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なでしこ銘柄

なでしこ銘柄は、女性活躍推進に関して優れた取り組みを実施する上場企業を、東京証券取引所と経済産業省が選定する制度です。投資家にとって中長期的に価値向上が期待できる企業をまとめて魅力ある銘柄として紹介することで、投資および各企業の女性活躍推進の取り組みを促進することを目標としています。なでしこ銘柄に選定された上場企業がどんな先進的な取り組みを行っているのか、確認してみましょう。


なでしこ銘柄とは

なでしこ銘柄事業は、女性の活躍促進を目的として、東京証券取引所と経済産業省が共同で実施している取り組みです。
東京証券取引所の全上場企業を対象にした女性活躍度調査の回答結果をもとに、TOPIX-17の業種分類別に1業種1社を基本として、毎年度「なでしこ銘柄」企業を選定します。中長期の企業価値向上を重視する投資家に向けて魅力的な投資先として紹介することにより、選定企業の株価の上昇を図り、結果として多くの企業に対し女性活躍推進への取り組みや情報開示を促すことを狙いとしています。

なでしこ銘柄の選定方法

なでしこ銘柄の選定は、各社が提出した女性活躍状況に関する調査票をもとに、有識者から成る審査委員によって行われます。
2022年度からは形式的なデータ確認だけでなく、女性活躍推進に関する企業独自の意見や考え方も評価の対象となりました。例えば、女性活躍推進と経営戦略の関係や、企業価値向上の観点からみた女性活躍推進の位置づけ、目標、達成状況などが挙げられます。ダイバーシティ&インクルージョン経営(人種や性別、年齢、障害の有無にかかわらず多様な人材を受け入れ、それぞれの特性を活かすことで企業価値・社会的価値の向上を図る経営手法)を実践するための取り組みと、その開示状況が評価対象となります。

経済産業省 女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」

なでしこ銘柄選定企業の求人一覧

企業選びでの「なでしこ銘柄」のチェックポイント

なでしこ

女性が活躍しやすい企業が分かる

多くの上場企業が女性活躍推進に取り組んでいますが、その中でも取り組みが高く評価されている企業は、「なでしこ」として選定されます(過去には次点となった「準なでしこ」の選定もありました)。業種ごとに選定されているので、希望する業界でどの企業が女性活躍推進のトップランナーか分かります。もし上場企業で働きたいのであれば、この指標が参考になるでしょう。

上場企業の企業研究に役立つ

銘柄に選定されなかった場合でも、各企業から集められた調査票のデータは、一部の項目を除き公表されています(ただし、公表に同意した企業に限ります)。定性情報(独自の戦略や経営トップのメッセージなど、数値化できない情報)についても、選定企業に限りますが審査委員の評価とともに事例集として公表されます。各企業の女性の活躍状況、ダイバーシティ&インクルージョンに対する考えや取り組みなど、企業研究をする際には大いに役立つでしょう。

女性活躍の傾向を見る

応募結果から、女性活躍推進に対する上場企業の取り組み、傾向を読み取ることができます。最新の傾向を、令和4年度「なでしこ銘柄」レポートから一部紹介します。

  • 業種を問わず「女性正社員比率」に比べ「女性正社員採用比率」が高いことから、女性社員の採用に積極的な企業が増加している。
  • 女性正社員の育児休業からの復帰率と、女性の社内取締役比率(社外から招いた取締役ではなく、社内昇進による取締役)に相関性が見られないことから、いわゆる「マミートラック(出世コースから外れた状態)」に陥る危険性が想定される。

経済産業省 令和4年度「なでしこ銘柄」レポート

これらはあくまで回答企業のデータからみた一見解ですが、キャリアプランを立てる際のヒントとなるでしょう。

ここでは、「なでしこ銘柄選定企業」×「女性の転職人気企業」のトピックスをご紹介します。
2022年なでしこ銘柄選定企業のうち、「味の素」と「資生堂」は2023年度「女性の転職人気企業ランキング」にもランクインしました。

トピックス1:人事評価の「見える化」による人材活用プロジェクト

なでしこ銘柄事業が目指すダイバーシティ促進には、多種多様な人材の能力を最大限に引き出す施策が必要となります。なでしこ銘柄に選定された企業のうち、2023年度「女性の転職人気企業ランキング」で16位にランクインした味の素は、2021年から「人財マネジメントシステム(人材情報を一元管理し、人材育成や評価などのマネジメントを効率化する仕組み)」を導入。全社員の経歴やスキルの情報を開示することで、埋もれがちな人材の活用や、自律的なキャリア形成に役立てています。

トピックス2:キャリア自律のためのサポートプログラム

女性の活躍を推進するために、産休・育休制度の充実や柔軟な働き方の整備などに取り組む企業は多くなってきました。制度を導入するだけではなく、管理職や従業員を含め全社員の意識・行動変容によって、女性が管理職を目指しやすくなり、多様な働き方に対する理解を促進することが重要とされています。

同じくなでしこ銘柄企業に選定され、女性の転職人気企業ランキングで9位に選ばれた資生堂は、女性社員のキャリア自律支援に力を入れています。自己成長やキャリア形成に悩む女性社員を対象に、女性役員自身の経験をもとに直接対話する少人数ミーティングを2020年から、管理職・若手社員を対象にしたキャリアメンタリングプログラムを2022年から実施しています。

トピックス3:性別役割分担の意識改革に向けた取り組み

女性が活躍できる環境づくりには、「男性は仕事、女性は家事・育児」といった性別役割分担の意識をなくすことも重要です。資生堂は、男性社員の仕事や生き方に対する価値観の多様化に向けた取り組みを積極的に行っています。まず、国内グループの男性社員の育児休業取得率100%(2021年末時点34.3%)を目標に掲げ、男性社員向けの体験型育児トレーニングプログラムを実施。性別にとらわれない育児サポート体制を強化しています。

味の素は、エンゲージメントサーベイ(従業員が組織に対して抱いている期待と現状とのギャップを定量的に把握するための社内調査)の結果における男女間の得点差を経年比較し、2030年までに得点差がほとんどないレベルまで解消することを目標に掲げています。

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