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未経験で人事に転職するのは難しい? 成功のコツや評価されやすいスキル!
公開日:2023/11/30
人事の仕事に興味を持っている人の中には、「未経験だと難しいのかな…」と不安になっている人もいるかもしれませんね。しかし、いくつかの条件を満たせば、未経験でも人事に転職できる可能性があります。今回は、人事職への転職支援実績が豊富なdodaのキャリアアドバイザーに聞いた、未経験でも人事に向いている人の特徴や、未経験でも人事への転職を成功させるコツなどについて解説します。
未経験で人事に転職するのは難しいって本当?
人事は未経験で転職するのが難しいといわれることがありますが、それはある程度事実です。なぜなら、人事は「募集枠が少ない」「専門的な知識が必要」「組織間の調整力が必要」という特徴がある職種だからです。
しかし、だからといって未経験者がまったく採用されないわけではありません。企業がどういう人材を求めているのか分析し、必要なスキルを取得したり、面接でのアピール方法を工夫したり、しっかりと対策すれば未経験でも転職できる可能性が高まります。
そこで対策を立てられるように、人事職全般の転職支援実績が豊富なdodaキャリアアドバイザーの瀬戸口瑞恵に詳しい話を聞きました。
未経験で人事に転職するのが難しい理由
未経験者が人事に転職しにくい理由はすでに述べましたが、ここではもう少し詳しく見ていきましょう。
募集枠が少ない
人事はそもそも、採用人数が少ない職種です。
専門的な知識が必要
人事の仕事といってもさまざまな分野があり、それぞれに専門知識や経験が必要になります。
瀬戸口
例えば、人事の重要な仕事内容の一つに研修がありますが、「階層別研修」のように対象によって細分化されています。さらに、研修の業務では会社経営の視点をもとに、どんなターゲット(階層の人)にどんな研修が必要になるのかを深く考える必要があります。ほかにも、次章で説明する「給与・社会保険担当」「制度」ポジションでは、法律などの知識が必要です。
組織間の調整力が必要
人事には、経営陣に対する提案力や社内での調整力が求められるシーンがあります。
瀬戸口
人事は一般社員と関わるイメージが強いと思いますが、実は会社の経営陣に対して提案をする機会も多いんです。人事は経営的な視点を求められることもあり、経営陣との折衝など、社内の人間関係を踏まえた上で物事を進めていく調整力も必要です。
未経験職種への転職についてもっと知りたい方はぜひ以下の記事も読んでみてください。きっと参考になりますよ。
人事の仕事内容
人事というと、新卒採用や中途採用など、採用業務を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし実際には、採用業務以外にもいくつかの分野に分かれています。
採用
会社にとって必要な人材を確保するために、新卒入社・中途入社など、新しく人材を雇用するための採用業務を行います。経営課題や事業戦略などをもとに、どの部署にどのような人材が必要なのか調査し、採用人数の決定、求人広告などでの情報発信、説明会や面接選考の段取り、内定者のフォローなどを行います。
研修
新入社員研修や専門スキル研修、階層別研修などの企画・実施がメインの業務です。外部の研修代行サービスに委託する場合もあり、その場合は委託先との調整役として研修内容の立案・実施を行います。
給与・社会保険・労務担当
社員の勤怠データに基づいた給与計算、健康保険・雇用保険・厚生年金・労災保険などの社会保険の加入・脱退手続きを行います。お金や数字の取り扱いが多く、社会保険の書類手続きも行うため、専門知識が求められます。その他、労働契約の管理・安全衛生・労務トラブルの対応なども担います。
制度
社員を評価し、給与に反映させる人事評価制度などを策定します。賃金制度・給与制度の運用以外にも、法律改正や会社の状況、社員のニーズに合わせた就業規則改定・制度の企画や見直しも重要な業務の一つです。
なお、人事の仕事については、以下の記事でも詳しく解説しています。
人事の平均年収は?
- 全職種の平均年収
- 403万円
- 人事の平均年収(全体)
- 506万円
- 人事の平均年収(男女別)
- 女性444万円男性576万円
- 人事の平均年収(年代別)
- 20代 393万円30代 498万円40代 620万円50代~ 754万円
次に、人事の平均年収を見てみましょう。dodaの2022年版「平均年収ランキング」(正社員のみ)によると、人事の平均年収は506万円です。全職種の平均年収(403万円)と比較すると、やや高い水準となっています。
年代別の平均年収を見ると、20代から30代でおよそ100万円アップしますが、30代から40代で約120万円アップ、40代から50代になると約130万円アップといったように、年齢を重ねたときの年収の上がり幅が大きい傾向にあるようです。
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未経験でも人事に向いている人の特徴は?
以下で紹介するような人は、未経験でも人事に向いている傾向があります。しっかり対策をすれば、転職できる可能性が高まるでしょう。
採用担当であれば営業職や人材業界の経験者
営業職で培ったコミュニケーション力や人材業界での経験は、人事でも役に立つ重要なスキルです。
瀬戸口
前職で営業実績が高かった人や、人材業界で働いた実績のある人は、未経験でも人事に採用される可能性があります。人事で最初に任されるのは、面接官やリクルーター、説明会のスピーカーなどなので、会社の顔として自社を上手にアピールできる人は、その経験を人事でも活かせると思います。
給与・労務担当であれば正確性が求められる事務作業が得意な人
計算を取り扱う仕事では、数字を正確に処理するスキルが求められます。
瀬戸口
人事の仕事では数字を取り扱うこともあり、正確にデータを処理する能力が求められます。また、労務関係では法律の知識やルールを調べることもあるので、知識習得の意欲が高い人、ていねいかつ正確に事務作業をするのが好きという人は向いているかもしれません。
制度・研修担当であれば経営的な視点を持って思考できる人
人事は社員としての視点だけでなく、経営的な視点から物事を見ようとする姿勢が重要です。
瀬戸口
人事は、会社で今何が課題なのかを把握し、人材をどう活用すれば解決できるかという経営的な視点で物事を考えたり、企画をしたりするスキルが必要です。人件費などに基づいた企画・提案なども求められるため、データ収集・分析が得意な人も向いているでしょう。
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未経験で人事に転職するとき役立つスキルや資格は?
人事未経験でも、持っている資格やスキルによっては転職に役立つことがあります。
社会保険労務士
人事への転職の際に持っていると有利なのが、国家資格である「社会保険労務士」です。
瀬戸口
時間がある人は、転職活動の合間に社会保険労務士の勉強をするのもおすすめです。とても難易度の高い資格なのですぐには取得できないかもしれませんが、面接の場で資格取得のために勉強していると話せば、向上心を持って人事関連の知識を強化しているというアピールになります。
コミュニケーションスキル
高いコミュニケーションスキルは、人事の仕事においても重要な要素です。
瀬戸口
社員のニーズを把握し、かつ経営陣への提案力が求められるため、過去にコミュニケーション能力を活かした仕事をしていた人は役立てられるでしょう。特に、営業力・折衝能力・課題解決力・提案力に自信がある人は、転職時にも有利になります。
ただし、採用面接はコミュニケーション力だけで突破できるものではありません。この後に説明する分析能力など複数のスキルをアピールすることも意識しましょう。
研修・セミナーなどで培った知識
これまでの職歴の中で、人事関連の研修やセミナーを受けた経験があると転職時に役立てられます。
瀬戸口
これまでに受けたことのある研修を振り返っておくのも大事です。また、研修・セミナーといってもたくさん種類があるので、経験したもの以外にどんな研修があるのかあらかじめ調べておくといいでしょう。面接でアピールする際は、自分が受けた研修・セミナーや調べて得られた情報を参考にして、誰にどんな研修が必要なのかといった視点で受け答えできるといいですね。
事務スキル
人事の仕事では、ルールにのっとって正確に事務処理を進めていくことが求められます。
瀬戸口
正確性の高い事務スキルも人事で役に立ちます。必要書類を作成するときは、書類に不備がないようにしなければなりません。単純な事務作業の繰り返しを苦に感じない性格で、Excelを使いこなせるスキルを持っていれば人事にも活かせるでしょう。
分析能力
データ分析やKPI分析など、分析能力も人事にとって必要なスキルです。
瀬戸口
人事の仕事では、KPI(重要な業績の評価指標)をもとに「会社のどこに課題があるのか」を分析して改善策を探していきます。他職種であっても、過去の仕事でKPIを分析して業務を改善した実績があれば、分析能力をアピールでき、転職時にも有利になります。また、機密情報も多いため、取り扱いに慎重さが求められます。
なお、仕事に役立つスキルの身につけ方については、以下の記事で詳しく解説しています。 Q 手に職となるスキルを身につけるにはどうすればいいですか?
未経験でも人事への転職を成功させるには?
前述したように、人事にはさまざまなスキルが求められるため、未経験者が人事に転職するには面接までの綿密な下準備が必要になります。ここでは、dodaキャリアアドバイザーが面接の準備について説明します。
人事と類似性のある職歴をアピールできるようにしておく
人事としての経験はなくても、人事に活かせる経験があれば、選考で有利になることもあります。
瀬戸口
数値管理やデータ分析をもとに企画を立てたり、業務改善したりといった経験がある人は、面接時にアピールできるようにこれまでの仕事を振り返っておきましょう。また、営業職、特に有形商材よりも無形商材の営業経験があると有利です。相手のニーズを理解した上で物やサービスを提案して成果を挙げた経験は、人事の仕事とも類似性があるといえます。
抽象度が高い質問への準備をしておく
なぜ人事をやりたいのか、理由や目的を明確にしてから面接に挑むことが大切です。
瀬戸口
人事は、「人事に興味がある」「人と接することが好き」など、ただ漠然となりたいと思っているだけでは就くことが難しい職種です。仕事内容によって求められるスキルが異なるため、あらかじめ準備をした上で、「なぜ人事をやりたいのか」「どんな人事になりたいのか」など、抽象度が比較的高い質問にも面接時に答えられるようにすることが重要です。
経営視点を持つ
前述のとおり、人事の仕事では一般社員の立場だけでなく経営者の立場に立つことも重要です。
瀬戸口
人事というと、「社員のため」にフォーカスして働くイメージが強いかもしれません。しかし、経営的な視点がないと、「この人はコスト意識が足りないかもしれない」などと判断され、採用に至らない…というようなケースも考えられます。自分が会社組織に対してどのように貢献していきたいのか、しっかりと整理した上で面接に挑むことが大切でしょう。
転職成功のコツをもっと知りたい方は以下の記事もぜひお読みください。こちらでは、思考のコツだけでなく、転職失敗の原因も紹介していますよ。 転職を成功させるためのコツは?転職後に新たな不満が…と後悔しないための方法を解説
未経験で人事へ転職を考える際の注意点
ここまで未経験で人事に転職する際のポイントについて紹介してきましたが、あわせて人事への転職を考える際に注意しておきたい点についても紹介します。
会社の選択肢を幅広く持つ
人事の求人は未経験者可の条件があまり多くなく、会社の規模にこだわりすぎると応募できる求人が見つからないということも。
瀬戸口
繰り返しになりますが、基本的に人事の採用枠は1名と少ないのが現状です。だからこそ、会社の規模や事業内容、各種条件など会社選びの要件を狭めすぎず、選択肢を広く持って応募する機会を増やすことをおすすめします。例えば、すでにある程度確立された大手企業に比べて、成長途中のベンチャー企業などは組織が急拡大している最中の場合もあるため、未経験での採用を行っているケースがあります。
社風とのマッチ度にも目を向ける
人事の仕事は、経験の有無だけでなく、会社と自身の価値観がマッチするかどうかも重要なポイントです。
瀬戸口
歴史のある会社と新しい会社とでは社風が違いますし、求められる要素も異なります。例えば、ベンチャー企業では、スピード感や提案力などが重視されたりします。自分の性格を無理に会社に合わせようとすると苦労するので、職種だけでなく会社との相性も意識して検討するようにしましょう。
なお、以下の記事では選考中に社風を見極める方法を紹介しているので、ぜひお読みください。 社風が合わないことがストレスに…解決方法や転職活動で失敗しないポイントは?
未経験でもチャンスはある!
人事は採用業務だけでなく、労務や研修、評価制度など、さまざまな業務があります。現在の仕事がまったくの他職種だとしても、コミュニケーションスキルや分析能力など、これまで培ってきた複数の経験やスキルをアピールすれば、未経験でも転職できる可能性があります。
不安でなかなか一歩が踏み出せないという人には、dodaエージェントサービスに登録し、キャリアアドバイザーに相談しながら転職活動を進めるのをおすすめします。
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瀬戸口 瑞恵(せとぐち・みずえ)
【経歴】
教育業界での営業職・マネジメント職、外資系企業での事務職を経て、2007年にパーソルキャリア株式会社に入社。入社以来、キャリアアドバイザーとして、個人のお客さまの転職を支援。管理部門職種の方を中心に幅広く担当。中長期的なキャリアプランの提案・個人の価値観に寄り添った求人提案を心がけている。プライベートでは2人の男児のママ。
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瀬戸口 瑞恵(以下、瀬戸口)
人事は会社の管理部門であって、利益を生み出す部門ではありません。そのため、たとえ人手不足による募集だとしても、必要最小限の人数構成にするため基本的に採用枠は1名となり、通過率も低いんです。