スマートフォン版で表示

現在、お知らせはありません。

転職ストーリー

銀行員から国税調査官へ。
大企業の税務調査を担う仕事とは

税のプロフェッショナルとして国税の最前線で活躍する国税調査官。地方銀行から東京国税局へ転職し、現在は大規模法人に対する税務調査を担当する国税調査官にお話を伺いました。どのような葛藤やキャリア観の変化を経て、銀行員から官公庁へ転身したのでしょうか。前職時代から感じていた悩みから、税務のプロとして働く現在、そして税の公平性を守る仕事のリアルまで語っていただきました。

PROFILE

Mさん

東京国税局 調査第三部 国税調査官
地方銀行で個人・法人営業を経験後、2020年に東京国税局へ入庁

銀行員として経験を重ねる中で覚えた違和感が、転職を考えるきっかけに

新卒で銀行に就職しようと思ったのはなぜですか?

もともと、多くの人と関わる中でさまざまな価値観に触れて、自分自身も刺激を受けながら成長していきたいと思っていました。特に銀行は、個人のお客さまの住宅ローンや資産形成、企業の融資や経営課題など、幅広い相談に関われます。一人ひとり異なる悩みや価値観に向き合いながら、地域の企業や暮らしを支えられる点に魅力を感じ、地元の地方銀行に入社しました。

転職を考えたきっかけは何だったのでしょうか?

銀行でも、法人や個人の役に立っている実感はありました。一方で、仕事の軸足が次第に、担当するお客さまへの深い支援に絞られていく感覚を持つようになります。「幅広い人や企業と関わりながら働きたい」という当初の想いに立ち返ると「自分がやりたかった仕事は、本当にこの延長線上にあるのだろうか」と疑問を持ち、今後のキャリアについて考えるようになりました。

その中で、「自分は何を強みとして働いていくのだろう」という漠然とした不安も強くなっていったんです。銀行は幅広い経験を積める場で、ゼネラリストとしての成長には最適ですが、私は「“これが強みだ”と言える専門分野を持ちたい」という気持ちが強くなっていきました。国税庁経験者採用試験を知ったのはそんな時です。税という専門性を磨きながら、社会全体の公平性を支える仕事ができる点に惹かれ、挑戦を決意しました。

未経験からの挑戦に不安はありませんでしたか?入庁に至るまでのプロセスを教えてください。

募集を見つけた時点で締め切りが近かったこともあり、かなり短期間での準備になりました。申込みから試験までは1カ月強で、平日や週末の時間を使いながら独学で準備を進めました。論文試験対策に重点を置き、自分のこれまでの経験をどう活かせるか語れるようにして臨みました。

家族には、合格したタイミングで初めて伝えました。妻の地元である千葉県で働けますし、拠点異動も関東圏内に限られるので、安心できる選択として前向きに受け止めてもらえました。

知識と対話で納得を生み、税制の理解を広める

合格後は千葉県の税務署勤務を経て、2025年7月から現部署に異動されたのですね。現在の業務について教えてください。

現在は、大規模法人を対象とした税務調査を担当しています。調査では、対象法人へ1カ月~1カ月半ほど継続的に訪問し、会計データや取引資料の確認、経理担当者や各部門へのヒアリングを行います。特に大企業の場合、申告内容が適正かどうかを判断するためには、海外取引やグループ間取引など複雑な論点が多く、取引の背景まで踏み込んで確認する必要があります。

そうした複雑な取引や企業活動を理解する上では、銀行員時代の経験が大きく役立っています。これまで契約書や財務資料を分析しながら、企業の資金調達や経営実態を把握してきました。そうした経験があるからこそ、現在の税務調査でも企業のビジネスモデルや取引の背景をイメージしやすく、比較的スムーズに理解できています。

複雑な取引を判断する上で、難しさを感じる場面も多いのでしょうか。

同じ条文や資料を見ていても、制度適用の考え方や解釈について企業側と見解が分かれるケースもあります。そうした際は、「なぜ税法上その判断になるのか」を論理的に説明していきます。企業にとっては不利益になる内容をお伝えすることもあるため、自分自身が税法を正しく理解していることはもちろん、相手の立場や前提も踏まえながら、対話を重ねることが大切です。最終的にご理解いただけた時には、大きな達成感がありますね。

高度な税法の専門知識は、どのように身につけていったのでしょうか。

銀行員時代、税法について体系的に学んだ経験はほとんどありませんでした。そのため、入庁後の3カ月の基礎研修はありがたかったです。法人税法や消費税法、簿記・会計などの分野を基礎から学び、配属後も、実務を通じて少しずつ解釈や判断力を磨いていきました。今では、「法人税は自分の専門分野だ」と感じられる場面も増えましたね。

官公庁だからこそ担える、社会全体に向き合う役割

民間から公務員へ転職して、何か変化はありましたか?

「特定のお客さまを支える」視点から、「社会全体の公平性を支える」視点へ、仕事の捉え方が変わったことです。 税務署へ配属された当初は、法人調査だけでなく、窓口での申告相談対応も行っていました。ある時、申告書の書き方が分からない方に対して、その場で申告書の作成の補助を行ったことがありました。すると後日、先輩から「助けるだけではなく、次回以降は自分で適正に申告できるように、書き方を理解してもらうことが大切だ」と教わりました。当時は「そこまで先を見据えて対応するのか」と驚きましたが、今振り返ると、その驚きが単なる手続代行とは異なる行政機関としての役割を意識するきっかけだったように思います。
また、その時を境に先輩たちが皆、 “制度全体が適正に機能すること”を意識して働いていることにも気付きました。金融機関時代は、担当するお客さまや自身の目標を強く意識していましたが、官公庁では、納税者全体へ目を向けながら制度を公平に運用する視点が求められます。そうした働き方に身を置く中で、「多くの人に関わり、支えたい」という原点にも、改めて近づけた気がしています。

今後、どのようなキャリアを描いていきたいですか?

まずはこの場所で法人税に関する専門性をさらに深めつつ、多様な業種の企業を担当して視野を広げていきたいです。さらに未来の話をすると、将来的には管理職も目指したいです。

入庁当初は「経験者採用として、どんなキャリアを歩めるのだろう」という不安もありました。そんな中、先輩方が自身の経験やキャリア事例を丁寧に共有してくれたことで少しずつ将来像を描けるようになり、安心できたんです。だからこそ今後は、自分自身も一つのキャリア事例として、「こういう道もある」と示せる存在になりたいです。後輩が安心して挑戦できる環境をつくっていきたいですね。

CAREER JOURNEY キャリアの変遷

  1. POINT01

    多くの人を支えるため、地方銀行に入行 企業や個人と幅広く接点を持ち、多くの人に関わりながら支援する仕事に従事

  2. POINT02

    国税庁経験者採用試験を知る 担当の枠にとらわれず多くの人に関わり、専門性を高められるキャリアを求めて受験を決意

  3. POINT03

    東京国税局に内定し、採用後は税務署に配属 晴れて国家公務員に。千葉県の税務署に配属され、官公庁で働く心構えを知っていく

  4. NOW!

    国税調査官として活躍 現在は大規模法人の税務調査を通じて、税の公平性を守っている

ステップで分かる転職ノウハウ

  • ITエンジニアとは?

転職サイトdodaをシェア

<a href="https://doda.jp/">転職サイト「doda」</a>