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女性のモヤモヤを解消する100問100答

#068

2020.9.7

Q.上司からのセクハラ。泣き寝入りしたくないけど、
声を上げて会社にいられなくなったらどうしよう…

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上司からのセクハラ
なかったことにはしたくないけど、
会社にいづらくなるのも困る…

上司の言動が不快だけど、セクハラになるのか分からずモヤモヤする。泣き寝入りはしたくないけど、会社にいづらくなるのも避けたい。そこでハラスメント対策専門家の倉本祐子さんに、セクハラの定義や対処法を聞きました。

性被害に対して女性が声を上げられる風潮に

男性から性的被害を受けた女性たちがSNSを使って自らの被害を語り、共有する「#MeToo」運動。著名人が実名で公表するなど世界中で大きなムーブメントになりました。また、仕事で利害関係のある男性からセクハラを受けた女性が、メディアを通じてその事実を公にした事例も記憶に新しいですよね。

こうした勇気ある女性たちの行動により、女性たちが声を上げられる社会へと変わりつつあります。

とはいえ、セクハラなのか判断しづらいケースもあり、沈黙する女性もまだまだいるのが現状。何もせずにあきらめたくはないけど、行動を起こした結果、会社にいづらくなってしまっては困る…と悩む人も多いようです。

そこで、セクハラの定義や対処法について、ハラスメント対策専門家の倉本祐子さんに聞きました。

これってセクハラ?職場のセクハラの定義

『男女雇用機会均等法』では、職場のセクハラの定義は以下のように定められています。

・労働者の意に反して行われる性的な言動への対応により、労働者が不利益を受けること
・性的な言動により労働環境を害されること

この『労働者』は社内に限らず、取引先や請負先のほか、派遣社員など正社員ではない人も該当します。近年は女性だけでなく、男性が被害者のケースや同性間のセクハラも増えているそうです。

職場のセクハラは、大きく分けて「対価型セクシュアルハラスメント」と「環境型セクシュアルハラスメント」の2種類あります。

・対価型セクシュアルハラスメント
労働者の意に反する性的な言動に対して労働者が拒否や抵抗をした際に、解雇や降格など、不利益をこうむること。例えば、性的な関係を迫る上司に「やめてください」と言った結果、本人が望まない部署に異動させられることなどが該当します。

・環境型セクシュアルハラスメント
労働者の意に反する性的な言動が職場で日常的に行われているため、業務に支障を及ぼすこと。例えば、上司から頻繁にボディタッチをされたり、職場で常に性的な映像が流れていたりして、仕事の妨げになることなどが挙げられます。

しかし、職場のセクハラが必ずしもこの2つに当てはまるとは言えないと倉本さんは指摘します。

ハラスメント対策専門家
倉本祐子さん(以下、倉本さん)

職場で性的な発言があったとしても、1人の上司によるものなら必ずしも環境型とは断定できません。すべてを対価型と環境型のどちらかに振り分けられないくらい、セクハラの種類は広いのです。

性役割の押し付けやアウティングもセクハラの対象に

「セクシュアルな言動」は性的な言動だけにはとどまりません。

倉本さん

女性のお茶くみや男性に対する力仕事の強要、『男のくせに』『女らしく』などの発言、このような性役割の押し付けもセクシュアルハラスメントに該当します。また、2020年6月に施行された『パワハラ防止法(労働施策総合推進法の改正)』(※)により、性的指向や性自認について、本人の同意なく第三者に話す『アウティング』も禁止されました。

※中小企業は2022年3月31日までの間は努力義務となる

「今日はメイクをしていないんだね」はセクハラになる?

職場での言動には、セクハラなのか判断しづらいものもあります。例えば、オンライン会議中に上司から「今日はメイクしていないんだね」と言われた場合はどうなのでしょうか。

倉本さん

『普段はメイクをしているけど、今日はしていない状態』を指す発言のため、セクハラかどうかと言われれば、正直グレーです。その発言に『メイクくらいしろよ』とプラスαが加われば問題ですが、ひとつの発言だけで判断するのは難しいケースもあります。

オンライン会議では、自分の部屋が映ってしまうこともあります。「こういう部屋に住んでいるんだね」など、部屋について言及された場合もプラスαがあるかによって判断できるそうです。

「最寄り駅はどこ?」はセクハラになる?

質問の内容によっては、セクハラかどうかの意見が分かれるものもあります。例えば、上司との会話で『○○さん、最寄り駅はどこ?』と聞かれた場合はどうでしょうか。

倉本さん

これは、上司の人間性や日ごろからの関係性によって受け取る印象も変わります。信頼関係が成立している上司から聞かれれば、不快には感じないかもしれません。一方、普段から『○○ちゃん、デートしようよ』と声をかけてくる人から聞かれたら、どういう意図で聞いているのかと警戒してしまいますよね。

その言動がセクハラに該当するかを見極めるためには、自分と同世代の一般女性従業員、一般男性従業員がどう感じるかも重要な判断材料になります。客観的な意見と自分の主観、その両軸が必要です。

とはいえ、ことあるごとに同世代に意見を聞くのは難しいものです。判断に困ったら、「それは仕事に関係あるのか?」を軸にすればいいとのこと。

倉本さん

『彼氏はいるの?』『結婚しているの?』などの質問は、業務に関係ありませんよね。プライベートに関することを聞かれたときには、なぜその質問が必要なのかを考えてみるといいですよ。

踏み込んだことを聞かれたら、「その質問はセクハラです」と伝えたほうがいいとのこと。もうひとつ効果的なのが、言葉づかいを意識することだそうです。

倉本さん

常にていねいな受け答えをして、言葉づかいで相手に距離を感じさせるといいでしょう。プライベートな事柄をどこまで話すのか、自分でルールを決めておくのもオススメです。踏み込んだ質問をされたら、『すみません、ちょっと…』と会話を終わらせて、ビジネスライクな関係性を維持することを心がけましょう。

身近に潜んでいる「職場のセクハラ」具体的事例を紹介

職場でのセクハラには、どのような事例があるのでしょうか。過去に上司からセクハラを受けた女性たちから聞いた体験談を紹介します。

20代前半のころに仕事の悩みを抱えていたのですが、自分の部署の課長には相談しづらくて。普段から『大丈夫?』『今日も残業なの?』と声をかけてくれていた隣の部署の課長に相談をしました。

そのうちに『ビール一杯くらいどう?』と誘われて、何度か飲みに行きました。いつも仕事の悩みを聞いてくれてとても信頼していたのですが、あるとき帰りにキスをされてしまい…。突然のことで混乱しましたが、自分を責める気持ちや関係性を悪くしたくないなどの気持ちがあり、何も言わずに帰ってしまいました(28歳・総合職)

女性は、悩んだ結果友人に相談。「その課長とのやりとりが残る形でセクハラだと言ったほうがいい」とアドバイスされたため、後日メールで伝えたところ、課長からは「そんなつもりはなかった。君のことが好きなんだ」と返事が来たのだとか。

その女性の会社には相談窓口が整備されておらず、相手から「黙っていてほしい」と言われたため、次の行動を起こすことはありませんでした。同じ会社で働き続けることを選んだものの、現在は転職を考えているそうです。

「この女性のように、信頼していた上司や先輩がセクハラの行為者になる事例は多い」と倉本さん。

続いては、時間差でセクハラだと気づいたケースです。

ホテルのレストランに勤務していた23歳のころに、仕事を辞めたいとマネジャーに伝えたことがありました。『勉強も兼ねて、新規オープンしたホテルのレストランに行こう。食事をしながら話を聞くよ』と言われたので、ついていくことに。

食事が終わり、帰りのエレベーターの中で、マネジャーから突然『泊まっていく?』と聞かれました。本気だとは思わず軽く流してその場は終わったのですが、その後に行ったカラオケで松田聖子の『抱いて』をリクエストされ、歌っているときに手をつながれました。その後は特に何もされず、私も希望どおり退職したので、マネジャーとの接点もそれっきりです(37歳・事務系)

退職から数年後、そのマネジャーがセクハラで退職したことを知ったそうです。セクハラの内容は、カラオケで部下の手をつないだこと。そこで初めて、自分がされたことをセクハラだと認識したといいます。

セクハラを受けた際に具体的に行動を起こすよりも、退職やそのまま働き続けるほうを選ぶ人が多いようです。倉本さんに寄せられる相談の中にも「この先も同じ会社で働き続けたいから波風を立てたくない」と声を上げられない女性が多いのだとか。

倉本さん

セクハラをされると自分を責めてしまう人もいるけど、悪いのは行為者です。堂々とした態度で嫌だと伝えたほうがいいと私は思います。

職場のセクハラに対して行動を起こしたいと思ったとき、何をすればいいのでしょうか。対処法を段階別に紹介します。

セクハラ対処法1「社内の相談窓口や信頼できる上司に相談する」

セクハラをなかったことにはしたくないと考えたとき、まず思いつくのが社内の相談窓口や信頼できる上司に相談すること。

相談窓口の場合、担当者が社員のパターンと、外部委託先の専門家のパターンがあり、さらには男女それぞれの担当者が設けられている場合とそうでない場合があります。そのため、相談のしやすさは会社によって多少違いますが、決定的なセクハラではなく、ちょっとした違和感を覚えたというケースでも、利用してまったく問題ありません。

一方、上司に相談するという手段ですが、普段からコミュニケーションを図っており信頼関係が築けていることが前提。というのも、相談先である上司の対応ミスにより、行為者から逆恨みされていじめに発展した事例もあるからです。フォロー体制を整える上でも、相談相手は慎重に選びたいところ。“普段から信頼のおける上司”であることを前提として、さらに相談相手を見極めるポイントが3つあります。

倉本さん

一番肝心なのは、口が堅い人を選ぶこと。人選を間違えると、セクハラの詳細が社内に広まってしまうケースもあるからです。私がパワーハラスメントの研修で行ったある企業では、行為者について社員のほとんどが知っていたことがありました。セクハラも同じで法律によって被害者と同様に行為者のプライバシーも守ることが義務付けられているため、企業としてあってはならないことです。

2つ目は、権限がある人を選ぶこと。行為者にセクハラをやめさせるためには、その人よりも役職が上であることが重要です。自身の直属の上司でなくても構いません。

3つ目は、性別に関係なく男女平等の考え方ができる人です。

上記を踏まえて、いざというときに相談できる人を日ごろから探しておくとよさそうです。普段から信頼のおける上司がいないのであれば、社内の相談窓口に相談しましょう。

セクハラ対処法2「労働局または労働基準監督署に相談する」

社内に相談窓口が設置されていない場合や、上司や窓口の担当者に相談しても状況が改善されない場合に、次の相談先として労働局の雇用環境・均等部や労働基準監督署があります。電話または対面で相談を受け付けているので、労働局または労働基準監督署のHPで近くの窓口を確認してみましょう。

労働局や労働基準監督署に相談すると、関連する法令についての情報提供やその後の助言・指導制度の説明があります。その上で、相談内容から問題点を指摘し、法違反に関する企業への助言・指導が行われます。

相談をした結果、雇用者が労働者に対して解雇や異動などの不利益な扱いをすることは禁じられているため、安心して利用できるのも心強いです。一方で、「行政としてできることは限られている」と倉本さんは指摘します。

倉本さん

労働局や労働基準監督署はセクハラを認定する機関ではありません。仮に企業が労基からの指導を守らなくても罰則は設けられていないのが現状です。行政が関わることにより話は大きくなるものの、すぐに行為者を異動させるなど早急な改善は期待できません。

助言・指導で企業からの改善が見られない場合には、「あっせん制度」に移行できます。「あっせん」とは、労働問題の専門家が当事者の間に立ち、双方の主張を聞いた上で要点をまとめ、話し合いによる解決を図ることです。しかし、どちらかが不参加の場合は打ち切りになります。

セクハラ対処法3「法的措置をとる」

1と2の方法でも改善されない場合に最終的な方法の一つとして、法的措置があります。行為者はもちろん、対策を講じなかった会社に対しても損害賠償を請求できる可能性があるのです。

裁判は訴えを起こす側にとってもリスクが大きいもの。結果的に不利な状況に陥ってしまうケースを避けるためには、どうすればいいのでしょうか。

倉本さん

まずは、セクハラを証明できる証拠があること。その上で、弁護士も後押しをしてくれるようであれば、決断していいと思います。

証拠として活用できるのは、録音や行為者とのメールなどの履歴、日記などがあるそう。記録を残しておくと、社内の相談窓口や外部窓口に相談する際にも役立ちます。日記をつける際には、セクハラを受けた日時や場所、行為者の氏名、具体的な言動、同席者の有無を記載しておくこと。特に同席者は、セクハラの内容を確認できる人として重要です。

もうひとつ、裁判をする上で必要なものがあると倉本さんはいいます。

倉本さん

その人が裁判を起こす意義です。裁判にはお金も時間も労力もかかるため、目的によっては息切れしてしまうこともあるからです。弁護士に相談した上で、改めて意義について考えてほしいと思います。

セクハラ対処法4「転職する」

具体的に行動しても何も改善されなかったり、精神的苦痛が続いて職場にいられなくなったりした際には、転職を選ぶのもひとつの方法です。

「面接では転職理由が職場のセクハラにあることを話したほうがいい」と倉本さん。その際に留意しておきたいのが以下の2点です。

・冷静に話す
・企業が全面的に悪いような言い方をしない

倉本さん

感情的になりすぎて泣きながら話していては、企業も採用をためらってしまいます。落ち着いて転職に至った経緯を説明しましょう。また、かつての勤務先を悪く言うような人を採用するのは、企業側にとってリスクが高いですよね。『自分にも非があったのではないかと誤解されることを承知でお話しますけど』と前置きをすることで、印象も変わるかと思います。

転職理由について話したときの企業側の対応は、自分自身が転職先を見極めるきっかけにもなります。社内における男女の割合や、男性の育児休暇の取得状況なども確認するといいそうです。

面接でのやりとりについて、dodaキャリアアドバイザーの時田絵里奈からもひとこと。

dodaキャリアアドバイザー
時田絵里奈

面接では、企業から採用したい人材だと思ってもらうことも大切です。セクハラについて話す際に、仕事は続けたかったという意志を強調すると企業への訴求力も高くなりますよ。セクハラはあくまでも転職のきっかけなので、企業の志望理由はきちんと用意しておきましょう。

まとめ

上司からのセクハラに悩まされている。泣き寝入りはしたくないけど、声を上げて会社にいられなくなったらどうしよう。解決策は…?

悪いのはセクハラをする行為者。嫌なら嫌だと伝える

上司や外部機関などに相談する

対処をしても状況が改善されないなら、転職を検討するのも一案

誰にも話せず苦しみ続けるよりも、声を上げる勇気を持つことが解決への第一歩なのかもしれません。まずは、信頼できる人に相談するところから始めてみるとよさそうです。

Profile

識者プロフィール

倉本祐子(くらもと・ゆうこ)
ハラスメント対策専門家。ハラスメント研修専門講師。キャリアコンサルタント。
自身のハラスメント経験を最大限に活かした、ハラスメント専門研修講師として、年間150日以上登壇。研修を実施した企業や自治体は200社以上にのぼる。キャリアコンサルタントとしては、6,000人以上のカウンセリング実績があり、関東圏内の大学40校以上で就活・キャリア指導も実施。著書『大学生のうちに内定をとる技術』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『管理職・リーダーのハラスメント対策』(ハイテクノロジーコミュニケーションズ)。

(参考)
厚生労働省「個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)

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