スマートフォン版で表示

現在、お知らせはありません。

シェアする
このエントリーをはてなブックマークに追加

Vol.14会社情報(IR・財務)の読み方入門講座

設備投資とは? 金額の増減で何が分かるの? 減価償却との関係も解説

今回は「設備投資」について解説します。企業が経営や業務を継続して発展させるために必要な設備への投資を、「設備投資」と呼びます。ぜひ知っておきましょう。また「設備投資」と深い関係があるものが「減価償却費」です。それぞれの関係と読み方をまとめます。

この記事を要約すると…

  • 企業の成長ぶりを知りたい場合は「設備投資額」をチェック。
  • 「減価償却」とは一度に経費計上するのではなく、「分割」して計上するルールのこと。
  • 「設備投資」と「減価償却」の関係は表裏一体ですが、単年度で考えてはいけません。

※別の用語を調べる

1.設備投資とは?

設備投資とは、企業が経営や業務を継続して発展させるために必要な設備に対して行う投資のことです。企業が商品を生産したり新商品を開発したりするのに必要な設備を用意するための資金投入のことを指します。具体的には、「土地」「建物」「機械」「備品」「車両」「ソフトウェア」など、数年、場合によっては数十年にわたって使用するものです。設備投資は、大きく2種類に分類され、建物や機械設備など、目に見えるものを「有形固定資産」、ソフトウェアや商標権、特許など目に見えないものを「無形固定資産」といいます。

例えば、テレビ工場では、テレビを製造するための工場や工作機械を有形固定資産と呼びます。目に見えるモノに投資するものが「有形固定資産」です。一方、新型テレビを開発するための開発費用のように目に見えないものへの設備投資を「無形固定資産」と呼びます。無形固定資産はパソコンソフトや特許権、商標権などが当てはまります。企業が設備投資を続けていることは、会社全体が成長へと向かっていることを意味します。企業の成長ぶりを知りたい場合は、設備投資額の増減をチェックしてみるというのも有効な手段だといえるでしょう。

2.設備投資は財務諸表のどこを見ればよいの?

「設備投資額」を確認するために、財務諸表のどこの項目を見たらよいかですが、有価証券報告書に「有形固定資産等明細表」の項目がある企業はそこで当期増加額の欄を確認します。「設備投資等の概要」に項目ごとの設備投資額が掲載されています。

設備投資等の概要

また、【セグメント報告】の項目では、セグメントごとに有形固定資産・無形固定資産の増加額が記載されていますので、どのセグメントの設備投資を増加させているかなども把握できます。

セグメント報告

3.減価償却費とは?

減価償却とは、金額の高い車やパソコンなどを購入した時に、その購入代金を、購入した年に一度に経費とするのではなく、分割して少しずつ計上するルールのことをいいます。例えば、400万円の車を買ったとします。購入した年に400万円すべてを経費とするのではなく、「今年は50万、翌年に50万、翌々年に50万円…」というように、400万円を何年かで少しずつ経費にするというルールがあります。これが減価償却です。

4.減価償却費は財務諸表のどこを見ればよいの?

では、減価償却費の額を確認するために、財務諸表のどこの項目を見たらよいか。まず、今まで発生した減価償却費を合計した金額にあたる「減価償却累計額」は、貸借対照表(B/S)に計上されます。また、1年間の「減価償却費」を知りたい場合は、キャッシュフロー計算書を見ます。「営業活動によるキャッシュフロー」の項目の、上から2行目に「減価償却費」という項目があります。これが、1年間の減価償却費の合計額になります。

<貸借対照表 減価償却累計額>

貸借対照表 減価償却累計額

<営業キャッシュフロー計算書 1年間の減価償却費>

営業キャッシュフロー計算書 1年間の減価償却費

5.設備投資と減価償却費の関係とは?

会社の成長のために、資金を使って「設備投資」するわけですが、その投資は長期間(2事業年度以上)にわたって消費するものです。何年もかけて使用するものの経費を1年で計上してしまうと、会社の利益を圧迫します。そのために、減価償却で分割して経費を計上していきます。「設備投資」と「減価償却」の関係は表裏一体ですが、単年度で考えてはいけません。「設備投資」は、会社が行う将来への投資です。設備投資の金額が、減価償却費を下回るようなことになれば、設備が実質的に減ることになります。反対に設備投資が減価償却費を上回れば、会社の設備が充実し、会社が成長方向に向かっていると判断できます。

執筆者:馬渕 磨理子
フィスコ 企業リサーチレポーター
京都大学公共政策大学院修了。日本テクニカルアナリスト。
医療法人でトレーダーとして資産運用に携わり、現在はフィスコで活動。同時に日本クラウドキャピタルでもマーケティングに従事。プレジデントやSPA!など多数執筆。
Twitter https://twitter.com/marikomabuchi
プレジデントオンラインの記事は累計6000万PV超え
転職の疑問・悩みを直接キャリアアドバイザーに相談したいなら
エージェントサービスに申し込む(無料)
疑問・悩みが解決したら、気になるこだわり条件から求人を探そう!
求人情報を検索する

診断・書類作成ツール

  • 年収査定
  • 合格診断
  • 職務経歴書をかんたん作成/レジュメビルダー
  • 自己PR発掘診断
  • キャリアタイプ診断
  • 転職タイプ診断
  • モヤモヤ診断

関連記事

シェアする
このエントリーをはてなブックマークに追加