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ゲームプログラマーになるには?仕事内容や平均年収から、必要なスキル、目指す方法を解説

ITシステムやソフトウェアの開発で、実際にプログラムを書いてさまざまな機能の実装を行うのがプログラマーです。そのプログラマーの中でも、特にコンピューターゲーム(以下、「ゲーム」と表記)の開発を専門にしているのがゲームプログラマーです。

この記事では、ゲームプログラマーの仕事に興味がある人や、これからゲームプログラマーを目指そうとしている人に向けて、具体的な仕事の内容や必要とされるスキル、将来性や仕事のやりがいなどについて紹介します。

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ゲームプログラマーとは?

ゲームプログラマーは、ゲームの内部の処理をプログラムとして実装する職業です。

ゲームの内部では、グラフィックスや音声処理、キャラクターの動作、ゲームのルールやメカニズム、スコアの計算、AIの行動パターン、ネットワーク通信など、さまざまな処理のためのプログラムが動作しています。

これらのプログラムを、プログラミング言語を駆使して作成し、プレイ可能な形に仕上げるのがゲームプログラマーの仕事です。

ゲーム開発以外も行う、プログラマー全般についてはこちらの記事で解説しています。

プログラマー(PG)とは?仕事内容や年収、資格、将来性など、未経験者向けのポイントを簡単に解説

ゲームプログラマーの種類

一言でゲームプログラマーといっても、対象とするプラットフォームの種類によって必要となる知識やスキルが少しずつ異なります。

ゲーム業界でいう「プラットフォーム」とは、主にゲームを遊ぶための環境やデバイスのことを指します。ゲームプログラマーを目指す上では、自分がどのプラットフォームのゲームを開発したいのかを考え、それに合ったスキルを身につけることが大切です。

ゲームプラットフォームにはさまざまなものがありますが、主な種類としては「オンラインゲーム」「スマホゲーム」「コンシューマーゲーム」の3つを挙げることができます。開発者の目線で見た、それぞれの特徴を説明します。

種類 概要
オンラインゲーム インターネットを介して複数のプレイヤーが同時に参加して、対戦したり協力したりするゲーム。複数プレイヤーの動きの同期、ステータスなどの数値の一元管理など、1人でプレイするゲームにはないさまざまな仕組みが必要。
スマホゲーム iPhoneやAndroidなどのスマートフォンでプレイするゲーム。小さい画面サイズ、隙間時間に遊ばれることが多いなど、スマートフォン特有の要件の中で最大限のパフォーマンスを引き出すノウハウが重要。
コンシューマーゲーム PlayStationやNintendo Switch、Xboxなどの一般家庭用ゲーム機向けに販売されるゲーム。ゲーム専用に設計されたデバイスの性能を最大限に引き出し、高品質なグラフィックやオーディオ、複雑なゲームメカニズムなどでユーザーを惹き付けるノウハウが重要。

オンラインゲーム

オンラインゲームは、インターネットを介して複数のプレイヤーが同時に参加して、対戦したり協力したりできるタイプのゲームです。

ほかのプレイヤーと同じ仮想世界で協力や対戦ができるRPGやシューティングゲーム、オンラインで対戦できるトレーディングカードゲーム、SNS上で提供されるソーシャルゲームなど、オンラインゲームの中でも多様なジャンルがあります。

オンラインゲームの開発や運用では、インターネットを利用したネットワーク通信の仕組みが必須であることに加えて、サーバーやデータベースなど、インフラストラクチャー関連の設備の規模が大きいという特徴があります。

プログラミングに関しても、多数のプレイヤーが同時に参加するので、それぞれのキャラクターの動きを同期させたり、ステータスなどの各種数値を一元管理したりするなど、1人でプレイするゲームにはない仕組みが必要になります。

最近では、PC向けのゲームだけでなく、スマートフォンや一般家庭用ゲーム機向けのオンラインゲームも多数あります。むしろ、インターネット接続を利用しないゲームのほうが珍しいくらいです。

従って、オンラインゲームのプログラマーはスマホゲームやコンシューマーゲームの開発にも参加する機会が多いといえるでしょう。

スマホゲーム

スマホゲームは、その名のとおり、iPhoneやAndroidなどのスマートフォンでプレイするゲームです。

PC向けのゲームやコンシューマーゲームに比べると、CPUやメモリ、グラフィックなどの性能が低く、画面サイズが極端に小さいという特徴があります。

また、スマホゲームのユーザーの多くは、専用のコントローラーやマウス、キーボードではなく、スマホ画面のタッチ操作でゲームを遊ぶため、ユーザーインターフェースの操作性にも工夫が必要です。

プレイスタイルにも考慮する必要があります。スマホゲームは移動中や休憩時間などといった隙間時間に遊ばれることが多いので、長時間の集中が必要な没入型の演出よりは、途中で自由に中断できたり、短時間で完結したりするような仕組みが好まれます。

外出先でプレイすることを考慮してバッテリーの消費量にも注意する必要があります。

スマホゲームを開発するには、このようなスマートフォン特有の制約や要件の中で最大限のパフォーマンスを引き出すノウハウが重要になります。

コンシューマーゲーム

コンシューマーゲームは、PlayStationやNintendo Switch、Xboxなどの一般家庭用ゲーム機向けに販売されるゲームを指します。

一般家庭用ゲーム機は、ゲーム専用に設計されたデバイスであるため、グラフィックや演算処理などで非常に高いパフォーマンスを実現できる点が大きな強みです。

コンシューマーゲームの開発には、ゲーム機本体が備えるハードウェアの性能を最大限に引き出し、高品質なグラフィックやオーディオ、複雑なゲームメカニズムなどでユーザーを惹き付けるノウハウが重要になります。

また、コンシューマーゲームは、ゲームプログラマーが担当する実装工程以外に、オンラインゲーム、スマホゲームとは異なる制約や要件があるのも特徴です。

一般的に、コンシューマーゲームの開発には、大規模な予算と多くの開発リソース、長い開発期間を必要とし、開発にかかるコストが大きくなります。そのため、販売を促進するためのプロモーション戦略も極めて重要になります。

コンシューマーゲームはゲーム開発者にとっての花形ともいえる分野ですが、その分より専門性の高いスキルや知識が必要なジャンルでもあります。

ゲームプログラマーの仕事内容

ゲームプログラマーは具体的にどのような仕事を行っているのでしょうか。

細かな仕事内容は開発するゲームによって異なりますが、ここでは一般的な開発プロジェクトにおけるゲームプログラマーの主な仕事内容を紹介します。

  • 環境整備
  • コーディング
  • テストとデバッグ
  • 不具合修正・機能改善
  • アップデート対応

環境整備

最初に、プログラムを開発するための環境を準備します。使用する開発ツールやゲームエンジン、ライブラリなどを整え、必要な設定を行います。

コードのバージョン履歴を管理するツールの設定、ネットワークやサーバーの共有フォルダへのアクセス権限の取得、チャットなどのコミュニケーションツールの設定なども行い、開発チームの一員として参加するための体制を整えます。

ただし実際の現場では、プログラマーはコーディングをはじめとする実装工程以降を担当することが多いため、開発に必要な環境はプランナーやマネジメント統括側で決定・準備されているケースも少なくありません。

いずれにしても、できるだけ早く自分が開発に使う環境に慣れることが重要です。

コーディング

プログラム、コードを書く作業のことをコーディングと呼びます。

開発環境を整えた後は、プログラマーはプランナーが作成した仕様書や設計書をもとにしてコーディングを行います。通常、ゲーム開発は複数のプログラマーがチームを組んで協力して開発を進めます。

ゲームシステムの構築やシナリオの動作の実装、効果音・サウンドの調整、グラフィックの実装、メニュー画面の実装など、機能ごとに担当を決めて作業するのが一般的です。開発のフェーズが進めば担当が変わることもあります。

ただ仕様書どおりの機能を実装するだけでなく、デザイナーやグラフィッカー、サウンドクリエイターなどとも協力して、ゲームの世界観を再現できるようにプログラムの調整も行います。

パフォーマンスの向上のために、プログラムを何度も書き直してチューニング(設定や構成の調整)するといったことも珍しくありません。

テストとデバッグ

実装したプログラムが仕様書どおりに動作するかをテストします。もし何か不具合が見つかった場合には修正し、再度テストを行います。

機能面の不具合だけでなく、処理速度が要件を満たしておらず、チューニングや改善が必要になることもあります。そうしてテストと修正を何度も繰り返して、ゲームの完成度を上げていきます。

テストプレイを行って不具合を発見する作業を「デバッグ」と呼びます。中規模以上のゲーム開発では、デバッグは「デバッガー」と呼ばれる専門のテストチームが担当するケースもあります。

不具合修正・機能改善

テストとデバッグが完了して仕様書どおりのプログラムが出来上がったとしても、それで開発が完了というわけではありません。

出来上がったゲームを実際にプレイしてみたら、操作性が悪かったり、キャラクターの動きが不自然だったりといった問題に気づくことがあります。

ゲームの世界観を表現するための演出の調整や、難易度の調整などが必要になることもあります。このような不具合の修正や機能改善を行うのも、ゲームプログラマーの仕事の一つです。

アップデート対応

ゲームをリリースした後も開発は終わりません。リリース後に不具合が発覚した場合には、すぐに修正してアップデートしなければなりません。ユーザーからの指摘や要望によって機能改善や新機能の追加などを行うこともあります。

オンラインゲームでは、リリースした後も継続的に新機能や追加コンテンツの提供を行う必要があります。イベントやキャンペーンのために一時的に使う機能を実装することもあります。

日々変化するゲーム内の状況やユーザーのニーズに合わせて、いかに素早く的確に必要な機能を実装できるかが、ゲームプログラマーの腕の見せどころです。

ゲームプログラマーに求められる3つのスキル

ゲームプログラマーとして働くために具体的にはどのようなスキルが必要になるのでしょうか。一般的に、ゲームプログラマーに求められるスキルは年代によって異なることがあります。

ポテンシャルに期待される20代であれば、プログラミングの経験さえあればゲームプログラマーになれる可能性は低くありません。

ゲーム開発特有の知識やスキルについては、実際のプロジェクトに参加して経験を積むことで実践的に身につけることができます。

30代以上になると、プログラミングスキルに加えて、ゲーム開発特有のより専門的な知識やスキルが求められるようになります。

ゲーム開発そのものの経験がなくても、ネットワークやセキュリティ、数値演算アルゴリズムやAIなどの専門的な知識があれば、ゲーム開発の現場でも活躍できる可能性は十分にあります。

なお、次のように、キャリアにかかわらずゲームプログラマーとして一般的に求められるスキルもあります。

  • 基本的なプログラミングスキル:プログラミング言語の知識やアルゴリズムとデータ構造の知識など
  • コミュニケーションスキル
  • ゲームの種類別の専門スキル:オンラインゲーム、スマホゲームなど

ここからは、それぞれのスキルについて詳しく見ていきましょう。

基本的なプログラミングスキル

当然ですが、ゲームプログラマーになるにはプログラミングのスキルは必須です。今回は、プログラミングスキルの中でも、ゲーム開発で特に必要とされる要素をいくつか取り上げてみます。

  • プログラミング言語の知識
  • アルゴリズムとデータ構造の知識
  • ゲームエンジンのスキル
  • グラフィックスプログラミングのスキル

プログラミング言語の知識

ゲーム開発で使うプログラミング言語は、開発対象のゲームタイトルやプラットフォームによって異なりますが、業界標準として広く利用されているのは「C++」と「C#」です。

C++は、C言語の文法をベースにしつつ、オブジェクト指向プログラミングをはじめとする複数の近代的なプログラミングパラダイム(プログラム作成の基本的な考え方やスタイル)を組み合わせて作られた汎用プログラミング言語です。

ゲーム開発の分野では、特にパフォーマンスが重要となるゲームエンジンやコアシステムの開発で広く使用されています。

C#は、Microsoftが開発した汎用プログラミング言語です。

C++と同様にオブジェクト指向プログラミングをはじめとする複数のプログラミングパラダイムが取り入れられていますが、プログラムの構文はJavaに似ており、C++よりも扱いやすい点が大きな特徴です。

後述するように、C#はゲームエンジンの「Unity」の開発言語として採用されていることから、ゲーム開発でも広く使われています。

上記のほかに、オンラインゲームではサーバー側の仕組みの開発にJavaやPythonといったプログラミング言語が多く使われています。

また、スマホゲームの開発では、iOS用ゲームにはSwiftやObjective-Cが、Android用ゲームにはJavaやKotlinといったプログラミング言語が使われます。

どのプログラミング言語を選定するのが適しているのかは後述の「ゲームの種類別の専門スキル」で説明します。

また、未経験からプログラミング言語を習得する場合は以下の記事も参考にしてみてください。

初心者におすすめのプログラミング言語5選!特徴や目的別の選び方について解説

アルゴリズムとデータ構造の知識

プログラムにおいて、特定の問題を効率的に解決するための処理手順や計算方法のことを「アルゴリズム」と呼びます。また、プログラムで扱うデータの格納や管理、操作に使用する方法や形式のことを「データ構造」と呼びます。

データ構造は、データの組織化と管理の効率性を向上させるだけでなく、アルゴリズムの効率的な実装にも直接影響を与え、結果としてプログラム全体の性能を大きく左右します。

例えばゲーム内のアイテムの情報を扱う場合、それをプログラムの内部ではどのような形式で保持し、どのようにして並べ替え、どのようにして条件にマッチしたアイテムの情報を探し出せばよいのでしょうか。

その実装のヒントになるのがアルゴリズムとデータ構造です。ゲームプログラマーにとって、アルゴリズムとデータ構造を適切に選択することは、リソースの使用量の最適化や、ゲームのパフォーマンスの向上につながります。

ゲームエンジンのスキル

ゲームエンジンは、ゲームの開発を容易にするために設計されたソフトウェア開発環境です。

ゲームエンジンには、ゲームのグラフィックス表示や音響処理、物理演算(ゲーム内での物体の動きや衝突のシミュレーション)、ネットワーク処理、ゲーム内で使用される画像や音声などのアセット管理といった、ゲーム制作に必要となるさまざまな機能が含まれています。

ゲームエンジンを使用することで、開発者はゲームの基本的な機能や構造の開発にかかる時間を省略し、独自のゲーム要素やロジック、独創的なストーリー、華麗なグラフィックなどの開発に集中することができます。

効率的なゲーム開発のためにはゲームエンジンは不可欠な存在です。ゲームプログラマーを目指すのであれば、これらのゲームエンジンの使い方や、それぞれのゲームエンジンがサポートしているプログラミング言語を習得する必要があります。

現在人気があるゲームエンジンとしては「Unreal Engine」と「Unity」を挙げることができます。それぞれの概要や特徴は次のとおりです。

ゲームエンジンの種類 概要 特徴
Unreal Engine ・高品質な3Dグラフィックレンダリングとビジュアルエフェクトに定評があるゲームエンジン ・「Blueprint」というビジュアルスクリプティングシステムが提供されており、プログラム、コードを書かなくてもゲーム開発が可能
・開発で主に使われるプログラミング言語はC++で、高度なゲームを作りたい場合に必要
Unity ・2Dおよび3Dのゲーム開発に広く使用されているゲームエンジン ・多様なプラットフォームをサポートしている
・豊富なアセットがそろうアセットストアが提供されている
・プログラミング言語としてC#をサポートしている
ゲームエンジンの種類
Unreal Engine
概要
・高品質な3Dグラフィックレンダリングとビジュアルエフェクトに定評があるゲームエンジン
特徴
・「Blueprint」というビジュアルスクリプティングシステムが提供されており、プログラム、コードを書かなくてもゲーム開発が可能
・開発で主に使われるプログラミング言語はC++で、高度なゲームを作りたい場合に必要
ゲームエンジンの種類
Unity
概要
・2Dおよび3Dのゲーム開発に広く使用されているゲームエンジン
特徴
・多様なプラットフォームをサポートしている
・豊富なアセットがそろうアセットストアが提供されている
・プログラミング言語としてC#をサポートしている

グラフィックスプログラミングのスキル

グラフィックスに関するプログラムの開発では、グラフィックス処理専用のライブラリを使うのが一般的です。広く使われているライブラリとしては「OpenGL」や「DirectX」、「Vulkan」といったものがあります。

ゲームプログラマーになるためには、これらのライブラリを使いこなすスキルが不可欠です。また、次に挙げるようなコンピューターグラフィックスに関する基礎的な知識も身につける必要があります。

  • レンダリング:データを処理して画像や映像を生成して表示させるプロセス
  • 座標系と座標変換:オブジェクトの位置を定義し、それらを変換する方法
  • ベクトルと行列演算:オブジェクトの位置、回転、拡大縮小などの変換や操作に使われる数学的処理
  • シェーダー:光の効果やテクスチャなどを計算して描画するためのプログラム
  • テクスチャマッピング:3Dオブジェクトの表面に画像やパターンを適用して質感を表現する技術
  • ライティングとシャドウ:オブジェクトが光をどのように反射し、影を生成するかのシミュレーション
  • 3Dメッシュとジオメトリ:3D空間内のオブジェクトの形状を定義するデータ構造

コミュニケーションスキル

プログラマーといってもただ一心にプログラムを書いていればよいというわけではありません。ゲーム制作は、ゲームプランナーやデザイナー、デバッガーなど、多くの制作スタッフと協力して仕事を進めていきます。

従って、円滑に開発を進めるためにはほかのメンバーと積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。

ここでいうコミュニケーションスキルとは、自分のアイデアや考え方、作業の進捗などを相手に説明し、相互に共有するスキルのことです。対人関係があまり得意でないという人でも、このスキルはトレーニングで向上させることが可能です。

ゲーム開発に関わるほかの職種については、以下のページで紹介しています。

ゲームクリエイター(Web・モバイル・ソーシャル)とはどんな職種?仕事内容/給料/転職事情を解説【doda職種図鑑】

ゲームの種類別の専門スキル

ゲームの分野ごとに必要となる特有のスキルもあります。

ここでは、オンラインゲーム、スマホゲーム、コンシューマーゲームの三つについて、それぞれのプログラマーとして必要なスキルを取り上げます。

オンラインゲーム

オンラインゲームのプログラマーになるためには、ゲーム開発の基本的なスキルに加えて、ネットワークプログラミングに関する幅広い知識やスキルが必要になります。

オンラインゲーム開発に特に関連する重要なスキルを以下に挙げます。

オンラインゲーム開発に関連するスキル なぜ身につけるのか
ネットワークの基礎知識 TCP/IPやUDPといったネットワークプロトコルの基礎を理解する必要があるため。また、データの送受信を確実かつ効率的に行うための仕組みについて知る必要があるため。
サーバー構成に関する知識 オンラインゲームの多くはクライアントサーバーモデルを採用しているため、このモデルを使ったデータ同期や、状態管理の仕組みを理解する必要があるため。
セキュリティの知識 PlayStationやNintendo オンラインゲームで、不正アクセスやチート行為などを防ぐ仕組みを構築するには、セキュリティ対策やTLS (Transport Layer Security)など、暗号化プロトコルを利用した通信保護技術などの知識を身につける必要があるため。
データベースの知識 PlayStationやNintendo ゲームの状態やキャラクターの情報などの保存のために、データベースサーバーの構築や運用、データの格納や取得を行うためのクエリ言語を使うスキルなどが求められるため。

スマホゲーム

スマホゲームの開発には、それぞれのスマートフォンOS向けのアプリ開発の知識や、スマートフォン特有の技術要素を身につける必要があります。

ここからは、スマホゲームの開発に必要な知識を詳しくご説明します。

スマートフォンOS向けのアプリ開発の知識

iOSとAndroidでは、次のように使用するプログラミング言語や開発ツールが異なるので注意しなければいけません。

  • iOS向けのゲーム開発ならSwift、Objective-C
  • Android向けの開発ならJava、Kotlin

iOS向けのゲーム開発で主に使用されるプログラミング言語は「Swift」または「Objective-C」です。現在の開発で主流なのはSwiftのほうなので、これから勉強するのであればSwiftを選ぶとよいでしょう。

ただ、Objective-CはiOSの初期から使用されており、開発の場面では既存のライブラリやフレームワークとの互換性の観点から重要となることもあります。開発ツールはAppleが提供している「Xcode」が広く使われています。

一方、Android向けのゲーム開発で主に使用されるプログラミング言語は「Java」または「Kotlin」です。

現在はKotlinのほうが主流となっているので、これから習得するのであればKotlinを選ぶのをおすすめします。開発ツールはGoogleが提供している「Android Studio」が広く使われています。

なお、上記のほかに、Unreal EngineやUnityなどのゲームエンジンを使って、iOSやAndroid向けのゲームを開発する方法もあります。この場合、それぞれのOS向けのゲームを一つのソースコードで開発できるという強みがあります。

また、Microsoftが提供しているアプリ開発基盤の「.NET MAUI」や、Googleが提供しているクロスプラットフォームでのアプリ開発用フレームワークの「Flutter」などでも、iOS向けとAndroid向けの両方のゲームを一度に開発できます。

スマートフォン特有の技術要素

スマホゲームのプログラマーになるには、スマートフォン特有の技術要素についても身につけなければなりません。主なものを以下に挙げます。

  • タッチ入力による操作性
  • 限られたリソースでもスムーズに実行できる最適化処理(ゲームが軽く速く動くように調整すること)
  • 小さな画面でも操作しやすいUIの設計
  • センサーや位置情報などを活用したゲームプレイ体験の実現
  • アプリストア(AppleのApp StoreやGoogle Play ストア)で公開するための知識

スマホゲームはコンシューマーゲームに比べると開発期間が短く、発売後のアップデートの頻度も高い傾向にあります。つまり開発のペースが速いということです。このペースの速さに慣れることも、スマホゲームのプログラマーにとっては重要な資質です。

コンシューマーゲーム

コンシューマーゲームでは、複雑なゲームメカニズムや、深いストーリーライン、高品質なグラフィックスとオーディオ、複雑なインタラクション(二つ以上の要素が相互に影響し合って起こす反応)などが求められます。

これを実現するために、プログラマーはそれぞれの分野に関するより高度で専門的な知識やスキルを身につける必要があります。

また、ターゲットとするゲーム機の性能についても詳しく知っておく必要があります。

コンシューマーゲームは品質や完成度に対する期待値が極めて高いので、開発に当たっては各ゲーム機のハードウェア特性をよく理解し、その潜在能力を最大限に活かして品質を追求することが極めて重要です。

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未経験からゲームプログラマーになるには?

未経験からゲームプログラマーを目指す場合にはどのようにアプローチしていけばよいのでしょうか。ここでは、ゲームプログラマーになるためにどのような準備が必要なのかを説明します。

  • 前提:ゲーム開発への思いや意欲を再確認する
  • 開発したいゲームの種類を決める
  • 必要なプログラミングスキルを習得する
  • 資格を取る
  • 自身でゲームやアプリを開発する

準備を進めながら、実際にゲームプログラマーの求人を見てイメージを膨らませてみるのも良いでしょう。

ゲームプログラマ の転職・求人を見る

前提:ゲーム開発への思いや意欲を再確認する

ゲームプログラマーになるには、前提としてゲーム開発に対する強い思いや意欲があることが望まれます。実際、ゲーム開発に対する意欲については、求人票で歓迎条件として書かれていたり、面接で確認されたりすることが珍しくありません。

魅力的なゲーム体験を提供するためには、技術的な問題解決能力だけでなく、新しいアイデアを考える創造性や、妥協せずにクオリティーを追求する情熱、細かな違和感を見逃さない注意深さなどが必要です。

過去にプレイしたゲームの経験や、もっと良いゲームを作りたいという情熱が、これらの能力の成長を後押しします。

また、後述するようにゲーム開発の仕事は決して簡単なものではなく、デバッグなどの地道で集中力が必要な作業が伴うこともあります。

そのためゲームプログラマーには、さまざまな困難に直面しても前進し続ける熱意や覚悟が必要です。

開発したいゲームの種類を決める

ゲームプログラマーの種類で説明したように、対象とするゲームプラットフォームによって開発に使用するプログラミング言語や必要なスキルは少しずつ異なります。

例えば、大勢のプレイヤーが同時参加するMMORPGのようなゲームを作りたいのか、それともスマホで遊ぶパズルゲームのようなものが作りたいのかで、目指す道は大きく違ってくるわけです。

そこで、まずは自分がどんなゲームを作りたいと思っていて、それがどのような種類に属するものなのかを確認することが重要です。

必要なプログラミングスキルを習得する

方向性が決まったら、必要になるプログラミングスキルの習得に励みましょう。

プログラミングを勉強する上で注意するべき点は、書籍やWebサイトに書かれている内容をやっただけで分かったつもりになってはいけないということです。プログラミングのスキルは、実際に動作するソフトウェアを作ってみて初めて身につくものです。

プログラミング言語の基礎を勉強して文法などが理解できたら、学んだ知識を活用して実際に動作するゲームやソフトウェアの作成にチャレンジしてみましょう。

資格を取る

効率的にプログラミングスキルを身につけるには、資格の取得や検定の合格を目指すのもおすすめです。

ゲームプログラマーとして仕事をするために資格は必須のものではなく、特定の資格を取ることで転職が保証されるわけでもありません。しかし、資格試験や検定の合格を目指して体系立てた学習を行うことは、土台となる知識やスキルを身につける上で役に立ちます。

以下に、ゲームプログラマーを目指す際に有益な資格や認定をいくつか紹介します。

資格・検定 内容
基本情報技術者試験 ITを活用したサービスや製品、ソフトウェアを開発するエンジニアにとって必要な基礎知識が問われる。
応用情報技術者試験 基本情報技術者試験の上位試験に位置付けられており、より実践的な情報技術の応用能力やシステムの設計、開発、運用などに関する知識が求められる。
Unity 認定プロフェッショナル:プログラマー Unityを使ったゲームや3Dコンテンツの開発向けの認定試験。
Android技術者認定試験制度 Androidアプリの開発を行う技術者向けのスキル認定試験。
App Development with Swift SwiftとXcodeを使ったアプリ開発を行う技術者向けのスキル認定試験(ただし試験は英語版のみで、日本語版の試験実施は未定)。

基本情報技術者試験|情報処理推進機構

応用情報技術者試験|情報処理推進機構

Unity 認定プロフェッショナル:プログラマー|Unity

Android技術者認定試験制度|Authorized Certification of Engineer for Android

App Development with Swift|株式会社 オデッセイ コミュニケーションズ

自身でゲームやアプリを開発する

未経験からゲーム制作会社への転職を目指す場合、自分でゲームを作ったり、スマホアプリなどを作ってリリースしたりした経験があることがほぼ必須の条件になってきます。

小規模なものでいいので、実際に遊んだり使ったりできるゲームやアプリを完成させてみましょう。その過程で、プログラミングやゲーム開発のノウハウが身につくはずです。

完成したゲームやアプリは積極的に公開することをおすすめします。スマホアプリであれば、App StoreやGoogle Play ストアで公開すれば、多くのユーザーに使ってもらってフィードバックを得られる可能性があります。

高評価が得られれば、転職活動では大きなアピールポイントにできます。

また、未経験の場合はWebサービスの受託開発の一部として、ゲーム開発の案件も担当している企業への転職を目指すという選択肢もあります。

そのような企業の場合、ゲーム制作会社と違って採用段階ではゲーム開発の経験が問われない傾向があるため、実務経験がなくても採用されるチャンスがあります。

ゲームプログラマーの平均年収

ゲームプログラマーは専門的で高度な知識やスキルが必要とされる職種であるため、ほかの職種と比べて高い平均年収を期待できます。

参考になる資料の一つとして、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会が行ったゲーム開発者を対象とした2022年のアンケート調査結果があります。

ゲーム開発者の就業とキャリア形成 2022

このレポートでは、ゲーム開発に携わる職種のうち、プログラマーを含めたエンジニア135人の平均年収は585.8万円となっています。

年収帯の割合として大きいのは、300~399万円の14.8%(20人)、500~599万円の15.6%(21人)、900~999万円の17.0%(23人)と、全体でばらつきがあります。このようなばらつきがあることは、経験やスキルで報酬額が大きく変わってくることを表しています。

ゲーム開発に関わるエンジニアの年収帯。年収帯の割合として大きいのは、300~399万円の14.8%(20人)、500~599万円の15.6%(21人)、900~999万円の17.0%(23人)と、全体でばらつきがあります。
年収 割合
100万円未満 0.7%
100~199万円 3.0%
200~299万円 11.1%
300~399万円 14.8%
400~499万円 10.4%
500~599万円 15.6%
600~699万円 11.1%
700~799万円 8.9%
800~899万円 3.7%
900~999万円 17.0%
1,000万円以上 3.7%

ゲームプログラマーの将来性

現在、ゲーム市場は世界的に大きな成長期にあります。その要因としては次のような要素が考えられます。

  • 新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、自宅で楽しむエンターテインメントの需要が増加した
  • eスポーツ人気の上昇によってユーザー数が拡大している
  • スマートフォンやクラウドコンピューティングの普及によって、ゲームプラットフォームが拡大した
  • VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)といった新しい体験がゲーム業界に新たな可能性をもたらしている

企業にとってこのようなゲーム市場の拡大をビジネスチャンスに変えるには、開発の中心的存在であるゲームプログラマーが不可欠です。

また、ゲーム開発に関連する技術は非常に進化が速いことから、未経験のプログラマーでも新技術を身につけて参入するチャンスがあります。

ゲームプログラマーのキャリアは、高い技術を身につけて創造的な仕事をしたいと考える人にとって魅力的な選択肢といえます。この分野のキャリア機会は市場の成長と技術の進化によって裏付けられており、将来性は非常に明るいと考えてよいでしょう。

ゲームプログラマーのやりがい

ゲームプログラマーは、技術的なスキルと創造性を組み合わせた仕事であり、極めて大きなやりがいを得られます。具体的には、次のような点でやりがいを感じることができます。

好きなものに関われる

ゲームプログラマーになる人は、自分でゲームをプレイしたり、ゲームの仕組みについて考えたりすることを好む人がほとんどです。そのような人にとって、実際にゲームの開発に関わることができるということは、それだけで理想的な状況といえます。

日々好きなものに関われること自体がモチベーションとなり、仕事に対するやりがいにつながります。

ユーザーの反響が聞こえやすい

人々が自分の開発したゲームをプレイして楽しむ様子を見ることは、ゲームプログラマーにとって大きなやりがいの一つです。

一般的に、ゲームに対する評価は正直で率直です。新機能を追加したときや、イベントを開催したときなどの反応は特に顕著です。ユーザーからのポジティブな反応は、ゲームがその人に対してプラスの影響を与えた証拠であり、大きな満足感につながるでしょう。

時にはネガティブな反応を受け取ることもあります。一生懸命に作ったゲームが低評価を得るのは悲しいことですが、次のチャレンジへの意欲につなげましょう。批判の声を真摯に受け止めることは、次の開発で必ずプラスに働くはずです。

多くの技術的な挑戦がある

ゲーム開発には、パフォーマンスの最適化や、複雑なアルゴリズムの実装、高度なグラフィックス処理など、多くの技術的な課題があります。これらの課題に取り組んで解決策を見つけることは、エンジニアとしての大きな達成感をもたらします。

ゲームプログラマーの大変さ

ゲームプログラマーとしての仕事は多くのやりがいがありますが、同時に大変さや厳しい挑戦も伴っています。ここでは、ゲームプログラマーが直面する可能性のある主な困難について紹介します。

  • 残業や夜勤、土日出勤が発生する :

    ゲーム開発ではスケジュール管理が極めて重要です。リリース時期が売り上げに大きく影響するからです。そのため、リリース前の繁忙期には納期を守るために、残業や夜勤が増え、週末にも作業が必要になります。また、リリース後にも不具合の対応などで緊急的な作業が発生することがあります。特に修正や機能追加のアップデートは、ゲームをプレイするユーザーが少ない夜間や週末などのタイミングで行うことが多いため、その際にも夜勤や休日出勤が発生します。
  • 「こんなゲームを作りたい」をかなえるまで時間がかかる :

    ゲーム開発に関わる人は誰でも「こんなゲームを作りたい」という理想を持っているものです。しかしゲームプログラマーの場合、ゲーム開発のプロジェクトでは実装以降の工程を担当することになるので、企画そのものに携わる機会はあまりありません。自分が作りたいゲームを形にするためには、キャリアを積んで独自の企画を通せるだけの実力を身につけるしかありません。それには長い時間が必要であり、日々の作業に根気強く取り組む忍耐力が求められます。
  • いざやってみると「なんか違う」と感じることも :

    多くの人が、ゲーム開発には華々しいイメージを持っていることでしょう。しかし現実には、ゲーム開発の実装工程は日々のコーディングとデバッグ、不具合の修正という地道な作業の繰り返しです。そこで「イメージと違う」と感じてしまう人は少なくありません。プレイヤーとしてゲームを遊んでいるときには「自分だったらこう作るのに」と思うことが多々あるでしょう。しかし自分が作る側の立場になってみると、運営の方針や技術的な問題、予算の都合などといったさまざまな事情が絡み合ってうまくできないこともあります。このような転職前のイメージと現実のギャップを埋めるためにも、採用側も自身でゲームを作ってみた経験があるかどうかを重要視してきます。

まとめ

この記事では、ゲームプログラマーの仕事内容や必要なスキル、将来性や仕事のやりがいなどについて解説しました。

世界的に見ても、ゲーム業界は今後の成長が見込まれる業界であり、ゲームプログラマーの需要も拡大することが期待できます。

昨今のゲーム開発では、ゲーム本体に加えて、インターネットを利用するためのさまざまな要素も必要になっています。そのため、ゲーム業界以外のエンジニア職からでも十分にゲームプログラマーを目指すことが可能です。

実際にゲームプログラマーとしてどのような求人があるのか知りたい方や、ゲームプログラマーになるための具体的なキャリアプランについて知りたい方は、dodaエージェントサービスにご相談ください。

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この記事の監修者

技術評論社 デジタルコンテンツ編集チーム

理工書やコンピュータ関連書籍を中心に刊行している技術評論社のデジタルコンテンツ編集チームでは、同社のWebメディア「gihyo.jp」をはじめ、クライアント企業のコンテンツ制作などを幅広く手掛ける。

dodaキャリアアドバイザー・富田 理久(とみた・りく)

ITパスポート

2021年にパーソルキャリア株式会社に新卒入社。キャリアアドバイザーとして主に転職を考えているIT系職種の方々の転職活動などをのサポートを行う。SIer、コンサルティングファーム、社内SEなどを中心に、累計100人以上の転職成功を支援した実績がある。法人営業と共に求人企業との打ち合わせに同席し、人事部門だけでなくエンジニア部門の方々とも会話する機会も多いため、各社のシステム環境や技術的な強みも把握している。

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