
インドに移住して働く人の仕事や生活は?
現地グローバルキャリアアドバイザーに聞きました
更新日:2025/8/20
さまざまな宗教や文化が混在し、世界最大人口の国としても知られるインド。急速なデジタル化を追い風に、経済面でも世界で最も急成長を続けている主要国の一つです。
今回は、インド在住のdodaのキャリアアドバイザーに、インドの特徴と日本とインドの違いについて聞きました。インドへの転職について気になる方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

インドの現地情報を紹介するキャリアアドバイザーのプロフィール

藤井 健吾(ふじい けんご)
PERSOLKELLY India
2019年に新卒でパーソルテンプスタッフ株式会社へ入社し、人材派遣・紹介の法人営業、キャリアアドバイザーとして従事。その後、パーソルキャリア株式会社に転籍、副業・フリーランス領域の事業に従事した後、2023年にPERSOLKELLY Indiaへ異動して現職。法人営業、キャリアアドバイザーとして、転職希望者向けのサポートを行っている。
インドに移住した現地キャリアアドバイザーが感じる、国の特徴や日本との違い
近年、経済の成長拡大が目まぐるしく、世界経済の牽引役としても期待が寄せられているインド。キャリアアドバイザーとして働く藤井が、インドの特徴を話します。
キャリアアドバイザーが感じる、インドの特徴
ここ数年でインドは、「世界で最も経済の急成長を遂げている主要国」と呼ばれるようになりました。
日系企業の分布としては、デリー・グルガオン、バンガロール、チェンナイ、ムンバイ等の都市を中心に、製造・商社・物流・金融・情報通信・コンサルなど多様な業種が進出中。その数は約1,434社(インド進出日系企業リスト 2025年6月 在インド日本国大使館、総領事館、ジェトロ)にも上ります。さらに、中国を抜いて世界最大人口国となり、日系製造業の海外投資有望国ランキングでも3年連続1位(わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告,株式会社国際協力銀行)と、今後の新規進出、既存進出企業の事業、拠点拡大のさらなる加速も見込まれています。
また、公的共通語は英語・ヒンディー語となっています。
その他、インドの国土面積は日本の約9倍と大きく地域によって文化が異なります。言語も22の指定言語で地域毎に分かれ、首都デリーはヒンディー語、ムンバイはマラーティ語、バンガロールはカンナダ語、チェンナイはタミル語等、日本の方言どころではなく、意思疎通のできない別言語を話す環境下ゆえに、ビジネスではインド人同士でも英語でやりとりされることが基本です。
在留日本人は約8000人と他国と比べるとまだまだ少なく、日本人の少ない環境で英語力含めた経験値向上を狙いたい方にはおすすめの国です。
求人の特徴としては、製造業や商社を中心に、物流・金融・建設・不動産・コンサルなど幅広い業種でニーズがあることです。職種としては、日系企業向けの営業・コンサル等のフロントポジション、次いで人事総務・経理・通訳・秘書等のバックオフィスポジション、その他専門職種の順に多くなっています。他国と比べても売り手市場なため、未経験業界・職種で幅広い仕事を選ぶことができ、ジョブチェンジ転職が可能です。
世界各国と比較すると、日系企業のインド法人は歴史が浅い立ち上げ期の企業が多い傾向にありますが、今のインドだからこそ希少価値の高い経験ができるタイミングでもあると思います。今最も勢いのある国とともに、自分のキャリアを成長させる醍醐味はほかでは味わえないものでしょう。
日系企業が分布する都市の発展は著しく、「来てみたらインドの印象がガラリと変わった!」という人も少なくありませんので、海外でのキャリアを考える際には、ぜひ選択肢の一つに入れてみることをおすすめします。
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インドで感じる、日本との「仕事上」の違い
仕事上の違いとしてまず挙げられるのは、働き方です。日本では週5日勤務が一般的ですが、インドでは週5日を基本として、製造、物流、建設、不動産等、一部業界、企業では「週5日+隔週土曜」もしくは「週6日」勤務など、企業によって勤務日数が異なります。また、通勤時間は1時間以上かかる人も多く、2時間かかることもインドでは珍しくありません。
残業については、日本ほど長く残業をしない傾向があり、基本的には定時退社の企業が多い印象です。日本のお盆休みやゴールデンウイークのような一斉の大型連休はありませんが、例年10月もしくは11月にDiwaliというインドの新年を祝うイベントがあり、祝日と有給を合わせて連休をとったり、その他時期に関係なく日本と比べ各自の裁量で有給を使ってバカンスを楽しむ同僚も多くいます。
また、会社で同僚といっしょに朝食やチャイ休憩を取る文化があるのも、インドの特徴の一つ。昼食も、外食することは少なく、一人ひとりがお弁当を持ってきて同僚と一緒に食べるのが一般的です。
インドで感じる、日本との「生活上」の違い
生活面では、「車線や信号を守るという交通ルールは、あってないようなもの」であることが日本との大きな違いです。日本の交通事情に慣れている人からすると、バイクや車が行き交う道で、牛や犬などの動物が当たり前に歩いている光景には驚くでしょう。
また、デジタル化は進んでおり、キャッシュレス決済、配車サービス、フードデリバリーや宅配スーパーなどが発達しています。とくに宅配スーパーは、注文から自宅に届くまで10分以内と驚異的な速さで、送料十数円と非常に安価です。
自炊のための日本食材はやや手に入りづらいかもしれませんが、日本人が多く住むエリアは、日本食、イタリアン、韓国料理など、インド料理以外のレストランが十分にそろっています。
さらに、インドの通信費は、世界中でも比較的安いといわれ、データ使用料を気にする必要はありません。そのほか、日用品や食事などの物価も基本的には日本より安いため、貯金がしやすい環境かと思います。
現地キャリアアドバイザーが教えるインドに移住・駐在するメリットとデメリット
インドに移住して生活すると考えたとき、気になるのがインド生活でのメリットやデメリットではないでしょうか。インドに移住・駐在することで考えられるメリットとデメリットについてご紹介します。
インドの移住・駐在で考えられるメリット
まずメリットとして挙げられるのは、将来性の高い市場で仕事ができることです。世界最大人口国となったインドは、若い世代の人口が多く、消費も活発。世界的な消費マーケットとして注目を浴びるインドには、多くの外資系企業や日系企業が進出しています。一方で、在留邦人は約8,000人程度なので、成長の伸びしろのあるタイミングで、日本人として需要の高い、希少な経験を積むことができます。また、少数精鋭の日本人で拠点を運営している企業も多く、幅広い業務経験を積める傾向にある点も魅力です。
次に、英語力を活かせることも利点の一つ。多言語国家であるインドの公的共通語は英語で、ほとんどの企業では英語を使って仕事をします。英語が流暢でない人に対しても、親身になって何度も繰り返し説明してくれたり、聞き返してくれる文化があるので、英語力を高めたいという方にもおすすめの環境です。インドは就労ビザの取得基準が他国に比べると厳しくない傾向にあり、英語力、学歴、過去の経験など全て不問で就労ビザが発給されるという特徴もあります。
そのほか、インドは国土が広く、州や地域によって食、文化、宗教が異なるのも特徴の一つで、国内を旅行するだけでも多様性を感じやすいです。かつ、ユーラシア大陸の真ん中に位置しているため、日本からはアクセスしづらい様々な国への海外旅行も楽しみやすい点が魅力です。
インドの移住・駐在で考えられるデメリット
海外輸入品や日本食の金額は、日本と同等かそれ以上である点はデメリットとして挙げられます。日用品や食事など、基本的な物価は日本よりも安価ですが、それでも極端に安いわけではありません。生活費を節約したい場合は、日本食の外食比率を下げ、ローカルレストランでの外食や自炊比率を上げることを意識するとよいでしょう。
また、国内の産業発展に対するインフラ整備の遅れに、戸惑うことがあるかもしれません。水道、鉄道、空港などのインフラや、道路状況、橋梁や港湾の未整備など…日本に比べて移動時間がかかるほか、渋滞も発生しやすい環境です。広い心で、「この時間をどう有効活用するか」と前向きに考えるマインドが大切です。
一方で、地下鉄の延伸や、インド最長の高速道路の開通など、直近のインフラ整備の進行は著しいものがあります。今後数年間で、インフラ面の進化を体感することができるでしょう。 インドで働きたいと思っても、いざ移住・駐在するとなると不安要素も多く出てくるはずです。dodaのキャリアアドバイザーは、仕事だけでなく現地事情などについても詳細にお答えします。気になる方は、下のボタンからお気軽にお申し込みください。
※dodaのエージェントサービスは国内在住の方がご利用いただけます。
海外在住の方はこちら。
インドで働くうえで知っておきたい基本情報
ここからは、インド転職の基本となる情報をお伝えします。
インドの基礎情報
- 面積
-
328万7,469平方キロメートル(日本の約9倍)
- 人口
-
14億2,860万人(※)
- 民族
-
インド・アーリヤ族、ドラビダ族、モンゴロイド族など
- 言語
-
公的共通語は英語・ヒンディー語、他に憲法で公認されている州の言語が21言語
- 宗教
-
ヒンドゥー教徒79.8%、イスラム教徒14.2%、キリスト教徒2.3%、シク教徒1.7%、仏教徒0.7%、ジャイナ教徒0.4%
- 通貨
-
ルピー(INR)
- 主要産業
-
農業、工業、IT産業
- 1人当たりGDP
-
2,481ドル(2023年:世界銀行資料)
※国連人口基金(UNFPA)2023
出典:インド共和国(Republic of India)基礎データ
待遇・就業に必要な条件
- 給与の目安
-
営業/コンサル:年収180万~350万INR(306万~595万円)
事務系(人事総務、経理、秘書、通訳、営業事務等):年収200万~300万INR(340万~510万円)
その他専門職種、管理職:経験に応じて決定
※1ルピー1.7円で換算 - 就労ビザ
-
■申請者がインド人が容易に代替可能な仕事に従事する予定であり、かつ、年間162万5,000ルピー(約292万円)以上の所得が保証される必要があります。外国人の就業を制限する業種はありません。
また、就労ビザを有してインドに入国した場合、14日以内に、下記に登録することも必要です。
・インド外国人地域登録局(Foreigners' Regional Registration Office:FRRO)
・外国人登録事務所(Foreigners Registration Office:FRO)
■ビザ取得所要日数
・申請受理されてから最短3日~2週間ほど
※現地事情により変更になる場合があります。最新情報は現地キャリアアドバイザーやVISA取得エージェントにご確認ください。
参考:インドで働くために必要な就労ビザとは?取得方法・必要書類についても解説※現地事情により変更になる場合があります。最新情報は大使館などでご確認ください。
- 必要な語学スキル
-
日常会話レベル以上の英語力(目安)
企業・労働状況
- 代表的な日系進出企業の業種
-
製造業・商社・金融・物流・建設・不動産・情報通信・コンサルなど多岐にわたります。
- 職場環境
-
宗教なども含めて多様な文化の集合体の国だからこそ、さまざまなバックグラウンドを持つ人が働いているインド。より柔軟に意思疎通を図るためには、異文化理解の姿勢は大切といえます。
英語が公的共通語のため、ビジネスの場では英語中心になります。
- アジアの他国と比較したときに多い求人
-
製造業やITを中心に、金融、建築など幅広い業種でニーズがあります。
また、直近では世界最大人口国となり、さらなる日系企業の新規進出や既に進出している日系企業の事業拡大・拠点拡大が見込まれています。そのため、日系企業を相手とした営業ポジションでの採用ニーズが高まっています。
生活環境
- 家賃相場(1カ月)
-
家賃約25,000ルピー(約42,500円)から探すことが可能です。
※エリアによって大きく異なる
※ほとんどの場合は家具付き
※日本円は1ルピー1.7円で換算
- 生活費相場(1カ月)
-
平均合計:42,000ルピー(約71,400円)
※家賃含まず■内訳
交通費:10,000ルピー(約17,000円)
※タクシー利用、通勤交通費自己負担の場合
電気代:2,000ルピー(約3,400円)
食事代(自炊50%・外食50%):20,000ルピー(約34,000円)
※外食時の昼食代の相場:200~500ルピー(約340円~850円)/回
交際費・被服費など:10,000ルピー(約17,000円)
※日本円は1ルピー1.7円で換算※日本円は1ルピー1.8円で換算
- インドで暮らす日本人
-
8,102人
(2024年10月現在)
参照:外務省 インド共和国
インドへの転職・移住について気になることは、キャリアアドバイザーに相談
インド在住のキャリアアドバイザーが、リアルな感覚を交えて、現地情報を紹介してきました。インドは今経済成長が著しく、将来性のある市場でジョブチェンジやキャリアアップを目指したい方におすすめの国といえます。インドへの転職や移住についてもっと詳しく知りたいという方は、海外事情に精通したグローバルキャリアアドバイザーの活用をおすすめします。「インドにはどんな求人があるの?」「応募するには、どんな準備が必要?」など、プロの目線でお答えします。下のボタンからお気軽にお申し込みください。
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