外資系金融機関とは?
仕事内容や転職で求められる語学力とスキルも解説
更新日:2025/12/1
海外転職を検討する方の中には、外資系金融機関に興味をお持ちの方もいるのではないでしょうか。この記事では、外資系金融機関の仕事内容や転職で求められるスキルについても解説していきます。海外転職に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
外資系金融機関とは?国内金融機関との違い
外資系金融機関とは、一般的に、「外国資本で成り立っている」外資系企業のうち、投資銀行や商業銀行、資産運用企業などの金融関連企業のことを指します。
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国内金融機関との違いとしては、企業文化、報酬体系、そしてキャリアパスなどがあげられます。
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企業文化
ほとんどの外資系金融機関では、成果主義を徹底しています。年功序列の文化が根強い傾向にある国内金融機関とは異なり、年齢や勤続年数に関わらず、個人のパフォーマンスが報酬や評価や昇進に直接反映されやすい環境です。
若手であっても、自分の努力次第で、スピード感を持って昇給、昇進のチャンスをつかむことができるでしょう。
報酬体系
外資系金融機関と国内金融機関は、報酬体系も大きく異なります。多くの国内金融機関が固定給と年次昇給を基本としている一方で、外資系金融機関では、基本給に加えて個人の業績や業績連動賞与が報酬の大半を占めることが一般的です。特に投資銀行では、ボーナスの比率が基本給を大きく上回るケースも見られます。
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キャリアパス
国内金融機関では、転勤や社内異動がキャリアアップの方法のメインである一方で、外資系金融機関では、海外拠点への赴任や他社への転職などが活発に行われる傾向にあります。外資系金融機関で培う専門性やグローバルなコミュニケーション能力は、金融業界内外で広く評価されやすいと言えるでしょう。
外資系金融機関の主な種類と仕事内容
外資系金融機関は、大きく以下4つの種類に分けられます。
・外資系投資銀行
・外資系証券会社
・外資系保険会社
・外資系クレジットカード会社
ここでは、外資系金融機関中でも代表的な外資系投資銀行の主な部門と仕事内容を解説します。
IBD部門
IBD(Investment Banking Division)部門は、いわゆる企業のM&A戦略の実行をサポートしたり、資金調達をおこなう部門です。基本的な業務としては、企業の成長戦略を実現するためのM&Aに関するアドバイザリー業務や、株式・債券の発行による資金調達などで、外資系金融機関の中核をなす部門の一つです。クライアント企業の事業戦略や財務状況を深く分析して、最適な資金調達の方法やM&Aのスキームを提案・実行することがポイントになります。
マーケット部門
マーケット部門は、金融市場で株式・債券などの金融商品を扱う部門です。保険会社や信託銀行のような機関投資家と取引を行い、基本的には「セールス」と「トレーダー」「ストラクチャリング」の三つの役割に分かれて仕事を進めます。
セールスの業務例
リサーチ部門が作成したレポートをもとに、顧客に対して金融商品の提案を行います。金融商品についての深い知識と高いコミュニケーション能力が求められます。
トレーダーの業務例
顧客の代わりに、セールスを経由して注文を受けた金融商品の売買を行います。顧客の利益や投資銀行が得られる利益を念頭に売買のタイミングをはかる必要があり、高度な専門スキルが求められます。
ストラクチャリングの業務例
顧客のニーズを踏まえて、金融商品の開発に携わります。金融市場や世界経済、企業の業績発表などに常にアンテナを張り巡らせることが求められます。
アセットマネジメント部門
アセットマネジメント部門は、リサーチ部門からの情報提供や分析結果を活用しながら、顧客から預かった資産を適切に運用し、資産の最大化を目指します。顧客の一例としては、保険会社、年金基金、政府系ファンドといった機関投資家が挙げられます。長期的な視点での市場分析能力や、複雑な金融商品への深い理解、顧客との良好な関係を構築するコミュニケーション能力が求められます。顧客の事業計画に深く関わることで、経営の根幹への貢献を実感できるやりがいを得られるでしょう。
リサーチ部門
リサーチ部門は、金融市場や株式市場、為替の動きを分析して、顧客や社内関係者に向けて今後の展望をレポートする役割を担います。特に、IBD部門やマーケット部門のセールスは、リサーチ部門の分析結果をもとに提案や営業を行います。リサーチ部門の情報提供が外資系金融機関で行われる決定の基礎となる場面が多く、担当業界や企業に対する専門知識はもちろん、膨大なデータから本質を見抜く分析力や複雑な情報をわかりやすく説明できるコミュニケーション能力が求められます。
難易度の高い業務ですが、独自の視点で価値ある情報を提供することができれば、自分の分析が市場に大きな影響を与える大きなやりがいを得られるでしょう。
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外資系金融機関へ転職するメリット
金融機関に限った話ではありませんが、外資系の企業で働く場合、日系企業にはない魅力を感じることができるでしょう。
自分の頑張り次第で高い報酬を得られる
外資系金融機関で働く際の魅力の一つは、実力主義の文化です。自分の頑張りが直接報酬に反映されるため、年功序列が根強い日系企業とは異なり、年齢や勤続年数にかかわらずスピード感を持って収入を上げることも可能です。高い報酬を得られることは、単なる金銭的なメリットだけでなく、培った専門性がしっかりと評価されているという満足感にもつながります。高いレベルの目標をクリアするのは簡単なことではありませんが、モチベーションの維持がしやすい環境だと言えるでしょう。
グローバルな環境でキャリアを築ける
日常的にグローバルな環境に身を置けることも、外資系金融機関の魅力です。メールのやり取りや会議をはじめ、海外のオフィスにいるメンバーとの協業も当たり前に行われるため、実践的な英語力を身につけることができます。また、様々な文化的バックグラウンドを持つ人々と働く中で、異文化理解やグローバルな視点を養うこともできるため、複雑なグローバルビジネスの場面でも柔軟に対応するスキルを培えるでしょう。このような経験やスキルは、金融業界だけでなく他の業界や職種にキャリアチェンジする際にも高く評価されます。将来的にグローバルに活躍したいという意欲を持つ方にとって、外資系金融機関は理想的なキャリアパスを築くきっかけになるでしょう。
メリハリのある働き方ができる
外資系といえば激務というイメージを持たれがちですが、実際にはメリハリを重視する文化が浸透している企業も少なくありません。プロジェクトの繁忙期には長時間労働になることもありますが、それ以外の期間は個人の裁量でスケジュールを管理できるケースが多いです。外資系金融機関でも、ただ長時間働くことよりも限られた時間で質の高い成果を出すことが重視される傾向にあるため、ワークライフバランスを重視したい人にとっても適した環境と言えるでしょう。
外資系金融機関へ転職する際の心構え
外資系金融機関で働く場合、成果主義の文化やキャリアパスなどの魅力がある一方で、知っておいた方が良い厳しい面もあります。
成果に対するプレッシャーを感じることがある
金融機関に限った話ではありませんが、外資系企業は基本的に成果主義の文化が浸透しているため、個人の成果が重視される傾向にあります。四半期や年次ごとに厳格な目標が設定され、その達成率が報酬に直接結びつきます。期待されるパフォーマンスを発揮しなければポジションを失う可能性があるというプレッシャーが常につきまとう環境とも言えるため、高い精神力が求められるでしょう。
高度な専門性が常に求められる
外資系金融機関で長期的なキャリアを築くには、高い専門性を維持することが不可欠です。金融市場でグローバル化が進むとともに、新しい金融商品の登場や法規制の変更が流動的に起こります。一度身につけた知識やスキルがすぐに古くなってしまう市場のため、常に自分の専門知識やスキルをアップデートすることが求められるでしょう。
Q
未経験から外資系金融機関に転職できる?

横山 航介 (よこやま こうすけ)
A.
未経験から外資系金融業界への転職は、他の業界に比べるとハードルが高いかもしれません。中途採用では、高度な金融知識やコンサルティング経験が重視されるほか、英語力も最低でもTOEIC850点以上が求められる印象です。特に、運用・開発・カストディ業務・保険であれば引受・査定などの業務は、金融業界経験と実務経験の両方が求められます。一方で、保険会社のファイナンシャルプランナー(FP)や代理店営業については、金融業界での経験がなくても営業経験があればチャレンジできるケースもあります。応募先の募集要件次第ではありますが、未経験から外資系金融機関を目指す場合は、営業職を検討することも一つの手段でしょう。
外資系金融に限った話ではありませんが、未経験からのキャリアチェンジを目指す際は中長期的な視点でキャリアプランを検討することが大切ですので、お気軽にご相談ください。
外資系金融機関への転職で求められる語学力やスキル・経験
外資系金融機関への転職で必要なスキルや経験についても、解説します。
高いレベルの英語力
外資系金融機関で働く際は、英語力が備わっていることは前提条件となります。会議でのディスカッションや海外のクライアントとの交渉など、複雑な金融ビジネスシーンにおいて、状況に応じて臨機応変なコミュニケーションが取れるかどうかを重視されるでしょう。TOEICのスコアは800点以上がひとつの目安ではあるものの、ただ英語力があれば十分というわけではありません。難しい金融用語を理解した上で相手に説明する力や、細かいニュアンスを読み解く実践的なコミュニケーションを身につけることが、転職後に活躍するための第一歩となるでしょう。
専門的な金融知識と実務経験
外資系金融機関への転職では、基本的な金融知識と合わせて、実務経験が重要な評価ポイントになります。即戦力になる人材が求められる傾向にあるため、応募先の募集職種に関係のある分野での深い知識と、その知識を業務で活かした具体的な実績をアピールできるとよいでしょう。例えば、投資銀行部門であれば資金調達やM&Aの知識と実務経験、アセットマネジメント部門ならポートフォリオ運用にまつわる知識と運用実績などがあげられます。
ロジカルシンキングと分析力
金融機関に限らず、基本的に外資系企業では、ロジカルシンキングと分析力が求められます。特に金融市場では、複雑な取引や流動的な市場動向に対して適切な判断をする必要があります。問題を構造的にとらえて解決策を導き出すために、膨大なデータや情報の中から本質を見抜き、仮説を立てて結論を導くというプロセスで、これらのスキルは欠かせません。
外資系金融への転職に有利な資格
外資系金融期間への転職を目指す場合には、自分のスキルを客観的に証明するための武器としてどんな資格があるか知っておくのもよいでしょう。
MBA(経営学修士)
外資系金融機関、特に投資銀行部門(IBD)やアセットマネジメント部門への転職で高く評価されやすい資格
CFA(米国証券アナリスト)
特にアセットマネジメント部門やリサーチ部門を目指す場合に、全世界で通用するグローバルな専門資格
公認会計士
高度な会計専門知識を持ち、企業や個人の財務諸表の監査をはじめ、税務相談などの税務を行うことができる国家資格
外資系金融機関への転職に興味がある方はグローバルキャリアアドバイザーに相談
外資系金融機関への転職は、金融業界でのキャリアアップを目指す方にとって、非常に魅力的な選択肢のひとつと言えるでしょう。国内金融機関では得にくい高い報酬や、グローバルな環境での業務経験はもちろんのこと、その後のキャリアパスの多様性といった多くのメリットを享受できる可能性があります。
一方で、成果主義の厳しい環境に身を置くことにもなるため、外資系金融機関への転職を検討する際は十分な情報収集が大切になります。dodaのグローバルキャリアアドバイザーは、あなたが目指すグローバルキャリアのサポートをおこなっています。リアルな海外転職市場の情報をお伝えできるほか、履歴書や職務経歴書の書き方なども一緒に考えますので、ぜひ下のボタンからdodaエージェントサービスに登録の上、お気軽にご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
横山 航介(よこやま・こうすけ)
キャリアアドバイザー
【経歴】
大学卒業後、住宅設備メーカー在職中の全国転勤を機に、プロボノとしてNPO法人での地方創生活動に参加。「地方の魅力を発信して人を呼び寄せること」と、「企業の魅力を発信して採用すること」の本質的な共通点を見出してパーソルキャリア株式会社に入社。採用ソリューションにまつわる法人営業を経て、金融業界で働く方の転職活動のサポートに従事。現在はグローバルキャリアアドバイザーとして、さまざまな業界・職種で働く方の国内・国外へのボーダレスな転職の実現に向けて、支援の幅を広げている。
【コメント】
英語や語学力も活かしながら金融業界でチャレンジをしたいという方にとっては外資系金融機関を目指すというのは魅力的な選択肢のひとつだと思います。また、実力主義として評価されたいという方にとっても魅力的な環境がある印象です。
職種によっては未経験でチャレンジするのはハードルが高い傾向もありますが、未経験でもチャレンジできるポジションや、そこから考えられるキャリアもあります。外資系金融機関へチャレンジしたい方はぜひお気軽にご相談ください。
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