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もっと、自分らしい働き方が見つかる女性向けイベントWoman's Career Meeting Report

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掲載日:2015年7月6日

混迷を極める時代におけるキャリア形成
~女性はその中でいかに輝けるか~

「doda女性のための転職フェア」が2015年5月29日(金)、30日(土)の両日、東京の渋谷ヒカリエにて開催されました。会場内で講演会も開かれ、各界で活躍する女性や、dodaの女性キャリアアドバイザーが、今後のキャリアや仕事に役立つテーマについて講演しました。

今回はその中から、学校法人インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢の代表理事の小林りんさんの講演の模様をWoman Career編集部がレポートします。

4度の転職を経て思うことは、「迷っても、ブレても、大丈夫」

profile 講師プロフィール

小林 りんさん

小林 りんさん 学校法人インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢 代表理事

1974年、東京都生まれ。高校時代にカナダの全寮制インターナショナルスクールに留学。東京大学経済学部で開発経済を学び、卒業後はモルガン・スタンレーの日本法人に入社。その後、ベンチャー企業、国際協力銀行(JBIC)勤務を経て、2005年、米スタンフォード大学大学院にて国際教育政策学修士号を取得。06年から2年にわたり国連児童基金(ユニセフ)でフィリピンの貧困層教育に携わる。09年、 インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)設立準備財団の代表理事に就任し、14年にISAKを開校。長男(6歳)、長女(2歳)の2児の母でもある。12年、世界経済フォーラムのYoung Global Leadersに選出されたほか、日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2015」大賞など、受賞多数。

[インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)]

日本初の全寮制インターナショナルスクールとして2014年8月、長野県軽井沢町に開校。日本の高校卒業資格が得られる。「アジア太平洋地域やグローバル社会のために、新たなフロンティアを創り出すチェンジメーカーを育てる」ことをミッションに掲げる。生徒の半数以上を海外から受け入れ、返済不要の奨学金制度も充実。「多様性に対する寛容力」「問題設定能力」「困難に挑む力」の三つを備えたリーダーの育成を目指す。世界各国の大学で受験・入学資格として認められている国際バカロレア・ディプロマプログラム認定校。

友達からも心配されるくらい“支離滅裂な転職”を繰り返してきた

私は2014年8月に日本初の全寮制インターナショナルスクールとなる「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)」を開校しました。今の仕事につながる問題意識として、教育機会の不均等を初めて感じたのはカナダに留学していた高校時代です。夏休みを利用してメキシコ人の同級生の実家に行ったのですが、ブロック塀にトタン屋根の狭い家に大家族で暮らしていて、驚いたことに彼女以外の兄弟は誰も学校に通っていませんでした。学校で学べることや家があることが、世界では決して“当たり前”ではないということを痛感し、その思いがその後、大学で開発経済を、大学院で国際教育政策学を専攻するきっかけになりました。

当初のプランでは、大学卒業後は公的機関で開発経済に携わるつもりだったのですが、当時つき合っていた今の主人からも「君のパーソナリティには外資系が合うんじゃない?」とアドバイスされたこともあり、彼の勤務先である外資系金融会社の面接を受けたところ、そこで働く社員がみんないきいきと輝いていたんです。「こういう人たちと働いてみたい」と強く感じ、ほかにもいくつか外資系金融会社を受けた末に、同じ会社に入社しました。そこで社会人としてのイロハをすべて学んだ後、26歳でベンチャー企業に転職。そして28歳の時、一つの転機が訪れました

高校卒業から10年の節目ということで、カナダの高校の同窓会が開かれ、かつての同級生たちと再会したことで、高校時代に温めていた「開発途上国のために働きたい」という情熱がムクムクとわき上がってきたのです。それまでのキャリアで個人としてのスキルや経験が身についてきた実感もあり、「ここから先は自分のやりたいことを追求しよう」と決心し、ベンチャー企業を退職しました。

その後、国際協力銀行での勤務やスタンフォード大学院への留学を経て、06年からユニセフの職員としてフィリピンで貧困層教育に携わりました。ストリートチルドレンに識字教育を提供する事業は、私がやりたかったことに一番近く、やりがいを感じましたが、一方で悶々とした気持ちも膨らんでいきました。識字教育を提供しているスラム街のすぐ隣には、豪華な高層ビルがそびえる環境。そんな圧倒的な社会格差を目の当たりにし、果たして、貧困層教育に携わることが問題の根本解決になるのだろうかと疑問を持ち始めたのです。

そのような状況の中で、アジアの次世代リーダーを育てる学校の設立構想が徐々に固まっていきました。開校に向けた設立準備財団を09年に発足して代表理事に就任したのは33歳の時。さすがに4度目の転職になるため迷いもあり、決断するまでに1年くらいかかりました。振り返れば、金融の現場からキャリアをスタートし、30代前半までは友達からも心配されるくらい”支離滅裂な転職”を繰り返してきたと思います。それでも今、さまざまな道を経て自分が本当にやりたかったことに携わり、賛同してくれる仲間と出会い、仕事に邁進できている。「迷っても、ブレても、大丈夫」と自分自身の経験からみなさんにお伝えしたいですね。

「doda女性のための転職フェア」:写真

寂しいと泣く子どもを残して、夜中まで働いていたことも
そこから働き方を見直し、組織もプラスに変化

設立準備財団の発足以降も、資金集めや土地探し、許認可の取得など課題は山積みで、それらを一つひとつ乗り越える日々が7年続きました。その間に、二度の出産を経験したのですが、仕事と家庭の両立がうまくいかず苦しんだ時期もあります。組織のトップに就いていると、「ここまでやれば終わり」という区切りがなく、つい際限なく働いてしまうんです。また、本業を別に持つボランティアのスタッフが多かったため、ミーティングはどうしても夜や週末になりがち。寂しいと泣く長男を家に残し、夜のミーティングに出掛けていくのは身を切られる思いでしたが、辞めるわけにもいかない。そんな生活が最初の3年ほど続きました。

苦しい日々を抜け出すきかっけは、ある企業経営者のアドバイスを参考に、生活を朝型に切り替えたことでした。4時に起床し、そこから6時までと時間を決めて膨大な量のメールを処理。日中は仕事に集中し、夕方5時には切り上げて子どもを保育園に迎えにいく生活を始めました。以前と比べて仕事時間は3割ほど減りましたが、成果はまったく変わらなかったんです。夜中まで際限なく仕事をしていたころが、いかに非効率的だったか実感しました。今も、保育園にお迎えに行った後は家族と過ごし、土日も原則として仕事はしないと決めています。

自分の働き方が変わることで、チームの働き方も大きく変化しました。ミーティングは週に1日だけにし、ほかの曜日は全員自宅勤務に。子どもを育てながらでも仕事ができる環境が整ったことで、出産を機に仕事の第一線から退いていた優秀な女性たちが、口コミで次々に集まってきました。学校の立ち上げ段階だった当時、チーム20人のうちワーキングマザーが8人。企業や組織が多様な働き方を認めることで、眠れる優秀な人材が活躍できる場ができ、結果として組織の発展にも結びつくことを、この時の経験から強く実感しています。

「doda女性のための転職フェア」:写真

待ち受ける時代の激しい変化は女性たちがより輝くための追い風に

今、日本に6,000万人いる労働者が、2060年には4,000万人を切ると予測されています。女性の活躍を進めることは企業や社会にとって待ったなしの重要な課題です。だからこそ働く女性を取り巻く状況はこの先、急速に変わっていくはずです。

また、加速するIT化、機械化も私たちの仕事に大きな変化をもたらすでしょう。2045年には、コンピュータが人間の知能を超えると言われ、今ある仕事の大部分がコンピュータにとって替わられるという予測もあります。悲観的な未来に思えるかもしれませんが、見方を変えれば、ワクワクする、エキサイティングな時代と言えるのではないでしょうか。コンピュータにはない、人の創造性や感性にスポットが当たるようになり、その部分で女性の価値が大いに発揮されるはず。女性がより自然体でしなやかに生きていくことを後押ししてくれる時代になると私は感じています。

フランスの哲学者アランの「悲観は気分に属するが、楽観は意志である」という言葉を私は座右の銘にしています。目の前に立ちはだかる仕事や家庭などのさまざまな問題に対し、うろたえたり悲観したりするのは「気分」に過ぎません。その先に広がる未来を楽観視できるかどうかは、ハードルを乗り越えようとする自分の前向きな意志にかかっているのです。自らの意志の持ち方一つで、未来の見え方も大きく変わってくることをぜひ心に留めてもらいたいと思います。

「doda女性のための転職フェア」:写真

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