らかの仕組みが必要になるのですね。
そこは私たちがソリューションとして提供している部分です。MQTTでは送信者と受信者を結ぶブローカーが必要です。そこでIBMはMessageSightという仮想アプライアンス(専用オペレーティングシステムと専用ソフトウェアの組み合わせ)を提供しています。具体的には、私たちのSoftLayerクラウドの上に、MessageSight仮想アプライアンスをホスティングすることが可能です。これはミドルウェアのようにOS上に導入するのではなく、ベアメタル(ハードウェア・サーバー)の上にファームウェアレベルで載せる仕組みです。OS上で稼働するミドルウェアではないので、外部からのハッキングに対しても高いセキュリティを実現できます。

IoTのアイデアをビジネスにするには社内ハッカソンがおすすめ

──そのほか、どのような技術に注目していますか。
IoTでは動画など非定型のデータをより効率よく格納したいので、データの一時保管先としてはNoSQLデータベースが良い選択となります。私たちも、NoSQLデータベースとしてCloudant(クラウダント)を提供しています。データ解析では、業界で定番として評価の高い統計解析ソフトウェアのSPSSモデラーを含むPMQやPCIといったソフトウェアを提供しています。データ解析(アナリティクス)の世界は、1人の天才的なデータ科学者のみが全社のデータ解析をするアプローチよりも、30人のビジネス現場の社員がSPSSモデラーのようなツールを手軽に使えるようにする方がビジネス価値の創出にはより効果的と考えられています。
──IoTで重要となるアイデアを形にする上では、開発環境が必要です。どのような開発環境があるのでしょうか。
大きく3つの段階があると考えています。開発環境やツールの前に、まずアイデアを形にするやり方が大事です。
1番目の段階は、プロトタイピングです。私たちは、お客さまの会社といっしょにハッカソンを開催して、アイデアを形にして検証する試みをしています。事業の現場にいる人のひらめきを、その場で形にできるのです。この段階では、ITの専門家よりもビジネスの現場の人のアイデアが重要です。最近は公開のハッカソンも盛んですが、私たちは社内限定のハッカソンをお勧めしています。社外に出せない機密情報を活用できたほうが、事業に結びつくアイデアが出やすいからです。
ここで道具として提供しているのは、Node-REDです。Node.js上に作られたビジュアル開発環境で、IoTアプリケーションのプロトタイプを非常に手軽に、迅速に作ることができます。
2番目の段階は、各種プログラミング言語を使って、サーバー側で動くサービスを実装してみることです。この段階では、ITの専門家は性能や運用などについてあまりうるさく口出しをせず、アイデアが実際にビジネス価値を生み出せるのか、機能要件を実現してみることに注力します。私たちが提供している道具としては、Bluemix(各種ソフトウェア・サービスやプログラミング言語でアプリケーションを構築できるPaaS)があります。
3番目の段階では、性能など非機能要件や、運用要件を満たす本格的な実装を行います。ここでITの専門家が活躍することになります。例えば、時間の経過に伴って高頻度で流れ込み続ける大量のIoTデータをどのように格納するか、クラウドとオンプレミスのハイブリッドなデータ保管の仕組みなどはこの段階に到達してから考えればいいのです。
──アイデアを形にする過程では、ITの専門家だけでなく、ビジネスの現場の人が積極的に参加する必要があるということですね。
情報システム部だけのIoTで終わってしまっては意味がありません。ビジネスを担当する人とITの人が一緒になって、アイデアを出して実装するサイクルをぐるぐると回すことで「化学反応」が起こり、良い成果に結びつきます。
フェイルファスト(建設的な失敗をどんどん積み重ねて、新しい技術による最適なビジネス価値創出方法を見いだす進め方)のアプローチが有効になります。これはIT部門に限られた話ではなく、企業における評価の仕組みや投資対効果の測定指標など、経営層の方々にとってもぜひ一考いただきたいポイントです。

アイデアを素早く形にするには、フラットでアジャイルなチームの重要性が高まる

──そうしたアジャイルな進め方と、発注側と受注側の関係にある従来型のシステム構築のビジネスとは相性が悪いのではないですか?
IoTのアイデアを形にするには、従来のIT業界でよくあった垂直統合の組織ではなく、水平分業が必要です。デジタルな市場では世界はフラットなのですから。ビジネスのアイデアを持っている人、実装手段を持っている人、いろいろな立場の人が、神経細胞のように3Dメッシュ構造の対等な関係でチームを組んで物事を進めていく考え方が大事です。従来型のウォーターフォールモデルで開発されるモノリシックなシステムの役割は今後ますます最適化・簡素化されていき、それに比べてよりクイックに市場の動向やニーズに反応できる「マイクロサービス」によるアプリ開発やサービス提供が企業におけるITを武器にしたビジネス展開の鍵を握っていくと考えられます。
日本IBM 鈴木徹氏提供
──対等な関係とは競争が激しい環境でもあると思います。事業機会を他社に持って行かれるリスクを承知の上で、水平分業を進めるのでしょうか?
デジタル市場のフラットな世界では、他社との競争は激しくなります。アイデアを実装する上で、事業会社が私たち以外の会社と手を組む場合も出てくるでしょう。今はそういう世界なのですから、そこは仕方ありません。
──IBMといえば伝統的なシステム開発手法を確立した会社だと思っていましたが、今やフラットでアジャイルな組織と開発手法が重要になってきたのですね。
ITはあくまで道具ですから、目的に合った使い方をすることが大事です。そして、アジャイルなやり方を進めるにはリスクを取る勇気が必要です。

【前編】IoTに必要なのは「モノ」じゃない! 大事なのはビジネスと結びつくアイデアだ

ココが今回のギークの学びどころ

  • IoTはアイデアが重要。先入観を取り払えば、既存の事業をITで変革できる余地が大きく広がっているのが見えてくる。
  • IoTの技術要素として、軽量プロトコルMQTTのハブとなるMessageSight、プロトタイピングに向くビジュアル開発環境Node-REDなどの道具が揃いつつある。
  • アイデアを形にするには、上下関係ではなく水平分業のチームを作って動く。
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