もっと、自分らしい働き方が見つかる女性向けイベントWoman's Career Meeting Report
掲載日:2014年10月20日
「キャリアアップと自分らしい働き方、
両方をかなえたい女性のための転職講座
~あなたのやりたいこと、大事にしたいことがクリアになる~」
Woman Careerが主催する女性向けのイベント「Woman's Career Meeting」。2014年9月10日(水)に開催された第5回では、「キャリアアップと自分らしい働き方、両方をかなえたい女性のための転職講座」と題し、dodaキャリアアドバイザー川嶋由美子と、キャリアカウンセラーの藤井佐和子さんが、女性のキャリアアップと転職についてプロの視点からアドバイス。後半では、転職を経て活躍する2名の女性による「転職体験談」トークショーが行われました。イベントの模様を、Woman Career編集部がレポートします。
dodaの女性キャリアアドバイザーと藤井佐和子さんによるトークショー「キャリアアップと自分らしい働き方、
両方をかなえたい女性のための転職講座」
profile 講師プロフィール
川嶋 由美子dodaキャリアアドバイザー
2002年インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。IT業界のエンジニア派遣の法人営業を3年経験し、キャリアアドバイザーに。二度の産休・育休を経て、現在は時短勤務にて4歳と1歳の息子の育児をしながら、営業職の方の転職をサポートする部門のマネジャーを務める。「幅広い情報提供と、率直な意見やアドバイスを伝えること」がモットー。
藤井 佐和子さん(ファシリテーター)株式会社キャリエーラ/キャリアカウンセラー
1968年生まれ。大学卒業後、大手カメラメーカーを経て、パーソルキャリア株式会社にて8年間勤務。派遣事業部や人材紹介事業部、さらに女性を対象とした転職支援チームを立ち上げ、数多くの転職を支援。その後、株式会社キャリエーラを立ち上げ、述べ13,000人以上のカウンセリング、年250日以上の講演、研修実績を持つ。『女性社員に支持されるできる上司の働き方』(WAVE出版)など著書多数。
将来への不安からキャリアにブレーキをかけるのではなく
変化が訪れるその瞬間までアクセルを全開に
第1部では、これまでdoda で1,300件以上のキャリアカウンセリングを実施してきたキャリアアドバイザー川嶋由美子と、キャリアカウンセラーの藤井佐和子さんが対談。「自分に合った企業や求人の探し方が分からない」「希望がいくつもあり整理できない」。こんな悩みを抱えた女性に向けてアドバイスを送りました。 対談はまず、「実際にキャリアカウンセリングで20代、30代の女性から多く寄せられる悩みとは」という話題から始まりました。
川嶋
多いのは「現状を変えたい気持ちはあるけれど、なかなか一歩を踏み出せない」「将来への漠然とした不安を感じながらもどうしていいか分からない」という相談ですね。不安の要素としては、ロールモデルが社内にいない、上司の理解を得るのが難しそう、などの環境に対するものが多い印象です。 まずアドバイスするのは、最初から転職というゴールありきで考えないこと。自分が今変えたいと感じていることは何か、それは会社を変えれば本当にかなうのかを整理してもらい、その上で、ゴールを固めず転職活動に取り組み始めることをおすすめします。活動する中で自己理解が深まり、課題を解決する道筋や希望の優先順位も見えてくるからです。その結果、当初考えていたのとは別の方向性の転職を選ぶ人もいます。
藤井
自分が何をしたいのか、どうなりたいのかを軸にすることが大切ですね。女性が転職やキャリアアップを目指す際、将来的なライフイベントをどこまで考慮するかというのも難しい問題です。管理職を打診されて悩む女性も少なくありません。
川嶋
ここ数年、女性の活躍推進に力を入れる企業が急速に増えていることは女性にとって追い風です。ただ、会社選びの段階で「ライフイベントを経ても女性が活躍できる企業」かどうかを見抜くのは容易ではなく、女性社員や女性管理職の比率だけで判断しない方がいいと私は考えています。「女性が働きやすい環境」と、「女性が男性と同じような権限を与えられて活躍できる環境」は別。たとえば、裁量を限定した女性特有のポジションを設けて、女性が長く働けるようにしているケースもあるからです。
ライフイベントとのタイミング的な兼ね合いについてですが、転職にしても管理職昇進にしても、チャンスがあればぜひそれを前向きにとらえてほしいと思います。いつ起きるか分からないことを不安に感じて日々のキャリアにブレーキをかけるほどもったいないことはありません。いずれライフステージに変化が訪れるとしても、その瞬間まで常にアクセルを踏み、キャリアを追い続けてほしいですね。
藤井
その姿勢があれば、仮に転職してから数年後に産休・育休に入ることになったとしても、それまでに積み上げた実績によって周りから「ぜひ戻ってきてほしい」と声がかかる可能性が増えますね。長く活躍し続けるための後押しになります。
面接で聞きたい情報を尋ねる時は「活躍したい」という意志表示を
藤井
残業の有無や福利厚生など、「面接で聞きたいけれど、選考で不利になるのでは」と迷う女性も多いようです。面接で尋ねる時に注意すべきことはありますか。
川嶋
dodaのようなエージェントサービスを使って活動している場合には担当のキャリアアドバイザーに遠慮なく聞いてください。面接の場で直接聞くなら、質問の背景にある自分の思いや姿勢も丁寧に伝えた方がいいですね。たとえば「残業は何時間ですか?」と聞くのではなく、「月末や繁忙期などの残業はいとわないのですが」と前置きした上で「平均的な退社時間は何時くらいでしょうか」と。育児支援制度の有無なども、それだけを単刀直入に尋ねるよりも、「のちのちは考えているのでお聞きしたいのですが、ワーキングマザーとして働いている人の実例はありますか」などと聞くほうがいいですね。その職場で活躍したいという前向きな気持ちを伝えることを意識しましょう。
藤井
それでもなお「入社してみなければ分からない」要素というのもありますね。職場の人間関係などがそうです。
川嶋
確かにリスクをゼロにすることは不可能です。ただ、転職前にできる限りの情報を集めたり、実際に働いている社員から直接話を聞いたりして、「社風が自分に合いそうだ」と納得して入った会社であれば、多少合わない人が周りにいたとしても、それよりずっと多くの理解者に出会えるはずです。
藤井
社内人脈を積極的に築いて理解者や味方を見つけることも、活躍への秘訣かもしれませんね。
転職活動にはどれくらいの期間をかけるのが効果的ですか?
川嶋
在職中か離職中か、どれだけ活動に時間を割けるかで人によって大きく異なるため、一概には言えません。ただ、経験から一つ言えるのは、少なくとも3社、できれば10社程度は面接を受けた方が、納得できる転職につながるということです。面接に10社行くためには、応募件数は20~30社ほどになる計算で、それに要する期間は人によって1カ月の場合もあれば1年の場合もあります。
未経験の職種に挑戦すべきか迷っています
川嶋
中途採用では即戦力が求められることが多く、未経験者には狭き門というのが実情。「やる気」だけにとどまらない、何かアピールできるものを持つことが大切です。未経験であっても、その分野について学校や独学で学んでいるのであれば、採用担当者に与える印象はかなり変わります。また、「実際に働いてみたらイメージと違っていた」というミスマッチを避けるためにも、経験者に話を聞くなど、できる限り情報収集することをおすすめします。
等身大の女性が語る「リアル転職体験談」トークショー「転職成功者が語る、転職・入社を決意するまでのリアル転職体験談」
profile 講師プロフィール
加古 静香さん 株式会社ディー・エヌ・エー/マーケティング
大学卒業後、2002年に映画配給会社に入社。レンタルビデオ店向けの業界専門誌の編集に携わる。その後、06年、経営コンサルティング会社に転職。レンタルビデオ店や結婚式場など、さまざまな企業のコンサルティングを担当した後、「人が楽しむこと」のマーケティングをもっと追求したいという気持ちから二度目の転職を決意。ディー・エヌ・エーと大手予備校のマーケティング職で内定をとり、より成長できる環境を求め、あえて厳しい方に挑戦しようとディー・エヌ・エーに10年に入社。結婚・出産を経て、現在はマーケティングリサーチ部門で活躍中。
小倉 友美さん 日本ポール株式会社/品質保証
大学院修了後、2003年に電機メーカーに入社。製品開発に活かすための製品品質の解析を担当。解析のテーマが非常に狭い領域であるため、今後のキャリアの広がりに不安を感じ、携帯電話メーカーの製品開発部門に08年に転職。その後、長男を出産し育児休職を取得後に復職。1年間、働き続けたものの残業が多い環境から、2人目の育児に不安を感じ、子どもがいても働き続けられる環境を求め13年に転職。現職、日本ポールでは液体をろ過・分離・精製するフィルターの品質保証部門にて活躍中。
書店で偶然手にしたビジネス書が転職先を決める大きなきっかけに
第2部では、株式会社ディー・エヌ・エーの加古静香さんと、日本ポール株式会社の小倉友美さんが登壇。藤井佐和子さんを進行役に、「転職を考えたきっかけ」「転職活動の成功談・失敗談」などリアルな転職体験談トークを展開しました。
藤井
お二人ともこれまで二度の転職経験をお持ちですね。1回目の転職を決めた経緯を聞かせてください。
加古
大学卒業後、映画配給会社で業界誌の編集に携わりました。仕事は楽しかったのですが、編集の方針はどちらかといえば「チャレンジするより前例に倣え」の安定志向。もっとチャレンジできる環境に身を置きたい、成果や手応えを実感できる仕事がしたいという気持ちが募りました。編集職で求人を探し始めたものの当時は人材エージェントを活用する手段を知らず、ネットで「出版社 採用」で検索する毎日(笑)。求人件数も少なく、なかなか思うように行きませんでした。転機はある日、書店のビジネス書コーナーで、2社目に入社することになる会社の創業者が書いた本を偶然手にしたこと。興味を持って会社説明会に参加し、後はとんとん拍子に。もともと希望していた出版業界ではなかったのですが、縁を感じて入社を決めました。
小倉
私は大学院を卒業後、電機メーカーで製品の品質解析を担当していました。実験室にこもり、年単位で一つのテーマを深く掘り下げて調べる日々を送るうちに、同じ領域の人だけでなく幅広い人と関わって仕事をしたい、業務に広がりを持たせたいと感じるようになりました。私も最初はネットを使って自分で探していたのですが、転職への意志が固まる中で人材エージェントに相談することを選択。メーカーで製品開発に携わりたいという軸は定まっていたので、紹介された案件の中から、自分が興味の持てる内容か、やりたいことができる仕事かをポイントに活動を進め、携帯電話メーカーへの転職を決めました。
よりよい環境を求め、自ら考え行動したからこそ
「やりがいのある仕事」と「家庭」の両立を実現
藤井
お二人とも、その後もう一度転職して今の会社で活躍されているわけですが、どのような悩みや課題を解決したいと考えて2回目の転職に臨んだのでしょうか。
小倉
携帯電話メーカーに転職後、子どもを出産したことが一番のきっかけです。会社はワークライフバランスの推進にも力を入れていたのですが、同じ技術部門にロールモデルとなる女性はおらず、周囲が夜遅くまで働く中で自分だけが早く帰ることに罪悪感も覚えました。身につけた経験や知識が活かせて、なおかつ育児をしながらでも活躍できる環境を求めて2回目の転職を決意したのです。多忙な中、短期間で効率よく活動を進めるために、人材エージェントには自分の今の状況や希望を伝えるとともに、優先順位を明確にすることを意識しました。現在働いている日本ポールでは男女を問わず18時頃には退社する働き方がスタンダード。家庭と両立しながら仕事に打ち込めています。
加古
2回目の転職を考えたのは30歳の時。きっかけは、率直に言うと仕事で十分な成果を出せずにいたことです。マーケティング分野のコンサルティングの仕事だったのですが、自分でクライアントを開拓して仕事をつくり出すことが求められる特殊な環境だったのです。また、仲間とチームで仕事をしたいという強い思いもありました。そこで、チャレンジを通して成果が出せる環境であること、マーケティングの経験を活かせること、仲間と仕事ができることを希望条件として、業種を絞らずに転職活動を進めました。DeNAを選んだ決め手は、希望条件に合致していたことはもちろんですが、選考のスピーディさや面接で会った役員の印象から、「この会社とは相性がよさそう」と直感したことも大きかったです。現在、子育てをしながら定時退社を基本に働いていますが、変わらずチャレンジングな仕事をできていることがありがたいですね。
藤井
ライフステージや「仕事に求めるもの」が変化する中で、その時点での優先順位を明確にしながら転職活動に臨んだことが成功につながったのですね。最後にぜひ、同じように転職でのキャリアアップを目指す女性の皆さんへのメッセージをお願いします。
加古
仕事でかなえたいことやプライベートで解決したい課題があるなら、あきらめずに手段や方法を探すことが大切だと思います。子育てをしながらであっても、自分から動けば、何かしらの解決方法は見つかるものです。仕事にしても育児・家事にしても、全部一人で抱え込もうとせず、自分が責任を持ってやることと人にお願いすることをうまく切り分けることも必要ですね。
小倉
やりがいのある仕事をしながら、家庭との両立も実現できている自分の今の環境を幸せに思います。その環境は、自分で考えて行動したからこそ得られたもの。迷っているのであれば、まずは一歩を踏み出してみてはどうでしょうか。私自身、今後も目標や課題をクリアできる方法を自ら考えながら、チャレンジする姿勢を大切にしたいと思っています。
二度の転職を経て、キャリアアップと自分らしい働き方を実現しながら活躍する加古さんと小倉さん。2人が語る等身大のリアルな転職体験談に参加者は熱心に耳を傾け、自身のステップアップにつながるヒントを見出しているようでした。
トークショーの終了後の懇親会では、講師4名が参加者からの質問や相談に直接答えました。「転職するべきか、今の会社で経験を積むべきか迷っている」という相談に、藤井さんは「あせって決断を下すよりも、仮に2年後に転職活動をするとして、その時点で求められる“年齢に見合った自分の価値”は何かを考えてみては。それを意識しながらスキルアップを図ると同時に、常に情報を集めてチャンスに備えることも大切」と回答。また、仕事と育児の両立に関しての質問に、加古さんは「時間的な制約がある中でも、自らの価値を出せるポイントをつくる努力を」と自身の体験からアドバイス。参加者からは次々と質問の手が挙がり、熱のこもったやりとりが続きました。
- 今日のお話を聞いて、転職は自分のキャリアを主体的に構築するための重要な選択肢の一つだと実感しました。初めての転職に向けて、情報収集を始めてみようと思います。(25歳・メーカー営業)
- チャレンジできる環境を求めて転職を決めたという加古さんのお話に刺激を受けました。転職活動をする中で自分自身について見えてくるものもありそうです。まずは一歩を踏み出してみます。(25歳・法律事務)
- 求人票を見るポイントなど、転職活動に関する基本的なことを聞けたのが良かったです。私も大学院卒なので、同じく院卒で二度の転職を経験された小倉さんのお話がとても参考になりました。(27歳・出版)