女性の平均年収ランキング
2016【職種別】

2016年の女性の平均年収は359万円で、前年と同じ額となりました（グラフ1）。 10の職種分類のうち7職種で前年より平均年収が上昇しており、最も上がり幅が大きかったのは「技術系（建築／土木）」（375万円）で＋20万円、次いで「営業系」（398万円）が＋10万円となっています（表3）。

10の職種分類からさらに細かく分けた86職種を見ていくと（表4）、「技術系（建築／土木）」に分類した6職種の中では、「不動産企画／プロパティマネジメント」（372万円）の上がり幅が最も大きく、男女総合ランキングでの同職種は前年比－24万円だったのに対して、女性の平均年収は前年比＋92万円の大幅増加となっています。これまで一般職が多かったこの職種でも近年は総合職として働く女性が増えており、業界自体の業績が好調だったことが相まって、この結果につながったものと見られます。

「営業系」に分類される14職種のうち、最も上がり幅が大きかったのは「化学／素材メーカー」（400万円）で前年比＋40万円、次いで「機械／電機メーカー」（395万円）が＋29万円で躍進を遂げています。「化学／素材メーカー」「機械／電機メーカー」のいずれの業界も、業績が好調であることに加え、2015年の円安トレンドで輸出を中心に売り上げが伸びたことが、賞与や昇給に反映されたものと考えられます。また、「化学／素材メーカー」の上がり幅が特に高い理由として、他業界と比較して外資系企業が従来から多く、女性が活躍しやすい風土があったこともベースとして影響していそうです。

86職種のランキングでは、「運用（ファンドマネジャー／ディーラー／アナリスト）」が前年11位（489万円）から、全職種中最も上がり幅の大きい202万円アップにより、一気に1位へと躍り出ました。ただし前年が前々年（591万円）から大幅減だったので、元の水準に戻ったとも言えます。3番目に上がり幅が大きかったのは、「知的財産／特許」（595万円）で前年比＋84万円。8位から2位へとランクアップしました。前年も、前々年から＋74万円の大幅増でしたから、この2年で大きく水準が上がっている注目の職種だと言えるでしょう。近年、知的財産専門サービス・特許事務所に勤務する人が事業会社へ転職し、年収をアップしている事例が見受けられます。製造業を中心にグローバル展開が進んだり、幅広い業界で新規事業の創出が活発化したりしていることから、こうしたケースが増え、平均年収の上昇につながっているものと見られます。

上がり幅の高かったものとして、技術系（電気／電子／機械）の「品質管理／品質保証」（390万円／＋41万円）、「先行開発／製品企画」（472万円／＋37万円）、「CAE解析」（439万円／＋35万円）と、技術系職種も目立ちます。

それ以外では、「リサーチ／市場調査」（469万円／＋23万円）、「広報／IR」（487万円／＋18万円）といった、女性に人気があり、女性の割合も高い専門職種の年収増が目立ちました。業績が上向いている企業では市場への発信・プロモーションを強める傾向があり、回復基調にあるここ数年の景況感を反映して、これらの専門職種が活躍する機会が増え、評価も高まっている状況が背景にあると考えられます。