タイに移住して働く人の仕事や生活は?
現地グローバルキャリアアドバイザーに聞きました
更新日:2024/6/28
タイの現地情報を紹介するキャリアアドバイザーのプロフィール
中村優太(なかむら ゆうた)
パーソルタイ
タイ在住歴6年、キャリアアドバイザー歴3年半(2024年4月現在)。2020年より現職。タイの日系企業向け人材紹介サービス、日本人のタイ求職サポートに6年間従事。
タイに移住した現地キャリアアドバイザーが感じる、国の特徴や日本との違い
世界有数の親日国であり、歴史的に見ても日本と親交の深いタイ。キャリアアドバイザーとして活動している中村が、タイの特徴についてご説明します。
キャリアアドバイザーが感じる、タイの特徴
タイにはおよそ約6,000社(JETRO調べ)の日系企業が進出しており、その約40%は製造業となっています。大手企業は製造拠点をベトナムやインドネシアに移す傾向が見られるものの、外国企業の工場新設に補助金を出し日本や中国のメーカーを誘致するなど、まだまだ市場は成長中です。その一方、近年は第二次産業から第三次産業へ移行してきており、小売・サービス業が約15%を占め、製造国から消費国に変遷しています。
また、Thailand 4.0を掲げ、ITの分野に国を挙げて力を入れており、都市部でのITインフラ面は著しい発展を遂げています。さらに、IT系スタートアップも多く、分野によっては加速度的な成長を見せているのも特徴です。
タイは日本同様に少子高齢化社会であることから、直近では医療系の製造企業・販社も増加傾向にあります。職種としては、ITエンジニア、営業、事務、カスタマーサービスなど幅広い仕事において転職のチャンスがあります。新卒や若手ビジネスパーソン向けの求人もあり、未経験でも熱意があれば採用を考えている企業も多いです。
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タイならではの良さ、移住前に知っておきたいこと
タイの良さは、第一に「生活のしやすさ」が挙げられます。熱帯モンスーン気候により年間を通して常夏で、特に11~ 2月の乾期は爽やかな晴天に恵まれます。日本の秋冬の気候が苦手な人にとって、過ごしやすいと感じるようです。ただし、3~5月の暑期、6~10月の雨期は高温多湿となるため、革製品や衣類、食品を守る防湿グッズを日本で買いそろえておくと安心です。
食事の面でも困ることはほぼありません。日本人が多いレジデンスエリアでは、日本料理店、ラーメン店、居酒屋などの飲食店が充実しています。さらにうれしいのが、日系スーパーの品ぞろえです。調味料やカップラーメン、日本のお菓子だけではなく、豆腐や納豆まで販売しています。日本と比べると少々値は張りますが、海外生活で日本の食品が購入できるのは大きな魅力です。
ここまでお伝えしたとおり、日本人にとって暮らしやすい環境なのは、バンコクをはじめ在タイの日本人が多いためです。創立100周年以上になるタイ国日本人会の活動も盛んで、同好会や子育て支援会も開催されています。海外に住んでみると、生活に関する想定外の困り事が発生するときがあります。そんなとき、助けあえる日本人が周囲にいるのは心強いと感じるはずです。
タイに住む日本人が多いのは、他国に比べてビザが取りやすいことも理由のひとつです。新卒や業界未経験でもビザを申請できるため、海外で新たなキャリアを築きたい方にはうってつけといえます。現在、dodaグローバルで募集中の求人もぜひ参考にしてみてください。
タイで感じる、日本との「仕事上」の違い
大きな違いとしてあげられるのが、仕事の進め方です。日本では「報連相」という言葉がビジネスにおいて浸透していますが、タイでは報連相に対する意識が異なります。仕事上で問題が起きた場合でも、自分で解決できると思った場合は報告しないといったことも少なくありません。現地スタッフといっしょに仕事をする際は、日本との違いを理解しておくことが、円滑に仕事を進めるうえでは大切です。
また、タイではプロセスより結果を重視する人が多い傾向にあります。日本では企業によってはプロセスが評価されることもありますが、タイの現地企業では結果重視で、比較的欧米に近い考え方を持っているといえるでしょう。
タイで仕事をするとなると日常会話程度の英語のほか、場合によっては、タイ語を使ったコミュニケーションが必要となります。現地スタッフと良好な関係を築きやすくするためにも、余裕があればタイ語を習得しておくことをおすすめします。
タイで感じる、日本との「生活上」の違い
生活面では、タイは多様性に富んだ価値観を許容している国といえます。セクシュアルマイノリティへの寛容性が高く、2022年には「シビル・パートナーシップ法案」を承認し、同性カップルに対して異性同士の夫婦と同様の権利が与えられました。
また、タイではおよそ95%の国民が仏教徒だといわれています。タイでは悟りを開いた人のみが救われるとされる「上座部仏教」が主流で、短期間の出家をする男性も多くいます。
国歌が朝と夕方の2回流れてくることも違いとしてあげられます。スピーカーなどから国歌が流れてくると、その場にいる人はみな直立不動の姿勢をとる必要があります。国への感謝と忠誠心が込められています。
住むにあたって気になるのは物価だと思いますが、タイの物価は近年上がっている傾向です。特に、首都バンコクは飲食チェーン店をはじめ日本とほぼ同じ価格で提供するカフェやレストランが増えているため、「タイは物価が安い」というイメージは持たないほうがよいかもしれません。ただし、現地のローカルフードは良心的な価格の店が多く、アパートメントやマンションなど賃貸住宅は日本の都市部と比較して半額程度で借りられるので、暮らし方の工夫次第で出費を抑えられます。
また、外国人を受け入れている私立病院の医療費は高く、歯科治療も高額で、日本の約3倍はかかるといわれています。タイ移住前に、日本人向けの保険サービスを検討しておくとよいでしょう。
現地キャリアアドバイザーが教えるタイに移住・駐在するメリットとデメリット
タイに移住・駐在をするうえで、どういうメリットやデメリットがあるのでしょうか。ここでは、タイ生活におけるメリットとデメリットについてお伝えします。
タイの移住・駐在で考えられるメリット
仕事面のメリットとして、現地スタッフのマネジメントや育成、事業の責任者などを任されるチャンスが多いことがあげられます。年齢・経験の有無にかかわらず挑戦ができ、意思決定も任されることが多い傾向にあります。英語力の向上も期待でき、経験を積めば、その後のキャリアアップの幅も広がるでしょう。
生活面では日本の都市部と比較してコストパフォーマンスに優れているのが魅力です。東京や大阪などの大都市の不動産と比較して、半分程度の値段で部屋を借りられます。また、ジムやプールなどが備わっていたり、駅から徒歩1~3分程度と利便性に優れていたりする物件も多いです。
日本食も充実しており、日本の有名チェーン店も多く進出しているため、食に対して不足に感じることはほとんどありません。現地のローカルフードもおいしく、さまざまな食を楽しみたい人にとってタイはおすすめです。
さらに、日本ブランドの製品が充実しているのもメリットです。有名な日本ブランドのお店も複数出店しており、日本に帰省しなくても現地で手に入ります。日本語を話せるタイ人や在留邦人数もほかの東南アジア諸国と比べて多く、初めての海外生活を送る方でも生活がしやすいです。
タイの移住・駐在で考えられるデメリット
デメリットとして、首都のバンコクでは交通渋滞が激しいことがあげられます。タクシーなどで目的地に向かう際は、時間に余裕を持って行動するようにしましょう。バンコクであれば公共交通機関が発達しており、電車の利用もおすすめです。電車は地下鉄を含めて大きく分けると3種類あり、日本と比較して料金も安いので積極的に活用してみてください。
そのほか、タイはナイトマーケットが有名で多くのグルメ屋台が軒を連ねています。さまざまなおいしいローカルフードが食べられますが、なかには日本のように衛生管理が徹底されていないお店もあり、おなかを壊してしまうこともデメリットとして考えられます。つらい思いをしないためにも、生ものは食べないなど、ある程度の用心が必要です。
とはいえ、タイ料理は世界的に人気で、現地に行けばコストを抑えてさまざまなローカルフードを楽しめます。dodaのキャリアアドバイザーは、仕事だけでなく現地の生活事情などについてもお答えします。気になる方は、下のボタンからお気軽にお申し込みください。
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タイで働くうえで知っておきたい基本情報
ここからは、タイ転職の基本となる情報をお伝えします。
タイの基礎情報
- 面積
-
51万4,000平方キロメートル(日本の約1.4倍)
- 人口
-
6,609万人(2022年、タイ内務省)
- 民族
-
大多数がタイ族。その他 華人、マレー族等
- 言語
-
タイ語
- 宗教
-
仏教 94%、イスラム教 5%
- 通貨
-
バーツ(Baht)
- 主要産業
-
製造業が主要産業となっており、タイGDPの約30%を稼いでいる。一方、農業については、就業者数ではタイ就業者数全体の約30%を占める産業となっているが、GDPのシェアでは10%未満にとどまる。また、タイ経済の柱は観光であり、例えば、新型コロナウィルス感染症拡大前の2019年には海外からの観光収入が605億ドル(世界第4位)となった
- 1人当たりGDP
-
7,331.5ドル
(出典:2023年、タイ国家経済社会開発委員会)
出典:タイ王国(Kingdom of Thailand)基礎データ
待遇・就業に必要な条件
- 給与の目安
-
■営業
月収50,000~80,000バーツ
(210,500~336,800円)
■事務
月収50,000~60,000バーツ
(210,500~252,600円)
■エンジニア
月収60,000~130,000バーツ
(252,600~378,900円)
※日本円は1バーツ4.21円で換算
※20代後半~30代後半における内定条件の平均値 - 就労ビザ
-
就労ビザを取得するためには、月額固定給与が50,000バーツ(210,500円)以上であることが求められます。
また最終学歴の英語版の書類の提出が必要です。
※現地事情により変更になる場合があります。最新情報は大使館HPなどでご確認ください。 - 必要な語学スキル
-
英語(日常会話+社内で使用される程度の会話レベル)*目安 TOEIC 700点以上
日常の会話は英語ベースになるので、努力次第で英語のレベルアップが可能。
永住ビザの取得条件・方法について
タイは永住権付与の年間割り当て数が、1カ国につき最大100人と定員が決まっています。犯罪歴がないこと、タイ語で日常会話ができることのほか、永住権を取得する前にノンイミグラントビザ(就労ビザや配偶者ビザ等)を3年延長していることが条件です。永住権は下記の4種類があり、申請基準も異なります。
- 投資家ビザ
-
・タイ国内で最低 1,000 万バーツの投資を行っている
・永住権取得後3年間は、投資証明を提出しなければならない - 就労・ビジネスビザ
-
・就労者の場合、3年間の就労許可を持っており、申請書記載の会社に1年以上勤務している。直近2年間で、月額8万バーツ以上の収入がある、または10万バーツ以上の個人所得税を支払っている
・取締役の場合、会社の登録資本金が1,000万バーツ以上あり、直近2年間で月額5万バーツ以上の収入がある - 配偶者・家族ビザ
-
・配偶者ビザを取得する場合、子どもがいる家庭は2年以上、子どもがいない家庭は5年以上、法的な婚姻関係の証明が必要
・世帯月収が3万バーツ以上ある - 専門家ビザ
-
・学士号以上を取得しており、タイにとって必要とされる能力を有している
・提出時点までに、タイで直近3年間勤務していた就労証明書を提出する必要がある
企業・労働状況
- 代表的な日系進出企業の業 種
-
自動車(四輪・二輪)、電機・電子・半導体メーカー、銀行、商社、建設、物流、通信・IT・システム・Web開発、サービス、旅行、飲食など。
- 職場環境
-
タイではオフィスワーカーの大半は英語を使用しますが、日本語を話せる人も多く、環境によっては日本語でのコミュニケーションが可能です。日系企業の進出はさらに続くと予想され、日本語を習得しようというタイ人も一定数います。
- アジアの他国と比較したときに多い求人
-
製造、商社、物流業界が求人の業界比率のトップ3を占めています。
約6,000社という日系企業の4割を製造業が占めており、それに関連した業界での採用がメインのためです。
生活環境
- 家賃相場(1カ月)
-
アパート・コンドミニアム
10,000~25,000バーツ(42,100~105,250円)
※ほとんどの場合、以下のような家具・家電がついているため引っ越し荷物、初期費用は少なくてすみます。
(テレビ、IHプレート、冷蔵庫、洗濯機、ベッド、クローゼット、ソファ、電子レンジなど)※日本円は1バーツ4.21円で換算
- 生活費相場(1カ月)
-
合計:約30,000バーツ~(126,300円~)
(内訳)
通信費:300~1,000バーツ(1,263~4,210円)※携帯電話
光熱費:800~1,500バーツ(2,105~6,315円)※家賃に含まれる場合あり
交通費:1,000~1,500バーツ(4,120~6,315円)
食費・交際費:8,000~15,000バーツ(33,680~63,150円)
その他:雑費など※日本円は1バーツ4.21円で換算
- タイで暮らす日本人
-
72,308人(2023年10月)
参照:外務省 タイ王国
タイへの転職・移住について気になることは、キャリアアドバイザーに相談
タイ在住のキャリアアドバイザーが、実体験を交えて、現地情報を紹介してきました。タイには多くの日系企業が進出しており、未経験でもチャンスがあります。タイへの転職や移住・駐在に興味を持ったなら、後悔しないためにもグローバルキャリアアドバイザーへ相談してみませんか? 一人ひとりのキャリアに合わせた求人を紹介するのはもちろん、タイ暮らしへの疑問や質問など、ささいなことにもお答えします。下のボタンからお気軽にお申し込みください。
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