#030
2019.11.11
Q.多忙な彼と定時で帰宅する私。
結婚したら、家事も育児も“ワンオペ”になるのは確実。私だけが働き方を調整することになるのかな?
結婚はしたいよ…
でも家事も育児も私が頑張らないといけない状況…
仕事が忙しい彼と結婚したら、定時で帰れる私が家事をするのは目に見えている。そして、育児も…。
結婚後に自分一人が家事・育児を担う“ワンオペ”にならないために、できることはあるのでしょうか。
NPO法人tadaima!の代表理事の三木智有さんに聞きました。
変化する妻の姿をアップデートできずにいる夫もいる
夫婦のどちらかが家事や育児を一人で担うことを指す「ワンオペ」。夫婦間での家事分担が浸透してきてはいるものの、まだ女性が主体になるケースが多いようです。家庭内の家事分担(家事シェア)を推奨する三木さんは、多くのパパたちとの出会いを通じて感じていることがあるそうです。
結婚や出産などのライフコースの選択に伴い、女性は働き方や生活について立ち止まって考える機会が多々あります。一方で、そんな妻の変化に気づかず、子どもが生まれてからも妻を“結婚前の彼女”からアップデートできていない男性もいるのだとか。結婚後に夫婦間のズレを生じさせないためにも、三木さんは生活を共にする前の話し合いを推奨しています。
結婚前に決めるのは、「分担」よりも「軸」
ワンオペになる未来を避けるために、彼との家事分担はしっかり固めておきたいところ。しかし、結婚に向けた話し合いをするときに、家事分担を決める必要はないそうです。
パートナーと共通した軸をしっかり持っておけば、それを実現する上で何が必要なのかを互いに考えられるようになります。「家事分担は、軸を支えるための手段であり、目的ではない」と三木さん。しかし、いざキャリアについて話し合うとなっても、タイミングや話の切り出し方など、本題に持っていくのが難しそうです。
結婚前から話し合える土台ができていれば、ライフコースが変わったとしても柔軟に対応できそうです。
家事・育児を主体的にやってもらうには?
結婚後に妻が夫に対して不満に思うことの一つが、家事や育児への取り組み方です。「名もなき家事」という言葉が浸透していることからも、「手伝う」姿勢でいる夫が多いことが伝わります。彼に家事や育児を主体的にやってもらうために、できることはあるのでしょうか。
仮に家事のやり方について自分がベストだと思う方法があったとしても、勝手に決めるのはNG。「私はこうしたいんだけど、あなたはどう思う?」と相談し、物事を決めるにあたり、彼も一役買っているのだと認識してもらうことが大切です。
家事分担の「型」を決めよう
結婚生活がスタートするタイミングで、家事分担についての話し合いも始まります。最初に決めておくといいのが、家事分担の「型」なのだとか。
「トップダウン型」を採用する場合、いくつか押さえておきたいポイントがあるそうです。
仮に突発的に仕事が入った場合や予定ができたときなどは、話し合ってスケジュールを変更すればOK。互いに納得していれば、「今週は忙しいから、掃除しなくてもいいか」でもいいそうです。カチッと決めすぎずに臨機応変に対応することが、うまくいくための秘訣なのかもしれません。
もう一つ、三木さんがオススメしているのが「パラレル家事」というもの。「私は部屋の掃除をするから、あなたはトイレ掃除をやってくれる?」と二人で一緒に動く方法です。同時に家事をやることにより、「なんで私ばかり家事をやらないといけないの」という不満もたまりにくくなるそうです。
忙しい彼に家事を分担してもらうのは心苦しい
結婚前に必要なことは分かったものの、仕事で忙しい彼に家事分担を提案するのはやはり気が引けるという人もいるもの。
できる範囲の中で互いに協力できている感覚を持てれば、気持ちも楽になれる。三木さんの言う「メンタル的なワンオペ」も避けられそうです。
まとめ
- 忙しい彼と結婚したら、家事や育児がワンオペになると思うと、モヤモヤしてしまう。解決策は…?
-
・ 結婚生活の「軸」を決めることが最優先
・ 自分の考え方やキャリアについて、日ごろから話せる環境を整えておく
・ 家事分担の型(「トップダウン型」「プロジェクト型」)を決めておく
・ 「仕事をしていない時間=暇な時間」と思わなくていい
結婚生活では、互いに共通した軸を持っていれば自分たちに必要なものが見えてきます。軸を支えるために、時には「今の働き方でいいのだろうか?」「相手にとって負担になっていないか」と現状を見直すことも大切なのだとか。まずは、彼と何でも話し合える関係性を構築するところから始めてみると良さそうです。
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識者プロフィール
- 三木智有(みき・ともあり)
- NPO法人tadaima!の代表理事。家事シェア研究家。
子どもの頃、いじめが原因で学校になじめず「家」が自分にとって唯一の居場所に。家は家族にとって何より”自分らしくいられる居場所”であって欲しい。そうした想いから、「10年後も”ただいま!”と帰りたくなる家庭」で溢れた社会の実現を目指し、NPO法人tadaima!を起業。夫婦の関係を育む”家事シェア”を広める活動や子育てや暮らしに集中できる住環境をつくる”モヨウ替えコンサルティング”を行う。パパが家事育児を楽しむための方法などを各種メディアにて更新中。