マレーシアに移住して働く人の仕事や生活は?
現地グローバルキャリアアドバイザーに聞きました
更新日:2024/6/28
マレーシアの現地情報を紹介するキャリアアドバイザーのプロフィール
倉川紫音(くらかわ しおん)
パーソルマレーシア
マレーシア在住6年目、キャリアアドバイザー歴6年(2024年3月現在)。シンガポール1年半、カンボジア2年の滞在経験あり。大学卒業後、フリーアナウンサーとして活動。東日本大震災を機に海外へ渡り、飲食店の立ち上げなどに携わった後、海外で人と関わる仕事をしたいと考え、パーソルマレーシアに入社し現職。
マレーシアに移住した現地キャリアアドバイザーが感じる、国の特徴や日本との違い
東南アジアのなかでは比較的治安がよく、日本からの移住先として人気の高いマレーシア。キャリアアドバイザーとして活動している倉川が、マレーシアの特徴をお伝えします。
キャリアアドバイザーが感じる、マレーシアの特徴
マレーシアには、30年ほど前から外資系製造業が多数進出してきました。ASEAN内では第5位のGDPを誇り、毎年5%前後の成長を続けている国です。製造業を中心とした成長戦略が成功し、増加した国民の所得を消費に向けるべく、現在は政府主導でサービス業の成長を促進しています。
中途採用の求人を見ても、製造業が中心でありますが、ITやアウトソーシングなど、サービス系の求人も増加しています。営業、秘書、コールセンターサポート、エンジニアが代表的な募集職種です。現地採用を積極的に行っている企業も多く、求人が今後も増加していくと考えられます。
マレーシアの魅力は経済の成長性が高いことです。特にサービス業に関しては、政府の方針もあり今後マーケットの拡大が予想されます。日本のサービスはマレーシアでも評価が高く、日本の仕事で培ったノウハウをマレーシアで展開するチャンスもあるでしょう。例えば、顧客へのていねいな対応で評価が上がるアウトソーシング事業や、人材採用に苦戦する企業と求職者をマッチングする人材紹介業などです。
さらに、食品関連の市場も成長が見込まれます。ハラルフードと呼ばれるイスラム教の教義にのっとった食品の市場規模は大きいですが、マレーシアはいち早くその成長性に着眼し、生産・物流体制を整備しています。ハラルフードに注目している日系企業や食品会社の進出は今後も増加するでしょう。
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マレーシアならではの良さ、移住前に知っておいたほうがよかったこと
マレーシアはほかの国に比べて長期滞在ビザが取得しやすく、申請者の家族の帯同も可能なため、家族で移住をする人が増えています。特に、「教育移住」を目的とした家庭が多く、子どもをグローバル人材に育てたい希望がある人にとっては魅力的な場所です。
マレーシアはマレー系(先住民を含む)、中華系、インド系の民族が共生する多民族国家です。国民が信仰する宗教もイスラム教、仏教、キリスト教、ヒンドゥー教などと幅が広く、子どもが幼少期から多様な文化に触れられる機会は多いでしょう。
さらに、イギリス統治下だった背景から英語が準公用語となっているため、マレーシア人の英語力の高さはアジアの中でもトップクラスです。EF EPI(英語能力指数)2023年版によると、アジアではシンガポール、フィリピンに次いで3番目に英語能力が高い国とされています。また、英語だけではなく公用語であるマレー語、そしてタミール語を話す人も多いので、外国語を学ぶ機会にあふれています。
さらに、マレーシアはインターナショナルスクールが多いことも特徴です。マレーシア国内で180校以上のインターナショナルスクールがあるといわれており、日本より学費が安い学校も珍しくありません。多民族国家で日常生活から英語に触れられて、インターナショナルスクールではグローバルなコミュニケーション能力を学べることから、教育移住のために転職する人たちがいるのも納得ではないでしょうか。
また、治安面がいいことも、教育移住や家族帯同で転職する家庭の後押しになっています。治安のよさを測る「世界平和度指数ランキング」2023年度版では、マレーシアは19位と高い位置にランクインしました。
マレーシアで感じる、日本との「仕事上」の違い
マレーシアで働いていると、働き方に関して日本と大きく異なる部分があります。マレーシア人の多くは、家族と過ごす時間に重きをおいているのが特徴です。家族との時間を犠牲にして長時間仕事をするといった考えはありません。繁忙期に残業がある場合はありますが、基本的には定時になると仕事を終えています。
また、マレーシアでは「1つの会社に長く勤めることがよいこと」といった考えもありません。日本と比較して転職は一般的であるため、条件のよいポジションがあれば、たとえ短期間であっても転職する傾向にあります。
そのほか、少数精鋭で業務に携わることも多く、ビジネスマナーやタイムスケジュール管理など基礎的な部分はもちろん、幅広く対応できる柔軟さも必要です。
マレーシアで感じる、日本との「生活上」の違い
生活上での大きな違いとしてあげられるのが宗教です。マレーシアにはイスラム教徒が多く、毎日お祈りの時間になると街中のモスクからアザーン(礼拝の呼びかけ)が聞こえてきます。1日に5回、大音量で街中に流れてくることもあり、異国情緒を感じやすいです。
お酒についても日本と少し異なる部分があります。イスラム教徒はお酒が禁止されており、マレーシアでは比較的お酒を飲まない人が多いです。
また、アルコール飲料はマレーシアでも販売されていますが、日本と比較して値段が高いので注意が必要です。お酒を普段よく飲む人は、マレーシアだと少しつらいところがあるかもしれませんね。
とはいえ、マレーシアは治安面や衛生面、生活のしやすさなど、バランスのよい国だといえます。海外経験がない方でも移住のハードルが比較的低くおすすめです。
マレーシアの具体的な求人情報について知りたい方は、こちらからご覧いただけます。
マレーシア求人一覧
現地キャリアアドバイザーが教えるマレーシアに移住・駐在するメリットとデメリット
マレーシアに移住・駐在するとなると、どういうメリットやデメリットがあるのか気になる人もいるでしょう。ここでは、マレーシア生活におけるメリットとデメリットについてご紹介します。
マレーシアの移住・駐在で考えられるメリット
英語力を活かして活躍できることがメリットです。アジアで英語力を活かせる国の大半は就労ビザの発給要件が厳しいため、まずは就労ビザを取得しやすいマレーシアに移住したいという人が多い傾向にあります。
数年マレーシアで就業したあとは、高い英語力が求められるシンガポールなどアジア内のほかの国で転職したり、現地採用から駐在員になり役職を目指したりするなど、英語力を活かしてさまざまなキャリアアップのチャンスがあります。
生活面でいうと、生活のコストパフォーマンスに優れているのもメリットです。東京だと家賃が10万円以上するアパートも多くありますが、マレーシアでは都市部でも5万~6万円程度でジム・プール付きの家(コンドミニアム)に住めます。また、基本的な家具・電化製品をそろえている家が多いです。
また、気候が安定しており、日本では寒暖差がありますが、マレーシアは一年を通して温暖な気候のなかで過ごせます。私自身、マレーシアに来てから花粉症に悩む必要がなくなりました。また、自然災害が少なく、日本では頻繁に発生する地震もほとんどありません。
マレーシアの移住・駐在で考えられるデメリット
デメリットとしては、ほかの東南アジア諸国と同様、虫の多さがあげられます。マレーシアは熱帯雨林気候で、虫に悩まされる人も少なくありません。日本と比較してサイズが大きいものも多く、定期的な掃除や駆除アイテムを活用するなどして対策しておきましょう。
また、マレーシアは車社会で、交通渋滞が頻繁に発生します。タクシーを利用する場合、時間帯によっては通常の何倍もの時間がかかってしまうこともデメリットとして考えられます。首都のクアラルンプールでは公共交通機関が発達しているので、交通渋滞を避けたい場合は電車での移動がおすすめです。
電車を乗りこなせば、郊外を含めてさまざまな場所に安く行けます。マレーシアに移住・駐在したら、休みの日には電車を活用してさまざまな場所に観光に行ってみるのもよいでしょう。dodaのキャリアアドバイザーは、そうした現地の生活事情や仕事面含め、さまざまなことにお答えします。
※dodaのエージェントサービスは国内在住の方がご利用いただけます。
海外在住の方はこちら。
マレーシアで働くうえで知っておきたい基本情報
ここからは、マレーシア転職の基本となる情報をお伝えします。
マレーシアの基礎情報
- 面積
-
約33万平方キロメートル(日本の約0.9倍)
- 人口
-
約3,350万人(2023年、マレーシア統計局)
- 民族
-
マレー系約70%(先住民12%を含む)、中華系約23%、インド系約7%(2023年マレーシア統計局)
- 言語
-
マレー語(国語)、中国語、タミール語、英語
- 宗教
-
イスラム教(連邦の宗教)64%、仏教19%、キリスト教9%、ヒンドゥー教6%、その他2%(2023年マレーシア統計局)
- 通貨
-
リンギット
- 主要産業
-
製造業(電気機器)、農林業(天然ゴム、パーム油、木材)及び鉱業(錫、原油、LNG)
- 1人当たり名目GDP
-
13,382ドル
(2023年、IMF)
待遇・就業に必要な条件
- 給与の目安
-
営業:月収7,000リンギット~(210,000円~)
事務:月収6,000~8,000リンギット(180,000~240,000円)
カスタマーサービス:月収7,500~10,000リンギット(225,000~300,000円)
技術者:月収8,000リンギット~(240,000円~)
※日本円は1リンギット30円で換算 - 就労ビザ
-
就労ビザを取得するためには、最低月給が5,000リンギット(150,000円)以上であることが必要です。就労ビザ取得には通常、2~3カ月かかります(さらに長期化する傾向あり)。また、配偶者ビザ(配偶者が就労ビザや永住権を所有している場合に取得できるビザ)でも、就労許可の取得が可能です。通常2年ごとの更新です。
※現地事情により変更になる場合があります。最新情報は、大使館HPなどでご確認ください。 - 必要な語学スキル
-
日本語および英語(日常会話~ビジネスレベル)
永住権(長期滞在ビザ)の取得条件・方法
マレーシアにも永住権はありますが、取得条件が非常に高いです。そのため本記事では長期滞在ビザの取得方法、条件について記載します。
- Malaysia My Second Home(MM2H)
-
MM2Hは、不動産の購入や一定金額の定期預金などの条件を満たせば取得でき、最長5年間の滞在が可能、その後も5年ごとの更新ができます。
条件は州カテゴリーや年齢により異なり、頻繁に更新されます。詳細はマレーシア政府の公式サイトをご確認ください。 - Malaysia Premium Visa Programme(PVIP)
-
一定の条件を満たすと最長20年の滞在が認められる(更新は5年ごと)ビザです。
取得条件は、マレーシア国外での収入が月収40,000リンギット以上、もしくは年収480,000リンギット以上あること、マレーシア国内の銀行で1,000,000リンギット以上の定期預金があることなどです。
また、取得手数料として200,000リンギット、帯同者がいる場合は100,000リンギット/ 名を政府に支払う必要があります。こちらも必須条件は更新される可能性があります。
企業・労働状況
- 代表的な日系進出企業の業 種
-
メーカーを中心に、商社、金融、IT、サービスなど多種多様。
- 職場環境
-
マレー系、中華系、インド系を中心に、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が働いている。ビジネスの公用語は英語。
- アジアの他国と比較したときに多い求人
-
マレーシアでは、IT分野やBPO系企業に対して税制優遇措置を取っているため、カスタマーサポート関連の求人がほかの国と比べて圧倒的に多くなっています。
また、マレーシアに進出している日系企業の約半数が製造業であり、製造系の営業職の求人も比較的多いです。
生活環境
- 家賃相場(1カ月)
-
【クアラルンプール中心部】
シェアルーム:700~1,500リンギット(21,000~45,000円)
マンション(1R):1,500~3,500リンギット(45,000~105,000円)【クアラルンプール郊外】
シェアルーム:500~1,200リンギット(15,000~36,000円)
マンション:1,400~3,000リンギット(42,000~90,000円)※日本円は1リンギット30円で換算
- 生活費相場(1カ月)
-
平均合計:約2,800リンギット(84,000円)
(内訳)
通信費:200リンギット(6,000円)
光熱費:100リンギット(3,000円)
交通費:300リンギット(9,000円)
食費・交際費:1,700リンギット(51,000円)
雑費:500リンギット(15,000円)※日本円は1リンギット30円で換算
- マレーシアで暮らす日本人
-
20,657人(2023年)
参照:外務省 マレーシア
マレーシアへの転職・移住について気になることは、キャリアアドバイザーに相談
マレーシア在住のキャリアアドバイザーが、実体験を交えて、現地情報を紹介してきました。マレーシアは比較的治安がよく、はじめて海外移住する人にもおすすめです。マレーシアへの転職や移住に興味を持ったなら、グローバルキャリアアドバイザーへ相談してみませんか? 一人ひとりのキャリアに合わせた求人を紹介するのはもちろん、マレーシア暮らしへの疑問や質問など、ささいなことにもお答えします。下のボタンからお気軽にお申し込みください。
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