この記事を要約すると…
- 貸借対照表は、企業が保有している「財産」を記録したもの
- 「資産 」「負債 」「純資産 」の3つの要素で構成されており、企業の財政状態について記載ある
貸借対照表とは?
貸借対照表については、『資本金って何? よく会社概要に書かれているけどなぜ? 』でも触れていますが、今回は貸借対照表が何なのかをあらためて、シンプルにお伝えします。
☆ポイント
・貸借対照表は、企業が保有している「財産」を記録したもの
・貸借対照表は「ストック」、損益計算書は「フロー」
貸借対照表は、企業が保有している「財産」を記録したものです。企業がいくら財産を持っているのかを確認できます。また、借金についても記載しています。たくさんお金や不動産(財産)を持っていても、それ以上に借金が多ければ財産はゼロです。その企業の財政状態について記載されたものが、貸借対照表です。
英語ではバランスシート(Balance Sheet)と呼ばれており、日本でも頭文字を取って「B/S」(ビー・エス)と呼ばれています。
損益計算書と貸借対照表との違いは?
貸借対照表に示されている内容は、会社設立以来の資産 や資金の増減です。一方の損益計算書 では、ある1年間に限った収支を集計します。つまり、貸借対照表で分かるのはある時点での“残高”ですが、損益計算書には1年間の収支の動きが記載されています。このことから貸借対照表を「ストック」、損益計算書を「フロー 」と呼ぶこともあります。
具体例を挙げると、損益計算書には売上高 や営業利益 など決算短信で必ず確認しなければならない事項が記載されています。ある企業の損益計算書に、売上高は前期1.5倍、営業利益も1.5倍と非常に業績が順調であることが示されていたとしましょう。
これだけを見て、この企業の財務状況が安全だとは判断できないのです。もし業績が悪化した場合に借金を返せるのかといったことまでは損益計算書だけでは分かりません。
そこで、貸借対照表の出番です。
借金の有無、土地や設備などの資産や、今までの利益の積み重ねがどれくらいあるのかを貸借対照表でみて、その企業の財務の安全性を確認することができるのです。貸借対照表も有価証券報告書、決算短信に記載されていますので、ぜひチェックしてみてください。
貸借対照表から分かること
貸借対照表の「調達状況」と「運用状況」とは
負債が少ない会社はいい会社?
ここまでの話のなかでお気づきかもしれませんが、財務の健全性という観点からは負債 が大き過ぎることは問題です。しかし、企業の成長を加速させるためには負債(借り入れ)が必要になる場合があります。
前述の例のように200万円の借り入れを銀行から行うことで、工場を手に入れるこができ、これによって、生産活動を加速させ、企業収益にもつながります。必ずしも借金が悪いわけではありません。
一般的に、負債比率は低いほど、経営が安定していると見なされます。100%以下であれば、自己資本ですべての負債を返済できるため、適切な水準であると考えられます。また、101~300%は標準的水準であり、無理のない返済計画が立てられる場合、返済能力に問題ないと判断されています。この辺りの数字を目安にして、企業の負債の比率をみてください。
【計算式】
負債(他人資本)÷自己資本×100=負債比率(%)
上記の例であれば
負債(200万円)÷自己資本(100万円)×100=負債比率 200(%)
貸借対照表という言葉だけを聞くと難しく感じるかもしれませんが、図解してみると実は読み方は簡単なのです。
まとめ
今回は貸借対照表の基本をお伝えしました。この理解を元に、Vol.8「総資産とは?総資産回転率を見ると何が分かるの?」では財務分析をしていきます。総資本回転率という、総資本(総資産)が企業の収益にとって有効に活用されているかどうかを判断できる指標をお伝えします。
フィスコ 企業リサーチレポーター
京都大学公共政策大学院修了。日本テクニカルアナリスト。
医療法人でトレーダーとして資産運用に携わり、現在はフィスコで活動。同時に日本クラウドキャピタルでもマーケティングに従事。プレジデントやSPA!など多数執筆。
Twitter https://twitter.com/marikomabuchi
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