#095
2021.09.06
Q.時短勤務だけど、そろそろフルタイムに切り替えるべき?
判断軸が知りたい!
子どもが手離れしてきた。
時短勤務でバランスが取れていたから
フルタイムに戻すのも勇気がいるな…
子どもが手離れしてそろそろ時短勤務からフルタイムに戻そうか悩んでいる人もいるのでは? 時短勤務とフルタイムの違いを踏まえて、今後の働き方をどうするかの判断軸について、パーソルホールディングス株式会社で人材開発を担当している平沢恵美がアドバイスします。
時短勤務って? フルタイムとの違いは?
時短勤務の歴史は浅く、まだ施行されてから十余年。1992年に制定された、仕事と育児・介護の両立を支援する「育児・介護休業法」が2009年に改正され、事業主に時短勤務の導入が義務付けられました。
3歳までの子育てには短時間勤務制度を使いこなそう!(妊娠・出産・育児の制度)
パーソルホールディングス
平沢恵美(以下、平沢)
当初は事業所の規模によって適用されたりされなかったりだったのですが、段階を踏んですべての事業所に義務付けられたのが2012年。
つい最近のことです。もともとは女性に向けた制度だったのですが、2021年6月には男性の育休の法案が通りました。これからは男性も育児に主体的に参画できます。
3歳に満たない子どもがいるなら、所定労働時間が6時間の時短勤務適用になります。ただし、1週間の所定労働日数が2日未満の人や雇用されて1年に満たない人は適用外になるため、勤め先の就業規則を確認するようにしましょう。
時短勤務からフルタイム に戻すべきかどうかの判断軸は?
平沢によるとフルタイムに戻すかどうかの判断は、以下の3つの観点から考えるといいそうです。
判断軸①自分は何を大事にしたいか
平沢
ワーク・ライフ・バランス重視か、キャリア形成重視か、どちらかを選ぶというよりも、まずは自分が今何を一番大事にしたいのかを考えてみてください。
これを第一に考えないと、結局女性が我慢しなきゃいけないんだというところに着地してしまいます。それに自分がどうしたいかがないと、家族への相談も難しいですよね。
フルタイムに戻してもっと働くためにシッターに協力してもらう人もいれば、キャリアを作っていくことをあきらめたくないから、パートナーに時短勤務をお願いする人もいました。
今は自分が得たいものや大事にしたいものを実現させるための手段や選択肢はたくさんありますよ。
また、リモートワークが常態化してきた昨今、時短勤務でいるメリットを感じなくなってきた人も。たしかにフルリモートであれば、時間の使い方も融通が利きやすく、働き方を選びやすくなりますね。
判断軸②家庭環境
自分がどうしたいか意思が決まったら、次は現実的に可能かどうかを検討するフェーズに。
平沢
フルタイムに戻すなら、パートナーの育児や家事の分担の割合を再検討しなければなりません。
もちろん自分の意思だけでなく、配偶者やパートナーの仕事の調整がきくかどうか、場合によっては自分の親や配偶者の親の協力が得られるかどうかなども確認しておきましょう。
すべてを自分たちでなんとかしようと思わずに、経済的に可能であればシッターを使うなど環境を整えるのも大切です。
また、フルタイムに戻したいと思う人の背景には、キャリアが分断されることを恐れ、時短勤務がキャリアダウンにつながると考えている場合も。
平沢
たくさんの働くお母さんたちと話してきましたが、時短をしていた2、3年のブランクはその後に取り戻しています。
月並みですが、多くの方が「子どもが小さくてかわいい時期はそのタイミングしかないから、大事にして良かった」と言います。仕事じゃなくても子育ての中で新しい発見は得られますし、成長もできます。
時短勤務でしっかりと家族に向き合ったら、家事で磨いたマルチタスク力や、子育てで培った寛容さを活かしてフルタイムに戻るのもよいでしょう。
子育て中に学んだスキルは仕事でも応用できると思えば、今置かれている状況を前向きに捉えることもできるでしょう。
判断③所属会社の制度と上長とのすり合わせ
最後に判断材料とするのが、所属会社の制度と上長とのすり合わせ。時短だからこそ免除されていた「土日出社」や「残業」など、フルタイムに戻すことで免除されなくなることがあります。
また、フルタイムであっても子どもの病気等で早退したり、休んだりこともあるので、上長との認識のすり合わせや、組織の協力体制の有無を確認しましょう。
平沢は「上長ときちんとコミュニケーションがとれ、状況を伝えられる関係構築が大事」と言います。
平沢
上長とお互いの考えを話し合える環境があるかどうかが重要になってきます。
つまり、上長と日ごろからコミュニケーションをしっかりとっていれば、時短であってもフルタイムであっても状況をきちんと理解してもらえます。
仕事が円滑に進むように、日常のコミュニケーションを怠らないことを大切にしたいですね。
まとめ
- 時短勤務かフルタイムか迷っている人は…
-
・まずは自分がどうしたいかを考える
・自分が実現したいことをかなえるために家族と話す
・所属会社の制度の確認や上長と現状のすり合わせをする
というアドバイスがありました。
仕事に家事に育児に、やることが盛りだくさんな毎日だと、つい自分の気持ちをおそろかにしがちに。まずは自分の気持ちに素直になって、そこからキャリア設計をしていくとよさそうです。
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識者プロフィール
- 平沢 恵美
パーソルホールディングス株式会社 グループ人事本部 エンゲージメント推進室
エキスパート(専門職) - 2000年に株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。人材紹介事業で営業、キャリアアドバイザーを担当した後、2004年から人事へ異動し、新卒採用、人材開発を担当。
リーマンショックをきっかけに「社員が自律自走する社員・組織を創りたい」という想いを抱き、人が一歩踏み出すきっかけを創るためにキャリア開発分野で専門職に。これまでに4,000人以上の方に「自身のキャリア(人生)に向き合う」機会を提供・支援活動をしている。
*保有資格:国家資格 2級キャリアコンサルティング技能士