もっと、自分らしい働き方が見つかる女性向けイベントWoman's Career Meeting Report
掲載日:2017年1月9日
~NPO法人ミラツク共催「女性が本来持つ7つの力」を診断~結婚・出産後も続けられる!
自分に秘められた“力”を活かしたキャリアの築き方
Woman Careerが主催する女性向けのイベント「Woman's Career Meeting」の第8回が、2016年12月7日(水)に開催されました。今回はNPO法人ミラツクとの共催で、テーマは「自分に秘められた“力”を活かしたキャリアの築き方」。ミラツクが開発した「女性が本来持つ7つの力」の診断ツールを用いて、それらの力を活かしたキャリアの築き方を探りました。イベントの模様を、Woman Career編集部がレポートします。
profile 講師プロフィール
西村 勇哉さん
NPO法人ミラツク 代表理事
1981年大阪府池田市生まれ。大阪大学大学院にて人間科学(Human Science)の修士を取得。人材開発ベンチャー企業、公益財団法人日本生産性本部を経て、2008年より開始したダイアログBARの活動を前身に、2011年にNPO法人ミラツクを設立。 Emerging Future we already have(既に在る未来を実現する)をテーマに、起業家、企業、NPO、行政、大学など異なる立場の人たちが加わる、全国横断型のセクターを超えたソーシャル イノベーションプラットフォームの構築と企業内の新規事業開発、地域の産業振興のためのオープンイノベーションプラットフォームの構築に取り組む。 現在、慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科 非常勤講師、大阪大学大学院国際公共政策研究科 招聘教員も兼任。共著「クリエイティブ・コミュニティ・デザイン」(フィルムアート社)。
工藤 瑞穂さん
NPO法人ミラツク 主任研究員
1984年青森県生まれ。宮城教育大学卒、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム修了。日本赤十字社宮城県支部で勤務中、東日本大震災を経験。その後、多くの人が社会課題に目を向け、よりよい社会をつくるため行動していくことを促す任意団体「HaTiDORi」を設立。音楽・ダンス・アートと社会課題についての対話の場を融合したチャリティーイベントや、お寺、神社、幼稚園など街にある資源を活かしたフェスティバルを多数開催。2014年よりミラツクに研究員として参画。セクターを超えたソーシャルイノベーションのネットワーク形成、社会課題を基盤とした共創的なプラットフォーム構築プロジェクトの運営などに携わる。Webメディアプロジェクトsoar代表。
坂田 奈菜
パーソルキャリア株式会社/dodaキャリアアドバイザー
2008年、新卒でパーソルキャリア株式会社に入社。正社員の転職支援領域における営業を経て、dodaキャリアアドバイザーとして延べ1,000人以上のキャリアカウンセリングを実施。営業職経験者を中心に転職をサポート。現在はチームリーダーに就任し、マネジメント業務に携わる。米国CCE,Inc.認定 GCDF-Japanキャリアカウンセラー。
中村 亜由子(モデレータ)
パーソルキャリア株式会社/新サービス「eiicon」責任者
2008年、パーソルキャリア株式会社に入社。正社員の転職支援領域における営業を経験。最速で営業マネジャーに昇進。MVPほか社内表彰受賞歴多数。2015年産休中に起案したプロジェクトを、現在時短で責任者として立ち上げ中。
運営サービス
価値ある出会いが未来を創る eiicon ~ open innovation platform ~
https://eiicon.net/about/service.html
https://lab.eiicon.net/
講演「女性が本来持つ7つの力とは?」
第1部では、NPO法人ミラツク(以下、ミラツク)代表理事の西村勇哉さんと主任研究員の工藤瑞穂さんが、「女性が本来持つ7つの力」について講演しました。ミラツクでは2014年から「女性の力が活きる社会づくり」をテーマにプロジェクトを実施。女性起業家や研究者、女性が多く活躍する企業の役員などにインタビューを行い、リサーチと分析を進めてきました。
このプロジェクトを始めるきっかけは、2011年の東日本大震災だったと工藤さんは振り返ります。「災害後の混沌とした状況で女性の力がより発揮されることを、当時仙台にいた私は肌で実感しました。女性がもともと持っているのに、社会構造の中で活かされていない力があるのではないか。そう考えたことがプロジェクトの始まりです」と工藤さん。インタビューリサーチを通して浮かび上がってきた「女性が本来持つ7つの力」を次のように紹介しました。
■とりあえずやってみる力
まずは直感を中心としたアイデアや発想によって行動し、やりながら修正する中で最終的な成果を生み出していく。
■みんなでやる力
1人で突き進むのではなく、多くの人と共に取り組むことに喜びや幸せを感じ、多くの人と共に歩むことができる。
■協力を得る力
自分1人で抱え込むのではなく、さまざまな人に相談しアドバイスを得ながら、結果として多くの人が協力してくれる。
■足下を大切にする力
人との縁や、一つひとつの小さな成果を大切にし、周囲の人を大切にしながら丁寧に物事を進めていくことで成果を生み出す。
■人を育てる力
人の可能性を引き出し、関わり合いの中から人の成長に貢献する。
■場をやわらかくする力
やわらかい雰囲気を生み出し、自然により良い関係性やコミュニケーションが生まれる。
■感覚を大切にする力
自分自身の感覚をしっかり持ち、一般論には無いこだわりを持った取り組みを生み出す。
このあと参加者はスマートフォンを使い、「女性が本来持つ7つの力」について各自でオンライン診断を行いました。この診断ツールは、26問の質問に答えていくことで7つの力を診断できるもので、無料で配信されています。診断に当たって、西村さんは大切なポイントとして「これは『弱み発見ツール』ではなく『強み発掘ツール』です。診断結果が出たら、弱い部分を気にするのではなく、自分が普段気づいていない、あるいは活かせていない『強み』にぜひ目を向けてください」と参加者に呼び掛けました。
「女性が本来持つ7つの力」オンライン診断
https://cotree.jp/assessments/workstyle_woman
トークショー「秘められた“力”を活かしたキャリアの築き方」
第2部では、「女性が本来持つ7つの力」をキャリアにどう活かしていくかをテーマに、ミラツク代表理事の西村さんと主任研究員の工藤さん、dodaキャリアアドバイザーの坂田奈菜が語り合いました(モデレータ:パーソルキャリア・中村亜由子)。第1部での診断結果を踏まえて、会場の参加者からもさまざまな質問が寄せられ、登壇者がアドバイスしました。
「7つの力」を仕事に活かすには
西村
7つの力を実際に仕事の場面でどう活かせばいいのか、ぜひキャリアアドバイザーの視点からポイントを教えてください。例えば「感覚を大切にする力」は仕事にどう使えますか。
坂田
例えば職場で、大多数の人たちが賛成して決まった案や企画に対して、自分としては「何か違うな」と違和感を覚える…という場面があると思います。そうした小さな違和感に目をつぶって進めてしまうと、のちのち顧客ニーズとのズレが生じ、何かトラブルにつながったり、価値を生まない商品やサービスになってしまったりするケースは往々にしてあります。「何か違う」という感覚は、実はとても重要です。「感覚を大切にする力」を発揮し、それを言葉に出して伝えていくことで、その商品やサービスの改善点が見えてくるかもしれません。
西村
確かに、感覚が鋭くても、それをうまく言葉にできないとなかなか周りに伝わりませんね。「感覚を大切にする力」に、言語化する力を組み合わせることで、仕事に活かせていけそうです。では、「足下を大切にする力」はどうでしょうか。仕事の場面では早急に結果を出すことが求められ、こつこつ積み上げる姿勢はなかなか評価されにくいように思うのですが。
坂田
やはり組織の中で働く以上は、成果を出すことが大前提となります。ですから、足下を大切にこつこつ進めるやり方が、成果につながり組織にとっても価値を生むのだということを、周りに納得してもらえるよう示していくことが重要になります。それをせずに、「これが私のやり方です」と言うだけでは、周りの理解は得にくく、逆に、自分のやり方に固執する意固地な人だと見られてしまいます。
西村
「足下を大切にする力」に限らず、どの力も、組織が求めている目標や成果とリンクするように発揮していくことが、評価につなげるための重要なポイントと言えそうですね。
30代からのキャリアアップに向けて
中村
私自身も今まさにそうですが、20代後半から30代にかけては、この先のキャリアについて悩む年代です。出産などのライフイベントとの兼ね合いも気になります。
坂田
キャリアカウンセリングでも「出産で職場を離れることはキャリアダウンになってしまう」「キャリアとプライベートのどちらか一つを選ばなければいけないのでは」などのお悩みの相談を多く受けるのですが、実際はそんなことはないと私は思っています。ビジネスパーソンとして重要なのは「世の中にどう価値を出していくか」であり、必ずしも前線で猛烈に働き続けなければいけない、ということではありません。むしろ、出産や子育てなど、プライベートで得た経験・知識・考えを仕事に活かしていくことで、周りの人には出せない価値を生み出せる可能性は大いにあります。世の中が急速に変化している現代は、正解のないことに対して解を出していかなければいけない時代です。そこで重要になるのは、業界や企業の枠を超えて広く通用する、ポータブルスキルと呼ばれる力。今日のテーマの「7つの力」もまさにポータブルスキルに当たり、これらを意識して伸ばしていくことは大事だと思います。
西村
「7つの力」とは別に、もう1つ、リサーチの過程で見えてきた力に「育児によって得られる力」があります。これは男女を問わず培われる力のため、「女性が本来持つ7つの力」には加えていません。育児の経験を通して、複数の作業を並行して処理する力や、突発的な出来事に対処する力などが養われます。これは、0歳と3歳の娘を育てる私自身の実感でもあります。ですから育児の経験はブランクではなく、普段の仕事をしている上では培いにくい力を蓄えるチャンスだと捉えることもできます。
中村
転職活動や面接などの場で、7つの力をうまくPRするコツは何でしょうか。
坂田
「とりあえずやってみる力」など、それぞれ言葉の意味としては易しいのですが、それが具体的にどんな力を指すのか、特に相手が男性だと理解されにくいかもしれません。それぞれの力を、相手に分かってもらえるような言葉に転換してみるのも方法の一つだと思います。例えば、「とりあえずやってみる力」なら、実行力や、ものごとを前に進めていく力などに言い換えてみる。「みんなでやる力」は、推進力や、周りを巻き込む力などに言い換えられそうです。相手にとって分かりやすいワードを使って、自分の強みをうまく伝えていくことをお勧めしたいですね。
「7つの力」についてQ&A
<参加者Aさん>
私は「場をやわらかくする力」がゼロだったのですが、どうすれば伸ばせますか。
工藤
インタビューリサーチでお会いした女性起業家の方々を思い起こすと、肩ひじを張らない自然体の人が多かったように感じます。「自分をこう見せたい」と構えず、ありのままの自分で人と向き合いたいと望んでいる印象を受けました。その気持ちが相手にも伝わって、相手も「自然でいいんだ」と心を開きやすい。それが場のやわらかさにつながるのではないでしょうか。
坂田
企業から評価される方や、周りに自然と人が集まるような方は、自ら「余裕」や「遊び」をつくっていると感じます。逆に、いつもファイティングポーズを構えているような人に対しては、周りも遠慮してしまいます。何か1つでもいいから、あえて自ら弱みを見せてみたり、仕事に直接関係のない余談を話してみたりすることが、案外重要かもしれませんね。
<参加者Bさん>
私は「人を育てる力」が比較的高かったのですが、今の職場は指導すべき年下の相手がおらず、この力を活かせない状況です。
工藤
育てる対象は後輩や部下とは限りません。同僚や上司も当てはまると思います。その人が力をより発揮できるようにサポートすることや、その人らしくいられるようにすることも、人を育てること。私は普段、相手の良いところを見つけたら言葉に出して褒め、感謝を伝えるように心掛けています。そうすることで、周りの人たちが「より良い自分」になっていくことにつながると考えています。
<参加者Cさん>
私は「足下を大切にする力」が高く、ものごとをこつこつ丁寧に進めるタイプだと自分でも思います。ただ、細かいところを気にし過ぎて、大筋が見えなくなってしまったり、期限に間に合わなくなったりしがちなことが悩みです。
坂田
完璧に仕事をしたいというお気持ちはよく分かるのですが、周りから求められているものとの間にズレが生じているのかもしれません。例えば、2割ほど進んだ段階でいったん上司にレビューを入れてもらうのはどうでしょうか。ゴールをどのレベルにするのかを早めの段階ですり合わせることで、軌道修正もしやすくなります。
西村
私もこつこつ派で、PowerPointのレイアウトをミリ単位で直すようなことが好きなのですが、それって成果にはあまりつながりません(笑)。一方で、こつこつ丁寧に進めることが、結果や評価に結び付くものもあります。それを自分できちんと把握しておき、適切な場面で「こつこつ取り組みたい」という欲求を満たしつつ、成果につなげていくことが大切だと思います。
<参加者Dさん>
私は「みんなでやる力」や「協力を得る力」が低いという結果でした。周りの協力をスムーズに得られるかどうかは、本人の人望や人気の度合いも関係してくるように思うのですが、どうすればこの力を伸ばせるでしょうか。
坂田
確かにその人自身のキャラクターは関係してくるとは思います。ですが、どなたにもその人ならではの個性や強みはあるはずです。周りが自分のどんなところを良いと思ってくれているのか、一度聞いてみてはどうでしょうか。それを活かしながら、お願いや要求をしていくと、聞き入れてもらいやすくなるように思います。
工藤
なかなか周りが協力してくれないのは、もしかすると、自分の要求を相手に押し付け気味になっているからかもしれません。「相手にとっては何が良いことなのか」を考える視点も大切だと思います。そして、相手の望んでいることと、自分が求めていることの中間くらいの提案をしていけば、巻き込みやすいのではないでしょうか。相手の立場に立って提案することで、返ってくる反応も違ってくると思います。
登壇者からのメッセージ
中村
この先2人目の出産を考えている私自身も、「7つの力」をうまく活かしてキャリアアップを図っていきたいと感じました。それでは最後にお一人ずつ、メッセージを願いします。
工藤
「足下を大切にする力」にもあるように、女性は、自分が共感できる人や、周りの困っている人の力になりたいという純粋な思いを原動力できることも強みです。皆さんも、これからの仕事やキャリアを考えていく上で、「誰のために仕事をしたいか」「誰を幸せにする仕事をしたいか」という点も大切にしながら、ご自身の気持ちに素直に進んでほしいと思います。7つの力の調査は今後も継続し、力の引き出し方についても研究を進めていく予定です。結果はミラツクのサイトやFacebookなどでお知らせしていきますので、ぜひチェックしてください。
西村
ミラツクでは、職員10人のうち男性は私を含め2人だけです。「組織はこうあるべき」という既成概念では運営できないことを、私自身も実感していますし、女性が多い組織だからこそ発揮される力もあると感じています。女性活躍というのは、女性が無理をして頑張るということではなく、本来持っている力を発揮しながら、もっと楽に成果を出せることが理想だと私たちは考えています。ミラツクでは現在、ライフスタイルとキャリアとの関係性などの調査も進めていますので、まとまってきましたら順次発表したいと思っています。
坂田
仕事をする中でなんとなくモヤモヤすることや、人に相談するほどではないけれど心に引っ掛かっていることが、どなたにもあるのではないでしょうか。今日のようなイベントは、そうした言語化できないモヤモヤを、少しでもスッキリさせる良い機会だと思います。見逃しがちな自分の力や強みを、まずは自分自身で認めてあげることが大切だと、私も改めて学びました。20代から30代にかけて、女性はライフステージの変化が大きい時期です。キャリアについての悩みや、具体的に相談してみたいことがあればぜひdodaのキャリアカウンセリングを利用していただきたいと思います。
- 「今までふわっとしか考えていなかった自分のアピールポイントなどが明確になりました。」
- 「見えてなかった自分が、見えてきました。」
- 「実際の診断で自分の強みが分かり、とても参考になりました。」
- 「モヤっとしてたものを言葉にしていただけた気がします。」
- 「人と話すことで打開できる状況もある、ということを感じることができました。」
- 「女性の7つについて、自分の考え方とは違うものに触れることができて良かったです。」