#045
2020.02.24
Q.
喫煙者にばかり、いろいろとメリットが
あるように感じてしまう。どうしたらいい?
喫煙者は肩身が狭いっていうけど、
たばこ部屋の人たちはなんだか仲良さげ…
たばこに代わるコミュツールはないのかな?
たばこ部屋での会話を通じた人間関係の形成やたばこ休憩など、喫煙者にばかりメリットがあるように感じてしまう…。たばこに代わる社内コミュニケーションはあるのでしょうか。株式会社アップウェブ代表取締役で、企業や公的機関などのコミュニケーションデザインも行う藤田尚弓さんに聞きました。
仕事をする上で、たばこは役に立つの?
年次や部署など関係なく「喫煙者」が集まる会社のたばこ部屋。閉じられた空間で生まれるコミュニケーションもあることから、ビジネスに関する書籍や記事などでたばこ部屋での情報収集を勧める記述を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
株式会社アップウェブ代表取締役で、企業や公的機関などのコミュニケーションデザインも行う藤田尚弓さんによると、 「仕事をする上で、たばこは有効なツールで“あった”と思います。今は喫煙率が減少傾向にあるため※、喫煙所が情報収集や根回しの場であったのは、もはや昔の話と言っていいかもしれません」とのこと。
「一方で、私たちには自分と似た意見や態度の人に好意を持ちやすい『態度の類似性』という側面があるため、喫煙が以前と比べて肩身の狭いものになるほど、喫煙者同士の絆はより強くなる傾向があると考えられます」
「たばこ休憩ばかりしてずるい」と感じたら、自分も一息つく
喫煙者の数が減っているとはいえ、やはりたばこ部屋で育まれるコミュニケーションもあれば、生まれる仕事もある。喫煙者にばかりメリットがあるように感じられてしまいます。
「まずは、喫煙者のメリットは本当に多いのかを考えてみてください。たばこがもたらす健康被害については、みなさんすでにご存じのはず。非喫煙者の健康や権利を守る嫌煙権や改正健康増進法の施行など、喫煙者にとって居心地の悪い社会になりつつあります。それに、喫煙者をねたましく思っている人がいることは、視線などの非言語コミュニケーションで十分伝わっていると考えられ、決してメリットが多いと言えない状況です」
とはいえ、堂々と休憩できるのはうらやましい…。その場合、どう気持ちの折り合いをつけたらいいのでしょうか。
「あの人は、たばこと称して休憩ばかり取っていてずるい」と考えるのではなく、自分も一息つくようにする。相手を変えようとするのではなく、自分の行動を変えることが大切です。
たばこに代わるコミュニケーション法は?
2020年4月から改正健康増進法が全面施行されることにより、禁煙対策を進める企業も増えています。たばこに代わって台頭するコミュニケーションには、どのようなものがあるのでしょうか。
「職場で互いに協力し合えるかどうかは、コミュニケーションの量や質よりも接触頻度や回数と関係しているといわれています。例えば、SNSの『いいね!』やコメントも回数が重なると相手への親近感につながりやすいですよね。こうした特性を踏まえると、使用頻度が比較的高い仕事上のメールやチャットツールでのテキストベースのコミュニケーションが、今後はより重要になると考えられます」
一方で、テキストでは声のトーンや表情などは伝わらないため、文面によっては冷たい印象を与えてしまうことも。仕事の督促などのネガティブな話題のときは、ストレートな表現を避けたほうがいいそう。藤田さんが挙げてくれた参考例がこちら。
×「期日を過ぎましたが入金されていません。至急、対応よろしくお願いいたします」
○「まだ入金が確認できていないようなのですが、ご確認いただけますでしょうか」
遠回しな表現にすることで相手へ与える印象が変わるため、仕事のしやすさにもつながります。
また、普段から心がけておくといい方法として、藤田さんがオススメしているのが、親近感を生む「あいさつプラスワン」です。
「例えば、朝のエレベーターで他部署の人と会ったときに『おはようございます。今朝は寒かったですね。○○さんの部署では風邪を引いている人はいませんか?』と話しかける。文末を具体的な疑問文にすることで、相手が答えやすくなりますよ」
まずは、出社時やランチから戻ったとき、帰宅時など普段からあいさつを心がけているタイミングでプラスワンを心がけてみましょう。
「会話の中で相手との共通点が見つかったら、積極的に伝えるのもポイントです。たばこ部屋での関係性には『態度の類似性』が影響しているとなると、ちょっとした会話でも代替できますよね」
最後に、たばこを吸う人と吸わない人、価値観や考え方の異なる両者が気持ちよく働くための方法を教えてもらいました。
「人は論理や事実よりも感情を優先しやすい生き物なので、自分の正義を押し付けようとしても関係はうまくいきません。『正しさよりも思いやり』の精神でいることが、両者にとっての居心地のよさにも通じると思います」
まとめ
- 職場で喫煙者にばかりメリットがあるように感じてモヤモヤしてしまう。解決策は…?
-
・ たばこでなくても休憩はできる。その際、職場への声かけをしてみよう
・ たばこに代わるコミュニケーションは「あいさつプラスワン」
・ 「正しさよりも相手への思いやり」を大切にする
喫煙者と非喫煙者がお互いを理解し合えれば、相手を尊重することもできそうです。「私ばかりが損している…」と思いそうになったらコーヒーを買いに行くなど気分を切り替えて、自分も相手も心地よく働ける方法を見つけることをオススメします。
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識者プロフィール
- 藤田尚弓(ふじた・なおみ)
- 株式会社アップウェブ代表取締役。早稲田大学オープンカレッジ講師。日本社会心理学学会会員。コラムニスト。全国初の防犯専従職として地方警察署で防犯のコミュニケーションデザインを担当。その後、留学を経て、銀座ホステスを経験。退職後は民間企業でコミュニケーションデザインを生かし営業職を担当。2006年、株式会社アップウェブの代表取締役に就任。ライフワークとして講師業に取り組んでおり、企業研修や大学などに講師として登壇している。著書『銀座で学んだ稼ぐ人のシンプルな習慣』(総合法令出版)、『NOと言えないあなたの気くばり交渉』(ダイヤモンド社)。
※(参考)厚生労働省の最新たばこ情報
http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd090000.html