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飲食店を辞めたい…その理由や対処法、経験を活かせる転職先を解説
更新日:2025/9/25
飲食店の正社員として働くと、接客や調理をはじめ、店舗運営や店長など、責任のある仕事を任される機会もあります。業務の幅が広がるにつれて、自分の成長を実感できる場面もたくさんあるでしょう。でも、もし「辞めたい」と感じたらどうすればいいのでしょうか。
今回はdodaのキャリアアドバイザーの話をもとに、飲食店勤務を辞めたいと思う理由や、辞めたいと思ったときの対処法、飲食店での経験を活かせる職種などについて解説します。
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飲食店での仕事は、接客や調理が基本。さらに正社員となると、それに加えて「ヒト・モノ・カネ」の管理をすることが多くなります。
「ヒト」の管理はアルバイトのシフト作成や面接対応、近隣店舗へのヘルプスタッフの手配など、「モノ」の管理は在庫管理など、「カネ」の管理は売り上げ管理といった具合です。
このように業務の幅が広く、マルチタスク能力が求められるため、やりがいは大きい一方で負担も少なくありません。
実際、厚生労働省の「雇用動向調査(令和5年)」によると、「宿泊業,飲食サービス業」の一般労働者の離職率は18.2%と他産業と比較して高い水準になっています。
飲食店を辞めたいと思う主な理由

では、飲食店を「辞めたい」という気持ちはどこから生まれるのでしょうか。主な理由を見ていきましょう。
肉体的・精神的な負担
飲食店の正社員は基本的に立ち仕事で体力勝負。それに加えて接客ではクレーム対応などでストレスを抱えることもあります。店長クラスになると同等の立場で話せる人が少なく、逃げ場のなさを感じることもあるでしょう。
小林
幅広い年代のアルバイトスタッフを管理することも飲食店の正社員の難しさの一つ。これが精神的な負担になることも多いようです。
キャリアパスの不明瞭さ
正社員として働く中で、経験を積めば店長などの役職に昇進するチャンスもあります。責任ある立場を任されることでやりがいを感じる一方で、そこから先のキャリアが見えづらいと感じる人もいるようです。その結果、「このままでよいのかな」という不安を抱くこともあるでしょう。
小林
企業によっては店長になるまで比較的早いところもありますが、その先の昇格やキャリアパスが見えないことで、「成長実感が持ちにくい」と悩んでしまう人が見られます。
ワーク・ライフ・バランスの困難さ
店舗によるものの、飲食業界は土・日曜、祝日は休みにくく、年末年始を除いてまとまった休みを取るのが難しいということが一般的です。自身が休みの日でも、出勤中のスタッフから相談の連絡などが来ることがあり、気が休まらないこともあるでしょう。
小林
多くの方は、勤務条件は分かった上で入社されます。ですが、いざ、働き始めると「思っていた以上に休みにくい」と感じてしまうようです。特にお子さんの行事などライフイベントが増えてくると、この点が大きな悩みになりやすいでしょう。
もし今の飲食店勤務の仕事で悩みがあって、自分に向いている仕事のヒントを見つけたいという方は、「転職タイプ診断」を試してみるのもおすすめです。
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転職タイプ診断を受ける(無料)飲食店を辞めたいと思ったときの対処法

前述したように、飲食店を辞めたいと思う理由は複数あります。自分の努力では改善できない問題もあれば、工夫次第で改善できる問題もあるでしょう。
では、飲食店を「辞めたい」と思ったら、どうすればよいのでしょうか。ここでは具体的な対処法を3つ紹介します。
なぜ飲食店を辞めたいのか自己分析し、言語化する
まず取り組みたいのが自己分析です。「そもそもなぜ辞めたいのか」「現状、どのようなスキルを身につけている?」「仕事での自分の武器とは?」「もし転職するなら、どういった職種がいい?」「転職するなら、次の職場に望む条件は?」などと自分にどんどん問いかけ、文字にして書き出してみましょう。
自己分析について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
一人で悩まず、信頼できる上司や同僚などに相談
次に、自分が抱えているような悩みを、ほかの人がどう解決しているのかモデルケースを探してみましょう。
例えば、キャリアパスについてであれば、上司や同僚などに「本社の○○というポジションには、どうすれば進めるのか」などと相談すると、解決へのヒントが見つかるかもしれません。
自身が店長の立場で「相談先がない」と感じる場合は、他店舗の店長やエリアマネジャーなどが相談しやすいでしょう。
こうすると頭の中が整理できて俯瞰的な視点で全体を見ることができるので、すぐに転職するのがよいのか、もう少し続けるのか、冷静に判断しやすくなるでしょう。
相談相手の見つけ方については以下の記事で解説しています。
キャリアアドバイザーに相談してみる
相談相手として、キャリアアドバイザーなど外部の専門家に相談してみることも検討してみましょう。
dodaでは、キャリアアドバイザーによるキャリアの無料相談を行っているので、ぜひ利用してみましょう。相談のタイミングは転職を決める前でも大丈夫です。
抱えている悩みが、今の仕事固有のものなのか、または職場や業界を変えても続くものかを見極める手助けにもつながります。
キャリアカウンセリングについては以下のページで詳しく解説しています。
小林
キャリアアドバイザーに相談する際は、今の仕事を辞めるのかどうか迷っているという段階でも大丈夫です。何に悩んでいるのかを話すことで、具体的なアドバイスが得られるはずです。
客観的な立場から、強みを一緒に考えることもできますよ。
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エージェントサービスに申し込む(無料)飲食店から未経験の職種に転職できる?

前述した対処法を通して、「辞めたい」思いが解消されることもあれば、どうしても消えないこともあるでしょう。ここからは飲食店を辞める場合、その先の転職について考えていきましょう。
dodaのキャリアアドバイザーによると、飲食店勤務から未経験の職種へ転職している人は多いようです。そういった現状を踏まえて、飲食店の正社員から、未経験の職種へ転職することは十分に可能といえるでしょう。
飲食店勤務では具体的なスキルが身についていないと思ってしまう人も多いのですが、不特定多数のお客さまとコミュニケーションを取ったり、時にはクレームにも対応したりする中で、コミュニケーション能力や交渉力などのヒューマンスキルは確実に培われています。
また、店舗運営に必要なマネジメント能力、急な混雑など予期せぬ事態に対応する問題解決能力、限られた時間内で業務を効率的に進める業務設計力なども身についています。これらのスキルは転職先でも活かすことができるはずです。
小林
特に20代はポテンシャルを重視される傾向があるため、未経験の職種にも挑戦しやすい時期です。
一方で年齢が上がるにつれて、スキルや実務経験を求められるようになるので、飲食店で培った経験やスキルを「強み」としてどう活かせるか考え、根気よく転職活動をすることがより大事になるでしょう。
飲食店での経験やスキルを活かせる職種

飲食店での経験やスキルを「強み」として活かせる転職先とは、どんな職種なのでしょうか。dodaのキャリアアドバイザーによると、次のような職種が挙げられます。
コールセンターなどのスーパーバイザー(SV)
飲食店の正社員は、限られた時間内で効率よく業務をやり遂げることが求められます。オペレーションを組み立てたり改善したりする能力が養われている人は多いでしょう。
小林
オペレーションを構築するのが得意な面を活かして、コールセンターのスーパーバイザーへ転職し、活躍されている方もいらっしゃいますよ。
小売り・販売系企業のマネジャー職
「ヒト・モノ・カネ」の管理経験は、飲食店だけでなく、小売店などの店舗運営でも活かせます。どれかの管理が得意な場合、それを活かせる職場を探すとよいでしょう。
小林
例えば、「ヒト」の管理についてですが、飲食店では高校生のアルバイトさんなど、さまざまな人材と向き合い、ゼロからサポートすることもよくあります。年齢や性別、属性の違う不特定多数の人に向き合うことができるのは、飲食店経験者ならではの強みです。
営業職など対人折衝スキルが活きる職種
不特定多数のお客さまやスタッフと円滑な関係を築けるコミュニケーション力も、飲食店勤務で培われるもの。どの職種でもベースとなる力ですが、特に営業職で活かしやすいでしょう。
小林
飲食店勤務からの転職先として、多い職種の一つが営業職。また、不動産管理に関する職種も、物件オーナーとの折衝が欠かせないことから、経験を評価されるケースがあります。
サービスエンジニア職
サービスエンジニアとは、製品を購入されたお客さまの元へ出向き、メンテナンスや修理などのアフターサービスを行う職種です。現場でお客さまの声を聞き、自社の製造部門にフィードバックする役割も持ちます。
小林
作業にコツコツ取り組むという飲食店での経験を活かして、サービスエンジニア職に転職された方もいらっしゃいます。特に、「コツコツとした作業が好き」という方は、転職後もやりがいを感じやすいでしょう。
整備士/サービスエンジニアとはどんな職種?仕事内容/年収/転職事情を解説
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キャリアタイプ診断を受ける(無料)飲食店からほかの職種に転職するときのポイントと注意点

飲食店勤務からほかの職種へ転職する場合のポイントや注意点についてもチェックしておきましょう。
何を大事にしたいのか、優先順位を明確にする
「自分の人生で何が一番重要なのか」「次の仕事で絶対に守りたいことは何か」といった優先順位を明確にしておきましょう。年収、やりがい、家族との時間など、さまざまな要素があるでしょう。
優先順位をはっきりさせることが後悔しない転職につながります。
小林
転職をすると、年収が一時的に下がるなど失うものも出てくる可能性があります。転職を決める前に、仕事や人生で自分が守っていきたいことをしっかりと見極めておきましょう。
自分の強みを理解し、転職先を選ぶ
転職先を考える際には、自分の得意なことや強みを活かせる職場を選ぶことがとても大切です。そうすることで、転職活動がスムーズに進みやすくなるだけでなく、転職後も自分らしく働けて、活躍しやすくなります。
飲食店勤務を通して自分が得意なことは何か、改めて考えてみましょう。
小林
ほとんどの方が、何かしらの強みを持って働いています。例えば飲食店の仕事の中でも「人の管理が得意」「売り上げ管理が得意」「スタッフ教育が得意」など、より具体的に自分の強みは何か、自己分析ができているとよいですね。
自分の強みが分からない…という方は以下の記事も参考にしてみてください。
自分の強みが分からない人におすすめ!
キャリアタイプ診断を受ける(無料)希望する職種がある場合は早めに転職を検討する
結婚や出産などのライフイベントを迎えると、働き方に変化が生じることもあります。希望する職種がある場合は、ライフイベントの前に早めに転職を検討することも大切です。
小林
ライフイベントの後の転職活動では、時間や環境の制約から、思うように進められないケースも見受けられます。そのため、ライフイベント前に職場や働き方を見直し、暮らしを整えておくことは、一考の価値があるでしょう。
転職後は収入や立場にギャップが生じる場合も
特に未経験職種に転職する場合、年収が一時的に下がる可能性があります。また、立場についても、転職先では「一番下」からのスタートになることもあるでしょう。飲食店では店長として指導する側だった人が、指示される側に回る場合があることは頭に入れておきましょう。
小林
年収は一時的に下がっても、経験を積むことで将来的に上がる可能性は十分にあります。ただ、立場の変化については、これまで店長などのポジションで長く活躍されていた方ほど、環境の変化に戸惑いを感じることがあるようです。
未経験の職種への転職を検討している方は、まずはdodaで求人情報をチェックしてみましょう。
飲食店を円満退職するために心掛けたいこと

退職はできるだけ円満に進めたいもの。ここでは、飲食店を円満退職するために心掛けたいことについて解説します。
退職の意思表示は1カ月前が目安、就業規則の確認も忘れずに
退職の意思は、1カ月前を目安に伝えるようにしましょう。
法律上は、2週間前までに申し出れば退職は可能とされていますが、業務のスムーズな引き継ぎなどを考慮すると、1カ月前には伝えるのが望ましいでしょう。
また、企業によっては「2カ月前までに申告」などのルールが就業規則で定められている場合もあります。まずは勤務先の規則を確認し、適切なタイミングで退職の意思を伝えるようにしましょう。
アルバイトなど人員体制を整えておく
アルバイトを補充しておくなど、自分の職務でできる範囲内で人員体制を整えておけると、業務の引き継ぎがよりスムーズになるでしょう。
また、普段からアルバイトの教育をしっかり行い、「○○さんがいないと業務が回らない」といった状況を避けるようにしておくことも有効です。
引き継ぎの資料を作っておく
しっかりとしたマニュアルなどの資料がない場合は、必要に応じて、引き継ぎ資料を用意しましょう。自分が担当していた業務を整理しておくことで、後任がスムーズに業務を把握できるでしょう。
飲食店に限らず、どんな企業でも、退職までに引き継ぎをしっかり行っておくことが望まれます。
小林
引き継ぎがスムーズに進めば、ご自身も安心して新しい環境へと移ることができるはずですよ。
飲食店勤務から別の職種へ転職した例

最後に、飲食店勤務から異なる職種に転職した人の例を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
20代 女性:飲食店ホールスタッフからITエンジニア職へ転職
飲食店で数年間働く中で、「やりがいはあるけれどもっと専門性を身につけたい」と考え、転職を決意。
キャリアアドバイザーとの面談を通じて自分の適性に気づき、未経験ながらITエンジニア職に挑戦。約1カ月の転職活動でIT企業での採用が決定。今では新しい環境で、成長を実感しながらキャリアを築いている。
30代 女性:教育関連サポート、飲食店ホールスタッフなどを経て再び教室運営職へ転職
教育関連企業でのサポート業務や、飲食店での接客・人材育成経験などを活かし、再び教育業界へ挑戦。
その中で「自分の裁量で働ける」「キャリアアップの可能性がある」と感じた企業で内定を獲得。現在は新しい職場で教室運営の中心的な役割を担っている。
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まとめ
飲食店で働いている中で「辞めたい」と悩んでいるなら、まずはなぜ辞めたいのか、仕事をする上で大切にしたいことは何かなど自己分析をしてみましょう。その上で、信頼できる人に相談し、すぐに転職をするのか、もう少し今の仕事を続けるのか、判断するとよいでしょう。
相談相手がいない、自己分析がうまく進まない、どんな職種に向いているのか分からない、などの場合は、dodaエージェントサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
dodaエージェントサービスでは、転職のプロであるキャリアアドバイザーが、あなたの転職活動を完全無料でサポートします。転職を決めていなくても大丈夫。
まずはオンラインで気軽に話してみることで、自分の気持ちが整理され、次の一歩が見えてくるはずです。
回答したキャリアアドバイザーはこちら

小林 雅和(こばやし・まさかず)
【経歴】
新卒で独立開業を支援するコンサル会社へ入社し、個人営業と集客に関するSNS企画業務を経験後、パーソルキャリア株式会社に転職。キャリアアドバイザーとして販売・サービス職に従事される方を専門に日々転職のお手伝いしております。転職を希望される方の8割以上がキャリアチェンジとなる職種ですが、強みや志向性に合わせて「可能性を探すお手伝い」をさせていただきます。
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dodaキャリアアドバイザー
小林 雅和(以下、小林)
「お客さまの喜びがじかに感じられる」というのは飲食店業務の醍醐味。さらに正社員となると店舗運営の工夫や人材育成など、多方面で力を発揮できますよ。
ただし、業務の幅が広い分、心身への負担を感じる場面もあり、働き方について悩む方も多いようです。