#016
2019.7.29
Q.昔からの友人と話が合わない。
この先の付き合い方が分からずモヤモヤ…解決策は?
近ごろ、学生時代からの友人と話が合わない。
環境が変わると友人関係は続かないものなの?
学生のころ、いつも行動をともにし、何でも相談し合えた友人たち。卒業後も関係は続いているものの、近ごろは一緒にいても話が合わず、前ほど楽しくなくて…。環境が変わると友人関係も続かないものなの?社会学の観点から解決策を探ります。
SNSの普及で、ちょっとした違いが気になるように
近ごろ、学生時代からの友人と会話が盛り上がらない…。何でも話せて居心地の良かった友人との時間を心から楽しめなくなっている。そう感じている人はいませんか?
家族社会学を専門に扱う社会学者で、『生涯未婚時代』の著者でもある永田夏来さんは、「背景にあるのは、女性の生き方が多様化していること。それに加えて、インターネットが普及し始めた1990年代からこのような悩みを抱える女性が増えたように感じます」と前置きした上で、以下のように続けます。
「これまでは、専業主婦やバリキャリなど違うライフコースを選択していても、それなりに友人関係を続けられるケースが多く見受けられました。なぜかというと、ネットが普及する前は、たまの帰省や電話でのおしゃべりなどの接点しかなかったからです。一方で、近ごろのアラサー女性たちの友人関係には、SNSが大きく影響していると考えられます。相手の暮らしや考え方をSNSで目にする機会が増えたため、ちょっとした違いが気になってしまうのではないでしょうか」
学生時代には悩みや楽しさを共有できた友人が、自分とは違う生き方や考え方をしている。知らなければ気にならなかったことをSNSの投稿で目にしてしまうと、「あの子は変わってしまった。以前のようには付き合えない」と思ってしまうのかもしれません。
友人関係の悩み解消の秘訣は「宝探し」
学生時代のように共有できることが少なくなってしまった。大切な友人であることに変わりはないのに、うまく付き合えないのはなぜだろう…。そんなモヤモヤを打破する方法の一つに「宝探し」があるそうです。
「宝探しというのは、相手の良さを探して両者が居心地よく過ごせるポイントを見つけることです。学生時代は、恋愛や部活、勉強などすべての事柄を分かち合う全人格的なつながりで人間関係を作る傾向にあります。でも、社会に出ると誰もがさまざまな役割を担うようになり、テーマごとに友人を替えて付き合うようになる。学生時代のような付き合い方を無理なく続けられるならいいけど、そこに固執しすぎてしまうと互いに相手を傷つけることになりかねません。
まずは、友人との関係性において大切にしていることは何なのかを見つけることが重要です。互いにライフスタイルが変化したとしても、その人との変わらない共通点は必ずあるはずですから」
どうしても相手のいいところが見つけられない場合は?
一方で、どんなに努力しても相手のいいところを見つけられない場合もあります。そんなときは、一時的に友人と距離を置くのも一つの方法だそう。
「相手との居心地の良さを見つけられないときは、自分にとって何が居心地いいのか分からなくなっていることが多いからです。例えば、『自分がつらいときに友人と会って元気になろうと思ったのに、話が合わなくて楽しめなかった』という場合、それは相手のせいではなく、自分のコンディションがあまりよくないからだと考えられます。友人と少し距離を置くなどして、自分を大事にすることを心がけてみるといいですよ」
自分とは違うライフコースを選んだ友人の何げない発言を、マウントを取られたように感じたり、ねたましく思ってしまったり…。友人に対してマイナスの感情が芽生えてしまったときも、自分自身を見つめ直す必要があるそうです。
「自分の状態によって、相手が発する言葉の受け取り方も変わってくると思います。まずは、友人のどういう発言が不愉快になるのか、何をねたましく思っているのかを考えてみましょう。自分自身のドロドロとした感情を直視するのは気が重いかもしれませんが、しっかり向き合って解決することが大切です」
友人関係も「ポケモン®」で考えると楽になる
友人と一時的に距離を置いたからといって、嫌いになったり関係を絶ったりする必要はないと永田さんは話します。友人関係を考えるヒントとなるのが、永田さんが提唱する「ポケモン®人生」という考え方です。
「ポケモン同士を戦わせながらポケモンのコンプリートを目指すのと同様に、そのときの自分にとって大事なものを選んでいくのが『ポケモン人生』という考え方です。ここで見失わないようにしたいのが、現時点で選ばなかったポケモンについて。
例えば、ピカチュウを選ばなかったからといって、いらなくなったり嫌いになったりするわけではありません。この先にまたピカチュウを必要とするときが来るかもしれないですから。友人関係も同じで、今はうまく付き合えなかったとしても、年を重ねたら変化が現れるかもしれません。今の自分に必要ないからとすぐに手放してしまうよりも、ポケモン的に考えたほうがずっと生きやすくなると思いますよ」
自分の中にたくさんの「顔」を持とう
友人関係を良くするためのもう一つのヒントとして永田さんがオススメするのは、自分の中にいろいろな顔を持つこと。接する相手によって自分を変えるのは、主体性がないようで気が引けてしまうかもしれません。しかし、たくさんの顔を持つことは、自分を豊かにすることにもつながるのだそうです。
「仕事仲間だからできる話や、学生時代からの友人だからできる話など、相手によって話せる内容も異なりますよね。最初は意識的に“顔”を使い分けることで、自分と友人にとって居心地よく過ごせる“顔”を見つけられるようになります。同時に、『相手に合わせすぎていた』と偽っていた自分にも気づけるはず。“顔”が増えていくにつれて、本当の自分により近づけると思います」
まとめ
- 昔からの友人との付き合いがうまくいかない、解決の糸口は…
-
・相手のいいところを探し、互いにとって居心地のいい関係性を見つける
・友人とうまくいかないときは、相手にマイナスの感情を向けるのではなく、自分の内面と向き合ってみる
・さまざまな「顔」を持ち、友人によって使い分けてみる
という専門家からのアドバイス。
友人との関係にモヤモヤを感じたときは、自分について考えるいい機会でもある。まずは、「どうすれば自分が居心地よくいられるのか」から考えてみるといいかもしれません。
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識者プロフィール
- 永田夏来
- 社会学者。兵庫教育大学大学院学校教育研究科講師。夫婦をはじめとしたカップル関係を中心に、現代の日本における結婚観・家族観について、社会学の立場から調査研究を行う。共著に『入門 家族社会学』(新泉社)、『「結婚・妊娠・出産」って最後の宗教みたい』(幻冬舎plus+)。
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