スマートフォン版で表示

現在、お知らせはありません。

シェアする
このエントリーをはてなブックマークに追加

Vol.8会社情報(IR・財務)の読み方入門講座

総資産とは?総資産回転率を見ると何が分かるの?

貸借対照表損益計算書の「キホン」を押さえたら、その理解をベースに、財務分析を行っていきます。今回は、次のステップの実践編にあたる、総資産回転率を見ていきましょう。総資産回転率は貸借対照表 と損益計算書の2つにまたがるデータを使います。

この記事を要約すると…

  • 総資産とは、会社が運用している財産の総額=資産の合計を表したもの
  • 保有する財産の総額であり、会社の大きさ(規模)を表す代表的な指標の一つ

※別の用語を調べる

総資産ってなに?

総資産とは、会社が運用している財産の総額すなわち資産の合計を意味するものです。資産には「流動資産」や「固定資産」「繰延資産」などがありますが、これら会社のすべての資産を合算したものをいいます。これは、貸借対照表 (B/S)の左側の借方(かりかた)をすべて合算したものです。またこれらの総資産は右側の貸方(かしかた)にあたる「負債 」と「純資産」の合計額である「総資本」と常に一致します。

総資産

総資産が大きいと何がいいの?

上記で見てきたとおり、総資産は会社が保有している財産の総額であることから、会社の大きさ(規模)を表す代表的な指標の一つです。そのため、財務諸表をチェックする際の一つの重要な数値となっており、上場企業 においては、株式ランキング の一つの項目になっています。

経営効率が分かる、総資産回転率とは?

総資産回転率は、総資産が企業の収益にとって有効に活用されているかどうかを判断できる指標です。資産が何回、回転して売り上げになったのかを示すもので、単位は「回」となります。総資産回転率を総資本回転率と表記することもありますが意味はまったく同じです。

総資産回転率は、貸借対照表損益計算書 を横断的に見ます。貸借対照表の「総資産」と損益計算書の「売上高 」を比べて、会社の資産を用いてどれくらい売上高を上げているのかを確認します。

総資産回転率

経営の効率性を知りたいときに役立ち、これを数字で見ていくものが、総資産回転率です。小さな投資で大きな売上高を上げている企業の効率は良いですが、大きな投資をしても売上高が小さい企業は効率が悪い企業と言えます。

総資産回転率

2つの会社を例に、実際の総資産回転率を比較してみましょう。

総資産回転率=売上高÷総資産

  A社 B社
総資産 80億円 20億円
売上高 100億円 100億円
総資産回転率 1.25(回) 5(回)

上記のA社、B社を計算式に当てはめて、総資産回転率を計算すると次のようになります。

A社  100億円÷80億円=1.25(回)
B社  100億円÷20億円=5.0(回)

同じ売上高100億円の企業でも、A社の総資産回転率が1.25回なのに対して、B社の総資産回転率は5回になります。B社のほうが少ない資産で効率的に売り上げていることになります。総資産回転率は、数字が大きいほど効率的な会社であることを意味します。

業種別の総資産回転率の目安

各業種の総資産回転率の目安は下の表のようになります。

業種 総資産回転率(回)
建設業 1.32
製造業 1.03
情報通信業 1.00
運輸業 1.18
卸売業 1.70
小売業 1.71
不動産業 0.31
飲食・宿泊業 1.03
サービス業 1.23

業種によって総資産回転率の数値に差があります。上記の数値を参考に、就職・転職先の企業と類似している産業を比較してみてください。比較して回転率が高い場合は、効率的な運営をしていると推測できます。一方、回転率が低い場合は、無駄な部分がある可能性があります。業種によって総資産回転率に違いがあるものの、回転率は「1.0から1.6」の間がひとつの目安になります。これを上回るのか、下回るのかを判断しましょう。

総資産回転率が高い会社 業種別TOP10

総資産回転率が高い会社 業種別TOP10
(東証一部、時価総額500億円以上、マネックス証券スクリーニングより、2020年10月16日時点)

まとめ

ポイント

  • 総資産回転率とは、資産が何回、回転して売り上げになったのかを示す
  • 総資産回転率の単位は「回」
  • 総資産回転率を総資本回転率と表記することもありますが意味はまったく同じ

今回は、総資産と総資産回転率が企業の収益にとって有効に活用されているかどうかを判断できる指標であるということをお伝えしました。貸借対照表と損益計算書を学ぶことで、さらに一歩、決算書が示している数字の意味を理解できるようになりますね。Vol.9「自己資本比率とは?業種別では何%くらいが目安なの?」では、自己資本比率について解説します。

執筆者:馬渕 磨理子
フィスコ 企業リサーチレポーター
京都大学公共政策大学院修了。日本テクニカルアナリスト。
医療法人でトレーダーとして資産運用に携わり、現在はフィスコで活動。同時に日本クラウドキャピタルでもマーケティングに従事。プレジデントやSPA!など多数執筆。
Twitter https://twitter.com/marikomabuchi
プレジデントオンラインの記事は累計6000万PV超え
転職の疑問・悩みを直接キャリアアドバイザーに相談したいなら
エージェントサービスに申し込む(無料)
疑問・悩みが解決したら、気になるこだわり条件から求人を探そう!
求人情報を検索する

診断・書類作成ツール

  • 年収査定
  • 合格診断
  • 職務経歴書をかんたん作成/レジュメビルダー
  • 自己PR発掘診断
  • キャリアタイプ診断
  • 転職タイプ診断
  • モヤモヤ診断

関連記事

シェアする
このエントリーをはてなブックマークに追加