#078
2021.01.11
Q.英語を使った仕事がしたいけど、語学はまだまだ…
海外で働くのは無謀かな?
英語のスキルを活かしたい
海外就業もアリ!?
でも、私にできるのだろうか…
英語を使った仕事がしたいけど、流暢に英語を話せるわけじゃない…。まだ勉強中の身でも、海外で働くことはできるもの? そもそもコロナ禍でも需要はある? 英語を使った仕事って、具体的にどんな仕事があるの?
海外就業を希望する方の転職活動をサポートしているdodaグローバルキャリアアドバイザーの宮原彩乃に、女性の海外就業事情について聞きました。
海外で就業しているのはどんな人?
宮原によると、意外にも「はじめから海外を視野に入れた就業や転職を検討している人ばかりではない」といいます。
海外で働いている人の特徴
①学生時代に留学経験があるなど、もともと海外在住経験がある人。
②海外の実力主義で自分を試したい人。仕事でスピード感を持って成長したい人。
③海外で働く目的ではなく、英語を使った仕事をするのが目的と考えている人。
dodaグローバルキャリアアドバイザー
宮原彩乃(以下、宮原)
特に③の人は、はじめは英語を使った仕事を探しているだけだったことが多いですね。我々キャリアアドバイザーが海外就業を勧めて初めて海外就業を検討したというパターンも少なくないくらい。
なので、海外就業は、留学経験がある人やグローバルでキャリアアップしたい人だけの選択肢ではないんですよ。
最近だと、新型コロナウイルスの影響で将来に漠然とした不安があり、手堅い選択肢としてエンジニアなどの専門職へのキャリア転換を検討している人も多く、このような人たちにも海外就業を勧めることもあるといいます。
宮原
手に職をつけて備えることも選択肢としてありますが、現在の職種と、分野や領域が大きくかけ離れている場合、新たな職種にチャレンジすることになります。
そのハードルの高さに挑むよりも、これまでの経験を活かして海外でキャリア形成することを選択肢の一つとして提案することもあります。
海外就業のメリットは?
住み慣れた日本を離れ、海外で働くことは、英語のスキルアップ以外にどういったメリットがあるのでしょうか?
海外就業のメリット
①女性が働きやすい環境
②ホワイト企業が多い
③スピード感を持って成長できる
④ジェネラリストになれる
⑤仕事の選択肢が増える
①の働きやすさの理由としては、海外では女性の活躍が浸透していることが挙げられるといいます。
例えば内閣府が発表した「企業の管理職に占める女性割合」では、日本が14.9%に対して、調査対象の12カ国の平均は32.3%、1位のフィリピンにいたっては51.5%と、女性管理職比率が相対的に高いことが分かっています。※
※<参考> 内閣府 男女共同参画白書 令和元年版 就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(国際比較)
宮原
出産後は、保育園やベビーシッターを利用して早期に復職することも珍しくないため、ライフイベントによるキャリアの分断が起きづらいのも、女性が海外で働きやすい理由の一つ。
また、どれくらいの時間働いたかよりも、どれだけ成果を上げられたかというアウトプットに着目して評価する企業も多いため、定時で退社する、有休は100%消化する、といった当たり前の権利を行使しやすいのです。
このように、海外は働き方の面で、②ホワイト企業が多いといえます。
③の成長できる理由に関して宮原は、「海外は実力主義の社会。年功序列制がほとんどなく、良くも悪くも実力がものをいいます」と話します。
宮原
年次や社歴ではなく実力や成果で評価されることがほとんどです。その結果、スピーディーに自分自身の成長へつなげることができるはずです。
また、海外では受け身でいることは一切通用しないので、おのずと自律的に仕事をまわせる人にもなっていくでしょう。
このように、裁量の大きな仕事を任され、自分の力で能動的に働いていくため、幅広く経験を積めることから、④ジェネラリストになれるといいます。ジェネラリストは、仕事を俯瞰して判断できる人のこと。
そうなれば、日本に戻ってきてからも重宝される存在になることでしょう。
宮原
海外経験は強みになるので、⑤にあるように、帰国しても仕事の選択肢が増えます。
例えば海外で現地のマーケットに触れる仕事や営業職をしていたのなら、日本に戻ってもその国に関する仕事につきやすいですよね。
終身雇用制度の崩壊が進む中、帰属意識だけではやっていけない世の中になることは避けられません。これから先のキャリアプランを考えたときに、個人の力で生きていく力を身につけられるかどうかはとても重要な観点といえそうです。そういった意味でも海外経験は大きな一手になるのでしょう。
英語が話せないと難しい? 就業先の国は?キャリアの選択肢は?
海外就業はメリットがたくさんあることが分かりました。とはいえ、誰でも挑戦できるものなのでしょうか。例えば英語に関心はあっても流暢に話せない場合なら、どのような選択肢があるのか聞いてみました。
Q.英語を話せないと海外就業は厳しい?
A. 英語に自信がなくても挑戦できる仕事はあります。しかし、英語力が上がると就ける仕事の幅はもっと広がるでしょう。
具体的には、読み・書きの語学レベルはTOEIC500点以上が一つの目安になります。会話力はビジネスレベルではなく、日常会話レベルで問題ありません。
会話力が最初から高くなくてもよい理由としては、例えば現地の人にとっても英語が母国語ではない国やエリアでは、流暢に英語を話すことを求められることは少ないからです。
一方で、母国語が英語、またはクライアントに対して英語を使わなければならない場合は、しっかり話せないと厳しいです。
宮原
間口が広く、英語でのビジネス会話のハードルが低いアジアなら、海外のファーストキャリアとして挑戦しやすいと思います。
Q.就業先の国の候補は?
A.英語が流暢に話せなくてもTOEICで500点ほどあるなら、ベトナムやフィリピンなどが候補の一つになるでしょう。
現地の人たちもネイティブ英語ではないので、お互いになんとなくの英語やジェスチャーを介してコミュニケーションをとるため、最初から語学が堪能でなくても問題ないケースがほとんどです。
宮原
同じアジアでも、シンガポールはクライアントと英語を使うことが多いため、英語がビジネスレベルで話せないと厳しいのが現状です。アメリカなど英語が母国語の国も同様です。
英会話に自信がないという方は、英語がネイティブではないエリアでスキルとキャリアを積むことから始めてみましょう。
Q.語学が堪能ではない場合、どんな職種がおすすめ?
A.営業職がおすすめです。語学初級者の方に向けた求人の多くは、日系企業の海外営業職です。また、営業経験の有無を問わない企業もあることから、営業職を選択肢に入れることで海外就業へのチャンスがぐっと広がります。
最近はITエンジニアや営業企画の求人も増えてきましたが、そのほとんどが経験者採用なので、営業職よりもハードルが高いでしょう。
Q.コロナの影響で海外就業事情はどう変わった?
A.コロナ以前に比べると、日本から応募できる求人は減ってはいますが、まったく選考を受けられないというわけではありません。
ただ、2020年12月の状況だと、航空便の減少や制限、隔離などがあるため、入国してすぐに就業することは難しいです。しかし、企業が求めるスキルを持っている場合、内定を先に出し、渡航は状況をみて判断というケースもあります。
宮原
海外就業のために今すぐ仕事を辞めるのではなく、渡航タイミングを見極め、それに合わせて退職手続きを進めるなど、万一、渡航時期が延びても対応できる状態にしておくのがベストです。
各国の状況は外務省の海外安全ホームページおよび各国大使館のホームページで確認しましょう。
まずは何から準備すればいい? 海外就業への流れ
実際に海外就業を検討している人は、まず何を準備しておけばよいのでしょうか。
海外就業前にやっておくこと
①語学(英語)を勉強しておくこと
②就業先の国の歴史や社会などを知っておくこと、その国に興味を持つこと
③キャリアアドバイザーや現地の就業状況に知見のある人に相談すること
①は、どこの国へ行くにしても英語の勉強は必須。就業先がアジアでも話せるに越したことはないので、しっかり勉強しておきたいところです。
②は、就業が決まった際、その国のことを知っておくとコミュニケーションがはかどったり、文化の違いに対応できたりするので重要なポイント。
③は、一人で一から準備するのではなく、分からないことややっておくべきことを相談するとスムーズです。
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宮原
コロナの影響により、転職活動が長期戦になることも想定しておきましょう。思うような仕事で内定が得られないこともあるかもしれませんが、根気よく応募していくことが大切です。その間に、①~③のように語学やその国について学ぶなどの準備をしてください。
海外転職はキャリアアップ目的だけではなくて、自分の人生をどう過ごすかの選択でもあります。海外に心動かされるなら一歩踏み出してチャレンジしてみましょう。
まとめ
英語が話せなくても海外就業の選択肢があることや、海外ならではのメリットがたくさんあることが分かりました。まずは、選択肢を調べてみたり、キャリアアドバイザーに相談してみたりすることから始めてみると良さそうです。
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識者プロフィール
- 宮原彩乃
dodaグローバルキャリアアドバイザー - 営業職、販売・サービス職、事務職、企画職の方を専門に国内・海外と幅広く支援。
仕事が充実すればプライベートも充実するという相互に好循環をもたらす、ワーク・ライフ・インテグレーションをテーマにしたキャリア提案を心がけている。