
#039
2025.11.18
Q.仕事でイライラしてしまう…。
怒りの感情と上手に付き合うにはどうすべき?
「指摘されるとイライラする」「正論なのに腹が立つ」
そんな経験はありませんか?
アンガーマネジメントの専門家が仕事でイライラしたときの対処法を解説します!
仕事で抱えやすいモヤモヤは何?
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まずはイライラの原因が何なのか、書き出して整理してみましょう
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イラッとしたら、怒りを数値化しながら6秒やり過ごす「アンガーマネジメント」がおすすめ
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シチュエーションごとのイライラへの対処法を 知り、自分で対処できるものから実践しましょう
上司の指摘や仕事中のトラブルでイライラ…。態度に出てしまうのはよくないと分かっているけれど、心の中は怒りでいっぱい!気持ちの整理がつかなくてつらい…。
そんな状況に悩む人は少なくありません。でも、怒りをうまくコントロールできれば、もっと穏やかに働けるはず。
今回は、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事を務める戸田久実(とだ・くみ)さんに、イライラと上手に向き合うために役立つアンガーマネジメントの考え方と、職場でついイライラしてしまうシチュエーション別の対処法をお伺いしました。
まずは仕事中のイライラの原因を考えてみよう
指摘されたり怒られたりというのはひとつのきっかけで、じつはイライラの原因はほかにもあるかもしれません。以下に、仕事中に考えられるイライラの原因を挙げてみました。
1.仕事自体にイライラ
仕事量が多すぎる、理不尽な業務を任される、など仕事自体に不満があるとイライラしますよね。
2.人間関係にイライラ
上司に怒られる・指摘されるケースだけでなく、同僚や後輩の何げない発言や態度にイライラを感じてしまうこともあるでしょう。
3.職場の環境にイライラ
オフィスが快適でない場合(狭い・汚い・使用するPCに不具合があるなど)もイライラの原因となるでしょう。
4.体調が悪くてイライラ
心身ともに体調が万全でないと、どうしても気持ちのコントロールが難しくなってしまいます。
このように、仕事中に考えられるイライラの原因は数多くあります。時には、複数の原因が重なってイライラが生じているかもしれません。
まずは、怒りを感じたことを紙に書き出してみましょう。書くことで怒りを客観的に捉えられ、怒りの原因が明確になります。
また、当てはまる原因をすべて取り除くことができればよいですが、環境や人間関係など、自分一人では改善できない問題も多いですよね。
そんなときにおすすめなのが、自身の怒りをコントロールする、アンガーマネジメントという考え方です。
9つのモヤモヤ、
あなたはどのタイプ?
仕事のイライラ対処にはアンガーマネジメントがおすすめ!
戸田さんによると、アンガーマネジメントをうまく活用することで、仕事中につい態度に出てしまうイライラを解消したり、うまく扱ったりできるようになるとのこと。
アンガーマネジメントとは
「アンガーマネジメントは、怒りと上手に付き合うための心理トレーニングです。
勢いに任せて起こしてしまった行動や発言や、怒りに振り回されて落ち込んでしまうなど、『怒りによる後悔』を防ぐことを目的としています。」
どんなイライラに効果があるの?
「アンガーマネジメントは、以下のようなタイプの人におすすめです。
- 一度怒ったら止まらない
- イライラする頻度が高い
- 思い出し怒りをする
- 怒ったら相手や自分を攻撃してしまう
- 怒れずに怒りの感情をため込んでしまう
常にイライラしてしまう人や怒りやすい人はもちろん、なかなか怒れずに怒りの感情をため込んでしまうタイプの人にもアンガーマネジメントは効果的です。
感情をため込んでしまうタイプの人は、『怒る=みっともない』と考えているケースが多く、怒りをため込みすぎて突然爆発してしまう場合も。
怒りの火種が大きくならないうちに、早め早めに自分の気持ちと向き合うことが大切です。」
モヤモヤ解消の
ヒントをアドバイス!
アンガーマネジメントのやり方
「アンガーマネジメントについて理解できたら、いよいよアンガーマネジメントを実践してみましょう。
やり方はとてもシンプル。怒りを感じたら、まずは6秒やり過ごしましょう。
というのも、人間は怒りを感じても6秒たつと理性が働くといわれています。つまり6秒やり過ごすことで、怒りに任せて衝動的に行動するのを防ぐことができるのです。
6秒やり過ごすテクニックとしてぜひ実践してほしいのが、『怒りの数値化』です。
0が穏やかな状態、10が人生最大の怒りとして、今感じている怒りがどの数値に相当するのかを考えてみてください。
怒りを数値化することに脳が意識を向けている間は、怒りに任せた行動はできなくなります。
トレーニングが必要ですが、繰り返し行うことで習慣化しやすくなるので、ぜひ試してみてくださいね。」
仕事中にイライラしたときの対処法【シチュエーション別】
「アンガーマネジメントでは、イライラしているその状況を自分の力でコントロールできるのかを考え、建設的な行動を選択します。
指摘されるとイライラする場面など、仕事でよくあるシチュエーション別に、職場でのイライラしない方法やイライラしたときの対処法を見てみましょう。」
Q.新人のころはモヤッとしなかった上司の指摘にイライラ。昔は素直に従っていたけれど、今は正論だと分かっていても注意されるとムッとしてしまう。どうしたらいい?
A.「経験を積み重ねると自分なりの考えや仕事の進め方が確立されてくるので、上司の意見をそのまま受け入れられないこともありますよね。
でも上司に自分の考えを伝えるとき、ついイラッとして否定的な言葉を返していないでしょうか?
否定的な切り返し言葉の例
・ おっしゃることは分かりますが~
・ そうは言っても~
・ でも~
上司に対しての否定的な気持ちが態度や発言に表れてしまうと、今度は上司がイライラしてしまい、あなたの意見を否定してくる可能性もあります。お互い感情的になっては話が進みません。
大切なのは、上司にあなたの話をちゃんと聞いてもらうことです。自分の意見をぶつける、押し通そうとするのではなく、上司の話を受け止めつつ自分の提案をする。
下の例のように対話をすることを心がけましょう。
(例)
『~したほうがいいということですね。アドバイスありがとうございます。私は今回の場合、~と考えていますが、いかがでしょうか?』
このように、まずはお礼を伝えた上で、自分の提案を伝えてみましょう!」
あなたの抱えやすい
モヤモヤはなに?
Q.後輩からの年齢や結婚に関する心ない一言にイラッとする! これから先もずっと同じこと言われ続けなきゃいけないの?
A.「仲の良い同僚・後輩であっても、デリカシーのないことを言われると不快な気持ちになりますよね。
人は自分の願望や譲れない価値観が守られなかったときに、怒りの感情を抱くことがあります。
もしあなたが『結婚の形やタイミングは人それぞれだから、なんで結婚しないのかは聞くべきではない』と思っている場合、同じ価値観を持たない後輩の一言に、自分が否定されたように感じてイライラしてしまいます。
このケースの対処法ですが、受け流す余裕があるなら①、これ以上我慢できない場合は②を試してみてください。
①結婚に関する価値観は人それぞれ。後輩とは価値観が異なることを認めて『人それぞれ、結婚のタイミングってあるからね~』と受け流す。
②もう二度と言われたくない場合は、リクエストの形で『もうできれば言ってほしくないんだ』と相手に伝えてみる。このとき気をつけたいのは、相手に対して上から目線で言葉を返すこと。
例えば『私の年齢になればあなたも分かるわよ~』といった返しはNGです。」
Q.リア充アピール、モテ自慢など女子あるあるのマウンティングにへきえき。脱するにはどうしたら?
A.「身近な相手にしつこく自慢話を聞かされたら、ネガティブな感情を抱くこともありますよね。
でもマウンティングは、基本的に満たされない人が行う行為です。相手のレベルに合わせて同じ土俵に立つ必要はありませんし、競い合うことで相手のマウンティングがエスカレートしてしまう可能性もあります。
そのため、真剣にその話を受け取りすぎず、上手に聞き流すのが得策です。
また、怒りに任せてついマウンティングしてくる相手の陰口を言ってしまいそうになりますが、アンガーマネジメントの目的は、怒りによる後悔を減らすこと。
振り返ったときにネガティブな感情が残る行動は、できるだけ避けたいですね。」
不満解消につながる
ヒントをアドバイス!
心無い言葉を言われたらどうすればいい?スッと受け流せるようになりたい…
Q.私がした地味なサポート業務は評価されず、営業成績などの華々しい部分のみが評価される。自分が正当に評価されていない…?
A.「まじめにコツコツ努力していても、縁の下の力持ちタイプの人は、なかなか気づいてもらえないことも多いですよね。
自分が今、本当はどうしたいのかを考えてみましょう。上司に認めてほしいのなら、直接伝えてみてもよいかもしれません。ただし、その際は事実と主観はきちんと分けましょう。
(例)
事実『現状、こんな業務をしていてこのような成果を出しています。◯◯のように評価をしていただけないでしょうか』
主観『営業成績が良い人ばかりが評価されて、サポートに回る人は評価されていないように感じます』
加えて何か要望を伝える際は、『~してほしいんです』といった具合に、リクエストの形で伝えるのがベストです。
『評価されないことが不満だ』と伝えるだけでは、ただの文句になってしまうので、伝え方には十分注意しましょう。」
Q.仕事は私のほうができるのに、気立てが良くて愛嬌がある後輩女子のほうが上司にかわいがられているのが納得いかない。どうしたら?
A.「公平に接してもらえないと感じると仕事へのモチベーションにも影響しますよね。
この上司の対応はどうにも変えられないと思うなら、これ以上のイライラを抱えないようにどうしたらいいのか、建設的な行動に目を向けてみませんか。
まずはその後輩がなぜ自分よりかわいがられているのかを考えてみましょう。
愛嬌がある人は、周囲との関係性づくりがうまかったり、いつも笑顔なので仕事を頼みやすかったりします。
もしその長所が自分にはないと思ったら、イライラをグッとこらえて良いところをまねしてみましょう。自分の成長にもつながりますし、周囲のあなたへの反応が変わり始めたら、だんだんとイライラする気持ちも消えていくかもしれません。」
Q.後輩のミスの尻拭いにイライラ。これも先輩の役目として我慢しなきゃいけないの?
A.「先輩として部下の指導をするのは、なにかと苦労が多いですよね。
自分が後輩をフォローしていることは、上司や同僚は理解してくれていますか? もし認めてもらえていないのであれば、上司に事実をベースに具体的な内容を相談してみましょう。
(例)
『後輩に任せている業務量はこれくらいです。私が◯◯のフォローをしています。ミスのフォローもあるのでキャパオーバーの状態です。業務量の割り振りの相談に乗っていただけないでしょうか』
また後輩のミスについて、今後、自分の指導で改善できる見込みがあるのかも考えてみてください。
可能性があればフォローを続ける、もし可能性がない場合は上司に相談してみましょう。
一番NGなのは、後輩にそのイライラを態度に出してぶつけてしまうことです。
『私があなたくらいのときはこんなミスはしなかった』といった自分本位な叱り方は避けましょう。
成長の度合いは個人差があり、人それぞれ。あなたのがんばりを周囲から認めてもらえれば、心の余裕が出来て、後輩のミスも少しは大目に見てあげられるかもしれません。」
あなたが仕事で抱えやすい
モヤモヤはなに?
後輩にお説教をした後の気まずい空気が苦手。上手に切り替えるにはどうしたら?
Q.上司の言うことがコロコロ変わる。これって我慢しなきゃいけないの?
A.「上司の指示に一貫性がないと、受ける側は対応に困りますよね。でも会社組織では、トップの意向で方針が変わることもよくあります。
まずは上司の立場になって考えてみましょう。冷静に観察してみると、意見が変わる原因は機嫌ではないかもしれません。
『前回はOKだったけど今回はNGだった』といった場合には、自分の意見を伝える前に、事実とリクエスト方式でその理由を聞いてみましょう。
(例)
『前回はこういう理由でOKをいただきました。前回懸念されていた課題もクリアしたのですが、今回NGだった理由は何だったのでしょうか?』
観察した結果、やっぱりただの気分屋な上司なのであれば…、対応が難しいですよね。
自分以外の人の機嫌の良し悪しはコントロールできませんので、せめて大事な判断を仰ぐときは、機嫌の良い日を選んでみましょう。」
言うことがコロコロ変わる!上司の指示に振り回されて何度もやり直す羽目に…
根本から変える!日常的にイライラしない方法
仕事中のイライラを根本から改善するには、日ごろの生活習慣から見直すことも大切です。ここでは、イライラしない方法として今日から始められる対策を6つご紹介します。
質の良い睡眠でストレス耐性を高める
睡眠不足だと、些細なことでもイライラしやすくなります。毎日の睡眠時間を十分確保して、就寝・起床時間を一定にしましょう。
寝る前のスマホ使用を控え、寝室を暗く静かな環境に整えることで睡眠の質が向上します。
栄養バランスでイライラを予防
バランスの取れた食事を心がけ、疲労回復やストレス軽減に役立つ栄養素を意識的に摂取しましょう。
また、日ごろからできるだけ規則正しい時間に食事をとり、暴飲暴食しないように気を付けましょう。
軽い運動で気分をリセット
週に何回かでも、軽いウォーキングやストレッチをする時間をつくってみてください。体を動かすと自然と気分がスッキリして、一日中穏やかに過ごせるようになります。
日光浴も効果的
昼休みの散歩、通勤時の徒歩など、できるだけ太陽の光を浴びる時間を増やしましょう。日光浴には気分を安定させ、体内リズムを整える効果が期待できます。
意識的な笑いで気分アップ
好きな番組を見たり、友人と楽しい時間を過ごしたりするなど、笑ってポジティブな感情でいる時間を意識的につくりましょう。
「笑う」という行為をするだけでも自然と気分が明るくなり、ストレス軽減効果が期待できます。
柔軟な思考パターンを身につける
日ごろから「完璧でなくても大丈夫」「人それぞれ考え方が違って当然」といった柔軟な思考を心がけましょう。
固定観念にとらわれすぎず、どんなときも心に余裕を持てるように意識することが大切です。
これらの方法を無理のない範囲で生活に取り入れみてください。だんだんと気分が安定して、仕事中もイライラしづらい状態を維持しやすくなるはずです。
まとめ
- 「指摘されるとイライラする」「正論なのに腹が立つ」そんな仕事のイライラ対処方法は
-
・ イライラの原因が何なのか、書き出して整理してみよう
・ イラッとした瞬間は、怒りを数値化して「理性が働くまでの6秒」をやり過ごす
・ 自分の行動や発言で解決できるイライラか判断した上で対処してみよう
さらに根本的な改善を目指すなら、質の良い睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動など生活習慣を整えることで、職場でのイライラ耐性も高まります。
職場でイライラしたときの対処法と根本的な予防、この両方を実践できれば、もっと穏やかに働けるはず…!
アンガーマネジメントとあわせて、今回ご紹介したイライラしない方法をぜひ試してみてくださいね。
20の質問に回答するだけ
解消のヒントが見つかる
- あなたの基本性格
- 日常生活や職場での傾向・
クセを9つのタイプから診断!
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モヤモヤの種類とアドバイス
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満足度UPのポイントを紹介

識者プロフィール
- 戸田久実(とだ・くみ)
- 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 代表理事、アドット・コミュニケーション株式会社 代表取締役。
アンガーマネジメント、アサーティブコミュニケーションを専門とし、民間企業や官公庁の研修・講演の講師を務める。登壇数は5,000回を超え、指導人数は約25万人に及ぶ。著書に『アンガーマネジメント』(日経文庫)ほか。






