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2019.4.22
Q. 女性がモヤモヤしやすいのはなぜ?
アラサー女性にとって“〇〇が増えたこと”が
モヤモヤの原因。
心理学の視点からそのわけを解説します!
結婚や出産、転職など、女性は生きているだけで選択を迫られる機会が多いもの。
「結婚しても今の仕事を続けられるのか?」「私はこのままでいいのだろうか?」など、将来についてモヤモヤとした気持ちを抱えている人も少なくないでしょう。
成人期の発達臨床心理学の研究に携わる広島大学の岡本祐子教授は、「女性が社会で活躍するようになり、生き方や選択肢が増えた。それは、喜ばしい変化であるが、女性たちにとって新たな迷いや焦燥を生むことになってきている」と言います。
女性の人生は細かく枝分かれしている
岡本教授の著書『新 女性のためのライフサイクル心理学』(福村出版)に登場する「現代女性のライフサイクルの木」を見てみましょう。これは、女性の人生の分岐を木の枝に見立てたもの。一見するだけで、細かく枝分かれしていることが分かります。
社会に出た女性の生き方は、大きく3つに分けられます。
1.専業主婦型(結婚・出産を機に退職)
2.両立型(結婚・出産をしても仕事を継続)
3.非婚型(結婚しないで仕事を継続)
出産や再就職などを機に、ライフコースはさらに細分化します。この細かい枝分かれの分だけ、女性は「いつ、どの人生を選ぶのか」といった選択を突きつけられています。自分にとってベストな答えは何なのか。複数の選択肢を行ったり来たりしながら考えることになるのです。
選択肢の数だけモヤモヤもある
次に、『新 女性のためのライフサイクル心理学』を参考に女性がモヤモヤを抱える理由を考えていきます。
モヤモヤする理由①“自分らしさ”を自分でコントロールできない
女性の場合、結婚や出産、親の介護などにより、働き方や生き方を変えなくてはならないケースが多く、これまで築いてきたアイデンティティ(自分らしさ)が自分の意思とは関係なく断たれてしまう可能性を多くはらんでいます。
一方で、結婚や出産により、「妻」や「母親」など新たなアイデンティティが生まれることも。「○○ちゃんママ」「〇〇さんの奥さん」と呼ばれることも増えるため、自分が自分でなくなるような感覚を覚えるケースもあるようです。
これらのことから、「女性は自分の一生を通じて直線的、連続的にアイデンティティを形成、発達させにくい」と岡本教授は言います。自分ではコントロールできない環境や立場の変化によって、自己形成やキャリア形成が難しいとなると、女性がモヤモヤしてしまうのは当たり前なのかもしれません。
モヤモヤする理由②仕事をしながら人生の選択を迫られる
厚生労働省が発表した「平成29年人口動態統計(確定数)の概況」によると、女性の初婚年齢の平均は29.4歳で第一子出産の平均年齢は30.7歳。アラサーのころに結婚や出産を決断する人が多いことがうかがえます。
この統計からも分かるように、30代前半の女性は仕事をしながらも、結婚、出産、育児などの選択に直面しています。選んだ内容によっては「母親」や「妻」などの新たな役割が誕生し、その都度「自分らしさ」と向き合うことになるのです。また、どのような職業に就くかによってこれらの影響も変わるため、すべてを切り離して考えることは難しいそうです。
モヤモヤする理由③“選ばなかったほう”の人生に後ろ髪を引かれてしまう
「1つの生き方を選択することは、選ばなかった別の生き方を断念することである」と岡本教授。仮にベストな選択をしたとしても、後に「あの時、別の人生を選んでいたら…?」と自分の生き方に疑問を感じてしまうこともあるのです。
現在のアラサー女性を取り巻く環境は、彼女たちの母親世代のころと比べて、生き方や価値観が多様化し、選択肢も増えています。自由度は高まっている一方で、選択肢が多いからこそのモヤモヤも多いのです。
「女性の多くは、母や妻、仕事人など、さまざまな役割を担い、しかもどの役割にも主体的に関わらなければなりません。ですが、そのたびに葛藤や危機に直面して、必然的に危機対応能力を養っているとも言えるでしょう。いろいろな顔を持つことは、アイデンティティの発達を促進させてくれる可能性が高いのです。ですから、選ばなかった人生を悔やむのではなく、とことんモヤモヤして自分と向き合ってみてください」
と岡本教授。たくさんの役割をこなしがならモヤモヤと葛藤することは、自分と向き合い、自分を掘り下げる良い機会と考えられそうです。
まとめ
- 女性がモヤモヤしやすいのは…
-
・女性が社会で活躍するようになり、生き方や選択肢が増え、迷いや焦りを生んでいる
・特に30代前半のアラサー女性は、仕事をしながらも、結婚、出産、育児などの選択を迫られ、モヤモヤする機会が増える
という社会背景があるようです。
モヤモヤの渦中にいる時は、苦しいかもしれません。でも、そんな自分を否定するのではなく、自分と向き合える良い機会として、受け止めてみるといいかもしれません。
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監修者プロフィール
- 岡本祐子教授
- 広島大学大学院教育学研究科心理学講座教授。教育学博士、臨床心理士、公認心理師。
「成人期の発達臨床心理学」をテーマに研究に携わる。2012年8月、これまでのアイデンティティ研究・ライフサイクル研究の成果が国際的に認められ、アメリカ合衆国Austen Riggs Centerより、Erikson Scholarの称号を授与された。
・厚生労働省「平成29年(2017)人口動態統計(確定数)の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei17/index.html