年代別の転職活動状況
社会人の52.5%が、転職経験あり
まず、全体の傾向を見てみると、社会人として働き始めてから現在までに、「転職をしたことがある」と回答した人は全体の52.5%となり、社会人の半数以上が転職を経験していることがわかりました。
年代別に見ると、25〜29歳では「転職をしたことがある」が35.5%、「転職を検討したことがある」人は33.1%という結果になりました。約7割の人が社会人3〜7年の間に、新卒で入社した会社を辞めて転職をしたり、転職を検討するようです。昨今、終身雇用を希望する若手社員が増えているといわれていますが、実態としては人材の流動が活発に行われていることが見受けられます。
次いで30代に着目すると、「転職をしたことがある」人の割合は、30〜34歳で59.9%、35〜39歳では53.5%となり、社会人経験の年数が短い30代前半の方が、転職経験者が多いことがわかりました。今の30代は、いわゆる氷河期世代といわれ、新卒時に希望の企業へ入れなかったケースや、正社員としての就業がかなわなかった人が多い世代です。さらに、厚生労働省が発表している有効求人倍率を見てみると、30〜34歳の人が大卒で就職活動を行った時期(1998年〜2002年)の倍率は0.55倍、35〜39歳の場合(1993〜1997年)は0.69倍で、30代前半の方が、より雇用情勢が厳しい時代だったことがわかります。こうした背景から、転職によって希望の企業へ入り直したいと考える人が、30代前半に多いと考えられます。
また企業側も、バブル崩壊後の約10年間、新卒の採用を抑えていた影響で、30代前半の管理職(候補)の人材が特に不足しており、この世代の中途採用を積極的に行う傾向にあります。こうした個人、企業双方のニーズが合致し、30代前半は転職経験者が多いのでしょう。
■残業時間が少ない業種TOP10
年代 | 転職をしたことがある | 転職を検討したことがある | 転職、転職の検討をしたことはない |
---|---|---|---|
全体 | 52.5% | 22.0% | 25.5% |
25〜29歳 | 35.3% | 33.1% | 31.6% |
30〜34歳 | 59.9% | 19.1% | 21.0% |
35〜39歳 | 53.5% | 20.2% | 26.3% |
業種別の転職活動状況
転職に積極的な小売/外食、メディカル 転職をしたくてもしない金融
業種別の転職経験を見てみると、「転職したことがある」の割合が最も高いのは「小売/外食」(66.7%)という結果になりました。dodaが行った「業種別の転職理由調査(2011年2月)」を見ると、「小売/飲食」は「給与に不満がある」「昇進が望めない」「不規則な勤務が不満」の割合が他業種より高く、待遇の改善を求め転職する人が多いようです。
続いて「メディカル」が66.2%と、2番目に転職経験者が多いことがわかりました。メディカル業界の中でも、医薬品・医療機器の分野は、転職求人倍率(※注1)が全体の約3倍と、転職者の売り手市場が続いています。企業側は手厚い待遇を用意して採用活動を行っているため、転職者もより高待遇の企業へ積極的に転職していると推察されます。また、介護・福祉の分野は資格が重視されるため、転職回数の多さや離職期間の長さを問われない場合も多く、転職先を見つけやすく、人材の流動が活発だと考えられます。
一方、転職経験者の割合が最も低いのは「金融」の24.4%で、全体の半数以下でした。その反面、「転職を検討したことがある」の割合は44.5%と全業種の中で最も高く、「転職を考えたことはあるが、実際に転職していない」人が多いことがうかがえます。dodaが行った「仕事に関する満足度調査(2011年3月)」を見ると、「金融」は給与・就業環境の満足度が比較的高い一方、仕事内容の満足度は全業種の中で最も低い結果となっています。また、「業種別の転職理由調査」を見ても、「金融」は「顧客のためになる仕事がしたい」「ノルマが厳しい」の割合が他業種より高く、仕事内容に関する不満を持っている人が多いことが見受けられました。これらの調査結果をあわせみると、仕事内容への不満から転職を考えるものの、給与や待遇の水準ダウンによって思いとどまる人が多い、ということが考えられます。
※注1:「転職求人倍率」は、dodaエージェントサービス登録者1名に対して、中途採用の求人が何件あるかを算出した数値になります。
業種 | 転職をしたことがある | 転職を検討したことがある | 転職、転職の検討をしたことはない |
---|---|---|---|
全体 | 52.5% | 22.0% | 25.5% |
IT | 55.4% | 24.1% | 20.5% |
メディア/広告 | 52.9% | 29.5% | 17.6% |
金融 | 24.4% | 44.5% | 31.1% |
メーカー | 40.3% | 31.2% | 28.5% |
商社/流通 | 55.8% | 20.9% | 23.3% |
小売/外食 | 66.7% | 18.3% | 15.0% |
建設/不動産 | 57.1% | 17.5% | 25.4% |
メディカル | 66.2% | 14.7% | 19.1% |
サービス | 58.3% | 17.4% | 24.3% |
教育 | 50.0% | 20.0% | 30.0% |
■は全体+10ポイント以上■は全体+5ポイント以上
■は全体-10ポイント以下■は全体-5ポイント以下
職種別の転職活動状況
転職に積極的な介護・福祉系
転職に消極的な教員、製造業
職種別の転職経験を見てみると、「転職したことがある」の割合が最も高いのは「介護・福祉系」(75.0%)という結果になりました。業種別の項目で記述した通り、資格を保有していると転職先を見つけやすい職種のため、人材の流動が活発と考えられます。
続いて「クリエイティブ系」が70.6%と、2番目に転職経験者が多いことがわかりました。クリエイターは自身のスキルやセンスをより活かせる職場を求め、積極的に転職を行う人が多いことが推察されます。
一方、転職経験者の割合が最も低いのは「教員」の35.4%、次いで「技術系(電気/機械)」の38.0%という結果になりました。電気/機械系の技術職は、分野によって必要とされる技術力や知識が大きく異なるため、他領域への転職が難しいことが背景として考えられます。
業種 | 転職をしたことがある | 転職を検討したことがある | 転職、転職の検討をしたことはない |
---|---|---|---|
全体 | 52.5% | 22.0% | 25.5% |
営業系 | 62.0% | 21.0% | 17.0% |
企画・事務系 | 50.5% | 20.8% | 28.7% |
事務アシスタント系 | 64.0% | 10.0% | 26.0% |
技術系(IT/通信) | 43.3% | 35.1% | 21.6% |
技術系(電気/機械) | 38.0% | 29.0% | 33.0% |
技術系(メディカル) | 41.7% | 41.7% | 16.6% |
技術系(建築/土木) | 54.9% | 21.6% | 23.5% |
クリエイティブ系 | 70.6% | 11.8% | 17.6% |
販売・サービス系 | 59.0% | 19.0% | 22.0% |
介護・福祉系 | 75.0% | 14.3% | 10.7% |
教員 | 35.4% | 10.4% | 54.2% |
■は全体+10ポイント以上■は全体+5ポイント以上
■は全体-10ポイント以下■は全体-5ポイント以下
調査概要
25〜39歳の正社員として就業する800人を対象に、転職経験に関するアンケート調査を実施しました。
【対象者】25歳〜39歳のホワイトカラー系職種の男女
【雇用形態】正社員
【調査地域】関東(東京・神奈川・千葉・埼玉)、関西(滋賀・兵庫・京都・大阪・奈良・和歌山)、東海(愛知・三重・岐阜・静岡)
【調査手法】ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査
【実施期間】2010年11月9日 〜 2010年11月10日
【有効回答数】800件