中国に移住して働く人の仕事や生活は?
現地グローバルキャリアアドバイザーに聞きました
更新日:2024/4/19
中国の現地情報を紹介するキャリアアドバイザーのプロフィール
中国北部(北京、大連、天津)
川端一史(かわばた かずふみ)
PERSOLKELLY China
2015年に金属素材製造企業に入社。現場技術職を経験後、2023年に PERSOLKELLY China に入社し、華北地域の法人営業に従事している。
中国東部(上海、蘇州)
川島真実(かわしま まみ)
PERSOLKELLY China
中国在住15年、キャリアアドバイザー歴10年目。海外留学1年半、海外勤務14年の経験あり。2013年にテンプスタッフ深センに入社し、5年ほど在籍の後、2019年に上海に異動。現在はキャリアコンサルタントとして従事している。
中国南部(広州、深圳)
城間紗里(しろま さり)
PERSOLKELLY China
キャリアアドバイザー歴5年半。上海5年の海外勤務経験有。広告業界での営業を経て、2018年PERSOLKELLY Chinaへ入社。キャリアコンサルタントとして、主に日本籍の方の転職支援に従事。2024年より広州へ異動。
中国に移住した現地キャリアアドバイザーが感じる、国の特徴や日本との違い
キャリアアドバイザーとして活動している3人が、中国の特徴について地域別にそれぞれご説明します。
キャリアアドバイザーが感じる、中国の特徴
「世界の工場」と呼ばれた中国には、大規模な設備投資を行っても採算が取れたため、世界中から製造業が進出してきました。しかし、人件費の高騰によりコストメリットが薄れたため、新規進出する企業数は減少傾向にあります。そのため製造業の求人数の増加ペースは鈍化していますが、多額の設備投資を必要としないサービス業の求人数は増加しています。
中国への転職においては、応募条件が厳しくなっている点に注意が必要です。中国語を話せることにくわえて、就業を希望する職種の実務経験や、高いコミュニケーション力が求められることもあります。
日本人が中国で就業した場合、さまざまなキャリアの可能性が広がります。例えば上海や北京など都市部で就業した場合には、アジア全域や中国国内の拠点を取りまとめるような仕事に携わり、アジアビジネスの最前線で活躍できるでしょう。また、日本でも、中国の商慣習への深い理解を武器に、中国向けビジネスを展開する企業で活躍するといったチャンスもあります。
ここからは、地域別により詳しく中国の特徴についてご紹介します。
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中国北部(北京、大連、天津)の特徴
<北京>
北京は中国の中心拠点として、本社機能を置く企業が多く存在しているのが特徴です。広告やIT、メーカー、金融などさまざまな業界で、幅広い職種の求人があります。中国の支社・支店を統括する拠点で就業することが多く、中国事業の中核を担う業務を経験できる機会が豊富にあります。
また、北京は高いビジネススキルを持つ人や、管理職の立場にある人が多く、ビジネスを進めていくうえで貴重な人脈を構築することが可能です。日本人就業者の数がほかの都市と比較して少ないですが、その分日本人コミュニティの結びつきが強く、そのつながりを仕事に活かしている人も多いです。
<大連>
大連はITやアウトソーシング事業を展開する企業が多数進出している都市で、日本語を勉強している人や日本食の店舗も多く、生活しやすい環境です。求人は、コールセンターのマネジャーやSEなどが増加しています。
大連のコールセンターやIT企業は、日本企業や日本人向けにサービスを展開していることが多いです。中国語や英語をそれほど必要としない求人もあり、語学力にあまり自信がなく、これから勉強していきたい方におすすめのエリアです。
<天津>
天津は北京に隣接している都市で、急速な発展をしています。外国企業の誘致に積極的なことから、日系企業をはじめ多くの国の企業が進出しています。天津に進出する日系企業の特徴は、自動車関連をはじめとする製造業のシェアが高いことがあげられます。
求人は、営業や製造系の技術職をはじめ、天津に在住する日本人向けの販売・サービス系職種、技術系の翻訳職などが多いです。業界経験が不問の求人もあり、大連と同様に、海外での就業を経験する第一歩に適した環境です。
中国東部(上海、蘇州)の特徴
中国東部には大都市上海があり、中国のほかのエリアと比較すると圧倒的に求人数が多いことが特徴です。コンサルティング、広告、物流などのサービス系業種の求人が増加しています。また、中国東部エリアに進出している日系企業では、海外での就業意欲の高い日本人を現地採用するケースも増えています。
日本人でも就業のチャンスがある求人は増加していますが、企業の採用基準が低くなっているわけではありません。語学力が不問の求人もある一方、中国人にない経験や専門性、高いコミュニケーション力などを求められることもあります。
そのほか、中国東部エリアには、中国の統括拠点を置く企業が多いです。中国東部で就職した日本人が、統括拠点で経験を積むことでほかのエリアの拠点長を任されるなど、キャリアアップの可能性が広がります。
中国南部(広州、深圳)の特徴
中国南部地域は広州、深圳をはじめ、周辺都市も含めて製造業が盛んな地域というイメージでしたが、現在では様子が一変しています。特に、深圳は政府主導で新興事業発展に力を入れており、世界からも「中国のシリコンバレー」と称され、注目されています。
求人のトレンドとしては、拠点責任者やマネジメントクラスの募集が増えています。企業の現地化推進や、香港拠点の縮小に伴う中国南部の拠点拡大の影響を受け、責任者ポジションが現地採用でも募集されるようになりました。
また、中国系企業における日本人の採用は増加しており、日本市場開拓のための営業人材や、日本の先端技術の経験とスキルを持つ技術者が求められています。
さらに、現在のマネジメント層の高齢化により、世代交代の必要性が高まっているのも特徴です。若い方でも、重要ポジションに就くチャンスが以前に増して広がっています。特に中国南部は香港や台湾、東南アジアとも距離が近いため、中国国内のみならず、周辺諸国の拠点と兼任して幅広い業務を任されることもあります。キャリアを形成するうえで大きなステップになるといえるでしょう。
中国で感じる、日本との「仕事上」の違い
仕事面の違いとしてまずあげられるのが、成果主義である点です。日本ではプロセスが評価されることもありますが、中国では国籍や年齢、性別問わず、実績を出した人が評価されます。フラットな環境で、子どもがいる女性もフルタイムで働く人が多いです。
成果主義で厳しい側面もある一方、残業せずに定時で退社する人は多いです。就業時間内で効率よく仕事をして、就業後に語学スクールやスポーツジムに通ったり、家族や友人と時間を過ごしたり、プライベートの時間を大事にする傾向にあります。
また、日本はお正月やお盆に長期休暇をとることが多いですが、中国では春節(旧正月)と国慶節(毎年10月1日)前後が大型連休となります。大型連休になると故郷に帰省したり、家族で旅行したりします。なお、大型連休が土日と重なった場合、その前後の土日に振り替え出勤をする必要があることも違いとしてあげられます。
中国で感じる、日本との「生活上」の違い
生活面でいうと、日本と比較してキャッシュレスが浸透していることが違いとしてあります。現金を使う機会はほとんどなく、ほとんどのお店で電子マネーが利用できます。スマートフォンさえあれば、財布を持ち歩かなくても、お金の支払いに困ることはありません。
また、ネットショッピングやデリバリーなどの流通システムも発達しており、配達時間などの管理も徹底されています。出社時のランチに関しても、会社までデリバリーしてもらうことがよくあります。デジタル技術の活用度合いについては、日本より進んでいる印象です。
現地キャリアアドバイザーが教える中国に移住・駐在するメリットとデメリット
中国に移住して生活すると考えたとき、気になるのが中国生活でのメリットやデメリットではないでしょうか。中国に移住・駐在することで考えられるメリットとデメリットについてご紹介します。
中国の移住・駐在で考えられるメリット
まずメリットとしてあげられるのが、成長を感じられる市場で仕事ができることです。中国は市場規模が大きく、日本ではなかなか味わえないようなダイナミックな仕事が多くあります。また、ビジネスにおける意思決定から実行までがスムーズで、ビジネスサイクルの速さを体感できるのも魅力です。特に、中国・香港・マカオを結ぶグレーターベイエリアは、中国の貿易拠点として、今後のさらなる発展が期待されています。
生活環境になじみやすいことも利点です。中国は日本に近い気候や文化があり、都市環境も充実しています。食事に関しても、日本人の多くが日常生活で中華料理を口にしていることもあり、慣れ親しんだ味だといえます。また、地域によって調理法や味付けに違いがあり、上海料理や広東料理、四川料理などさまざまな種類を楽しむのもおすすめです。
さらに、ほかの国と比較して日本人が多いこともメリットのひとつです。中国に進出している日本企業が多く、中国には多くの日本人が暮らしています。何か困ったときに頼れる日本人がいれば、不安を軽減でき、孤独感も解消されるでしょう。
中国の移住・駐在で考えられるデメリット
中国語ができないと、現地に溶け込むことが難しい点がデメリットとしてあげられます。中国語が話せない場合、現地の人とコミュニケーションをとることが難しく、ストレスに感じることもあります。一方、外国人として中国語が話せると、友好的に接してくれることも多いです。ビジネスでも中国語が求められるケースは多いので、ぜひ中国語を習得しておくことをおすすめします。
また、言語だけでなく、文化や慣習の違いに戸惑うこともあります。例えば、日本には察する文化があり、あいまいな表現を使うことが多いです。しかし、中国でははっきりと言葉にして伝えることが誠意だという考え方があるため、基本的に伝えたいことはストレートに伝えます。あいまいな表現はかえって失礼だと捉えられることもあるので、中国で仕事をする際は、結論から伝えるなどできるだけストレートに伝えることが大切です。
中国で働きたいと思っても、いざ移住・駐在するとなると不安要素も多く出てくるでしょう。dodaのキャリアアドバイザーは、仕事だけでなく現地事情などについてもお答えします。気になる方は、下のボタンからお気軽にお申し込みください。
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中国で働くうえで知っておきたい基本情報
ここからは、中国転職の基本となる情報をお伝えします。
中国の基礎情報
- 面積
-
約960万平方キロメートル(日本の約26倍)
- 人口
-
約14億人
- 民族
-
漢民族(総人口の約92%)および55の少数民族
- 言語
-
中国語
- 宗教
-
仏教・イスラム教・キリスト教など
- 通貨
-
人民元
- 主要産業
-
第一次産業(名目GDPの7.3%)、第二次産業(同39.9%)、第三次産業(同52.8%)
- 1人当たりGDP
-
約12,814ドル
(2022年、IMF推計値)
出典:中華人民共和国(People's Republic of China)基礎データ
待遇・就業に必要な条件
- 給与の目安
-
営業:月収12,000~25,000 元(240,000~500,000円)
事務:月収12,000~16,000元(240,000~320,000円)
技術者:月収15,000~40,000元(300,000~800,000円)
管理職:月収18,000~30,000元(360,000~600,000円)
※日本円は1元20円で換算 - 就労ビザ
-
就労ビザを取得するためには、基本的に4年制大学卒、就業経験2年以上が必要です。近年、中国の就労ビザは発給審査が厳しくなってきており、必要書類も年々増える傾向にあります。
※現地事情により変更になる場合があります。最新情報は大使館などでご確認ください。 - 必要な語学スキル
-
日本語のほかに中国語(簡単なコミュニケーション~ビジネスレベルまで)、英語(日常会話レベル~)ができればなお良い。
企業・労働状況
- 代表的な日系進出企業の業 種
-
電機、機械、自動車などのメーカー、商社、金融、コンサルティング、広告、IT、サービス業など多種多様です。
- 職場環境
-
日系企業では以前は日本語が社内言語として多く使用されていましたが、昨今は中国人、日本人だけでなく、ほかの国のスタッフも在籍し、社内の公用語が中国語・日本語・英語というケースもあります。最近のトレンドとして、中国ローカル企業でも外国人社員の採用が増加しており、そういった就業ケースではビジネスレベルの中国語が求められます。
- アジアの他国と比較したときに多い求人
-
日本メーカーの技術は中国国内でも高く評価されており、地域によって傾向は異なるものの、製造業や電子部品、商社などが多い傾向にあります。
職種では、営業やエンジニアなど専門性のある領域が多いです。北京では定年退職したエンジニア向けの求人はここ数年で非常に増えている印象です。また、日本市場向けのビジネスは以前に比べて減少したものの、まだまだ日本市場の開拓を重視している企業が多くありますので、開拓営業に関する求人も多いでしょう。
生活環境
- 家賃相場(1カ月)
-
アパート(1K/1DK):2,500~5,000元(50,000~100,000円)
マンション(1DK/1LDK):3,000~7,000元(60,000~140,000円)
ほとんどの場合は家具・家電付き(ベッド、クローゼット、ソファ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど)※日本円は1元20円で換算
- 生活費相場(1カ月)
-
※家賃含まず
合計:約3,000~6,500元(60,000~130,000円)
(内訳)
通信費:100~300元(2,000~6,000円)※携帯電話
光熱費:200~400元(4,000~8,000円)
通勤交通費:200~300元(4,000~6,000円)
食費・交際費:2,000~4,500元(40,000~90,000円)
※昼食代の相場:10~70元(200~1,400円)/1回
雑費:500~950元(10,000~19,000円)※日本円は1元20円で換算
- 中国で暮らす日本人
-
102,066人(2022年10月1日現在)
参照:外務省 中華人民共和国
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