#057
2020.05.18
Q.職場で言われた心ない一言にモヤモヤ。
スッと受け流せるようになるにはどうしたらいい?
「最近、太った?」
職場で言われた心ない一言を引きずってモヤモヤ…
気にせず受け流すためにはどうしたらいい?
スルースキルを磨いて心ない一言を受け流そう
「今日、クマがすごいね」「先輩はいつ結婚するんですか?」。同僚や上司から言われる心ない一言に、モヤモヤした経験を持つ人は少なくないと思います。
他人から言われた言葉に振り回されることなく、スッと受け流せたら、それだけでも日々のストレスが軽くなりますよね。それが、今回ご紹介する「スルースキル」です。
お話をうかがったのは、「スルースキル“あえて鈍感”になって人生をラクにする方法」の著者で、心理カウンセラーの大嶋信頼さん。心ない一言で受けるダメージを最小限に抑えるコツを教えていただきました。
心ない一言に隠れているのはあなたへの「嫉妬心」かもしれない
外見やプライベートに土足で踏み込んでくる心ない一言。機嫌が悪くて八つ当たりをしてしまったり、相手に対して腹が立っていたりと、考えられる原因はさまざまですが、実は嫉妬から引き起こされている場合が多いと、大嶋さんは言います。
嫉妬心は、「自分よりも下に見えていた人が自分にはないものを持っている」という条件で生まれます。自分に嫉妬されるような魅力はないと思っている人でも、他人から見るとうらやましいと感じる部分は必ずあるものです。
例えば、仕事でミスばかりするAさんという人物がいたとします。Aさんの同僚や上司はそれに同情して優しく接しています。すると、同僚のBさんは「私はあんなに優しくされたことがない」とAさんに嫉妬心を燃やし、Aさんに向かって「そんな簡単な仕事もできないの?」と、心ない一言を言ってしまうのです。
人間は誰かに嫉妬をした瞬間、破壊的な人格になります。これを私は“嫉妬の発作”と呼んでいるのですが、多くの人はその自覚症状がないまま、嫉妬した相手に普段では考えられないような破壊的な行動を起こしてしまいます。
他人からの心ない一言を受け流すスルースキルは、相手の嫉妬を上手にかわす方法でもあるのです。
職場あるある「心ない一言」シーン別対処法
心ない一言の本質を理解したところで、具体的な対処法をチェックしてみましょう!
シーン①:事実だとしても言われて傷つく外見へのきつい一言
先輩からの「最近、太った?」「今日クマすごいね」
先輩は、自分にはないあなたの若さや魅力を感じ、“嫉妬の発作”を起こしてしまったのかもしれません。
例えば、あなたが上司にメイクや服装をほめられているのを目撃した、あなたが入社してから職場の話題の中心が先輩からあなたに移ってしまったなど、嫉妬の発作の引き金となる出来事は、そこら中にあふれています。
外見への心ない一言への最も効果的な対策は、その瞬間、相手を無視することです。そんなことをしたらかえって相手が逆上するのでは?と不安になる人もいるかもしれません。
しかし、相手が無意識であっても故意であっても、普段どおりの対応を続ける限り、あなたが嫌がっていることに相手が気づくことはありません。
自分がなぜそんな態度をとられたのか、相手に考えさせる間を与えることが大切です。毅然とした態度でスルーを決め込みましょう。
シーン②:嫌でも結婚を意識する年齢だからそっとしておいてほしい…
最近、結婚した年下の後輩からの「先輩はそろそろ結婚は考えないんですか?」
この場合も、後輩が先輩に“嫉妬の発作”を起こしてしまった可能性が考えられます。
先ほどお伝えしたように、嫉妬は「自分よりも下に見えていた人が自分にはないものを持っている」条件で発動します。年上の先輩よりも先に結婚した後輩は、先輩に対して優越感を抱いているため、自分にはない先輩の魅力や能力を感じた際に嫉妬心を燃やしてしまったのです。
恋人や結婚について触れられたくない話題を振られた際は、“質問返し”で相手の一言をスルーしましょう。
(例)
後輩:「先輩はそろそろ結婚は考えてないんですか?」
自分:「今は考えてないかな。◯◯ちゃんは旦那さんとはどこで出会ったの? どんな仕事をしているの?年収はどれくらい?」
相手への質問は、職場では答えにくいプライベートな質問にしてみてください。「あなたがやっていることはこういうことですよ」と、相手の鏡になって映し出してあげることで、プライベートな話題には触れないでほしいという信号を送りましょう。
シーン③:叱られると反射的に謝ってしまう…
上司からの「そんなこともできないの?」
この場合は、上司が“嫉妬の発作”を起こしてしまった場合と、単純に上司の機嫌が悪いパターンが考えられます。上司もひとりの人間なので、もしかしたらその日の朝にパートナーと大ゲンカしてしまい、虫の居所が悪かったのかもしれません。
上司からの心ない一言への対策は、すぐに謝らないことです。叱られて反射的に謝ってしまうと、上司の破壊的言動を助長させてしまう可能性があります。
まずは、上司が言っている「そんなこと」が何を指しているのか、その上で本当にあなたが反省すべきなのか、建設的な話し合いで確認してみましょう。
もし、上司の怒りに流されてしまいそうになったときは、両足の裏の感覚を意識して立ってみてください。姿勢を正すと、心もブレなくなりますよ。
まとめ
- 職場での心ない一言を受け流すには…
-
・ 外見についてのきつい一言は無視をする
・ プライベートな話題は質問返しでスルー
・ 上司のイライラは建設的な話し合いでストップ
スルースキルとは、「こんなことを言ってしまった」と相手に我に返ってもらうための方法でもあります。勇気を出してアクションを起こすことで、少しずつ心ない一言を受け流せるようになるはずですよ。
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識者プロフィール
- 大嶋信頼(おおしま・のぶより)
- 心理カウンセラー。米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。著書に「スルースキル“あえて鈍感”になって人生をラクにする方法」(株式会社ワニブックス)、最新刊「憂うつデトックス」(ワニブックス)など多数。