オーストラリアに移住して働く人の仕事や生活は?
現地グローバルキャリアアドバイザーに聞きました
更新日:2024/6/28
オーストラリアの現地情報を紹介するキャリアアドバイザーのプロフィール
今田 蓉子(いまだ・ようこ)
PERSOLKELLY Australia
オーストラリア在住歴1年。キャリアアドバイザー歴1年。アメリカへの留学経験あり。
新卒で大手アパレル企業に入社後、リテールオペレーションを3年経験し、外資系IT企業でプロジェクトマネジャーを2年経験した後、現職。
オーストラリアに移住した現地キャリアアドバイザーが感じる、国の特徴や日本との違い
日本の約20倍という広大な国土に、200以上の異なる民族出身者が暮らすオーストラリア。キャリアアドバイザーの今田が、オーストラリアの特徴についてご説明します。
キャリアアドバイザーが感じる、オーストラリアの特徴
オーストラリアには、商社、エネルギー、メーカーなど幅広い業種で約846社(2022年10月現在)の日系企業が進出中です(出典:外務省「海外進出日系企業拠点数調査」)。鉄鉱石を中心とした資源国としてのイメージが強いですが、シドニーやメルボルンをはじめとする都市部では、多様なビジネスが展開されています。都市部でのサービス業を中心とした内需や、移民受け入れなどによる高い人口増加率がGDPの下支えとなり、今後も堅調な経済成長が期待されています。
求人としては、IT・テクノロジー関連分野や、教育・教育支援関連分野、建設・インフラストラクチャー関連分野、農業・農業支援関連分野で特に需要が増えています。オーストラリアでは、他国に比べてより専門的な人材が求められる傾向にあるため、自分の専門分野を極めたいプロ志向の人にはうってつけの環境といえます。
また、広大な国土が育む自然の豊かさに加え、治安の良さ、過ごしやすい気候なども魅力の一つ。英エコノミスト紙が発表する「世界で最も住みやすい都市ランキング2023」には、シドニーとメルボルンの2都市が選出されており、国際的にも評価を受けています。
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オーストラリアで感じる、日本との「仕事上」の違い
オーストラリアで働いていると、「職場環境」について日本との違いを感じるかもしれません。オーストラリアの職場では、プロフェッショナリズムやワーク・ライフ・バランスを重んじる風潮があり、労働時間や休暇などの制度は比較的整っています。移民が多く、国際色も豊かなため、お互いに尊重し合いながら柔軟な考えを持って社内外の関係者と接する文化も特徴的です。
さらに、朝早くに仕事を始め、その分早く帰宅したり、金曜日は16時以降になると飲みに行ったりと、フレキシブルな働き方をする人が多いのもポイント。いつも時間に追われながら仕事をするといったことも少ない印象です。
また、会社の都合で専門外の部署に異動になることはほぼないことも、日本との違いとしてあります。雇用契約書に職務内容が明記してあることが多く、「記載されていない業務を担当する必要はない」という考えが一般的です。
オーストラリアで感じる、日本との「生活上」の違い
生活面でいうと、日本と比較しても物価の高さが違いとしてあります。その分、全体として高い生活水準が特徴的です。外食ではなく自炊をする人が多く、ランチも外食すると1回約12~23オーストラリアドル(1,200~2,300円)程度かかるため、ランチボックスを持参する人が目立ちます。
また、公共の場でのルールも比較的厳密に定められています。例えば、「路上での飲酒は禁止」「室内での喫煙禁止」「信号無視、横断歩道以外での道路の横断をすると罰金を支払わなければならない」などの常識が浸透しています。特に喫煙については、日本では分煙という方法で喫煙に対する取り組みを行っているのに対して、オーストラリアでは、州によって条例は異なるものの、喫煙自体に対する規制が厳しい傾向にあります。
現地キャリアアドバイザーが教えるオーストラリアに移住・駐在するメリットとデメリット
オーストラリアに移住して生活すると考えたとき、気になるのがオーストラリア生活でのメリットやデメリットではないでしょうか。オーストラリアに移住・駐在することで考えられるメリットとデメリットについてご紹介します。
オーストラリアへの移住・駐在で考えられるメリット
メリットとしては、まず、「生活(給与)水準の高さ」が挙げられます。世界の中でもトップクラスに高いといわれる最低時給に加え、平均年収も高い傾向にあります。オーストラリアの企業は基本的に成果主義のため、積極的に成長し続ける姿勢は欠かせませんが、昇給や昇格が、自分の頑張り次第でかないやすい環境といえるでしょう。一方で、ワーク・ライフ・バランスの取りやすさも特徴的。朝早く来て夕方には帰るなどフレキシブルな働き方が浸透しているほか、年間休日も120日以上確保している企業が多く、オンオフのメリハリはつけやすいと感じます。
また、仕事で英語を使いたい方や、専門分野を極めながらキャリアアップしたい方にも、オーストラリアでの就業はおすすめです。特に最近では、人口構成の変化や経済の発展に伴いIT・テクノロジー分野を中心に、教育関連、建設・インフラストラクチャー関連などの分野で採用ニーズが高まっています。これらの分野で専門性の高い人材としてキャリア構築をすると、オーストラリアでの就業がかないやすくなるでしょう。
環境面での魅力としては、豊かな自然環境が挙げられます。例えば、「真夏のクリスマス」など南半球ならではの季節感を味わえるほか、ほとんどの都市でビーチなどの自然を気軽に楽しめるのは、オーストラリアならではだと思います。国土が広く、観光スポットも多いため、国内旅行先にも困りません。
オーストラリアへの移住・駐在で考えられるデメリット
英語ができないと、ビジネスの場で意思疎通が難しい点がデメリットとして挙げられるのが実情です。オーストラリアは世界屈指の多国籍国家ですが、公用語はあくまで英語。ビジネスの場においても、「英語は話せて当たり前」という目線で見られるため、ぜひ英語を習得しておくことをおすすめします。
また、生活面では、食費の高さに戸惑うかもしれません。農業大国のオーストラリアですが、米や野菜、フルーツなどを除いて、比較的に食費は日本よりも高め。そのため、外食の代わりに大人数で家に集まり、食べ物や飲み物を持ち寄ってシェアすることも多いです。スーパーのディスカウント率が日本よりも高いので、週ごとのお買い得品をチェックしたり、なるべく季節の食材を選ぶなど工夫をしたりすることで、節約につながります。
オーストラリアで働きたいと思っても、いざ移住・駐在するとなると不安要素も多く出てくるでしょう。dodaのグローバルキャリアアドバイザーは、仕事だけでなく現地事情などについてもお答えします。気になる方は、下のボタンからお気軽にお申し込みください。
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オーストラリアで働くうえで知っておきたい基本情報
ここからは、オーストラリア転職の基本となる情報をお伝えします。
オーストラリアの基礎情報
- 面積
-
769万2,024平方キロメートル(日本の約20倍、アラスカを除く米国とほぼ同じ)
- 人口
-
約2,626万人(2022年12月。出典:豪州統計局)
- 民族
-
アングロサクソン系など欧州系が中心。そのほかに中東系、アジア系、先住民など。
- 言語
-
英語
- 宗教
-
キリスト教43%、無宗教38%(出典:2021年国勢調査)
- 通貨
-
オーストラリアドル
- 主要産業
-
第一次産業2.6%、第二次産業26.3%、第三次産業71.1%
農林水産業(2.6%)、鉱業(10.6%)、製造業(5.9%)、建設業(7.3%)、卸売・小売業(8.6%)、運輸・通信業(6.6%)、金融・保険業(9.3%)、専門職・科学・技術サービス(7.5%)など(2020~21年度のGVA産業別シェア、出典:豪州統計局) - 1人当たり名目GDP
-
64,491米ドル(2022年、出典:世界銀行)
出典:オーストラリア連邦(Commonwealth of Australia)基礎データ
待遇・就業に必要な条件
- 給与の目安
-
営業:月収5,000~8,000オーストラリアドル(500,000~800,000円)
事務:月収4,000~6,500オーストラリアドル(400,000~650,000円)
カスタマーサービス:月収4,000~6,000オーストラリアドル(400,000~600,000円)
※日本円は1オーストラリアドル100円で換算 - 就労ビザ
-
就労ビザを取得するためには、雇用主がサポートする方法、個人で申請する方法の2つがあり、それぞれの条件は以下のとおりです。
■雇用主がサポートする場合
・熟練職業リスト(Skilled Occupation List、通称SOL)に載っている職種であること
・申請する職業の証明できる職歴が2年以上あること
・給与が各職種や地域ごとの相場以上であること
が必須要件となります。■個人で申請する場合
ポイント制度になっており、年齢、学歴、職歴、英語力などがポイント化され合格点を満たすと発行されます。こちらも熟練職業リスト(SOL)に載っている職種でなければ申請できません。※配偶者ビザでも就労可能です。(就労時間に制限がある場合もあり)
※現地事情により変更になる場合があります。最新情報は、大使館HPなどでご確認ください。 - 必要な語学スキル
-
英語(ビジネスレベル以上)が必要です。
永住ビザの取得条件・方法について
オーストラリア政府は、技術や資格を持つ人材不足を解消するため、永住権を付与する移民の年間受け入れ数を増やす方針を発表しています(2022/2023年度予算案)。しかし、現地人の雇用を守る諸条件があるため、就労ビザで永住権を取るなら、技術力とビジネスレベルの高い英語力は最低条件と思っておくとよいでしょう。
オーストラリアで取得できる代表的な永住ビザと、それぞれの取得方法を紹介します。
- 技術独立永住ビザ(Skilled Independent visa)
-
スポンサーや推薦者は必要なく、自力で申請するビザです。45歳未満であること、熟練職業リスト(Skilled occupation list)にある職業に就いていること、さらに英語スキルや雇用経験などのポイントを加算し、判断されます。
- 技術指名永住ビザ(Skilled Nominated visa)
-
オーストラリアの州または準州の政府機関にExpression of interest (EOI)という意思表明書を提出し、州または準州から推薦してもらうビザです。45歳未満、熟練職業リストにある職業に就いている、高い英語スキルといった点が評価基準になります。
- パートナービザ(Partner visa)
-
現在オーストラリアに滞在していなくても、オーストラリア国民またはオーストラリア永住権を持つ事実上のパートナーか配偶者がいれば、Partner(Provisional) visa を申請可能です。通常、Partner (Provisional) visaを取得して2年経過すれば、永住資格のあるPartner (Migrant)visaを申請できます。
- その他
-
Permanent Residence(Skilled Regional)visa(地方移住技術就労ビザ)、Global Talent visa(国際的にスポーツや芸術・学術分野で活躍する人の永住ビザ)などがあります。
参考:Visa list (Australian Government)
企業・労働状況
- 代表的な日系進出企業の業 種
-
商社、エネルギー、メーカー、金融、不動産(建設業)、IT、製薬、リテール、サービス、製造業、物流、テクノロジーなど、多種多様です。
- 職場環境
-
移民も多く国際色豊かなオーストラリアでは、社内でもさまざまなバックグラウンドを持つ方が働いています。社内公用語は英語であることがほとんどで、ビジネスレベルの英語力が求められる環境だと思ってよいでしょう。
- アジアの他国と比較したときに多い求人
-
特に以下の4分野について、需要が高まっています。
■IT・テクノロジー関連分野 テクノロジーの進化とデジタルトランスフォーメーションの推進により、需要が高まっています。
■教育・教育支援関連 多様な文化背景を持つ学生に対応するため、英語教育や多言語の教育支援も重要な役割を果たしています。
■建設・インフラストラクチャー関連 インフラストラクチャーの整備や都市開発に伴い、建設業界も活発です。
■農業・農業支援関連 オーストラリアは農業が盛んであり、農場労働者や農業技術者の求人が存在します。
生活環境
- 家賃相場(1カ月)
-
ワンルームマンションもありますが、一軒家もしくはアパート(マンション)のシェアハウスが一般的です。
ワンベッドルーム:1,900~2,500オーストラリアドル(190,000~250,000円)
シェアルーム(一人部屋):1,100~1,800オーストラリアドル(110,000~180,000円)※家賃は週単位で表記されることがほとんどで、支払いも2週間ごとに支払いの場合が多いです。
※基本的に光熱費込み、家具付き(冷蔵庫、洗濯機、ベッド、クローゼット、ソファ、電子レンジなど)
※ボンド(保証金):2~4週分の家賃分のボンドと呼ばれる保証金が必要です。退去時に問題なければ全額返金されます。 ※日本円は1オーストラリアドル100円で換算 - 生活費相場(1カ月)
-
※家賃含まず
平均合計:約1,300オーストラリアドル(約130,000円)■内訳
通信費:50オーストラリアドル(5,000円)
光熱費:80オーストラリアドル(8,000円)※シェアハウスの場合は家賃に含まれることが多い。 交通費:100オーストラリアドル(10,000円) 食費・交際費:900オーストラリアドル(90,000円) ※昼食代の相場:12~23オーストラリアドル(1,200~ 2,3000円)/回 雑費:150オーストラリアドル(15,000円)※日本円は1オーストラリアドル100円で換算
- オーストラリアで暮らす日本人
-
94,942人(2022年10月1日時点)
オーストラリアへの転職・移住について気になることは、グローバルキャリアアドバイザーに相談
オーストラリア在住のキャリアアドバイザーが、実体験を交えて、現地情報を紹介してきました。オーストラリアは、専門分野を活かしながら多国籍な環境でキャリアアップを実現したい人におすすめの国だといえます。
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