修士向けMSL求人、未経験者も今が狙い目!
こんにちは。dodaキャリアアドバイザーの砥上 貴恵(とがみ きえ)です。
3年ほど前から、製薬企業が取り入れ始めたMSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)職。KOL(キー・オピニオン・リーダー)に対する高度な専門知識に基づいた医薬品の情報提供が主な業務ですが、ここ最近、特に外資系の大手製薬企業を中心に、複数名のMSLを採用する動きが出てきています。これは、製薬業界の「育薬」に対するニーズが高まっていることが背景にあります。「育薬」とは、既に市場に出ている医薬品の適応拡大をすること。まったく新しい化合物を見つけ出し、それを新薬にすることはなかなか難しくなっている今、製薬企業は、既存の薬剤の適応拡大によって、市場を広げようとしているのです。
そのための重要な役割を担うのがMSL。医師や医療現場の関係者だけでなく、一般の患者もインターネットなどで医薬品情報を入手できるようになっており、医薬品の安全性に対する関心が高まっている中、適応拡大するためには、KOLにエビデンスに基づいたデータを、専門的な解釈や説明とともに示す必要が出てきているのです。
MSLの中途採用においては、生物・薬学系の修士卒であることと、TOEIC(R)テスト700点以上程度の英語力が特に求められます。KOLと化合物レベルの専門的な話をしなければならないため、生物・薬学系の修士課程での開発経験やアカデミックな知識は必須。また、実務においては、海外の文献から情報収集できるレベルでの英語力とプレゼンテーション能力、社外だけではなく社内の各部署との調整や協業ができる折衝力やマルチタスク能力が求められます。
一方で、「MSLとしての職務経験は不問」という求人も多い現状です。つい最近も、CRO(Contract Sales Organization:医薬品営業業務の受託機関)のCRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)経験がある30代前半の男性が、MSLとして外資系の大手製薬企業に転職。製薬会社での経験も、MSLとしての経験もありませんでしたが、生物学系修士というバックボーンと、TOEIC(R)テストが700点台で、業務上のコミュニケーションに問題ないことが内定につながりました。
必須条件となる「生物・薬学系の修士卒」「英語力」をクリアしている方であれば、コミュニケーションスキルや社内外の関係者との調整力などを軸に、これからの可能性を評価して採用されることがあります。ただし、この未経験者採用は、今後も続くとは限りません。MSLの採用が活発になり始めている今がチャンス。興味のある方は、この機を逃さず、私たちキャリアコンサルトにご相談ください。
砥上 貴恵