#039
2020.01.13
Q.指摘されるとおもわずムッとしてしまう…。
イライラと上手に付き合うには?
経験を積み、自分の中で譲れない意見が出てくるアラサー世代
新人のころは素直に従っていたけれど
今は正論だと分かっていてもムッとしてしまう
経験を積み、自分の中で譲れない意見が出てくるアラサー世代。右も左も分からなかった入社したてのころは上司に素直に従っていたけれど、今は正論や事実を指摘されているだけと分かっていながら、ついイラッとしてしまう瞬間ってありますよね。時にはそのイライラに振り回されて疲れてしまうことも…。
その怒りをコントロールすることができれば、日々をもっと穏やかに過ごすことができるかもしれません。
今回は、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事を務める戸田久実さんに、イライラと上手に向き合うために役立つアンガーマネジメントの考え方と、職場でついイラッとしてしまうシチュエーション別の対処法をお伺いしました。
イライラしたら「アンガーマネジメント」を実践してみよう
アンガーマネジメントを活用すると、イライラとうまく向き合えるようになると語る戸田さん。そもそもアンガーマネジメントとはどういったものなのでしょうか?
アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントは、怒りと上手に付き合うための心理トレーニングです。
勢いに任せて起こしてしまった行動や発言や、怒りに振り回されて落ち込んでしまうなど、「怒りによる後悔」を防ぐことを目的としています。
どんなイライラや怒りにアンガーマネジメントは必要?
アンガーマネジメントを必要とする怒りは、大きく分けて5つのタイプがあります。
アンガーマネジメントが必要な怒りのタイプ
- 一度怒ったら止まらない
- イライラする頻度が高い
- 思い出し怒りをする
- 怒ったら相手や自分を攻撃してしまう
- 怒れずに怒りの感情をため込んでしまう
これらのタイプを見ていただければ分かるように、常にイライラしてしまう怒りやすい人はもちろん、なかなか怒れずに怒りの感情をため込んでしまうタイプの人にもアンガーマネジメントは必要です。
ため込んでしまうタイプは、怒る=みっともないと捉えている人が多く、怒りをため込みすぎて突然爆発してしまう場合もあるので、早めに自分の怒りと向き合う機会を作ることをおすすめします。
アンガーマネジメントを実践してみよう
ついイラッとしてしまったときは、アンガーマネジメントを実践してみましょう。まず、知っておきたいのが怒りの特性。人間は怒りを感じても6秒たつと理性が働くといわれています。つまり6秒待つことで、怒りに任せて衝動的に行動するのを抑えやすくなるのです。
怒りの温度計
6秒やり過ごすテクニックとしてぜひ実践してほしいのが、「怒りの数値化」です。0が穏やかな状態、10が人生最大の怒りとして、今感じている怒りがどの数値に相当するのかを考えてみてください。
怒りを数値化することに脳が意識を向けている間は、怒りに任せた行動はできなくなります。トレーニングが必要ですが、繰り返し行うことで習慣化できる手法です。
職場でイラッとしてしまうシチュエーション別・イライラ対処法
アンガーマネジメントには、「怒りを自分の力でコントロールできるのかを考える」という手法もあります。
職場でついイラッとしてしまうシチュエーション別に、その考え方と対処法を見てみましょう。
Q.新人のころはモヤッとしなかった上司の指摘にイライラ。昔は素直に従っていたけれど、
今は正論だと分かっていてもムッとしてしまう。どうしたらいい?
A.経験を積み重ねると自分なりの考えや仕事の進め方が確立されてくるので、上司の意見が正論だと分かっていても受け入れられないこともあると思います。意見が合わずについイラッとしてしまったときに気をつけたいのが、上司の意見を真っ向から否定することです。
否定的な切り返しに要注意!
・ おっしゃることは分かりますが~
・ そうは言っても~
・ でも~
上司に対しての否定的な気持ちが態度や発言に表れてしまうと、今度は上司がイライラしてしまい、あなたの意見を否定してくる可能性もあります。お互い感情的になっては話が進みません。
大切なのは、上司にあなたの話をちゃんと聞いてもらうことです。自分の意見をぶつける、押し通そうとするのではなく、上司の話を受け止めつつ自分の提案をする。下の例のように対話をすることを心がけましょう。
(例)
「~したほうがいいということですね。アドバイスありがとうございます」
まずはお礼を伝えた上で…
「私は今回の場合、~と考えていますが、いかがでしょうか?」
自分の提案を伝えてみましょう!
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Q.後輩からの年齢や結婚に関する心無い一言にイラッとする! これから先もずっと同じこと言われ続けなきゃいけないの?
A.実はこのとき感じたイライラは、自分に原因があります。人は「~すべき」という言葉で象徴される自分の願望や譲れない価値観が守られなかった時に、怒りの感情を抱いてしまうのです。
この場合は、あなたが「結婚の形やタイミングは人それぞれだから、なんで結婚しないのかは聞く“べき”ではない」と思っているため、その“べき”を否定されたように感じて怒りを覚えてしまいます。しかし、あなたの“べき”と同じ考えを持たない人もいます。
まずは、このイライラを解決するためにはどうしたら良いのか考えてみましょう。
受け流す余裕があるなら①、もう二度と同じイライラを経験したくないのであれば②の対処法をとってみると良いかもしれません。
①結婚に関する価値観は人それぞれ。後輩とは価値観が異なることを認めて「人それぞれ、結婚のタイミングってあるからね~」と受け流す。
②もう二度と言われたくない場合は、リクエストの形で「もうできれば言ってほしくないんだ」と相手に伝えてみる。このとき気をつけたいのは、相手に対して上から目線で言葉を返すこと。例えば「私の年齢になればあなたも分かるわよ~」といった返しはNGです。
Q.リア充アピール、モテ自慢など女子特有のマウンティングにへきえき。脱するにはどうしたら?
A.マウンティングにネガティブな感情を抱くことは決して悪いことではありません。イライラを感じた際に気づいてほしいことは、同じマウンティングをされてもイラッとしない人もいるということ。
マウンティングは基本的に満たされない人が行う行為。同じ土俵に立つと、相手のマウンティングがエスカレートしてしまうこともあります。そのため、真剣にその話を受け取りすぎず、上手に聞き流すのが得策です。
また、怒りに任せてつい相手の陰口を言ってしまうという人もいると思いますが、アンガーマネジメントの目的は、怒りによる後悔を減らすこと。振り返ったときにネガティブな感情が残る行動は避けるようにしましょう。
Q.私がした地味なサポート業務は評価されず、営業成績などの華々しい部分のみが評価される。自分が正当に評価されていない…?
A.自分が今、本当はどうしたいのかを考えてみましょう。上司に認めてほしいのなら、直接伝えてみても良いかもしれません。ただし、その際は事実と主観はきちんと分けましょう。
(例)
事実「現状、こんな業務をしていてこのような成果を出しています。◯◯のように評価をしていただけないでしょうか」
主観「営業成績がいい人ばかりが評価されて、サポートに回る人は評価されていないように感じます」
加えて何か要望を伝える際は、「~してほしいんです」といった具合に、リクエストの形で伝えるのがベストです。「評価されないことが不満だ」と伝えるだけでは、ただの文句になってしまうので、伝え方には十分注意しましょう。
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Q.仕事は私のほうができるのに、気立てがよくて愛嬌がある後輩女子のほうが上司にかわいがられているのが納得いかない。どうしたら?
A.後輩や上司にイライラを募らせても何も変わらないので、その後輩がなぜ自分よりかわいがられているのかを考えてみましょう。
愛嬌がある人は、周囲との関係性作りがうまかったり、いつも笑顔で仕事が頼みやすかったりします。もしその長所が自分にはない部分だった場合は、うらやましいという気持ちがイライラを駆り立てている可能性が高いです。
気持ちを切り替えて、少しでも良いので後輩の良い部分を取り入れてみましょう。自分の成長にもつながりますし、周囲のあなたへの反応が変わり始めたら、だんだんとイライラする気持ちも消えていくかもしれません。
Q.後輩のミスの尻拭いにイライラ。これも先輩の役目として我慢しなきゃいけないの?
A.自分が後輩をフォローしていることは、上司や同僚は理解してくれていますか? もし認めてもらえていないのであれば、上司に事実をベースに具体的な内容を相談してみましょう。
(例)
「後輩に任せている業務量はこれくらいです。私が◯◯のフォローをしています。ミスのフォローもあるのでキャパオーバーの状態です。業務量の割り振りの相談に乗っていただけないでしょうか」
また後輩のミスについて、今後、自分の指導で改善できる見込みがあるのかも考えてみてください。可能性があればフォローを続ける、もし可能性がない場合は上司に相談してみましょう。
一番NGなのは、後輩にそのイライラをぶつけることです。「私があなたくらいのときはこんなミスはしなかった」といった自分本位な叱り方はやめましょう。
成長の度合いは個人差があり、人それぞれ。自分がフォローしていることを周囲から認められている状況を作ることで、多少のイライラは感じてもあたたかく後輩の成長を見守ることができるはずです。
Q.上司の言うことがコロコロ変わる。これって我慢しなきゃいけないの?
A.会社組織では、上司の上役の意向で決定が変わることもよくあります。まずは上司の立場になって考えてみましょう。冷静に観察してみると、意見が変わる原因は機嫌ではないかもしれません。「前回はOKだったけど今回はNGだった」といった場合には、自分の意見を伝える前に、事実とリクエスト方式でその理由を聞いてみましょう。
(例)
「前回はこういう理由でOKをいただきました。前回懸念されていた課題もクリアしたのですが、今回NGだった理由は何だったのでしょうか?」
もし本当にそのときの機嫌によって言うことがコロコロ変わるのであれば、その現実を受け止めるしかありません。大事な判断を仰ぐときは、機嫌のいい日に相談してみましょう。
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自分のイライラの原因がよく分からないときは紙に書いてみよう
「理由はよく分からないけれどイラッとする」と感じることがある人は、怒りを感じたポイントを紙に書き出してみましょう。繰り返し行うことで、必ずイライラの原因が見えてきて、周囲に改善をリクエストできるようになります。
怒りやイライラを自分でコントロールできるのかを判断する材料となるのはその原因です。まずは、イライラする理由をハッキリさせましょう。
まとめ
- 正論だと分かっていても感じるイライラの対処方法は…
-
・ イライラの原因は、相手ではなく実は自分の中にあるかもしれない
・ イラッとした瞬間は、怒りを数値化して「理性が働くまでの6秒」をやり過ごす
・ 自分の行動や発言で解決できるイライラか判断した上で対処してみよう
原因が特定しづらいイライラを放置しておくと、また同じイライラにとらわれて疲れてしまうことも…。怒りの原因をハッキリさせることで、イラッとする相手に振り回されることもなくなるかもしれません。

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識者プロフィール
- 戸田久実(とだ・くみ)
- 一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 理事、アドット・コミュニケーション株式会社 代表取締役。
アンガーマネジメント、アサーティブコミュニケーションを専門とし、民間企業や官公庁の研修・講演の講師を務める。登壇数は4,000回を超え、指導人数は約20万人に及ぶ。著書に『アンガーマネジメント 怒らない伝え方』(かんき出版)ほか。
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