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Vol.2会社情報(IR・財務)の読み方入門講座

有価証券報告書とは?決算短信など、IR情報で見るべきポイントは?

転職先として考えている会社の情報を収集するのに最も効果的なものが企業の「IR情報」です。しかし、IRページをのぞいてみたけど…どこを見たらいいのか、何がポイントなのか、よく分からない!といったところのが初めてIRページを見た時の感想でしょう。情報が多すぎるために、大切なことや本当のことを見失いそうになるのです。今回は、どこを見れば効率的に情報収集できるかお伝えします。

IR情報とは?

IR(Investor Relations)情報は、企業が投資家に向けて開示している情報の総称です。企業の業績やビジネスモデル、強み、弱みなどの詳しい情報を効率的に知ることができます。就職・転職の際の企業研究に必ず活用したい「情報の宝庫」なのです。今回は、それぞれの報告書の目的と違いをご紹介します。

IR情報を見るときのポイント
決算短信でザックリ把握
→有価証券報告書で財務状況と「強み・弱み」を把握
→統合報告書/アニュアルレポートで、中長期的目線で企業を把握

決算短信ってなに?「現在と未来の成長性を確認する」

「決算短信」は決算時の発表内容を速報的にまとめたものです。正式な決算書として後ほど述べる、「有価証券報告書」が決算日から3カ月以内に発表されます。これに対して、「決算短信」は財務諸表の情報をコンパクトにまとめてあり、まずは「決算短信」から会社を読み解くのがオススメです。

見るべき項目は2つ。「連結経営成績」と「連結業績予想」です。
こちらが、実際の決算短信になります。(注:東証の雛形を使用)

決算短信

「連結経営成績」で、現在の企業の成績を確認し、「売上高」「営業利益」の伸び率で企業の成長を確認します。「連結業績予想」では、通期の業績の予想をチェックしその企業の「成長性」を確認します。

連結ってどういう意味?

決算短信などの決算書を見ていると、「連結決算」「連結業績」という言葉を目にすることがあります。これは、親会社だけでなく、国内・海外子会社および関連会社を含めたグループ全体の決算方法のことです。連結決算では、企業グループ全体の損益計算書や貸借対照表を連結財務諸表として公開しています。

1978年3月期決算会社から連結での作成が義務付けられましたが、日本では、単独決算を重視していたこともあり、連結決算の情報開示はほとんど行われていませんでした。しかし、連結決算の情報は重要な業績の判断指標となるため、2000年3月期から証券取引法(現在の金融商品取引法)のディスクロージャー制度を大幅に見直し、現在は連結決算中心の開示になっています。

連結決算が一般的だった米国や英国企業との国際競争力を比較するさせるためにも、日本もグループ企業全体の実態を開示する必要があります。現在、日本企業でも導入が広がっているIFRS(国際財務報告基準)では、連結決算での開示が求められています。企業グループ全体の決算である連結決算が今は主流なのです。

有価証券報告書ってなに?平均給与も知ることができるってホント?

決算短信で、企業の売上高や利益の成長性を確認してから、さらに、深掘りをしていく時にみるものが有価証券報告書になります。

「稼ぎ頭のセグメントはどこか」「財務は安定しているのか」「この企業の課題は何か」などを知りたい場合は、「有価証券報告書」を見ると分かります。これらは、企業の実態を数字で客観的に見ることができる資料です。企業の平均給与も知ることができます。

資料を見るときの重要なポイントは次の3つです。
【企業情報】【貸借対照表】【損益計算書】

企業情報

企業情報には、その企業が属している業種やビジネス領域の市場動向や課題、リスクについて書かれていることが多いため業界分析に役立ちます。また、その企業の抱える課題と将来展望や、セグメント別の解説があるので、まず、ここをチェックします。ある人材サービス会社では「事務領域」「中途採用」「IT人材」「新規事業」「海外」などに分かれています。

さらに、従業員の状況の欄ででは、セグメントごとの従業員数や、社員の平均給与が公開されています。転職先の平均給与はチェックしておきたいもの、ぜひ活用してみてください。

貸借対照表

次に、その企業が安定しているのかの判断材料になるのが「貸借対照表」です。

図表1 貸借対照表の見方

図表1 貸借対照表の見方

「貸借対照表」では純資産の割合に注目します。「純資産」は返済する必要のない資金(自己資本)であるため、多ければ多いほど、財政状況が安定した会社だといえます。一方、「負債」が多い場合は返済する必要のある借金が多いため、その企業の財務の安定に影響を与えます。一般的に、純資産の割合が総資産の70%以上であれば理想的であるといわれており、40%以上であれば倒産しにくい企業といわれています。

【損益計算書】

続いて、売上高や利益などの経営成績については「損益計算書」を見ます。企業が1年間で出した利益と、費用について記載されています。ポイントは、前年度と比較することです。企業の成長は、前年度と比べて業績が向上しているのか、下降しているのかを数字でみることで、判断することができます。

損益計算書

統合報告書/アニュアルレポートとは?

統合報告書やアニュアルレポートは、企業の「個性を表す内容」と「財務データ」の両方の情報を掲載することで、独自の強みや経営ビジョンや今後の事業展開などについてまとめた報告書です。企業が目指す姿に向けてのロードマップが示されています。

統合報告書が作成されていない場合は、アニュアルレポートを探してみてください。統合報告書の歴史はまだ浅く、2010年ごろから発行が始まり、19年末で513社(非上場企業なども含む)とまだ作成している企業数自体が少ないです。

<主な項目>
・沿革、業績、事業内容、活動内容、サステナビリティ活動
・中長期戦略
・トップメッセージ
など

近年、企業はESG(環境・社会・企業統治)などの活動を積極的に行っていることを、投資家に発信する必要性が高まっています。そのため、非財務情報である、企業の個性や企業の横顔を見ることができるようになりました。転職先の企業がどのような考え方を大事にしている企業であるか、どのような文化を持った企業かを知ることができます。

企業によって内容は多少異なりますが、経営活動の幅広い情報が、1つにまとめられています。

まとめ

IR情報をしっかりと理解することで、「企業の強み・弱みは何か」「企業をより成長させるためにどんな取り組みを行ったらよいか」「企業が直面している問題点は何か」など、企業の抱えている課題と目指している未来を把握することができます。

執筆者:馬渕 磨理子
フィスコ 企業リサーチレポーター
京都大学公共政策大学院修了。日本テクニカルアナリスト。
医療法人でトレーダーとして資産運用に携わり、現在はフィスコで活動。同時に日本クラウドキャピタルでもマーケティングに従事。プレジデントやSPA!など多数執筆。
Twitter https://twitter.com/marikomabuchi
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