香港に移住して働く人の仕事や生活は?
現地グローバルキャリアアドバイザーに聞きました
更新日:2024/4/30
香港の現地情報を紹介するキャリアアドバイザーのプロフィール
山﨑 杏里(やまざき あんり)
パーソル香港
日本にて海外就業を希望される方々向けのキャリアアドバイザーを経験した後、2019年に香港へ渡航。
2021年にパーソル香港へ入社、現在はコンシューマー業界及びチームマネジメントを担当。人材業界での経験は7年目となる。
香港に移住した現地キャリアアドバイザーが感じる、香港の特徴や日本との違い
多様な文化が混ざり合っており、海外からの移住者も多い香港。キャリアアドバイザーとして活動している山﨑が、香港の特徴をお伝えします。
キャリアアドバイザーが感じる、香港の特徴
国際都市である香港には、日本人が2万人以上暮らしており、日本人向けの飲食店などのサービスが充実しているのが特徴です。また、アジア圏のなかでは給与水準が高く、英語または中国語を活かして活躍できる機会が豊富にあるほか、海外就業を希望する人から多くの人気を集めています。
香港には、商社、物流、金融、サービスなど幅広い業種の日系企業が進出しています。かつては製造業の進出もありましたが、人件費の安い東南アジアへシフトしており、ここ数年、製造業の進出数は減少傾向にあります。
一方で、最近は飲食や美容関連、香港への進出企業をサポートするコンサルティング企業、新規進出企業のITインフラをサポートする企業など、サービス業の求人が増加しています。特に美容や飲食業界では日本のサービスのクオリティが高く評価されており、今後も進出が増加する可能性があります。
香港で現地採用された後のキャリアとしては、現地ローカルスタッフと日本人駐在員のかけ橋になり活躍することが考えられます。多くの企業がローカル化を進めるなかで香港の土地柄・商習慣を深く理解し、日本本社の意向を理解しながら、ローカル化の一翼を担うケースもあるでしょう。
なお、香港では2019年に「逃亡犯条例」の改正案の提出をきっかけに、民主化を求めて大規模なデモが起こっています。2020年以降デモは落ち着いてはいますが、香港に移住・駐在する際は留意しておきましょう。
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香港で感じる、日本との「仕事上」の違い
香港では、合理性とコストパフォーマンスを重視する働き方が評価される傾向にあります。繁忙期などに残業をすることはあるものの、基本的には自分の仕事が終わったらすぐに帰ります。プライベートの時間を大切にする傾向にあるため、仕事上の付き合いで飲み会が開催されることも少ないです。
また、有休消化率は日本より高いです(出典:エクスペディア・ジャパン)。香港では有給休暇は使い切るものだと考えている人が多く、世界的に見ても有休消化率は高水準です。有給休暇を取る際に上司の目を気にするといったこともありません。そのほか、有給休暇などの休日を活用して副業をし、会社以外の収入源を持っている人も多いです。
香港で感じる、日本との「生活上」の違い
生活面では、湿度が高いことが違いとしてあげられます。1年を通して湿度が高く、霧によって外が真っ白な状態になることもあります。温暖な気候ではありますが、日本よりカビが発生しやすいので注意が必要です。
また、香港の面積は日本の札幌市ほどでコンパクトです。地下鉄やバスを活用すればほとんどの場所に行けるため、車がなくても生活に困ることはありません。
ちなみに、交通機関を利用する際は、チャージ式ICカードのオクトパスカードが便利です。日本のSuicaやPASMOと同じようにタッチするだけ利用でき、公共交通機関はもちろん、コンビニやレストランなどでも使えます。
そのほか、香港では共働きの家庭が多く、家で料理を作る機会が少ないことから外食文化が浸透しています。店内が混雑しているときは、相席になることが多いことも日本との違いとしてあげられます。
現地キャリアアドバイザーが教える香港に移住・駐在するメリットとデメリット
いざ香港に移住・駐在するとなると、どういうメリット・デメリットがあるのか気になる人もいるでしょう。ここでは、香港生活のメリットとデメリットについてご紹介します。
香港の移住・駐在で考えられるメリット
大きなメリットとしてあげられるのが、国際色豊かな環境です。香港はアジア金融の中心地で、さまざまな国籍の人が住んでいます。多様な価値観を持つ人と一緒に仕事をするなかで、国際的なビジネス感覚を身につけたい人におすすめです。
また、社内の公用語に英語を採用している企業が多くあります。働きながら英語力も高めることができれば、その後ほかの英語圏の国に転職するなど、キャリアアップのチャンスを得る機会も多いでしょう。
さらに、香港は世界的に有名な金融都市ということもあり、給与水準もほかのアジア諸国と比較すると高い傾向にあります。住民税や消費税がなく、所得税などの税金が安いこともうれしい点です。
日本人が多く、生活環境になじみやすいこともメリットのひとつです。日本食レストランが多く進出しており、香港でも日本で慣れ親しんだ食事を楽しめます。また、日系スーパーの数も多く、日本の商品を気軽に買えるので便利です。香港には親日的な人も多くいるため、はじめての海外転職という方にもおすすめです。
香港の移住・駐在で考えられるデメリット
デメリットとしてあげられるのが、家賃が高いことです。東京よりも家賃は高く、場所によっては東京の2倍以上するような物件もあります。一方、新界などのベッドタウンであれば、香港島などの中心部と比較して家賃を抑えられるでしょう。
また、香港には日本のような健康保険制度が存在していません。医療費は基本的に自己負担となりますが、従業員の福利厚生の一環として、医療保険に加入している会社もあります。現地採用で香港に移住する際は、勤め先の会社が医療保険に加入しているかどうか、加入している場合は保険の内容もあわせて確認するようにしましょう。
そのほか、香港は日本人向けの求人が少ない傾向にあります。英語ができないと転職が難しい場合もあるので、可能であればビジネスレベル以上の英語力を身につけておくことをおすすめします。
香港で働きたいと思っても、どう転職活動を進めていけばよいか分からない人も多いでしょう。dodaのキャリアアドバイザーは、海外転職への漠然とした疑問についてもお答えします。気になる方は、下のボタンからお気軽にお申し込みください。
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香港で働くうえで知っておきたい基本情報
ここからは、香港転職の基本となる情報をお伝えします。
香港の基礎情報
- 面積
-
1,110平方キロメートル(東京都の約半分)
- 人口
-
約740万人(2021年)
- 民族
-
中国系(約92%)
- 言語
-
広東語、英語、中国語(マンダリン)ほか
- 宗教
-
仏教、道教、プロテスタント、カトリック、イスラム教、ヒンドゥー教、シーク教、ユダヤ教
- 通貨
-
香港ドル
- 主要産業
-
金融業、不動産業、観光業、貿易業
- 1人当たりGDP
-
399,520.11 香港ドル
(51,168.05 米ドル)
待遇・就業に必要な条件
- 給与の目安
-
■一般事務・人事総務・会計・貿易事務
経験3年程度:月収25,000香港ドル~
(425,000円~)
5年以上~管理職:月収30,000~50,000香港ドル
(510,000~850,000円)
■営業・マーケティング・生産管理・購買など
経験3年程度:月収25,000香港ドル~
(425,000円~)
5年以上~管理職:月収28,000~50,000香港ドル
(425,000~850,000円)
※業界によって変動があります
■専門職(会計・金融・IT エンジニアなど)
経験3年程度:月収28,000香港ドル~
(476,000円~)
5年以上~管理職:月収35,000~70,000香港ドル
(595,000~1,190,000円)
※日本円は1香港ドル17円で換算 - 就労ビザ
-
就労ビザを取得するための目安。
・4年制大学卒以上+3~5年の就業経験(応募職種と関連する業種が望ましい)
・4年制大学卒未満の場合は、高い専門性を持ち、かつ10年以上の就業経験が望ましい(新卒者への就労ビザ発行は基本的になし)
また、配偶者ビザ(配偶者が就労ビザや永住権を所有している場合に取得可)でも、正社員やパートタイムでの就労が可能です。
※現地事情により変更になる場合があります。最新情報は大使館HPなどでご確認ください。 - 必要な語学スキル
-
英語(日常会話レベル以上)、広東語およびマンダリンができればなおよい。
企業・労働状況
- 代表的な日系進出企業の業 種
-
金融、電機・電子、商社、物流、アパレル、コンサルティング、IT関連、サービスなど。
- 職場環境
-
大手日系企業には香港人、日本人だけでなく、欧米、アジア各国のスタッフも在籍し、社内の公用語は英語という企業が多数。中小企業では英語に加えて多少の広東語と業務によっては北京語が必要です。
- アジアの他国と比較したときに多い求人
-
全体的に日本人向けの求人は少ない傾向にありますが、営業職のニーズは継続的にあります。また、IT関連のプリセールスやシステムエンジニアも増加傾向にあります。
生活環境
- 家賃相場(1カ月)
-
マンション
1R:8,000香港ドル~(136,000円~)
1LDK:10,000香港ドル~(170,000円~)
2LDK:郊外 15,000香港ドル~(255,000円~)
九龍側 17,000香港ドル~(289,000円~)
香港島 22,000香港ドル~(374,000円~)
※住むエリアによっても異なります
※ほとんどの場合は家具・家電付き(ガスコンロ、冷蔵庫、洗濯機、ベッド、クローゼット、ソファ、電子レンジなど)
※賃貸契約は1年以上の年契約が一般的で、入居の際は 家賃2カ月分の保証金(敷金)、初回月の家賃、手数料などが必要となります。※日本円は1香港ドル17円で換算
- 生活費相場(1カ月)
-
平均合計:約10,780香港ドル(183,260円)
(内訳)
携帯電話:200香港ドル~(3,400円~)
Wi-Fi・通信費:180香港ドル~(3,060円~)
光熱費:平均500香港ドル(8,500円)
食費:7,400香港ドル(125,800円)
交通費:500香港ドル(8,500円)
交際費ほか:2,000香港ドル~(34,000円~)※日本円は1香港ドル17円で換算
- 香港で暮らす日本人
-
22,930人 (2024年2月時点)
参照:外務省 香港
香港への転職・移住について気になることは、キャリアアドバイザーに相談
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