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CRO トップ3社インタビュー dodaメディカルのキャリアアドバイザーが聞く CRAのキャリアの未来

イーピーエス株式会社

イーピーエス株式会社 代表取締役 代表執行役員社長

田中 尚

薬学博士
エーザイ株式会社にて研究所、開発、海外駐在などを経験。臨床研究センター長、常務執行役を経て、2009年にイーピーエス株式会社に入社。社長室顧問を経て、経営企画室を新設。グループ会社を含めた事業計画を策定する。2011年からは執行役員、中国事業本部長として中国と日本を行き来しながら、中国流のビジネスを学ぶ。2013年に取締役常務執行役員、2015年より代表取締役代表執行役員社長。CRO事業本部長などを兼務しながら、新たな価値を創造してビジネスを生み出せる「ビジネスマインド」を持った人財の育成に注力している。

砥上 貴恵

お話を聞いたdodaキャリアアドバイザー

モノづくり系エンジニア領域のdodaキャリアアドバイザーを経て、メディカル業界専任となり6年の経験を持つ。メディカル業界の中でも、CRAの方を中心に転職をサポート。

20代前半から60代まで幅広い年齢層の方、また医療機関や研究機関から製薬・医療機器メーカーへの転職のサポートなど、臨床開発職において数多くの実績を持つ。企業からも、CRA専任のキャリアアドバイザーとして信頼を得ている。

顧客の良きパートナーとして新薬開発に携わり、その分野の専門職という自負にプラスアルファされる「ビジネスマインド」。新しい価値を創造できる「人財」の育成が、イーピーエス最大の強みです。CRAから幅広い職種へのキャリアプランをグループ内で描くことも可能。長期的な視点で、ライフプランに合わせたキャリア計画を立てることができる大手CROの秘策はどこにあるのでしょうか。

テーマ1 イーピーエスが考えるCRO業界の課題

・顧客のパートナーとしての期待に応える体制の確立・CROの専門性の強化・各CROの強みを活かした協力関係の構築

砥上:

田中さんは、CRO業界の現状の課題は何だとお考えですか?また、イーピーエスでは、今後CRO業界でどのような役割を担っていきたいとお考えですか?

田中:

今、製薬会社のみなさまからCROは「パートナーとしてどういう考えを持っているのか」を問われています。

世界的に新薬の開発競争が激化する中、資金力を留保するために製薬会社や医療機器会社は臨床開発という機能をアウトソーシングせざるを得ない状況が続いています。そのため、一つのプロジェクトやプロトコルといった単発業務のみならず、フルアウトソーシングが近年激増しており、その傾向はますます加速すると考えています。製薬会社や医療機器会社は、開発業務を低コスト、高品質で請け負えるCROとの提携を望んでおり、アライアンスやFSP(Functional Service Provider)など、特定の機能全体を委託する動きにシフトしています。このような環境変化に呼応できないCROは、厳しい状況に追い込まれることが必至です。おかげさまで当社は、多くの上記案件の受託、アライアンス契約を締結させていただいていること、また国内の製薬会社からグローバル試験のマネジメントを含めた受託数も増加していることから、私たちに対する医薬品開発のパートナーとしての期待値は上がってきていると感じています。

さらに、医薬品の開発成功率は年々低下してきており、新薬開発においては低分子から高分子、遺伝子や再生医療など多様性・専門性が高くなってきていることからも、それぞれの専門性を持つCROの役割は、今後ますます重要になってくると思います。製薬会社だけでは新薬の開発は難しく、臨床研究を進める医療機関の関わり方も変化、それに伴いCROの臨床試験における役割も、さらに多角化していくと予想しています。CROはいわば小回りが利く商社であり、私たちが製薬会社や医療機関、あるいは研究機関からのさまざまなニーズに応えていくことで、刻々と変化していく新薬開発事業に貢献できるのではないかと考えます。

また、例えば当社が疾患領域として、癌やCNS(Central Nervous System:中枢神経系)に力を入れているように、CROはそれぞれ強みがあるはずです。だからこそ、すべてを1社単独で請け負うことは難しくても、CROが互いの強みを活かしながら手を組んでいくことができれば、クライアントにとってもCROにとってもWin-Winの関係を築ける可能性が高まります。これからは横方向の連携も視野に入れたCRO全体の市場拡大と基盤拡大が、私たち業界大手企業の一つの責任であるととらえています。

単なる委託者・受託者の関係から、クライアントと極めて近い位置に並ぶことで、初めて同じ目標に向かうパートナーになりえると私たちは考えます。すなわち、CRO、およびCRAは、医療業界の一員であることに気概を持ち、一部分の役割を果たすにとどまらず、病気に対峙している患者さんを支えるため、適切なエビデンスの確立に向けて、迅速に目の前の役割を遂行することが必要だと考えています。

テーマ2 イーピーエスの強み

・医療業界の変化に対応する、ビジネス志向を持った人財を育む社風・事業本部長直轄のアライアンス・新規事業検討事業部によるビジネスリーダーの輩出

砥上:

そうした課題を踏まえて、業界を大手CROとして牽引していらっしゃるイーピーエスの強みは何でしょうか?

田中:

人材を「人財」としてとらえ、専門性強化やチームをマネジメントするための人間性を磨くことはもちろん、前述の医薬品業界の変化に柔軟に対応できるビジネスリーダーを育む仕組みや風土があることは、当社の大きな強みだと思います。

例えば、私の直轄でアライアンスや新規事業の検討、全組織にまたがるような案件をコーディネートする組織を設けています。CRAが臨床試験の企画やデザイン、モニタリング以外の周辺業務にも興味を持ち、常に市場の先をにらみ、幅広い視点で自分の業務をとらえ直すことができるビジネスリーダーを輩出することが目的です。CROにとって製薬会社は治験業務のアウトソーシングを依頼してくれるお客様です。いかにしてご要望をつかみ、応えていくか、こうした姿勢が不可欠です。それは、業務の品質だけに限りません。当然コストの削減や効率化なども含まれます。モニターやデータマネジメントなどCROの仕事は専門職には違いませんが、サービス業の側面もありますので、業務をビジネスととらえるセンス、そしてマネジメント能力などプラスアルファのスキルが今後とても重要になってくるはずです。

急速にCROへの委託業務のレンジが広がる中、専門部隊を設けたことで、症例モニタリングにとどまらず、コンサルティングや薬事戦略、計画立案など、臨床開発の上流フェーズからCRAが関わるケースも増加しています。受託する業務の幅が広がることにより、臨床開発の一部や症例モニタリングという限られた範囲での業務のみならず、企画や行政対応、データマネジメント、安全性情報管理、統計も含め、幅広い知識や経験を持つCRAの育成を強化していきたいと考えています。フルアウトソーシングの依頼も多くなった結果、チームで共同作業をする機会も増えてきています。CRAがデータマネジメントや統計、メディカルライティングなどと隣り合って仕事をしながら、ほかの業務内容を垣間見られることは、キャリアの形成にプラスになっていると思います。

また、国際共同開発が当たり前となった昨今、海外との直接的なやり取りはもちろんのこと、語学力に長けたスタッフをどれだけ提供できるかは、今後のCRO、およびCRAに課せられた至上命題とも言え、語学研修はCRAだけでなく、データマネジメントなどに携わる社員などにも注力して実施しています。顧客の良きパートナーになるべく、CRO唯一の財産である人財育成はこれからも絶えず進化させていきたいと考えています。

テーマ3 イーピーエスで描けるキャリア

・多様な事業展開をするグループ内でのステップアップが可能・アジアや欧米でのグローバルなキャリア展開・モニタリングにとどまらない能力やスキルの開発

砥上:

イーピーエスで描けるキャリアの可能性についてお聞かせください。

田中:

現在、EPSグループは6つのセグメントで事業展開しています。CRO事業、SMO事業、CSO事業、グローバル リサーチ事業、益新(中国)事業、そしてBPO事業です。当社ではグループをまたいだキャリアプランを考えることが可能です。CRAとして入社し、例えば50〜60代になった時のキャリアをどのように描いていくのか、ということを考えてほしいと常々思っています。その年代までCRAとして働き続けることを考えた場合、イーピーエスであれば転職をせずにCRAから次のステップにキャリアを展開していけるチャンスが、20職種以上と幅広くあります。

また、アジアや欧米でCRO事業を展開しているEPSインターナショナルにおいて、プロジェクトマネジャーとして活躍するチャンスもあるので、グローバルなキャリアプランも考えることができます。一方、国内最大の医療機器開発の部門があることも当社の特徴の一つです。プロトコルや開発戦略の策定、症例モニタリングの実践など、一人で何役もこなします。症例モニタリングの能力はもちろん、幅広い能力やスキルを身につけることができますし、臨床試験のあり方や臨床試験に関する知識をどんどん掘り下げていくことができるため、モニターにとってはキャリアの選択肢の一つになるはずです。

当社では、社内公募制度やジョブローテーションなどを通じ、本人が希望すればできる限り考慮し、それがかなうよう制度も整えています。今後も柔軟なマッチング機会を提供し続け、個と組織の最適な関係を実現していきたいと考えています。また、女性を重要な戦力と位置づけています。大学認定の「ホワイト企業:男女にかかわらず一人一人の社員を大切にする会社で育休や時短などの制度が整っているのが最低条件」のタイプ別ランキングにおいて、サービス業47社対象において第2位。管理職女性比率も、第2位の約32%。上記に加え、社員の子育てを支援する行動計画を策定し、定めた目標を達成した企業として、厚生労働省から「子育てサポート企業(くるみんマーク)」の認定をいただきました。

転職を希望される方は、「なぜCROに転職・就職したいのか」を十二分に考えていただくこと、そして単に専門職を活かすだけでなく将来のキャリアプランを描き会社を選んでいただくことを望みます。ビジネスセンスをさらに広げたい、マネジメント力をさらに生かしたいという方々の転職は大歓迎です。

キャリアアドバイザーの総括 AFTER THE INTERVIEW

田中さんの人柄がにじみ出るインタビューであり、熱く語られる中で絶えず笑いがあり、和やかな雰囲気で進行しました。「CRAとして」だけではなく、「いちビジネスマン」として能力向上ができるような人財を育成したい、という考えに共感できました。業界内でのCROの役割が大きく変化し、今後もクライアントからのニーズや関係性は日々変化していくことと思います。そのような中でビジネスのシーズを見出せるような人財育成をすることで業界全体を牽引する可能性が見出せる企業であると感じました。

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砥上  貴恵

精神面でのサポートも含めたご支援がモットーです

得意分野(経歴)

【臨床開発専任】
モノづくり系エンジニアの方のdodaキャリアアドバイザーを経て、メディカル業界専任に。メディカル業界の中でも、臨床開発(CRA)関連の方を中心にお会いしています。20代前半の方から60代の方まで、幅広い年齢層の方の転職サポートや、医療機関や研究機関から製薬・医療機器メーカーへの転職のご支援など、臨床開発職において数多くの実績があります。また企業からも、臨床開発専任のキャリアアドバイザーとして、直接、採用情報を得ています。

メッセージ

非常に大きなパワーを使う転職活動。転職活動に関してのノウハウや、業界・企業の情報提供はもちろん、精神面でのサポートも含めたご支援がモットーです。“その場限り”の「転職支援者」ではなく、キャリアについて悩んだ際に、いつでも、何度でもご相談いただけるような「キャリアアドバイザー」を目指しています。

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