転職ストーリー
銀行から兵庫県庁へ。
地域全体の未来をつくるために
メガバンクで企業の挑戦や再生を支えてきた河本さん。30歳を前に選んだ次の舞台は、兵庫県庁。そこには「地域全体や産業全体の未来に関わりたい」という思いがありました。入庁後はさまざまなポジションを経て、現在は県政全体を裏で支える調整役を担っています。「民」から「官」へ――新たな道でつかんだやりがいを伺いました。
河本 浩介さん
兵庫県庁 企画部 総合政策課 主幹
銀行での法人営業を経て、2016年に兵庫県庁へ入庁。
県政全体をつなぎ、政策を前に進める調整役
総合政策課の役割を教えてください。
総合政策課は、県政全体をつなぐハブのような組織です。県の仕事は防災、医療・福祉、産業振興、農林水産振興、環境保全、インフラ整備、まちづくり、教育、芸術文化・スポーツ振興など多岐にわたり、各部局がその政策立案に携わっています。ただ、地域の課題は一つの分野だけで完結するものではなく、複数の要素が絡み合っていることも少なくありません。そうした中で、全体を俯瞰して重複を整理したり、抜けを補ったりする調整役が欠かせません。政策が前に進むように、裏側で土台を整えるのが私たちの仕事です。
ご自身はどんな仕事を担当されていますか?
県政の重要事項の調整を図る政策会議の運営や重要施策の進行管理などを担当しています。各部局からあがってくる資料の確認とフィードバックもその一つ。協議資料は専門用語が多く、情報量も多いので、初見で理解しにくいことがあります。「何を決めたいのか」「判断材料は何か」が一目で伝わるように構成を組み替えたり、別の会議で出ていた論点をつないだりして、よりわかりやすい資料になるよう助言しています。
河本さんが携わった施策にはどんなものがありますか?
大小さまざまありますが、地域の活性化に関する施策が多いかなと思います。一言で地域活性化といっても、観光、空き家活用、地場産業、交通などさまざまな切り口があり、それぞれのテーマを所管する本庁の各部局と地域を所管する県民局との連携・調整役を担いました。幅広いテーマのプロジェクトに触れられて面白さを感じる一方、情報のキャッチアップには相応の労力が必要です。知識がないまま調整に入るとハレーションが起きやすいので、まずはその分野についてしっかり勉強するようにしています。
この仕事で手応えを強く感じるのはどんなときですか?
大きな達成感が得られるというよりも、“日々の小さな前進”が積み重なっていく感覚です。総合政策課の仕事は前に出て成果をアピールする華やかさはないけれど、政策が一歩でも進めば、最終的に県民の福祉の増進に繋がっていく。だから、自分が介在することで議論が動き出したときや、現場から「視界がクリアになった」と言ってもらえたときはうれしさを覚えます。
企業の成長を支える仕事から、地域の未来を支える仕事へ
新卒では銀行に就職したそうですね。その理由を教えてください。
学生時代から社会や人々の暮らしを支える仕事に関心があり、「社会に貢献できること」「広い視野で物事に向き合えること」を軸に就職活動を進めていました。経済学を専攻していたこともあり、金融業界、とりわけ産業全体を俯瞰できる銀行を選びました。
銀行ではどのような仕事をされていたのですか?
融資をはじめとする金融サービスの提供に加え、企業の設備投資や海外展開といった事業拡大の支援、業績が厳しい企業の事業再生支援などにも携わりました。メインバンクとして関わった事業再生支援案件では、貸し手として関与している複数の銀行に足並みをそろえてもらう必要がありました。普段は競合している銀行同士で協力・協調した経験を通して、現在の自分の強みである調整力が培われたと感じています。
「民」から「官」へのキャリアチェンジのきっかけは何だったのでしょう?
銀行の仕事は好きでした。ただ、だんだんと「個社の成長だけじゃなく、地域全体や産業全体の未来に関わりたい」という思いが強くなっていったんです。そんなとき、銀行から地方自治体へ転職した元同僚と会う機会がありました。彼の活躍を聞き、「民間で培った視点は行政でも活きるんだ」と気づかされたのが公務員を志したきっかけです。「地元に貢献したい」「より広い視野で物事に向き合いたい」という思いから、兵庫県庁の経験者採用に応募しました。
入庁からこれまでにどんな仕事を経験しましたか?
最初は農政環境部(現:農林水産部)に配属され、農業の担い手確保・育成などに携わりました。次に、人事委員会事務局に異動し、採用試験の運営や広報活動を担当。その後、産業労働部の地域経済課で産業施策の調整業務に従事し、そして現在の部署へ――という流れです。ここまで幅広い経験が積めたのは、県内のあらゆる県民サービスに携わる県庁だからこそ。それまでの専門領域を飛び出したことで、視野が広がり、仕事の引き出しも増えました。
すべての仕事が地域の活性化につながる。だから、迷いがない
入庁して感じたギャップや、行政ならではの特徴はありますか?
まず、思っていた以上に自由度が高い。たとえば人事委員会事務局にいたときは、採用PR動画の制作を任せてもらったり、試験制度の見直しに関わったりと、アイデアを形にできる機会が多くありました。一方で、物事を進めるときのプロセスは慎重で丁寧です。これは住民への説明責任と公平性が求められる行政だからこそ。細かな部分まで漏れなく、正しく説明できることが重視されます。最初は民間で勤務していたときとのギャップを感じることもありましたが、行政ならではの価値観とその背景を理解してからは納得感をもって仕事に取り組めるようになりました。
銀行での経験はどんなところで活かせていますか?
金融の知識がそのまま使える場面は多くありません。しかし、銀行で培った“仕事の土台となる力”は武器になっています。いちばんは「調整力」。関係者をまとめて物事を進めるスキルは、所管も優先順位も違う部局同士をつなぐ場面で活きていますね。加えて、「物事の本質をとらえる力」や「数字から背景を読む力」もどの部署でどんな仕事をするときにも役立っています。
河本さんご自身が感じる、県庁で働く魅力を教えてください。
自分の仕事の意味がはっきりしていることです。ここでのすべての仕事が地域の活性化や福祉の向上につながっている。だから「この仕事は何のためにやっているんだろう…」と迷うことがありません。大変なことももちろんありますが、納得感があるぶん前向きに取り組めます。私は与えられたポジションのなかで頑張ろうというタイプなので、今後も特定の分野に絞ることなく、仕事の幅を広げながら兵庫県の価値向上に貢献していきたいです。
キャリアの変遷
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学生時代は経済学を専攻 企業活動や地域経済の動きに触れる機会が多く、社会や人々の暮らしを支える仕事に関心をもつ
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メガバンクに就職 大企業から中堅・中小企業まで幅広い企業の経営に寄り添い、事業拡大や事業再生を支援
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兵庫県庁へ転職 農林水産部、人事委員会事務局、産業労働部で幅広い仕事を経験して視野が広がる
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県政を前に進める調整役 部局横断の課題を整理する、政策を前に進めるための調整を行うなど、県政全体を裏で支える







