第1回 躍進するCRO業界 CRAのキャリアチャンスを大解剖
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CRA求人のうちCRO関連が約6割
製薬会社における臨床開発の役割がCROに移行
dodaエージェントサービスの採用企業数(2012年1月〜11月)を見ると、CRA採用企業のうち、CRO(SMO:治験実施施設の管理機関、CSO:医薬品販売業務の受託機関を含む)の割合は全体の約6割を占めています。また、求人数で見ても常に高水準を維持しています。これは、製薬会社による臨床開発業務のアウトソーシングが進んでいるためで、この結果製薬会社の臨床開発部門は縮小し、これまで製薬会社での役割が大きかったCRAの活躍の場がCROに拡大しています。
外資系CROの動向
国際共同治験への参加が拡大
製薬会社のCRAと同じ立場で治験に関わるチャンスも
外資系CROは、グローバルネットワークを活用した国際共同治験のプロジェクト比率を上昇させています。最近は、大手外資系製薬会社とグローバル提携を結び、CRO一社で臨床開発業務のすべてを独占的に受託するケースも出てきています。その結果、もともと製薬会社が手掛けていた治験計画書(プロトコール)策定やプロジェクト全体の管理などもCROが担うようになり、製薬会社のCRAと相違ない業務に関わる機会が増えています。また、日常的な海外スタッフとの連携も多いため、英語力を活かすチャンスもあります。
日系大手CROの動向
事業内容の拡大によりキャリアの可能性も広がる
研修制度の充実や就業環境の整備にも注力
国際共同治験に力を入れているという点は外資系CROと同様ですが、注目したいのは事業内容の変化です。国内製薬会社がパイプラインの確保に苦戦する中、幅広い開発体制を構築している日系大手CROが増えています。製薬会社の臨床開発に加え、医師主導型治験の受託、創薬研究や工業化研究、医薬品製造に乗り出すCROもあります。事業内容が拡大することによって、データマネジメントやクオリティコントロール、統計解析といった臨床開発関連職種に加え、薬事申請や研究部門などCRAのキャリアも多様化していくでしょう。また、日系大手CROは人材育成に特に力を入れており、未経験者向けの研修はもちろん、継続的にスキルアップをかなえる研修プログラムを豊富に取りそろえています。福利厚生や業務のフォローアップ体制も充実しているので、働きやすい環境が整備されていると言えます。
中小専門特化型CROの動向
特定の領域・製品分野への特化や就業環境の改善など
志向に合わせた働き方の選択が可能
CRO業界の市場拡大によって、ここ10年ほどの間に、多くのCROが設立されました。中小のCROは、オンコロジー(がんをはじめとする腫瘍領域)などの専門領域や特定保健用食品、画像診断や医師主導型治験に特化するなど、独自性を発揮しています。また、製薬会社や大手CROでのCRA経験者が、理想とするCROの実現を目指して独立するケースも目立っています。品質向上を目的に1人のCRAが1つのプロジェクトに集中して取り組む“専任制”を導入する企業や、特定領域のKOL(Key Opinion Leader)を招いて学術研修を充実させ、社内資格を策定する企業、時短勤務や在宅勤務を活用して子育て中のCRAを積極的に支援する企業もあります。「専門性を追求したい」「治験計画書の策定から開発に関わりたい」「ライフプランに沿った働き方を選択したい」などという個人の要望に対して、中小だからこその柔軟性を持って、転職者を迎えるCROも多くあります。
CROへの転職事例
事例1
Aさん(男性、30代後半)
社内業務の分業化・細分化により、特定の業務にしか携われず、経験の幅を広げられないことに加え、組織の構成上、昇進チャンスが乏しいことに閉塞感を感じて転職を決意。CRAとしてのキャリア価値を高めるために、国際共同治験に関われる環境を希望。国際共同治験プロジェクトが多い外資系CROのリーダーポジションにて内定を得る。その結果、待遇面でも大幅な年収アップを実現した。
事例2
Bさん(女性、20代後半)
中堅CROにて複数のプロジェクトを経験し、プロジェクトリーダーも務めたが、オンコロジー領域のプロジェクトに関わりたいと転職を希望。これまでの経験が評価され、日系大手CROのオンコロジープロジェクトのサブリーダーポジションにて内定を得る。プロジェクト数も多いことから、将来的なキャリアの可能性も魅力と考え入社した。
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