スマートフォン版で表示

現在、お知らせはありません。

Progress -女性活用の先駆社- Progress -女性活用の先駆社-

男女雇用機会均等法が施行されて約30年。さまざまな制度の整備などによって、女性活用が推進されてはきたが、本当の意味での活用はまだまだ進んでいない。そして今あらためてその必要性が叫ばれている。そのような中、先駆者的に女性活用を進めてきた企業がある。それらの企業はこれまで、どのような課題にぶつかり、それをどのように乗り越えてきたのか。また今後、どう前進していくのか。先駆“社”をレポートする。

このエントリーをはてなブックマークに追加

掲載日:2014年3月31日

Progress story #06
株式会社ローソン

大隅聖子氏 理事執行役員 ヒューマンリソースステーション ディレクター補佐 ダイバーシティ推進担当

大手人材サービス企業での営業組織マネジメント職を経て、2006年に中途入社。09年に開発統括本部・オーナー開発部部長に就任し、その後、法人営業を経て、12年4月から現職。

男女ともに活躍する環境を当たり前にするために
女性の成果をあえて“見せて”いく

イノベーションのためには意思決定者に女性がいなければならない

女性活用DATA

女性復職比率:

99.1%(2000年~2012年累計実績)

育児休業:

子どもの年齢が3歳に達するまで

育児短時間勤務:

小学校3年生までの子どもを養育する場合、 1日3時間までの時短が可能

看護休暇:

小学校就学前の子ども1人の場合1年間につき5日以内、 (2人以上の場合は1年間につき10日以内)

マタニティー休暇:

出産予定日より前8週間(法定の産前休暇より、さらに2週前から取得可能)

「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」――。この企業理念の下、国内外に約12,000店のコンビニエンスストアを展開するローソン。新卒採用の女性比率を5割とする「ダイバーシティ採用」を導入した2005年から、 “多様性企業”を目指した取り組みを進めている。大隅氏は「かなり大胆に舵を切っているという実感があります。05年当時、採用人数の女性比率を明確に設定するのは、めずらしいことでした」と語る。その推進の背景については「コンビニを利用する女性のお客さまが急速に増えていたので、女性の視点を取り入れた事業展開が不可欠でした」。

大隅氏は12年にダイバーシティの推進責任者に就き「管理職の女性比率を3割に」という目標を掲げた。政府が「202030」(2020年に指導的ポジションの女性を30%に)という目標を打ち出していたが、ローソンはそれに沿った形で取り組みを始めている。「女性の管理職登用に本腰を入れたのは、女性の人数を増やすだけではなく、意思決定の部分に女性が参加しなければ、本質的なイノベーションは実現しないと考えたからです。恥ずかしながら、女性社員から、ユーザー視点を取り入れた商品の提案があっても、男性上司が『女性からの提案は前例がない』ということに捉われて、企画の中身を正当に評価できずに却下してしまうこともありました。常に他社との差別化が求められる中で、女性活用というダイバーシティの推進は、ある意味で選択の余地がなかったことなんです」。

女性の5人に1人がワーキングマザー
今後の課題は「営業職」と「地方」への波及

ローソンの2013年新卒採用の女性比率は56%。13年2月には初の女性支店長が誕生するなど、女性活用への取り組みは着実に形になっている。また、働く女性や母親をターゲットとした、食品などの定期宅配サービス「スマートキッチン」では、骨を取り除いた魚の商品が「お弁当に使いやすい」「子どもに安心して食べさせられる」と大ヒットするなど、女性メンバーの意見を取り入れた商品開発が成果も生み出し始めている。大隅氏は「採用数や管理職比率などの数値目標だけではなく、出産後も長く働ける企業となるための取り組みにも力を入れてきました。制度面での支援だけでなく、育児休暇を取得した社員の復職をサポートするための情報提供や研修などを積極的に進めることで、現在の復職率はほぼ100%となっています。女性社員の5人に1人がワーキングマザーです」と語る。

企業がダイバーシティや女性活用の推進を掲げても、「経営層の理解を得ることが難しい」というケースがある。しかしローソンの場合、代表取締役CEOである新浪剛史氏が「人口減少の中での女性登用による経済成長」というメッセージをいち早く訴え、女性の力を活かすことの重要性を踏まえた事業を展開している。ローソンのダイバーシティは、推進力のあるトップがいてこその成果だ。

大隅氏は、今後の課題として次の二つを挙げる。一つは、「商品開発やサービス開発部門だけでなく、ローソンで最も人数が多い、店舗のSV(スーパーバイザー)や店舗開発などの営業部門で、女性が活躍できる環境を整えるということ」。そしてもう一つは「全国規模で女性の活躍推進を進めること」。「首都圏に比べると、地方の支店は若干の遅れがあるので、そこに力を入れていきたい」と言う。

男女とも育休を必須にするぐらいの強制力が必要

大隅氏は「現在は女性にとって、非常に良い時代」と感じている一方で、男性の意識改革に関しては、ある程度の強制力を伴うことが必要だと言う。「例えば、育休を取るのに抵抗のある男性社員も多いので、男女ともに『必須の制度』にしていきたいと思っています。最終的には、『ダイバーシティ』や『女性の活躍推進』という言葉自体が死語になることが理想です。男女差なく活躍できることが当たり前になるべきですし、産休や育休を取る社員を心から祝うなど、意識を変えなければなりません。社員一人ひとりのマインドを変えるのはとても難しいことですが、休暇を取得した後もしっかり成果を出す社員の姿を見せていくことで、変化は生まれるはずです」。

「スマートキッチン」で女性社員発のヒット商品が生まれた事例も、男性社員が手掛けた場合よりもいくぶん派手に社内共有したそうだ。公平を欠く、女性を甘やかすのか、という声が聞こえてこないわけではないが、女性のポテンシャルを引き出すために、「今はあえて、女性の活躍や嫌でも目に入るようにしている」という。最後に大隅氏は、キャリアアップを目指す女性たちに「自身のライフイベントを見据えながら、女性である自分が最も活きる場所はどこなのかということを考えるには、とてもいい時代になっていると思います。長い目で自分のキャリアを見つめて、力を発揮できる環境を見つけてほしいと思います」とメッセージを送っている。

COMPANY DATA

企業名
株式会社ローソン
設立
1975年4月
従業員
6,404名(連結・2013年2月末 現在)
事業内容
コンビニエンスストア「ローソン」のフランチャイズチェーン展開
このエントリーをはてなブックマークに追加

女性活用を進めてきた企業について知る

Progress - 女性活用の先駆社 - indexへ

会員登録する(無料)エージェントサービス・スカウト登録もこちら

会員登録済みの方はこちら