1:現在の職場でのあなたを、野球の打順に例えると何番バッター?
野球を知っている方でしたら、例えば1番バッターは出塁率が高い俊足、4番は長打が打ててチャンスでの打率が高い人…などのように、各打順に求められる得意領域・仕事のタイプがあることをご存知でしょう。今回の調査では、1番〜9番までイメージされる典型的なタイプを、以下のように「○○タイプ」と定義して、「自分は何番バッターだと思うか」を聞きました。
全体で最も多い回答は「3番バッター:マルチタスクタイプ」となり29.2%の方が回答しました。職位で比較をしてみると、管理職では37.6%に対し、一般社員では20.8%と16.8ポイントの差がつく結果となっています。日本では、3番と言えば長距離砲の4番バッターの前ということで、1番バッター・2番バッターが作ったチャンスを広げることが期待され、打力・走力・勝負強さを高いレベルで兼ね備えたバランスのいい好打者がこの打順に入ることが多いと言われています。ビジネス経験をより多く積んでいる管理職にマルチタスクタイプが多いのは、職種採用という概念が薄く、ゼネラリストが育ちやすいと言われる日本ならではの結果かもしれません。
また、現在のタイプを【3番バッター:マルチタスクタイプ】と答えた理由としては以下の内容が挙げられました。
【3番バッター:マルチタスクタイプ】
一般社員
- 「周りを見て営業のスタイルに合わせながら柔軟に対応しなくてはいけないから」(26歳・女性)
- 「特出するところはないが、何でも平均的にこなせるため」(37歳・男性)
- 「いろんな状況を見てどうするべきか考え、次の主砲につなげる役目を担っていると思う」(34歳・女性)
管理職
- 「新規もルートもこなす、売上トップ」(36歳・男性)
- 「事務職ではあるが、幅広い知識を身につけ、さまざまな部署からの問い合わせなどに答える必要があるから」(32歳・女性)
- 「後輩の1、2番をうまく活かしてクリーンナップとして本塁に返したり、4番の上司につないだりしていると思う」(38歳・男性)
一般社員と比較し、管理職は上司だけではなく部下や他部署との連携を含めマルチタスクであると回答した方が多い結果となっています。管理職ならではの理由と言えるのではないでしょうか。
2:「頭脳派」にあこがれ、やがて「花形」を目指す
では、「本当はこうなりたい」と思う理想・あこがれのタイプはどのようなタイプなのでしょうか。グラフ2のように全体では「4番バッター:花形タイプ」が25.0%で最も多い結果となりましたが、年代で比較をすると、22歳〜25歳は「8番バッター:頭脳タイプ」が最も多く35.5%、26歳〜29歳は「4番バッター:花形タイプ」30.9%、30歳〜34歳は「3番バッター:マルチタスクタイプ」23.7%、35歳〜39歳は「4番バッター:花形タイプ」26.3%となりました。
一般的に、言われた仕事をこなしながら実績を積み上げる時期に当たる20代前半は、自分で考えて仕事をしたいという思いから頭脳タイプが多くなったのでしょうか。知識や経験を重ねた20代後半は花形タイプへのあこがれが大きく、30代前半はマルチタスクタイプにあこがれる傾向にあります。また、30代後半は花形タイプになりたい人の割合が最も多くなっています。
各タイプを選んだ理由は以下のようになりました。
22歳〜25歳【8番バッター:頭脳タイプ】
- 「冷静な判断力にあこがれます」(24歳・女性)
- 「頭が切れる人ってかっこいいから」(24歳・女性)
- 「盛り上げ役だけでなく頭を使って仕事をしたい」(25歳・男性)
26歳〜29歳【4番バッター:花形タイプ】
- 「一番有能そうだから」(28歳・女性)
- 「いつでも大きな契約をとって注目を浴びたいから」(27歳・男性)
- 「目立つし、周囲からの評価が高いから」(28歳・男性)
30歳〜34歳【3番バッター:マルチタスクタイプ】
- 「多種多様な経験業務を活かし活躍したいから」(31歳・男性)
- 「いろいろな仕事ができてやりがいがありそう」(34歳・男性)
35歳〜39歳【4番バッター:花形タイプ】
- 「ある程度の役職に就き、権限も持ち、自分の判断で問題を解決していきたい」(38歳・男性)
- 「どんな場面でも高いパフォーマンスを出したい」(38歳・男性)
- 「花形の仕事をこなすことで、自分自身が成長できると思ったから」(35歳・男性)
上記のように同じ花形タイプでも26歳〜29歳と35歳〜39歳では違う理由から選択している結果となっています。20代後半は「注目を浴びたい」「評価を得たい」といった選択理由が多いものの、30代後半は「自分の判断で問題を解決していきたい」「力を発揮したい」など評価の軸からではなくチャレンジ精神からの選択理由であることが明らかになりました。
3:メジャー志向は20代後半がピーク?
メジャー志向(外資系や大手企業への転職意識)があるかを聞いたところ、全体では「あまりない」と回答した方が最も多く32.4%となりました。「ある」「ややある」と回答した方を合計しても41.2%と半数に満たない結果となっています。また、メジャー志向が最も高い年代は26歳〜29歳となっており、合計45.6%となりました。全体としてメジャー志向はやや消極的なのは、メジャーを目指すのは、国内トップを極めた者だけが挑戦できるというイメージがあるからかもしれません。花形タイプにあこがれる人が多い20代後半の世代が最もメジャー志向が強いこともそれを裏付けていると言えます。一方30代になると、メジャー志向が下降していますが、その理由を見るとネガティブな理由と言うわけではなく、外資系や大手企業に特にこだわらず、自分の輝ける職場で自分の力を発揮したいという思いが見えます。
22歳〜25歳【メジャー志向があまりない】【ない】
- 「面倒だから」(23歳・女性)
- 「地道にやっていきたいから」(24歳・女性)
- 「できる人の中に埋もれたくないから」(25歳・男性)
26歳〜29歳【メジャー志向がある】【ややある】
- 「やりがいにつながるから」(26歳・男性)
- 「自分の可能性を広げて、広い世界を見て知識を持ちたい」(28歳・女性)
- 「今の職場では満足していないので」(28歳・男性)
- 「安定性や給与面、待遇面や、仕事でのスケールの大きさに魅力を感じるから」(26歳・男性)
30代【メジャー志向があまりない】【ない】
- 「以前勤めたので、もう興味がない」(38歳・男性)
- 「自分で会社を立ち上げたいと思うから」(30歳・男性)
- 「大きな組織の中で埋もれてしまうよりも、小さい組織の中で頼られる存在になりたい」(36歳・女性)
上記のように、20代前半は現在の仕事に対する悩みや、自分自身の力量などからメジャー志向へつながらないようです。しかし、仕事にも慣れてきた20代後半となると、その力を試したい、活かしたいという思いが強くなり、メジャー志向も高くなることが分かりました。そして、30代になり、メジャー志向は下降するものの、その理由がネガティブなものではなく、すでに経験しているから、起業したいからなどポジティブな理由であることが分かりました。
まとめ
仕事のやり方を野球の打順で例えると、同じ「3番バッター:マルチタスクタイプ」であると回答した方も、その理由は職位によって違っています。一般社員は上司との、管理職は他部署や部下との連携によりマルチタスクであるという理由となりました。また、「本当はこうなりたい」と思うあこがれのタイプは20代後半、30代後半は花形へのあこがれが強くなっています。メジャー志向は20代後半をピークに、30代に入ると下降するものの、その理由は「起業したいから」などポジティブな理由でした。
打線を途切れさせず1番へチャンスをつなぐ9番バッター、自分を犠牲にしても走者を得点圏に進める2番バッター、塁上にたまった走者を長打で一掃する4番バッター…。実際の野球では常にそのような場面が回ってくるとは限りませんが、それぞれの打順には求められる役割があり、それぞれが自分の役割を理解してチームのために遂行したとき、1×9以上の力が生まれることがあります。あなたは職場で、自分がどんなタイプだと自認しているでしょうか。自分の力・個性を発揮することが、チームの勝利につながっていますか?
調査概要
仕事も野球もチームワークが大切だと言われています。チームワークにおいては、さまざまなタイプのメンバーが個性を発揮し、目標達成に向かって協力態勢をとることが大事です。今回は22〜39歳のビジネスパーソン500人に対し、仕事のやり方を野球の打順で例えてもらい、自分自身をどんなタイプのビジネスパーソンだと認識しているか調査しました。
【対象者】22歳~39歳のホワイトカラー系職種の男女
【雇用形態】正社員
【調査手法】ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査
【実施期間】2014年10月15日 ~ 17日
【有効回答数】500件