#092
2021.08.16
Q.私、管理職に向いてないかも…
このまま続けてもいいのかな?
男性管理職の輪に入れない…
部下に支持されていない気がする…
私、マネジメントに向いてないのかも。
管理職についたものの、マネジメントがうまくいかない…。重圧もすごいし、私、管理職に向いていないかも? そんな女性管理職のお悩みに、『ワーママはるのライフシフト習慣術』などの著者である子持ち管理職経験者、ワーママはるさんこと尾石晴さんがお答えします!
今回お聞きしたのは以下の8つの悩み
- ①男性管理職の輪に入れない。
- ②部下との信頼関係がうまく築けない。
- ③部下が思うように動いてくれない。
- ④やっぱり現場のほうが好きだと思った。
- ⑤仕事もプライベートも両立させたい。
- ⑥子育てしながらの管理職が大変すぎる。
- ⑦周囲に女性管理職がいなくて相談できない。
- ⑧もっとメンバーとコミュニケーションを取りたいけど時間がない。
ワーママはるさん自身の体験から、これらの悩みをどう乗り越えたのか教えていただきました。
女性管理職の悩み①「男性管理職の輪に入れない」
女性より圧倒的に男性が多い管理職。同じ立場でも男性ばかりのコミュニティにはなかなか入りづらいもの。ワーママはるさんはどのようにコミュニケーションを図っていたのでしょうか。
ワーママはるさん
ランチに誘っていただいても、なんとなく行きづらかったり、男性陣だけで飲みに行かれたりしたこと、私もありました。でも、なぜ話に入りたいのでしょうか? そもそも管理職同士仲良くつるむことが重要なのでしょうか?
前提として、男性管理職の輪に入って何がしたいのかを明確にすることが大事なんだと思います。
ワーママはるさん
私の場合は、「現場で起きていることや情報」「会議の議題に上がらないけれど、雑談の中にある業務に必要なヒント」を得たいということがほかの管理職の方との交流がほしい理由でした。
なので、声をかけやすい管理職の人と個別で話したり、話を聞いてみたい人には必要に応じて声をかけに行ったり、ということで自分の目的が達成されたことで輪に入れないことが苦ではなくなりました。
自分が交流して何をしたいのか、という目的さえはっきりしていれば、常に男性管理職の輪に入ろうと頑張らなくてもよさそうです。
女性管理職の悩み②「部下との信頼関係がうまく築けない」
本音を話してくれなかったり、距離を縮められなかったり、信頼関係を築くのもひと苦労。ワーママはるさんも、チームにさまざまな年代のメンバーがいて、それぞれ世代間、個人間で信頼関係の築き方は違ったそうです。
ワーママはるさん
前提として、信頼関係が築けているかどうかの判断軸を自分に置かないほうがいいです。人によって「何をもって関係を築けていると判断するか」は違います。例えば自身は「プライベートまで話すのが信頼関係だ」と思うが、部下は「業務報告をていねいにしているので問題ない」と、自分と相手で関係を築けていると思うポイントが違うことはよくあります。
年齢でも違いはあります。あくまで私見ですが、若い人ほど密なコミュニケーションを取るより、ドライなコミュニケーションであることが多いです。逆に私より上の世代は深くコミットした関係性を築きたいと思って密なコミュニケーションになりがちです。
ワーママはるさん
また、デジタルネイティブ世代なら、対面よりテキストコミュニケーションのほうが本音を言いやすいこともあるので、コミュニケーションのツールを替えてもいいかもしれません。
それを加味した上で、コミュニケーションの要素を分解していくといいと思います。若手の部下が本音を話してくれないと思うなら、そもそも部下に対して時間を取れているのか、部下に対して自分から話しかけているのか、そうやって信頼関係を構築している要素をひとつずつ確認していきましょう。
女性管理職の悩み③「部下が思うように動いてくれない」
自分の指示の仕方が悪いのか、部下の動きが想定と違い戸惑っているお悩みです。これに対してワーママはるさんは「期待値設定がずれている」と指摘します。
ワーママはるさん
そもそも人は思いどおりに動いてくれません。なので、求めていること、してほしいことを明確に指示して認識をすり合わせることが重要です。
つまり、相手がしてほしいことをしてくれないのは、管理職側として「期待値の設定」がずれているからだと思います。
ワーママはるさん
例えば、進捗報告に関しても、ただ「報告をしてね」では8割達成の段階で報告してほしいのか、もっと手前で逐一報告してほしいのか、相手には伝わりません。あなたが求めている報告の期待値と、相手が思う適切な進捗報告の頻度は違います。つまり、明確に「私の求めている報告頻度は●回/(月・週・日)で、こういうことを報告してほしいですよ」と、分解して伝えることが大事ですね。
人によって言葉の捉え方は違うため、具体的にどうしてほしいか言語化や数値化して伝えることが重要なようです。
女性管理職の悩み④「やっぱり現場のほうが好きだと思った」
管理職を経験してみた結果、元に戻りたいと思ってしまったお悩みです。
ワーママはるさん
マネジメントを経験して現場プレイヤーに戻るのは、いいことだと思います。経験した上で、自分の好きなことややりたいこと、向き不向きが分かったわけですから。
キャリアは一方向の不可逆的なものではないので、自分が目指したいものを目指すべきですよ。
たとえ「管理職が向いていない」というネガティブな理由でも、経験して確信したことならば、スペシャリストに戻るのも問題ないようです。
女性管理職の悩み⑤「仕事もプライベートも両立させたい」
管理職は広い範囲で事業や組織と向き合うため、仕事に比重が傾きがちに。ワーク・ライフ・バランスを整えたいというお悩みです。
ワーママはるさん
8年前、まさに私がそうでした。仕事もプライベートもかなえたいと思っていて。でも、世の中トレードオフなんですよ。
だから、仕事も頑張りたいなら、なるべく家事を効率的にできるようにスマート家電を導入したり、家事代行サービスを利用したり、子どもがいるなら送迎サービスをお願いしたりするなど、頼れるものはお金を使って頼りましょう。
ワーママはるさん
私の場合は、保育園のお迎えがあったので仕事は絶対に18時までに終わらせるように、マネジメントして効率化を図っていました。部下より先に帰るのが心苦しかったのですが、みんな遅くまで働きたくて働いているわけではないと思ったので、みんなが18時に帰れるように、やること・やらないことをどんどん決めて仕組み化しましたよ。
1日は24時間しかありません。外注できるもの、絶対自分の手でやりたいこと、そのためにすべきことを決めましょう。
女性管理職の悩み⑥「子育てしながらの管理職が大変すぎる」
職場でも自宅でもマネジメント業務が続く…頑張り続けるにしても限界があります。育児と管理職を並行してこなしたワーママはるさんはどのようにして乗り切ったのでしょうか。
ワーママはるさん
もっと仕事をしたい気持ちと、もっと子どもといたい気持ち。仕事も子育てもどちらも大変だけど、どちらも大切だからこそ苦しいですよね。無理して乗り切ろうとして健康を害してしまっては元も子もありません。
これも何が大変なのか要素を分解し、続けること・ほかに依頼すること・やめることを考えてみましょう。家事でやることが多いのか、仕事量が多いのか、子育てで何がしんどいのか、“大変”の解像度を上げましょう。自分のタスクや悩みを可視化することで問題点を見つけてみましょう。
女性管理職の悩み⑦「周囲に女性管理職がいなくて相談できない」
自分と同じ立場や状況の人が周囲におらず、なかなか相談できないということも少なくないようです。管理職の女性は誰に相談したらいいのでしょうか。
ワーママはるさん
他部署の女性管理職の人や女性管理職から部長になった人を人事部に紹介していただき、メンターになってもらいました。
そういう制度が会社にないのであれば、オンラインコミュニティで探してみるのも一つの手。ロールモデルになるような人や自分と同じ状況の人を見つけやすいですよ。
女性管理職の悩み⑧「もっとメンバーとコミュニケーションを取りたいけど時間がない」
もっと部下を気にかけてあげたいけど、子どもがいるから飲みニケーションは難しそう…そんなお悩みに、ワーママはるさんは「できないことに目をやるのではなく、できることを探す」と話します。
ワーママはるさん
今はコロナ禍でそもそも対面のコミュニケーションを取るのすら難しいですが、私は当時飲みに行けない代わりにランチに誘うようにしていました。ほかにも1日1回は話しかけるとか。決められた労働時間のなかで、できることを探してコミュニケーションをするようには心がけていました。
また、仕事だけの会話だと、どうしてもドライな関係性になりがちです。人によって求めるコミュニケーション量や深度は違うので、プライベートなことまで話したいような相手であれば、気にかけて話を聞くようにしています。
女性管理職として頑張るあなたへ
最後にワーママはるさんから管理職で良かったことや大切にしていることについて聞きました。
ワーママはるさん
まず管理職で良かったことは、人の成長に関われたこと。そして、部下のキャリアパスと会社の事業拡大の交差点を見つけてあげられること。私自身も大きな成長につながりました。三方良しです。
また、いろいろな局面で悩むことは多いかもしれませんが、管理職として大切なことは、客観的指標を持つこと。そのためには、まず多面的に自分をメタ認知すること。副業や習い事などサードプレイスを見つけたり、自分にない視点を持った人たちと話して自分を知ったりすることで、どうしたいか、どうありたいか、どうするべきかが見えてきます。
ワーママはるさん
自分を理解し、客観的視点を持つことで、そもそもなんのためにやっているのか、なぜやらなきゃいけないと思っているのかと要素を分解することができます。
悩んだときは、べき論にとらわれずに、要素を分解して考えるようにしていきましょう。きっと解決の糸口が見えてくるはずですよ。
管理職としての自分が何に悩んでいるのか、要素を分解すると次の打ち手が見えてくるのかもしれませんね。
とはいえ、自分のことに関してはなかなか客観的になれないことも。そんなときはキャリアアドバイザーに相談してみるのも一つの手。客観的視点で自身のキャリアについて相談に乗ってもらえます。ぜひご活用ください。
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識者プロフィール
- ワーママはる(尾石 晴)
- 外資系メーカーに16年勤務。子持ち管理職経験を持つ。ワンオペ育児の合間に、発信業・不動産賃貸業・ヨガインストラクター・ライフオーガナイザーなど、会社員以外での収入経路を複数確保。2020年4月退職。音声メディア「Voicy」では1,500万回再生超えのトップパーソナリティとして活躍中。SNSの総フォロワー数は7万人超え。現在は雑誌「レタスクラブ」での連載など文筆活動の傍ら、2020年ヨガスタジオ「ポスパムfukuokaスタジオ」を立ち上げ、代表を務める。2児の母。『ワーママはるのライフシフト習慣術』など。