#097
2024.04.09
Q.20代後半から30代は
キャリアの転換期というけれど、
何をすればいい?
一通り経験を重ねたものの、
これから先はどうすればいいのかな…?
20代後半から30代のキャリアに、
次の一手が見えない。
それなりに経験を積み、20代後半や30代になって仕事で認められることが増えてきた。でも、これから先はどう働いていけばいいのかな…。
そんな悩みを抱えている人もいると思います。
そこで、dodaキャリアアドバイザーの柏木あずさに、20代後半から30代で見直すべきキャリアプランについてアドバイスしてもらいました。
目次
■20代後半から30代に成果を出すために重要なこと
■20代後半から30代のキャリアの棚卸しポイント
■20代後半から30代の女性が抱えがちな悩みと取るべきアクション
- ・仕事の悩み① この先成長できるか不安
- ・仕事の悩み② 次のステージに行きたいけど、どこへ向かえば?
- ・プライベートの悩み① 育児でキャリアが途切れるのが不安
- ・プライベートの悩み② これからはプライベートを大切にしたい
■スペシャリストとゼネラリスト。どちらもニーズがある
20代後半から30代に成果を出すために重要なこと
仕事に専念してきた結果、20代後半にそれなりの成果を出せた人もいれば、まだ満足のいく結果が残せていない人もいるでしょう。
しかし後者の場合でも、20代に培ってきた経験をうまく活かすための努力を続けていれば、大きな成果を出せる可能性は十分あります。
そのためにも、今のタイミングでキャリアの棚卸しをしっかりと行い、将来のキャリアプランを明確にしておきましょう。
20代後半から30代のキャリアの棚卸しポイント
20代後半から30代にかけてキャリアの棚卸しをする際に、次の三つのポイントを押さえる必要があるそうです。
① 専門スキル
まずは、これまでの仕事で培ってきた「専門スキル」について。
dodaキャリアアドバイザー
柏木あずさ(以下、柏木)
キャリアの棚卸しは、「自分に何ができるか」と「何をやりたいか」に分けて考える必要があります。
ここでは、「何ができるか」の観点から、専門スキルを軸にして「どんな業界でどの職種に就き、誰を相手にどんな役割を担ってきたのか」を具体的に振り返りましょう。
② ポータブルスキル
二つ目は、業種や職種が変わっても使える、持ち運び可能な能力の「ポータブルスキル」です。
柏木
前述した専門性を身につける過程で、どのようなスキルを身につけられたのかを考えましょう。
職種によって異なりますが、例えば「多くの業務の中で優先順位をつけて取り組むスキル」や「データや数字などを使って分析したり、表にして整理したりするスキル」などがあります。
③ 実績・結果を出すまでの過程
三つ目は、実績や結果を出すまでの過程の棚卸しです。
柏木
前述した「自分に何ができるか」の観点から、これまでの実績をどのように出したのかを明確にしましょう。
例えば、「社内で新しいエクセルツールを作り上げて採用された。」「それが組織の業績向上につながった」という実績があったとします。
その場合、「なぜそのツールを作ろうと思ったのか」「ツールを作る際に生じた壁をどうやって乗り越えたのか」などの過程をしっかり棚卸しすることが大切です。
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20代後半から30代の女性が抱えがちな悩みと取るべきアクション
これから先のキャリアを考える上で重要な三つのポイントが分かりました。
これを踏まえて、20代後半から30代の女性が仕事やプライベートで抱えがちな悩みについて、柏木にアドバイスしてもらいます。
仕事の悩み① この先成長できるか不安
「20代で得たキャリアにおける貯金(経験・スキル)だけで今日まできてしまった気がして、最近伸び悩みを感じます。
転職したいわけではないものの、今のペースのまま仕事を続けていても成長できるのか不安です。
20代のときとは違い、30代の今ではがむしゃらに働く体力もありませんし…」(33歳/クリエイティブ)
柏木
“伸び悩む自分”と“がむしゃらに働けない自分”との間で葛藤があるのでしょうね。
この方は、新しいことに挑戦することについて、一歩踏み出したらノンストップで進まないといけない「ルームランナー」のようなものをイメージされているように感じます。
キャリアは必ずしもゴールに向けて進むものとは限りません。
「一歩一歩を踏み出していくことで、結果として道ができていく」のもキャリアの考え方の一つです。
例えば、会社で新しい仕事を一つ任せてもらい、その内容について勉強する。
そういう一歩を着実に踏み出していくうちに、また別の仕事を任せてもらえたり、自分が夢中になれる仕事に巡り合えたりする可能性もあります。
新しい仕事を任せてもらうためには、自分の意思を上司に伝えることがポイントとのこと。
「◯◯さんは新しいことをやりたいのか」と認識を持ってもらうことで、チャンスが訪れたときに声をかけてもらえる可能性が上がるそうです。
仕事の悩み② 次のステージに行きたいけど、どこへ向かえば?
「今の会社では『やりきった感』があり、このまま働き続けていてもこれ以上成長できるとは思えません。
新しいことに挑戦するために転職するべきか悩んでいます。自分の適性や強みを活かして次のステップを踏み出したいのですが、どう自己分析したらいいでしょうか」(34歳/人事)
柏木
まずは、これまでのキャリアでやってきたことを振り返って、「好きだったこと」「嫌いだったこと」「今後やりたいこと」をそれぞれ紙に書き出してみましょう。
次に、「『今後やりたいこと』が今の会社でできるかどうか」を考えます。
もしできるのであれば、上司に「新しいことに挑戦したい」と伝えてチャンスをつかみにいきましょう。
一方、今の会社ではやりたいことができないのであれば、「今までやってきた中で『好きだったこと』」を活かして転職をするのも一つの手です。
20代後半から30代で転職先を探す際は、「今後やりたいこと」に挑戦できる求人を選びましょう。
20代後半から30代にかけては、結婚、出産などのライフイベントも発生しやすい時期です。次は、そんなプライベートに関する悩みを紹介します。
プライベートの悩み① 育児でキャリアが途切れるのが不安
「出産を考えたいけど、産休・育休を取得してキャリアが分断されないか心配。
育休から戻ってきても出遅れないために、今何をしておけばいいのでしょうか?」(33歳/営業)
柏木
産休・育休の取得で一時的に仕事を離れたとしても、復職後に活躍できる土壌を今からつくることはできます。
まずは、今のうちに仕事の実績をしっかりつくり、会社からの信頼を得ておくとよいでしょう。
それから、仕事と家庭のバランスをどう取っていくかを考えることも大事です。
実際に、育休明けに仕事の調整がうまくいかず残業を続けた結果、家庭にしわ寄せが来てしまい、会社を辞めざるを得なかったという人も。
パートナーとの家事・育児分担を決める、第三者に支援してもらう仕組みがないかリサーチするなど、育休明けの負担を軽くできるような準備をしておくといいと思います。
家族との時間に比重を置きたい場合は、働き方を調整できるよう早めに上司に相談しておくのも一つの方法です。
仕事とプライベートを両立させる方法は?働くうえで意識すべきポイントはありますか?
プライベートの悩み② これからはプライベートを大切にしたい
「コロナ禍の経験から、プライベートを充実させたいと思うようになりました。
でも、これまで仕事一筋できてしまったので、どのように働き方を変えていったらいいのか分かりません」(31歳/販売)
柏木
いくつかポイントがあると思います。
まずは、この方がプライベートを充実させるために求めているのは「残業を減らすこと」なのか、「休みの取り方なのか」です。
もし残業や業務量を見直したいのであれば、一度上司に相談してみましょう。
ただし、希望通り残業が減った場合、それに伴って残業手当も減少し、結果として収入が現在より減る可能性があることは理解しておかなければなりません。
総合的に考えて、自分にとってベストなバランスをイメージするといいと思います。
また、例えば平日が休みの仕事で土日に休みを取りたいなど、今の会社では実現できない希望であれば、転職を視野に入れてもよいかもしれません。
上司に働き方の相談をする際に、押さえておくべきポイントがあるそうです。
柏木
会社に労働条件などの相談をする際は、どのように伝えるかが重要になってきます。
「残業を減らしたい」という要望だけでなく、仕事への熱意や個人的な事情をあわせて話すことで、こちらの真意が相手に伝わりやすくなります。
「私はずっとこの会社で働きたいと思っていますが、働き方だけがネックです。私が今後も会社に貢献するために、この点だけ考慮してもらえないでしょうか」
と話せば、会社もあなたの願いをかなえてあげたいと思ってくれるはずです。
スペシャリストとゼネラリスト。どちらもニーズがある
ここまで紹介した三つのポイントで自分のキャリアの棚卸しができたら、もう一歩踏み込んで考えるとよいそうです。
それが、“スペシャリスト”を極めるか、“ゼネラリスト”を目指すかです。
柏木
現在は「専門性がないとAIに取って代わられてしまう」と言われることがあります。このような背景から、専門性がないことを不安に思う人もいるようです。
しかし、どの業界にもゼネラリストとスペシャリストが必要で、どちらもニーズがあります。
つまり、どちらを選ぶかが重要なのではなく、自分が納得してその道に進むことが大切です。その中で自分がどうがんばり、成長できるかを重視しましょう。
「どちらのほうが社会的ニーズがあるか」を考えるよりも、自分の適性や自分の気持ちを優先したほうがいいそうです。
高めるべき専門性・スキルは何?
では、スペシャリストとゼネラリスト、それぞれどんなスキルを身につけるといいのでしょうか。
柏木
まず、スペシャリストを目指す上で必要な専門性を高める方向性は2パターンあります。
1つ目が「自分の好きなこと、のめり込んでしまうこと」にフォーカスを当てる方法。2つ目は、「今後、需要がありそうなスキル」を高める方法です。
ゼネラリストを目指すなら、「業務改善力」や「組織のマネジメント力を高める」などの面から汎用性のあるスキルを磨いていくといいですね。
目指すべき方向性の見極め方
では、スペシャリストとゼネラリストのどちらが向いているのか、どちらを目指せばいいのかが分からない場合はどうしたらいいのでしょうか。
柏木
これまでの経験を振り返って、自分がスペシャリストとゼネラリストのどちらに当てはまるかを判断します。
次に、その結果に対して違和感がないかを考えましょう。違和感があるなら、それは合っていなかったのかもしれません。もう一方の道を視野に入れてみましょう。
この「経験を振り返る」ところまでは、紙に書き出すなりして自分でできると思います。
ただ、その内容を見て、スペシャリストかゼネラリストかをジャッジするのが難しいケースもあります。
その場合は、客観的に判断できる適性検査などのツールを活用するのも方法の一つです。
困ったときはキャリアアドバイザーに相談してください。両者の見極めはもちろん、その特性を高める方法についても具体的にお伝えできますよ。
まとめ
- 「20代後半から30代はキャリアの転換期というけれど、何をすればいい?
-
・「専門スキル」「ポータブルスキル」「実績・結果」の3つを軸に、キャリアの棚卸しが重要。
・がむしゃらにがんばらなくても、一歩一歩を着実に踏み出していくことで、結果として今後のキャリアにつながることもある
・「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」、どちらを目指すかは経験、向き・不向き、自分のやりたいことを軸に考えよう
経験を積んだ20代後半から30代のキャリア転換期だからこそ、キャリアの棚卸しをすると、次にどうすべきか具体的なアクションが見えてきます。
一人で答えが出ずに悩んだときは、キャリアアドバイザーに相談して、客観的な意見を聞いてみるのがおすすめです。
20の質問に回答するだけ
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識者プロフィール
- 柏木あずさ
国家資格キャリアコンサルタント
米国CCE,Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー - キャリアアドバイザーとしてインテリジェンス(現:パーソルキャリア)に入社後、10年以上にわたり営業・販売接客など顧客と接する部門での経験を持つ方の転職を幅広く支援。産休・育休を経て復帰してからは、女性の働き方はもちろん、キャリアとライフの双方の視点から転職活動を親身にサポートすることを心がけている。