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Progress -女性活用の先駆社- Progress -女性活用の先駆社-

男女雇用機会均等法が施行されて約30年。さまざまな制度の整備などによって、女性活用が推進されてはきたが、本当の意味での活用はまだまだ進んでいない。そして今あらためてその必要性が叫ばれている。そのような中、先駆者的に女性活用を進めてきた企業がある。それらの企業はこれまで、どのような課題にぶつかり、それをどのように乗り越えてきたのか。また今後、どう前進していくのか。先駆“社”をレポートする。

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掲載日:2014年10月30日

Progress story #09
日本郵便株式会社

一木 美穂 氏 人事部 人材研修育成室室長(前 総務・人事部 女性活躍室室長)

1992年、郵政省に入省。貯金事業や電気通信事業を担当。05年秋の郵政民営化法案成立を受けて、郵便局株式会社の設立準備を担当。同社設立後は経営企画部に所属。12年10月に日本郵便株式会社に会社統合された後も、経営企画部郵便局改革推進室室長として活躍し、14年9月に総務・人事部 女性活躍室室長を経て、17年より現職。2児(高1と小6)の母。二男が誕生した2002年から3年間の育児休業を取得し、ご主人の海外勤務に同行した経験を持つ。

サービスの充実、競争力の強化を図るために“女性活躍室”を設置。
秘めている能力の引き出しに全力を注ぐ。

女性を支援する制度はすでに充実。
それでも「女性活躍室」を設置した思いとは

日本郵便株式会社は、郵政事業の民営化に伴い、2007年10月に設立された4つの事業会社(郵便局株式会社・郵便事業株式会社・株式会社ゆうちょ銀行・株式会社かんぽ生命保険)のうち、2社(郵便局株式会社・郵便事業株式会社)の統合により生まれた会社だ。

同社は全国に広がる約24,000の郵便局を統括し、郵便、貯金、保険という郵政の基幹サービスを提供している。主な業務には「郵便局の窓口」「郵便物の集配」「金融商品などの渉外営業」がある。
正社員は約20万人。そのうち女性は約4万人(全体の約20%)で、公務員時代の人事制度を踏襲しているため、女性が結婚・出産を経ても、仕事と育児の両立を図り、キャリアを形成できる制度は整っている。子育てサポート企業の証である、厚生労働省の「くるみんマーク」に2期連続で認定された同社は、まさに女性活用のリーディングカンパニーだが、髙橋亨代表取締役社長は「当社はもっと女性の力を引き出せる」とトップメッセージを発信し続け、2014年9月に「女性活躍室」(女性5名、男性2名が在籍)を立ち上げた。

初代室長を任された一木美穂氏は「お客さまから選ばれる、価値ある企業になるためには、社員が能力を発揮できる環境づくりが欠かせない。そのために、まずは女性が活躍できる場を広げていくという社長のメッセージを、カタチとして示したのが女性活躍室」とその背景を説明するが、具体的にはどのような取り組みを目指しているのだろうか。

現場の女性社員の声に耳を傾け、真に働きやすく働きがいのある職場づくりを推進中

女性活用DATA

育児休業制度:

子どもが3歳になるまで取得できる。

育児部分休業制度:

1日2時間までの休業を、子どもが9歳になるまで取得できる。

再採用制度:

育児・介護を理由に退職した社員を、育児・介護の必要が解消した後に正社員として再採用する。

最長で子どもが3歳になるまで取得できる育児休業、子どもが小学3年生まで利用できる育児部分休業など、日本郵便は働き続けるための制度が充実している。しかしながら、一木氏は次のようにも語っている。

「『子どもができて休むというのは肩身が狭い』という声、『復職後に昇進を打診されても、家庭の事情で周囲に迷惑をかけるから遠慮する』といった声が聞かれるなど、制度利用における意識面を見ると、まだまだ課題があると認識しています。ワークライフバランスは人それぞれ、多様でありたいもの。それには女性の力を引き出す管理者のマネジメントスキルの向上、女性社員自身のキャリア意識の醸成の両方が必要です。研修の見直し・多様化などを通じて、真に働きやすく働きがいのある職場づくり、同時に女性の持てる力を最大限発揮できる会社を目指したいと思っています」

あらゆる職場で制度を円滑に活用するには、業務知識を持った人材の拡充も重要。そこで、結婚・出産などの理由で退職した女性を、正社員として再採用する従来の「再採用制度」に加え、期間雇用社員での勤務をサポートする制度も拡充。育児・介護などを理由に退職せざるを得なかった社員が、家庭の事情に応じて、無理なく段階的に復職できる効果も期待できる。

ダイバーシティへ舵を切ることは、サービスの充実、ひいては競争力の強化へつながる

前述の通り、郵便局の仕事には、大きく窓口、郵便、渉外営業という三つがあるが、渉外営業は今後、より女性が活躍できる伸びしろの大きい分野だと考えられる。

渉外営業は、グループ会社の「かんぽ生命保険」の保険商品をはじめとする各種金融商品を、お客さまのお宅に訪問し、ご提案する仕事だ。お客さまには年配者のほか主婦も多く、同じ女性目線での話ができる女性社員に相談したいとの声もあり、女性の特性を活かせる業務である。また、メリハリをつけて働けるため、主婦や出産を経験した女性が中途入社して活躍しているケースも増えている。
さらに渉外営業で培った経験や実績、能力や適性、意欲などに応じて、郵便局の役職者・管理者、郵便局長や営業インストラクターなどにステップアップすることも可能だという。
「中には、女性の渉外営業社員だけでレディース班をつくり、リーダーを抜擢して成果を上げている郵便局もあります。リーダーは本来、役職者が担うものですが、上司が一般社員にリーダーを任せたことで班は活気づき、男性も刺激を受けて職場全体が盛り上がっています」

このように周囲のサポートがあれば、女性が活躍できる場はぐんぐん広がる。そう認識している「女性活躍室」では、管理者に昇進する社員を対象とした研修に、女性のポテンシャルを引き出す手法を盛り込んで、管理者の理解を深めていくことも検討中だという。 「ダイバーシティへ舵を切ることは、サービスの充実、ひいては競争力の強化へつながる重要な責務」と、力強く語る一木氏。「経営企画部門で、郵便局で働く社員の要望や思いを聞く機会の多かった私自身の経験も、その都度発信していきたい」と意気込む。社員の声に深くかかわることで得られた視点は、多様化するあらゆる顧客ニーズにも応える力になる。「女性活躍室」と名づけながらも、男性もメンバーの一員とし、未来を見据えた環境づくりに取り組む意図がある。

COMPANY DATA

企業名
日本郵便株式会社
設立
2007年10月1日
従業員
194,688名(2014年3月31日現在)
事業内容
郵便業務、銀行窓口業務、保険窓口業務、印紙の売りさばき、地方公共団体からの受託業務、前記以外の銀行業、生命保険業及び損害保険業の代理業務、国内・国際物流業、不動産業、物販業など
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