1:「私も39歳になります」doda編集長が自ら解説、39歳はこんな世代
偏差値教育の中、“競争が当たり前”の世代
私自身、1976年(昭和51年)生まれで今年39歳になります。いわゆる、団塊ジュニア、第二次ベビーブーマー(BB2)と呼ばれて、とにかく人数が多いので何かと競争を強いられてきた世代と言えるでしょう。また、物心ついた頃から偏差値教育・受験戦争の真っただ中でしたから、学年・学期にかかわらず常に目標を追いかけていて、それが当たり前と思っていました。いい・悪いは別にして、偏差値という物差しで「自分の順位」をいつも意識していたように思います。
就職活動はまだ一枚一枚手書きでエントリーシートを送ってました。多くの人が「一生懸命に勉強していい大学に入り、いい会社に就職する」という価値観に疑いを持ちませんでしたから、私のようにベンチャー企業に入社を決めると驚かれましたね(笑)。
経済環境では、世の中がバブルに沸き立つ頃は中学・高校生で、バブル景気を知ってはいるものの消費の当事者だったわけではありません。そして2000年、就職して社会に出ると、経済の花形だったメガバンクや大手百貨店が次々と再編され、業界地図の様相が一変しました。2000年代に入るとITバブルが興ってはあっという間にはじけ、若手社会人の身ながら「なんだ、この先行き不透明感は!?」と肌で感じていました。
せめぎあうキャリア観、「チャレンジしたい」 「失敗したくない」
今39歳の世代は、競争に勝ち抜いて大手企業に就職していればまだ管理職になっていない、リーダー、係長、課長代理というポジションではないでしょうか。実年齢でも、「まだ若手」と思っています。大手の破たん・再編やリーマン・ショックで企業がのたうつ様を目の当たりにして、終身雇用を無邪気に信じていません。自分のキャリアは自分で守るという意識も強い世代です。
「同期のトップで上のポストに就く!」とか「役員、社長の椅子を狙う!」と肩書きや役職にこだわるというよりは、ビジネスパーソンとして脂ののった今こそ、もっと頑張って仕事の幅や奥行きを広げたい、もっと評価を得たい、と考えていると思います。ある意味、偏差値競争の名残なのかもしれません。
IT企業やメガベンチャーで同世代の経営者が成功していることに刺激を受けている面もあるでしょう。さらなる活躍を思い描いて、新しい会社、新しい仕事にチャレンジしたい意欲は十分にあります。しかし、「39歳の転職は難しいのでは」という不安もよぎります。“不惑の40代”を目前に、「チャレンジしたい」と「下手に動いて失敗したくない」の間を揺れているように思えます。この後のデータが示すように39歳の転職成功者には未経験業界への転職例も多く、持ち前の競争心に火を点けて、キャリアを高めてほしいです。私は同じ世代だからこそ、エールを送りたいと思っています。
2:dodaで転職成功した39歳たちのデータ
実際にdodaで転職成功した39歳の方々のプロフィールをデータで見てみましょう。転職成功者全体との差から、39歳に求められるものが見えてきます。
39歳の転職成功者データ
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【グラフ1】 性別
男性:女性=87:13で、全体と比べると男性の構成比が高い。男性のほうが転職成功しているわけではなく、社会全体の就業者数が、年齢が上がるにつれて男性の構成比が高くなっているためでしょう。また、子どものいる女性だと転職よりも育児や家族の世話を優先しているという事情もありそうです。 -
【グラフ2】 転職活動時の就業状況
仕事をしながら転職活動をしていた人が73%です。全体(69%)よりも現職率が高くなっています。若手よりも既婚率が高いことや、役職に就いている割合が高いことが背景にあると考えられます。 -
【グラフ3】 転職の希望時期
男性:女性=87:13で、全体と比べると男性の構成比が高い。男性のほうが転職成功しているわけではなく、社会全体の就業者数が、年齢が上がるにつれて男性の構成比が高くなっているためでしょう。また、子どものいる女性だと転職よりも育児や家族の世話を優先しているという事情もありそうです。 -
【グラフ4】 年収(転職した39歳)
男性:女性=87:13で、全体と比べると男性の構成比が高い。男性のほうが転職成功しているわけではなく、社会全体の就業者数が、年齢が上がるにつれて男性の構成比が高くなっているためでしょう。また、子どものいる女性だと転職よりも育児や家族の世話を優先しているという事情もありそうです。
【グラフ5】 転職回数
転職回数は、39歳と全体とで傾向に差が出た項目です。全体では5割以上(52%)が「0回(=初めての転職)」ですが、39歳は「2回目」の転職に臨んだ人が最も多く30%です。「0回(=初めての転職)」「1回」も「3回」もそれぞれ2割前後で、転職回数にはバラつきがあります。「転職回数が少ない(もしくは初めての転職)」の人のほうが有利と思われがちですが、39歳の場合、「2社を経験して3回目の転職に臨む」というケースでも、単純計算で1社に6〜7年を勤務していたことになり、むしろ各社で十分な実績を積んだことが有利に働くと言えます。また、30代の若いうちにチャレンジしたことは評価にもつながるでしょう。
【グラフ6】 業種(転職した39歳)
男性:女性=87:13で、全体と比べると男性の構成比が高い。男性のほうが転職成功しているわけではなく、社会全体の就業者数が、年齢が上がるにつれて男性の構成比が高くなっているためでしょう。また、子どものいる女性だと転職よりも育児や家族の世話を優先しているという事情もありそうです。
【グラフ7】 転職先が同じ業種か、違う業種か(転職した39歳)
<転職した39歳>
男性:女性=87:13で、全体と比べると男性の構成比が高い。男性のほうが転職成功しているわけではなく、社会全体の就業者数が、年齢が上がるにつれて男性の構成比が高くなっているためでしょう。また、子どものいる女性だと転職よりも育児や家族の世話を優先しているという事情もありそうです。
【グラフ7】は、「同じ業種に転職したか」、それとも「違う業種に転職したか」を集計したものです。全体では、「同じ業種」が47%、「違う業種」が53%とほぼ拮抗しているようです。
<業種>
元の業種が「IT/通信/インターネット」だった人は、「同じ業種」が67%と2/3を占めています。ITの製品やサービスは技術や環境の進化・変化が早いので、入社後に状況をキャッチアップして即戦力として活躍するためには、同じ業種の出身であることが求められるのでしょう。
「メーカー」の出身者は、「同じ業種」が52%、「違う業種」が48%でほぼ半数です。メーカーの業績回復の背景には、既存事業の縮小や新規事業への参入といった取り組みがあります。業界をまたいだ事業再編が行われていることが人材流動を活発にし、結果として“半々”になっているのではないでしょうか。
「サービス」の出身者は、「同じ業種」が34%、「違う業種」が66%です。「IT/通信/インターネット」とちょうど逆の傾向ですが、「サービス」に含まれる業態が非常に幅広いので、一概にスキルや業績で語りにくいのが実情です。その中で、コンサルティングやマーケティングといったBtoBの専門サービスから違う業種へ転職している事例が目につきます。もう一つ、人材サービスから「違う業種」に転職している事例も目立ちます。「サービス」に限らずどの業種・業界でもマーケティングに注力しているものの社内に知見がないこと、事業再編で人材採用・活用が経営課題になっていることが、その背景にありそうです。
<転職回数>
さらに、転職回数を軸に集計すると、転職回数が多くなるにしたがって「違う業種」の割合が増えていることが分かります。転職回数の分だけ「新しい環境・カルチャーに飛び込む経験」をしてきたわけです。職務経歴と合わせれば、「転職先での活躍が期待できる人」の証明にもなり、違う業界への可能性が広がると言えるでしょう。39歳にとって、「転職回数が多いと不利」は根拠のない風説です。
3:39歳、キャリアの選択肢を3つ考える
39歳のビジネスパーソンが転職を考えるにあたって、企業が市場価値を見いだす代表的な3つのパターンで考えてみましょう。今の自分がどれに当てはまるのか、この先どれを目指すのか参考にしてみてください。
<キャリアの選択肢1:マネジャー>
市場価値が高いのは、部門の目標を達成して前年実績を上回り、経営層に近い視点でビジネスを捉えることができ、部下も育ててきた、という経験豊富な人です。大手企業には意外と少なく、中小企業からベンチャー企業でキャリアを積んできた人のほうがこの条件に合うのではないでしょうか。ですから逆に、現状まだリーダー層に留まっていて、ポジションを上げて仕事の幅を広げたいなら、これから成長・拡大期を迎える会社をターゲットにしたほうがよいでしょう。
<キャリアの選択肢2:スペシャリスト>
エンジニアや、経理・財務、企画、マーケティングなどの管理部門が該当します。今39歳であれば、ジョブローテーションや不況期の配置転換などで、フロント部門に異動した人も多く、入社から一貫して15年の経験がある人は少ないでしょう。しかし、スペシャリストとして10年に満たなくても転職市場では十分に評価されます。むしろフロント経験を通じて現場のニーズや生きた事業を知っていることは付加価値になります。
<キャリアの選択肢3:スーパープレイヤー>
役職や肩書きはなくても、常に高いパフォーマンスを発揮してきた人、難易度の高い顧客や案件を任されて確実に実績につなげるような際立った存在です。エンジニア、営業職(特に高価格帯の商材)、MRなどが該当します。 当の本人は、「自分はこれしかできない。他の仕事への転職は無理」と思い込んでいることも多いのです。 しかし、実際に、輸入自動車の営業を15年やっていた人がラグジュアリーホテルに転職したという事例もあります。富裕層向けの対人スキルという親和性が見込まれたのです。
このように、同じ仕事の中にも複数の要素があり、それがキャリアの掛け算となって市場価値につながるケースは思いのほかたくさんあります。
まとめ: 39歳ならではの “キャリアの掛け算” で市場価値の最大化を狙う
一昔前と言わず、ほんの3年前なら、「転職は35歳が限界」がまるで真実であるかのようでした。しかし、今、そんな都市伝説にとらわれる必要はありません。その年齢に応じたキャリアを身につけていればキャリアチェンジの可能性は広がっています。今回取り上げた39歳(前後)は、世代の特徴や時流から、次のようなアドバンテージがあると言えます。
◆偏差値教育をかいくぐった世代特有で、競争を厭わない、勝つための努力を惜しまない
◆15年の社会人経験、つまりビジネスそのものの場数を踏んでおり、業界に対する知見や理解があること
◆転職経験があって、新しい環境・異なるカルチャーの中で成果を出したという経験は強いアピール
◆転職経験がなく1社経験の場合も、複数の部門・業務を経験してキャリアのバリエーションがある
◆消費意欲旺盛なミドル・シニア層のマーケットが拡大し、ターゲットに近いことの強み
本文中で繰り返している“キャリアの掛け算”は、39歳ならではのキーワードです。社会に出て15年の間のさまざまな経験・体験は、あなたの中にしまっておくだけでは単なる事実でしかありません。キャリアの要素を掛け算することで、この先の可能性は20代・30代前半の頃以上に広がっていくでしょう。
調査概要
dodaエージェントサービスの利用者のうち、2014年1月〜2014年12月の期間中に転職先が決定した人のデータを集計しました。