社内SEの面接での基本的な流れと想定される質問
まずは面接の回数や流れ、想定される質問など、面接対策の基本事項を把握しましょう。
面接の流れ
一般的な中途採用の傾向と同様に、社内SEでも書類選考通過後は2回~3回程度の面接が実施されることが多く、dodaが実施した調査では、社内SEの面接回数の割合は「1回 : 1%」「2回 : 58%」「3回 : 37%」「4回 : 4%」となっています。
一次、二次面接は現場のマネージャーや人事担当、最終面接は役職者が行うなど、選考が進むにつれ面接官のポジションも上がっていく傾向にあります。
一部の求人では選考の前にカジュアル面談が可能なものも存在
エンジニア採用に力を入れている一部の企業ではカジュアル面談を実施していることがあり、社内SEの求人でもカジュアル面談が可能なものがあります。カジュアル面談はエンジニアが実際の求人へ応募する前に、その企業や求人に対して気になる点、興味がある点などを質問できる機会です。
売り手市場といわれるエンジニア転職市場において、「なんとなくこの求人に興味はあるが、会社のことはよく分からない」といったエンジニアに対して、自社の求人への志望度を上げてもらうために企業が行っている取り組みであり、基本的に選考における採用面接とは別物として扱われます。カジュアル面談で企業や求人への知識・理解を深めてから求人に応募することで、志望理由をはじめとした面接での受け答えでも「会社をきちんと理解してくれている」と伝わりやすいため、うまく活用するとよいでしょう。
想定される質問
面接では、転職の理由や志望動機など、質問される項目がいくつかあります。面接官がなぜその質問をするのか、質問の背景を理解すると対策もしやすくなります。想定される質問と面接官の意図を考えてみましょう。
簡単に自己紹介をしてください。
人事担当者や配属先の現場担当者が行う一次面接では、技術スキルや経験など想定ポジションにおける職務遂行能力をチェックするだけでなく、社会人としてのビジネスマナーやコミュニケーションスキルなどもチェックされます。最終面接では、細かいスキルが確認される場ではなく、「この人が入社したらどんな活躍をしてくれそうか」といった総合的な期待値を見られていると考えましょう。そうした点を踏まえて簡潔に伝えられるよう、経験や実績からアピールポイントを整理し、回答をまとめることが大切です。
転職の理由を教えてください
転職する理由に一貫性があるか、転職して何を実現したいかを問われています。面接官は、論理的に矛盾していないか、筋道を立てて説明できるかをチェックし、転職に対する応募者の考えを確認しています。また、入社後に活躍できる環境があるか、配属予定のチームや企業風土にマッチするかどうか、自社と応募者の相性も見ています。
志望動機を教えてください。
この質問では、入社の意欲がどのくらいあるのかを見られています。説得力のある志望動機を上手に伝えるためには、この会社でなければならない理由がきちんと伝わるよう企業研究をしっかり行うことが重要です。
ただし、求人ごとの事情や選考段階にもよりますが、エンジニア転職では「何ができるのか」「何がしたいのか」も重視されるため、必ずしも「この会社でなければならない理由」にこだわらなくてもよい状況もあります。最終選考であれば志望度をしっかり見るケースが多いため、その会社ならでの理由を伝えられたほうが好ましいですが、一次面接などではそうとも限りません。
また、会社固有の志望動機を作るにあたり、例えば企業理念にどう共感したかを述べるというアプローチの仕方がありますが、このやり方の場合、自分の経験と紐づけながらうまく理由付けをできないと説得力を持たせるのは難しく、作成難度も上がります。そうしたやり方にこだわるよりも、転職理由や今後のビジョンにも関連する「自分が働く上で大切にしている軸」 と、応募する企業や求人とがどう合致するかからつなげていくと、筋の通った志望動機を作成しやすいでしょう。
将来どんなキャリアを目指しているかを教えてください
応募者が描いているキャリアと、入社後に活躍できるポジションのイメージをすりあわせるために「将来何をしたいか」という質問をされるケースはよくあります。とくに最終面接では、経験やスキルを活かしてどのような成果を上げられるか、長期的に活躍してくれる人材かどうかなど、自社への貢献度を評価するポイントとなる重要な質問です。
そのほか「これまでの仕事で大変だったこと」や「仕事を行う上で大切にしていること」なども、課題解決力やマネジメント能力の有無、さらには仕事に取り組む姿勢や人間性などを確認する意図で質問されることがあります。ときには変化球の質問もあるかもしれません。面接官は突発的な出来事に臨機応変に対応できるか、あなたの対応力も観察しています。とっさの質問に慌ててしまわないように、しっかりと準備して面接に臨みましょう。
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履歴書を作成する(無料)社内SEの面接でのNG回答例
面接をうまく乗り切るためには、ご自身の転職の軸を明確にし、キャリアプランを立てた上で、応募企業の研究をしてから臨むことが必要です。しかし、どれだけ準備していても面接では思いがうまく伝わらないケースもあります。
同じ質問内容でも、面接官によって意図は異なります。そのことをよく理解しておかないと、せっかく競争を勝ち抜いて最終面接まで行ったにもかかわらず、不採用という結果にもなりかねません。
ここでは面接官別によくある質問内容と、それに対するNG回答例、回答のポイントをご紹介します。
人事が面接官の場合
質問 | なぜ、システム開発会社から社内SEへの転職を希望されているのですか? |
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NG 回答例 |
現在は顧客先常駐形態で、プロジェクトごとに勤務地が変わります。社内SEなら落ち着いて仕事ができるため長期就業が可能だと思ったためです。 |
ポイント | 人事面接では、基本的なコミュニケーション能力や人柄と社風のマッチング、価値観などを評価しています。社内SEだからといって、落ち着いた環境で働けるとは限りません。就業環境の改善という目的は自己中心的で、企業の人材採用目的とは無関係ですし、ビジネスパーソンとしての視点が低いと評価されてしまう可能性があります。志望理由は、あくまでもITエンジニアとしてのキャリアアップや、スキルアップに基づいた回答をすべきでしょう。 |
質問 | なぜ当社を志望するのですか? |
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NG 回答例 |
これまでの社内SE経験を活かし、業界トップクラスの大規模システムを手掛けてみたいと考えたからです。 |
ポイント |
上記の回答に対して、「それは、本当に当社でなければできないことですか?」と尋ねられたときに、回答に窮するようでは志望理由としては弱いといえるでしょう。単純に大規模システムを手掛けたいということだけであれば、ほかにも選択肢は考えられるからです。 例えば「転職理由である○○がかなう」「チャレンジしやすい環境である」「培った経験がこんなふうに活かせる」といったように、志望理由を複数絡めることができると「別の企業でもできるのでは?」という疑問に答えやすくなります。 また同じ観点で「転職ではなく現職でできるのでは?」という疑問、質問もよく出てきます。「現職では、保有の案件の都合上、難しい」といった具合に、現職で改善できない理由や改善のためにアクションを起こしたがかなわなかった理由などを用意しておくとよいでしょう。 そのほか、大規模システムを手掛けていきたいという点に説得力を持たせたい場合、「なぜそれを目指したいかという理由を実体験と紐づける」「応募企業で実現するためにどんなステップで取り組んでいくかというビジョンを示す」といったことを志望動機に落とし込めるとベターです。 |
配属部門の管理職が面接官の場合
質問 | 当社でどんな経験やスキルを活かせると思いますか? |
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NG 回答例 |
システム開発会社でも上流工程を経験してきたことや、コミュニケーション能力を活かせると思います。 |
ポイント | 上流工程の経験やコミュニケーション能力だけでは、ほかの応募者との差別化が難しいでしょう。まずは、あなたならではの強みをしっかり示せるよう、過去の成功体験を整理しておくことが大切です。例えば、プロジェクト内での立ち位置や、そこで起こった問題、それをどのように解決・成功に導いたのかといった事例を、具体的な数字を入れながら説明できるとよいでしょう。 |
役員が面接官の場合
質問 | あらためて、当社の志望理由を教えてください。 |
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NG 回答例 |
システム開発会社では関われるフェーズが限定的で、自分が手掛けたシステムが実際にどのように経営に活かされ、どのように貢献できるかを実感できません。そこで社内SEを志し、中でも業界内で最も影響力を持つ御社で働いてみたいと考えました。 |
ポイント | 同じ志望理由を答える場合でも、役員面接では社内SEという職種の志望理由ではなく、この会社でなければならない理由・思いを説明するべきです。なぜなら、役員は、会社の目標やビジョンを一緒に実現していける人材かどうかを知りたいからです。会社のビジネスモデルやビジョン、中期経営計画などをチェックし、それに対してどう考えるかを説明できるようにしておきましょう。 |
質問 | 当社に入社して10年後には、どうなっていたいですか? |
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NG 回答例 |
10年後くらいには、マネージャーには昇進していたいですね。 |
ポイント | 具体性に欠ける回答はNGです。この場合は、「その会社で、自分がどのような能力を伸ばして、何を実現したいのか」を説明することが期待されています。その会社で果たせる役割や実現したいこと、例えば「業務効率を上げて、原価の圧縮に貢献する」など、会社に対してどのような貢献をしたいのかを具体的に説明できるとよいでしょう。 |
本記事でご紹介した質問例以外にも、面接のスケジュール調整や身だしなみ、対面の面接とWeb面接との違いなど、押さえておくべき面接のポイントはいくつもあります。そうした面接対策全般を以下のページで解説しているので、実際の面接前にはぜひ一度ご覧ください。
ツールを使って履歴書を簡単作成
履歴書を作成する(無料)新開 裕理(しんかい・ゆり)
国家資格キャリアコンサルタント
新卒で大手人材企業に入社し、医療領域における法人・個人向けの営業に従事。2017年パーソルキャリア株式会社に転職。IT領域専門のキャリアアドバイザーとして、年間300人以上の方とお話しし、転職のサポートをさせていただいています。お客さまが描くビジョンをかなえられるよう、SIer、社内SE、コンサルティングファームなど、さまざまな方向性でキャリアのご提案をしています。
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