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Vol.4会社情報(IR・財務)の読み方入門講座

資本金って何?よく会社概要に書かれているけどなぜ?

転職を考えている会社の情報を収集していると「資本金」を目にすることがありますが、資本金とは「会社を設立するにあたって必要なもの」くらいのイメージで、その意味や役割はよく分からない方が多いのではないでしょうか? 資本金を見れば、会社の規模だけでなく、資金調達、株主との関係なども理解できるようになるのです。

この記事を要約すると…

  • 資本金とは「ビジネスを運営する上での元手金のこと」
  • 資本金には「経営者の手元資金」と「投資家からのお金」の2種類がある
  • 資本金は多ければ企業としての信頼性は高く、それなりの経営体力があると認知される

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資本金ってなに?

資本金が何なのかが分かると会社のことがより理解できます。就職・転職を機にあらためて整理しておきましょう

☆ポイント
資本金とは「ビジネスを運営する上での元手金のこと」です
資本金には「経営者の手元資金」と「投資家からのお金」の2種類があります

企業が事業を進めるためにはお金が必要です。会社を設立するにあたって経営者が自分で持っている手元資金だけでなく、事業を立ち上げるために株主や投資家から調達した資金も資本金(貸借対照表(B/S)に記載)に分類されます。これらは、会社の売上高や業績(いずれも損益計算書(P/L)に記載)と直結するものではありません。

資本金は、過去に出資を受けた額の合計額です。つまり、資本金の額は会社の業績とは切り離されて金額が固定されるものです。会社が事業からどれだけ利益を上げても資本金の額は変わらないのです。

そのため、資本金が少なくても大きな売上高を計上している会社があります。資本金は(「有価証券報告書とは? 決算短信など、IR情報で見るべきポイントは?」でもお話ししましたが)、決算資料の貸借対照表の純資産の項目に記載されています。

☆ポイント
資本金は貸借対照表の純資産に掲載されている

図表 貸借対照表と資本金の含まれる項目

図表 貸借対照表と資本金の含まれる項目

よく会社概要に書かれているけどなぜ?

資本金は企業ホームページの会社概要に書かれています。会社概要は会社の全体像を把握するのに非常に便利なので、就職・転職先企業の会社概要は必ずチェックするようにしましょう。

資本金は企業の手元資金なので、その大きさは企業の規模や体力の目安になります。会社の設立は1円からでも可能ですが、資本金が多いほど「事業の規模が大きく、安定した経営をしている会社であり、安心して取引できる」という印象を与えることができるので、企業ホームページの会社概要に書かれていることが多いのです。

資本金は返済の必要のないお金(手元資金)であり、上場企業だけでなく非上場企業でも公開されている情報です。

世の中には事業に必要な資金を調達する方法に「資本金」または「借金」の2種類があります。資本金はエクイティ(株式資本)の増加をもたらす資金調達であり、調達した資金は貸借対照表において資本の部に入ります。返済義務のないお金です。

一方、借金はおもに金融機関から借り入れる方法で、貸借対照表の負債に記載され、返済義務のあるお金です。

企業の運転資金である資本金が多ければ、会社の資金繰りは楽になりますし、金融機関からお金を借りずに経営をすることができます。

☆ポイント
企業のお金の集め方(資金調達方法)には2種類ある
①資本金 株式の発行により投資家から調達 返済義務のないお金
(エクイティファイナンス)
②借金  金融機関などからの借り入れ 返済義務のあるお金
(デットファイナンス)

資本金の情報から見えることとは?

特に、未上場企業の資金調達方法としては、株式を発行して資金を調達するエクイティファイナンスが重要な位置付けになっています。金融機関からの借り入れは企業の業績や実績が求められますが、まだ世の中にない先進性の高いビジネスモデルの企業は実績がないためエクイティファイナンス(投資家から調達した返済義務のないお金)での資金調達を行います。

例えば、AmazonやUberなど、今では世界的な企業になっていますが、創業当時は世の中にまだないビジネスモデルであったことから、金融機関からの借り入れは難しく、エクイティファイナンスでの資金調達を行って成長してきました。

日本でも近年、エクイティファイナンスの重要性が認識され、未上場企業の多くがエクイティファイナンスでの資金調達により事業を前に進めています。そのため、未上場企業でも数十億円規模の資金を調達し、資本金に掲載している企業も多いので、ぜひ会社概要で確認してみてください。

また、上場企業であれば、資本金として資金調達した先の株主名・企業も公開しています。どこからお金を調達しているかを見ることで、関係の深い企業を知ることができます。

資本金の中まで見ていくと、その企業の向かっている方向性を垣間見ることができるかもしれません。資本金一つをとっても、就職・転職先の企業がどんな株主から資金調達しているのか、どこの銀行から融資を受けているのか。このような観点から企業を見ると、今まで見えてこなかった企業の姿を知ることができます。

自分がその企業で、どんな役割を果たし、どんなふうに活躍できそうかまで、想像しながら見てみるのもいいでしょう。

資本金が多いと何がいいの?

ここまでお話ししてきたように、資本金とは株主から受け取る出資であるため、資本金が多ければ企業としての信頼性は高く、それなりの経営体力があると認知されます。

資本金にはある意味、「その企業の株主の応援の気持ちや、成長への期待」が込められているものなのです。

しかし、業界や事業内容によって必要な資金の大きさは異なります。例えば、工場などの設備に投資が必要なメーカー、電力、通信は一般的に資本金が大きくなります。また金融業界は過去の金融危機の経験から自己資本を高めなければならないといった世界的な決まりがありますので、資本金が大きくなります。

一方、IT業界は設備が製造業に比べて少なくても事業を進めることができるため、資本金は少なくなります。それでは、日本における資本金ランキングTOP10を見ていきましょう。

資本金ランキングTOP10

順位 コード 企業名 資本金(百万円)
1 6178 日本郵政 3,500,000
2 7182 ゆうちょ銀行 3,500,000
3 8316 三井住友フィナンシャルグループ 2,339,964
4 8411 みずほフィナンシャルグループ 2,256,767
5 8306 三菱UFJフィナンシャル・グループ 2,141,513
6 4502 武田薬品工業 1,668,123
7 9501 東京電力ホールディングス 1,400,975
8 9437 NTTドコモ 949,680
9 9432 日本電信電話 937,950
10 6758 ソニー 880,214
11 7201 日産自動車 605,814
12 8604 野村ホールディングス 594,493
13 8303 新生銀行 512,204
14 7181 かんぽ生命保険 500,000
15 9503 関西電力 489,320
16 6501 日立製作所 459,862
17 9502 中部電力 430,777
18 5401 日本製鉄 419,524
19 6701 NEC 397,199
20 7203 トヨタ自動車 397,050

(2020年12月1日時点)

まとめ

資本金を理解することで、その企業がどれだけの投資家から「応援されてきた」または「応援されている」のかを知ることができます。企業・経営者の信頼の積み重ねの結果が資本金に表れているとも言えます。ただ、資本金は過去に出資を受けた額の合計額であり、現状の業績と直結しているわけではないので、企業の売上高や利益なども必ず確認するように心がけましょう。

執筆者:馬渕 磨理子
フィスコ 企業リサーチレポーター
京都大学公共政策大学院修了。日本テクニカルアナリスト。
医療法人でトレーダーとして資産運用に携わり、現在はフィスコで活動。同時に日本クラウドキャピタルでもマーケティングに従事。プレジデントやSPA!など多数執筆。
Twitter https://twitter.com/marikomabuchi
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