もっと、自分らしい働き方が見つかる女性向けイベントWoman's Career Meeting Report
掲載日:2015年8月17日
2020年からの女性の働き方
〜今から身につけておくべきスキル・キャリアとは?〜
「doda女性のための転職フェア」が2015年5月29日(金)、30日(土)の両日、東京の渋谷ヒカリエにて開催されました。会場内で講演会も開かれ、各界で活躍する女性や、dodaの女性キャリアアドバイザーが、今後のキャリアや仕事に役立つテーマについて講演しました。
今回はその中から、dodaキャリアアドバイザー炭沙織の講演の模様をWoman Career編集部がレポートします。
profile 講師プロフィール
炭 沙織
パーソルキャリア株式会社
dodaキャリアアドバイザー マネジャー
dodaキャリアアドバイザーとして約10年間にわたり、エンジニアや営業職、バックオフィスなど、幅広い職種の方の転職をサポートしてきた。現在は、キャリアアドバイザーを育成するチームでマネジメントを担当する。GCDFキャリアカウンセラー資格保有。
環境が整えば働きやすくなるとは限らない 個人のスキルやキャリアがより問われる時代に
本日は「2020年からの女性の働き方」というテーマで、これからの時代に女性が身につけておくべきスキルやキャリアについてお話ししたいと思います。まず初めに、今から5年後、2020年の世の中はどうなっているのか想像してみましょう。日本の人口は2015年現在、約1億2,700万人ですが、内閣府は2020年には約1億2,370万人にまで減少すると予測しています。中でも20~39歳の減少幅が大きく、2005年時点と比較すると4分の3に減る試算です。この層を含む労働者人口の減少が深刻さを増す中で、外国人やシニア層、そして女性の活躍を積極的に推進することが、今よりもさらに重要な命題になると考えられます。
皆さんもご存知のように政府はすでにこの課題への取り組みを始めていて、2010年に閣議決定された新成長戦略では「女性の活躍推進」が柱の一つに位置付けられています。女性役員・管理職の増加や待機児童の解消など、2020年に向けた具体的な目標数値が掲げられ、その達成に向けてさまざまな施策が進められています。またITを活用した在宅勤務などのテレワークの推進もこの戦略に盛り込まれており、育児や介護と両立しながら仕事を続けたいと考えるビジネスパーソンの追い風になるでしょう。
このように、国の後押しもあって女性の活躍支援の動きが社会全体で進んでいますが、一方で環境が整えば女性が働きやすい未来になるかというと、そうとは限りません。というのも、この先テクノロジーのさらなる発展によって、今ある職業の多くがコンピュータにとって代わられると予測されるからです。
また現代は、「資格を持っていれば安心」「営業経験があればほかでも活躍できる」などと一概に言える時代ではありません。弁護士や公認会計士などの難関資格を持っていても、就職先がなかなか見つからないというケースは決して珍しくありません。
資格や経験を強みにしづらく、また自分が経験を積んできた職種自体が将来なくなってしまうかもしれない中で、個人のスキルやキャリアの内容がより問われる時代になっています。今どのようなスキルやキャリアを身につけておくべきなのかを具体的にお伝えします。
テクノロジーが急速に進化する中で人にしかできない「課題を解決する力」が重要に
2020年の社会で特に重要になるスキルが「課題を解決する力」です。そのほかに「イノベーション力」「専門性」「語学力」が挙げられます。それぞれご説明します。
課題を解決する力
「あなたはどんな課題が解決できますか」と質問されて、パッと答えられる方はどのくらいいるでしょうか。この質問に即答できること、つまり課題解決の経験があり、そのノウハウを身につけていることは、これからの時代の中で非常に大きな強みになります。課題を解決するには、相手の考えや気持ちを推し測る力や調整力、柔軟性、臨機応変さなどが求められます。これはコンピュータにはまねのできない仕事。だからこそ「課題を解決する力」は、2020年以降の社会において必要なスキルの代表です。
イノベーション力
イノベーションとは「ゼロから何かを新しく生み出すこと」。ハードルが高いように感じられるかもしれませんが、小さなイノベーションの機会は、実は身近なところにあるものです。例えば日常の業務の中で「こうすればもっと便利なのに」などと感じていることはないでしょうか。小さなことでも気づいたことを声に出して周りに伝え、変えていくことがイノベーションの一歩になります。それがやがて、新しいサービスのアイデアや組織の改革へとつながっていき、連動して「課題を解決する力」も高まっていきます。
専門性
専門性と言っても、単に「資格を持っている」あるいは「多少詳しい」というレベルでは、これからの時代は通用しにくいと考えられます。強みとなる専門性とは「社内で一番詳しい」「転職しても通用する知識や経験」など高度なレベル。漠然と「専門性を身につけよう」と考えるのではなく、「どのレベルまで高めれば社内外で認めてもらえるか」をきちんと見極め、意識的に磨いていくことが大切です。
語学力
語学力は引き続き重要なスキルとなるでしょう。ただし語学はあくまでコミュニケーションのツールであり「それを使って何ができるか」が、これからの時代はより問われるようになります。例えば語学力を活かして「課題を解決する力」「イノベーション力」「専門性」のいずれかの力を発揮できれば、活躍の機会は大きく広がるはずです。
最後に2020年からの働き方を考える上で、女性の皆さんにぜひ心に留めてほしいことがあります。それは、女性の活躍を後押しする動きが社会全体で加速しているからといって、それで安心して、ただ待っているだけでは不十分だということです。大切なのは、これからの時代に必要なスキルを意識して高め、主体的にキャリアを形成していくこと。5年後、どんな課題解決をできるのか胸を張って答えられる人にぜひなっていただきたいと思います。