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Essence エッセンス~キャリアアップをかなえるヒント~ Woman Careerと八重洲ブックセンターのコラボレーション企画 Essence キャリアアップをかなえるヒント

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掲載日:2014年5月12日

Vol.2 Special contentsNPO法人フローレンス 代表 駒崎弘樹さん

元“仕事マシーン”からのメッセージ。どうか仕事は辞めないで!

第2回は、子育てしながら働く親を支援する日本で初めての「共済型・訪問型」病児保育サービスを展開するNPO法人フローレンス代表・駒崎弘樹さんにご登場いただきます。
著書『働き方革命――あなたが今日から日本を変える方法』で、仕事をしながら家庭や社会にも貢献する新世代の『働き方』を提案する駒崎さん。働き方を変えることがなぜ必要なのか、そして、それを実現するために私たちが今から始められることとは。駒崎さんにお話を伺いました。

『働き方革命―あなたが今日から  日本を変える方法!』
“ひらめき”をくれる本
『働き方革命―あなたが今日から  日本を変える方法!』
ちくま新書/2009年5月10日発売/
740円(税別)
(Kindle版2014年3月14日リリース/
520円・税込)

人生を会社にささげる旧来型の働き方から、仕事とともに家庭や社会にも貢献する新世代の働き方へ、駒崎さん自身がいかに自らの働き方を変えていったのかを克明に記録。仕事をスマート化させるための具体的な手法、家庭や地域へ“時間投資”をする意義とその事例など、一人ひとりが変化を起こすための実践的なヒントが凝縮された一冊。

著者 駒崎弘樹さん
著者 駒崎弘樹さん
NPO法人フローレンス 代表

1979年生まれ。慶応義塾大学在学中にITベンチャー企業を立ち上げ、さまざまな技術を事業化。卒業後、ITベンチャーを共同経営者に譲渡し、2004年に仕事と子育てが両立できる社会環境の整備を目指してNPO法人フローレンスを設立。病児保育事業、小規模保育事業などを展開する。厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員、内閣府「子ども・子育て会議」委員なども務める。家族は妻と長女(3歳)、長男(1歳)。著書に『「社会を変える」を仕事にする-社会起業家という生き方-』(英治出版)、『5年後働く自分の姿が見えますか?』(角川書店)など。

INTERVIEW

典型的な仕事人間を脱し、理想の「働き方」を追求

子どもが急に熱を出し、保育園に預けることができず途方に暮れてしまうー。子育てをしながら働く人であれば、誰しも経験があるのではないでしょうか。私が代表を務めるNPO法人フローレンスは、こうした問題を解決するための病児保育サービスを首都圏で展開しています。私が大学卒業後にこのNPOを立ち上げたのは、「育児と仕事を両立することが当たり前の社会をつくりたい」という思いからでした。尽力の甲斐あって事業は徐々に拡大し、忙しさが増す中で、いつしか私自身が仕事のマシーンと化し、容量オーバーの働き方に陥っていたのです。当時はまだ独身でしたが、ある日ふと「今の自分は、女性に家事や子育てをすべて押しつける典型的な昭和オヤジではないか」と気づき、ゾッとしました。自分が望む「働き方」とは何か、それを叶えるためにはどうすればいいのか。真剣に考え、試行を始めました。そんな私自身の“働き方革命”を記録したのがこの本です。

「“育児と仕事の両立が当たり前の社会”を目指しながら、逆行する働き方に私自身が陥っていた。それに気づいた衝撃が、“働き方革命”につながりました」

コミュニティ活動から得られる経験や出会いが、自分を育てる

「働き方改革」のためのさまざまな具体策・事例の中から、特にキャリアアップを目指す女性に向けてのアドバイスとしては、「コミュニティ活動への時間の投資」を勧めたいですね。コミュニティとは、地域社会に限らず、趣味を介した仲間、「学び」の場、ボランティア活動なども含まれます。それらの時間が大切である理由は、大きく二つ挙げられます。

一つは、職場だけではなく複数の世界に身をおくことが、自身のスキルアップにつながるからです。大学院に通ったり、習い事をしたり、地域の活動に参加したりすることで、会社にいるだけでは得られない知識や経験を手に入れることができ、それらは今後のキャリアに大いに役立つはずです。また視野が広がることで、この先自分はどう働きたいか、どう生きたいかを考える好機にもなるでしょう。

「『働く』の語源は、『傍を楽にする』。職場での賃金労働だけでなく、周りの人を楽にさせること、楽しくすることもすべて『働く』です。そう定義し直すと、より有意義で幸せな働き方、生き方が可能になるのではないでしょうか」

二つ目は、コミュニティ活動を通して広がる「人とのつながり」の価値です。家族や親友などの“強い絆”だけでなく、地域の人々や、趣味の仲間、あるいはSNS上の友人などの“弱い絆”がしばしば人生に大きな影響をもたらします。実際に、「転職のきっかけとなった人は?」というアンケートを取ると、親友や親を挙げる人は少なく、普段それほど親しくない人がキーパーソンとなるケースが多く見られます。“弱い絆”をソーシャルキャピタルとして自分の周りに張り巡らせる意義は、そこにあります。さらに、独身の女性の場合、コミュニティ活動を増やすことは出会いの可能性を増やすことにつながります。「家と会社の往復で出会いがない」と嘆く前に、自ら出会いの確率を増やすアクションをぜひ起こしてほしいですね。

その会議・その資料は本当に必要?

では、コミュニティ活動に投資する時間はどう捻出すればよいのか。答えはシンプルで、「仕事を定時で終えて帰る」です。もう少し詳しく言うと「成果を出しながら、働く時間を自分でコントロールする」ことが重要で、そのためにはまず、自分の班やチームなどの小さな単位から働き方を変革していくことが有効だと思います。具体的には、チーム内の会議を効率化したり、メールの書き方や資料の書式を見直したりするのも効果的です。例えばチーム内で使用する資料であれば、フォントの大小やイラストの添付といった見栄えを良くするための編集の手間はすべて省けるはずですし、すでにある書類のフォーマットを流用して省力化をすることも可能です。まずは自分の業務の範囲内で生産性を高め、それをチームから部署へ、さらには会社全体へと伝播させていく。その出発点となるのが、一人ひとりの小さな一歩なのです。

「キャリアアップ=昇進」の考えにとらわれないで

キャリアアップを目指す女性にもう一つ提案したいのが、ライフビジョンを明確に持つことです。明確と言っても、決して具体的である必要はなく、例えば「出産後もずっと働き続けたい」「やりがいのある仕事に打ち込みながらすてきなママでもありたい」という抽象的なもので構いません。そして、そのライフビジョンをどう実現していくかという具体的な「戦略」の部分は、状況に応じてアップデートしていく必要があります。つまり、「こうなりたい」という方向性は明確に持ちつつ、それに向かう道筋は柔軟であって良いのです。

加えて、「自分にとってのキャリアアップとは何か」をしっかりと認識することも大切です。キャリアアップ=昇進とは限りません。人によっては独立することかもしれませんし、自分の好きなことで生計を立てること、あるいは自分の能力や経歴をより活かせる職種へとキャリアを転換するという選択肢も考えられます。世間一般のものさしにとらわれず、自分の価値観に沿って主体的にキャリアをデザインしてほしいと思います。

将来的に育児と仕事が両立できるか不安を抱える人や、あるいは今現在、両立のために奮闘中の人もいることでしょう。そんなみなさんに伝えたいのは「どうか仕事は辞めないで!」のひとことです。産休・育休という制度を活用するのはもちろん、パートナーと育児・家事を分担したり、公共や民間のサービスを利用したりと、自分一人で抱え込まずにさまざまな力を借りることで解決できる道はあるはずです。

女性の活躍を推進することは、日本の成長戦略として不可欠であるという認識がここ数年で世の中に定着してきています。ひと昔前なら働く女性だけの問題と見られがちだった待機児童問題も、今では社会全体が解決すべき課題として全国紙の一面にも取り上げられています。このように、私たちの社会は確実に変わっています。だからこそ、より良い5年後や10年後の社会のために、今日から、あなたから、一歩を踏み出してほしいと願っています。

 

NPO法人フローレンス

NPO法人フローレンス

「地域の力によって病児保育問題を解決し、育児と仕事を両立することが当然の社会をつくる」ことを目指し2004年に設立。熱など病気になって看病が必要な子どもの家に専門スタッフを派遣し、両親が帰宅するまで面倒をみる、日本初の「非施設型」「共済型」の病児保育サービスを手掛ける。また2010年からは、待機児童問題解決のため、マンションの空き家などを利用した定員9名までの「おうち保育園」のサービスを開始。これらの取り組みを社会全体で活発化させるために、事業の運営ノウハウは全国小規模保育協議会を通じて基本的にすべてオープンにしている。このほか、被災地支援事業、コミュニティ創出事業なども精力的に展開中。

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八重洲ブックセンター

人気スポット・八重洲を代表する大型書店
本探しはもちろん、ひと息つきたいときにも

2013年9月に完成した『グランルーフ』のオープンで、注目を集める東京駅八重洲口。1978年の開業以来、このエリアを代表するお店として人気の大型書店『八重洲ブックセンター』では、新刊発売に合わせ話題の著者を招いたトークショーやサイン会、シーズンごとのフェアや展示などを数多く開催。
地下1階から地上8階のフロアには、ビジネス書をはじめ、趣味や実用、参考書や写真集など、あらゆるジャンルの本を蔵書している。文具と雑貨のショップ『style F』や公衆無線LANが利用できるコーヒーショップ『ティファニー』を併設し、銀座や有楽町からもアクセスしやすい立地から、女性客や家族連れも多い。インターネット上で本に関する各種相談や通信販売を行う「ブックコンシェルジュサービス」も実施。

八重洲ブックセンター

■八重洲ブックセンター本店

【住所】
〒104-8456 東京都中央区八重洲2-5-1
【アクセス】
JR東京駅八重洲南口、東京メトロ銀座線京橋駅 7番出口(明治屋出口)
【営業時間】
書籍売場 平日(月曜日~金曜日)/10:00~21:00、土日祝日/10:00~20:00
コーヒーショップ「ティファニー」 平日(月曜日~金曜日)/11:00~19:00、
土日祝日/11:00~18:00
【電話】
03-3281-1811(代表)

http://www.yaesu-book.co.jp

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【東京都】
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【神奈川】
京急百貨店上大岡店

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【栃木】
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