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女性のモヤモヤを解消する100問100答

#017

2019.8.05

Q.働くアラサー女性の悲哀を癒やすリラックマ、
その存在に代わる何かが私にも欲しい!
#リラックマとカオルさん  #Netflix

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主人公のカオルさんの家で毎日だららんと過ごすリラックマ。NETFLIXオリジナルシリーズ「リラックマとカオルさん」では、カオルさんとリラックマたちの12カ月がこま撮りストップモーションアニメで描かれています。かわいいだけじゃない、アラサー女性から共感絶大なこの作品に込めた思いについて、脚本を手がけた荻上直子さんに聞きました。

“誰もが感じるモヤモヤ”をカオルさんのエピソードに込めた

友達との花見のためにお弁当を作ったカオルさん。当日ドタキャンされてしまい落ち込むも、リラックマたちと夜桜を見ながら食べることで、ささくれだった心がほぐれていく。

主人公のカオルさんは商社で働くアラサー女性。キイロイトリと暮らしているカオルさんの元にリラックマとコリラックマという居候が現れます。ゆるくてかわいらしいリラックマの世界観に浸っていたら、じわじわと効いてくるのがカオルさんを取り巻くアラサーの悲哀。気楽に見るつもりが、うっかり涙し、そしてしっかり癒やされてしまうのです。

NETFLIXオリジナルシリーズ「リラックマとカオルさん」。全13エピソードを配信中

後輩からは「いい人なんだけどねえ…」の一言で片付けられてしまったり、「老後が心配」とネガティブモードに入ってしまったり。真面目にがんばっているのに、どこかうまくいかない悩み多きカオルさんの姿を、自分自身に重ねてしまう人も少なくないことでしょう。

脚本を担当した荻上直子さん

脚本を書いたのは、『かもめ食堂』や『彼らが本気で編むときは、』などの作品を生み出してきた監督・脚本家の荻上直子さん。リラックマの世界観にアラサーの心をつかむ要素を取り入れた理由を次のように語ります。

作品には誰もが経験した“ちょっぴり苦い思い出”をちりばめた

「大人も子どもも楽しめる作品にしようということで、当初からカオルさんを主人公にすることは決まっていました。プロデューサーとの話し合いでリラックマたちのセリフはなしにしたため、カオルさんが物語を引っ張る存在でもあったのです。カオルさんと同年代のOLさんが見て、共感してもらえたらと思いました」

リラックマたちと過ごすなんでもない日々に癒され、救われているカオルさん

一人暮らしなのに急須でお茶を入れたり、自炊をしたり。仕事もしっかりとこなし、きちんと暮らしている一方で、宅配便の男性に会いたいがためにネット通販で浪費をしてしまう一面もある。その振れ幅の大きさが、カオルさんのキャラクターに親近感を持てる理由の一つかもしれません。

母親から仕事を辞めて実家のサクランボ農家を手伝うように言われたり、友人たちと計画した花見を当日ドタキャンされたり…。セリフやエピソードのひとつひとつに「あるある」とうなずき、共感してしまいます。

「私は会社勤めをしたことはないけど、カオルさんに降りかかるできごとは、生活している場面で少なからず遭遇しています。そういう誰もが経験したであろうエピソードをかき集めて書きました」

周りの目を気にしてしまう“呪い”を解くには

そんな荻上さんも、周りからの目を気にしてモヤモヤしていた時期があったといいます。

「20代のころに6年間留学していたアメリカから帰国したときのこと。当時は実家暮らしだったので、『あの子は大学を卒業したのに、28歳にもなって何やっているのかしら?』と近所の人に思われていないか気になりました。本当は誰もそんなことを言っていないのかもしれないけど、そう思われているように感じてしまう自分がいて。

それに28歳にもなると結婚する友人も増えてきます。みんなは22歳で就職しているので、キャリアを積んだり、社会人としての認識も身につけていたりする。成長した友人たちと自分を比べて、取り残された感じがしました」

個人主義を貫くアメリカでは考えもしなかったことが、日本にいると気になってしまう。ところが、映画を作り始めたことで気持ちが楽になったそうです。

キャリアを積めば積むほど、『就職して結婚したら一人前』のような日本的な感覚にとらわれることは少なくなっていきました

実は「着ぐるみのクマ」であるリラックマ。着ぐるみのファスナーが閉められなくなってしまったリラックマがダイエットを決意し、ネット通販でエクササイズマシーンを購入するが…

「もういい年なんだから」と誰に言われたわけでもないのに、なぜか引け目を感じてしまうことは誰にでもあるはず。当時のご自身を「すごく日本的な感じがする」と振り返ります。

「日本には、空気を読まないといけないとか、他人に迷惑をかけてはいけない部分が強くありますよね。私には双子の子どもがいるので、赤ちゃんのころは大きなベビーカーで移動していました。『すみません』と恐縮しながら電車に乗っていたものの、心のどこかでは『謝らなくてもいいんじゃないかな』とも感じていた。もっと寛容な社会であってもいいはずですよね」

かつて荻上さんが感じた見えない重圧や窮屈さを、カオルさんに投影しているよう。カオルさんの部屋でダラダラゴロゴロ過ごす悩みゼロのリラックマの姿は、そんな現代社会で暮らす私たちに向けた新たな生き方の提案なのかもしれません。

リラックマのいない私たちに必要なのは?

モヤモヤを抱えながらも、カオルさんは現状を受け入れて生活しています。リラックマたちと過ごすうちにいつの間にか癒やされ、どうにか折り合いをつけていく。見終わった後に嫌な気持ちは残りません。

「嫌な気持ちにはなるけど、悲観しすぎるほどのことでもない。そのくらいのモヤモヤを笑い飛ばせたらいいなと思いながら書きました。この作品を制作するにあたり、プロデューサーとは、『毎日同じ仕事をしているような変わらない日々の中でも、気づいたら成長していた。そういう変化みたいなものを大切にしたいね』と話しました」

節約のためにリラックマたちのおやつ代とエアコン代を秤にかけた結果、おやつを選んだリラックマたち。暑い室内でアイスを食べることに。

リラックマたちと暮らすようになり、カオルさんの生活にも変化が訪れます。外で嫌なことがあっても、カオルさんが家に帰ればリラックマたちが待っている。一緒にごはんも食べられるし、悲しいときは慰めてくれます。

「カオルさんの生活は、自分のためだけにお金を使う暮らしから、リラックマたちの食事やおやつを考えるものへと変化しました。他者を養う責任のようなものが発生する一方で、リラックマたちから幸せをたくさんもらっているのだと思います」

ところが現実は、カオルさんと同じようなことで悩みながらも、モヤモヤを解消するすべを見つけられずにいるアラサー世代は多い…。リラックマのような存在がいない私たちはどうすればいいのでしょうか。

目標を持たない、結果を求めない、ただ楽しむだけの趣味を持とう

自分だけの趣味や世界を持つことが強みになってくれると思います。本でも習い事でも何でもいい。職場で嫌なことがあっても、自分が入り込める世界を持てれば前ほど気にはならなくなるかもしれません」

アラサー女性たちの中には、自分のスキルアップのためにとヨガや英会話など複数の習い事を始めた結果、目的が分からなくなっているケースもあるようです。荻上さんは、「スキルアップを目標にするからうまくいかないのでは」と指摘します。

「自分だけの世界を持つためには、少しでも興味を持ったことや、好きなことをやることが大切です。仕事とは違って、先生が合わなかったり、何か違うと感じたりしたら、すぐにやめられる気楽さもあります」

自分の好きなことが分からないのなら、あえて今とは違う世界に飛び込むのも方法の一つ。荻上さんは40代に入ってから、これまで縁のなかった茶道を始めたそうです。

「私は“静”よりも“動”を好むタイプだったので、仕事モードから頭を切り替えたいときにはスポーツジムで運動してサウナに入ってビールを飲んでいました。茶道に興味を持ったきっかけは、映画にもなった森下典子さんのエッセイ『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』を読んだこと。続けられるか分からなかったので家の近所で探したら、いい先生と出会えました。今は先生とのおしゃべりが楽しくて通っています」

4年間も続いている秘訣は、意外にも向上心を持たないことにあるそうです。

「茶道を10年間続けている方から『茶道は予習も復習もいらないんですよ。その場で体が自然に動くようになるまで続けています』と聞いて、気持ちが楽になりました。習い事なので突き詰める気はまったくなくても、続けているうちに自然とできるようになっている。教室に通って、それを確認するのがとても面白いです」

自分の存在価値について考えるものの、答えが出ない。そんなカオルさんをリラックマたちが寄り添い、そっと癒してくれる

「がんばらなきゃ!」と気負いすぎなければ、負担なく続けられる。荻上さんからのアドバイスは、リラックマの世界観にも通じているように感じます。

まとめ

働くアラサー女性の悲哀を癒やすリラックマ、その存在に代わる何かが私にも欲しい! どうしたら?

自分だけの趣味や世界を持つことが強みになってくれる

キャリアを積むと自分と他人を比較しなくなっていく

自分のためだけにお金を使う暮らしから、誰かや何かのために使うことをしてみると心が豊かになる

「変わらない日々の中でも、気づいたら成長していた。そういう変化みたいなものを大切にしたい」。「リラックマとカオルさん」の世界観は、私たちが抱えるモヤモヤとの付き合い方へのカギにもなっているようです。

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Profile

識者プロフィール

荻上直子/顔写真

荻上直子(おぎがみ・なおこ)
映画監督・脚本家。大学卒業後、アメリカに留学し映画を学ぶ。03年に『バーバー吉野』で長編劇場映画デビュー。06年に『かもめ食堂』のヒットにより名を馳せる。『彼らが本気で編むときは、』(17年)が第67回ベルリン国際映画祭で日本初のテディ審査員特別賞、観客賞第2位とダブル受賞を果たす。著書に『モリオ』(光文社)、『川っぺりムコリッタ』(講談社)。

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予告編はこちら

また、小田急百貨店 新宿店本館で、撮影で使用した小物や舞台などを展示した「リラックマとカオルさん展」を開催。

画像:NETFLIXオリジナルシリーズ「リラックマとカオルさん」© 2019 San-X Co., Ltd. All Rights Reserved.

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